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21意気投合
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マギー温泉は予想通り大盛況で予約が半年先まで詰まっているとか?
そこでせっかく来られたお客様にもっとお金を落としてもらえるように、温泉街にアーケードを設置し、車両通行止めにしました。
これであっちの店をぶらぶら、こっちの店をきょろきょろしても危なくない。それに雨が降っても商品も濡れず、お客様も濡れないからゆっくり買い物ができる。
1泊ぐらいの客では、お金を落とすと言ってもしれてる。なにかもっと効率よく稼ぐ方法を考えなければ。
湯治でも?あれは素泊まりで……、確か前世の記憶では、1泊当たり普通の素泊まりの半額であったような?あまり儲けにはならない。
では素泊まりにしなければいい。料理旅館のような?前世で言えば管理栄養士が献立を作り、医学的に有効な食べ物を提供するといいのでは?
辺境領から、すぐさまカルロス様を呼び寄せる。来られるまでの間、料理人の募集をかけ、それとホテルをあと3軒建てるための設計図を引く。
何か忘れ物をしているような気がしているけど、無視、無視。超多忙を極めているので、重大なことを忘れていても、おざなりにしていることが多い今日この頃。
「秘書が欲しいわ。イケメンの?いや、若くて有能なら何でもいい。最近、少々欲求不満気味で、若いイケメンなら誰でも押し倒してしまいそうだから。女性のほうがよかったりして?でも残念ながら、女性で有能なものは数が圧倒的に少ない。
だから学校教育を急がなくてはならない。とりあえず、小学校と中学校だけは開校させたけど、高等部と大学はまだまだ先になりそう。
まぁ、高等部は隣接しているアンダルシアの別の貴族が治めている領地の中にあることはある。裕福な家庭の子供が通っているみたい。
あ!そうだ!
って、別に重要な案件を思い出したわけではない。
温泉地だけだから儲からないのだ。近隣にレジャー施設を作り、相乗効果で倍以上の売り上げが見込めるはず。
もしかすれば、その土地でも温泉が湧くかもしれない。
マーガレットは早速、机に地図を広げる。この温泉地からそう遠くはない場所でハイウエイが通っているところと言えば、……あるにはあるが……原野だ。
原野を開拓するのは……ちょっと……。でも、やるしかないか?
できれば緑は残しておきたい派なんだけど。原野と言っても、言い換えれば野原だから。造成工事と整地だよな?
どちらも温泉街を作るときに経験済みだから、何とかなるだろう。
あーあ、めんどくさい。
執務室の扉がノックされると、
「マギー、今夜のこと覚えている?」
クランベール国のスティーブン第1王子様がひょっこり顔を出されている。
「!」
「その顔だと、すっかり忘れていたみたいだね?」
そう土地を頂いたお礼に、クランベール王族ご一行様をご招待したんだっけ。それでクランベールの第1王子とすっかり打ち解けて、ちょっといい仲に……。
そう、さっきから何か忘れ物をしていると思ったのは、このことだった。
「わ、わ、忘れてたってわけではないのよ。ステイ(スティーブンの愛称)お願いがあるの。」
「なんだい?マギーの頼み事ならなんだって聞くよ。愛しているよ。」
「あ、あのね。……。」
スティーブン王子はいきなり、マーガレットの腰を抱きながらチュッチュしてくるので、言いにくい。
さっさと帰って。とは言いにくい。
仕事が忙しいのよ。とも言いづらい。
「あのね。ステイ、秘書になってくれない?」
「へ?」
マーガレットがスティーブンに目を付けた最大の魅力は仕事ができること。
仕事に関して、ステイ程頼りになる男はいない。カルロス様を除いて、だけど。
カルロス様はお医者様だから、経営とか実務面に不安がある。
その点、スティーブン殿下は、バーモンドと違って、公務もしっかりなさっているから、いろいろと相談に乗ってくださる。
だから「付き合ってください。」と言われたとき、思わず「ハイ」って返事しちゃったの。
まぁ後悔はしていない。もし、話が先に進んだとしても。
前世で奥さんと結婚するときもこんな感じだったから、愛しているのかもしれない。
そのうち、一緒に暮らすようになって、だんだん芽生えてくる感情もある。
「それは、結婚しようという意味か!?」
「まぁ……そう捉えていただいてもいいですわ。」
「喜んで。マーガレット嬢、アナタさまのお仕事を全力でサポートさせていただきます。」
「ありがとう。期待してるわ。ステイ。ずっとそばにいてね。」
「もちろんだよ。ああ!なんて今日は素晴らしい日になったんだ。そうだ!今夜のパーティで結婚の報告をしてもいいか?」
スティーブン様はマーガレットから離れてくださらない。ずっとくっついて、チュッチュされるから仕事にならないけど、前世、鈴之助も通ってきた道だから、ひたすら我慢する。
「では、またあとで。」
名残惜しそうにスティーブン様は出て行かれる。
次の来客が来たためだったのだが、こんなことならどうせきしてもらえばよかったかもしれないという事件が起きる。
カルロス様が到着されたのだけど、温泉街に出発する際、アンダルシア国教会の連中から車で行くなら同乗させてほしいと懇願されて、一緒に来てしまったとか。
「ふーん。それでどういったご用向きでございましょうか?わたくしこう見えても忙しいもので……。」
「いえ。簡単なことでございます。オリヴィアが聖女様だと勘違いしてしまい、マーガレット嬢には大変なご心痛とご迷惑をおかけしましたことを心より、お詫び申し上げるとともに、ぜひ、この水晶玉判定を受けていただきたいのでございます。」
ああ、これクリストファーが言ってたヤツ?アンダルシアの国中巡って、聖女探しをしているとか?
「いやですわ。わたくしが聖女様のわけ、ございませんことよ。バーモンド殿下から捨てられたような女でございますから。どうぞ、お引き取りを。」
「いいえ。辺境領へ着いた時から、確信がありました。マーガレット嬢こそ真実の聖女様に違いないと思っていました。こんな見たこともない素晴らしい技術を目の当たりにすれば誰もが信じます。これは聖女様のなせる業でしかございません。」
いやいや、ちょっと待ってよ。
これはすべて前世の記憶とチートスキル?みたいなもので、それに乙女ゲームの設定のなせる業……、とは言えない。
「その前にひとつ、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
そこでせっかく来られたお客様にもっとお金を落としてもらえるように、温泉街にアーケードを設置し、車両通行止めにしました。
これであっちの店をぶらぶら、こっちの店をきょろきょろしても危なくない。それに雨が降っても商品も濡れず、お客様も濡れないからゆっくり買い物ができる。
1泊ぐらいの客では、お金を落とすと言ってもしれてる。なにかもっと効率よく稼ぐ方法を考えなければ。
湯治でも?あれは素泊まりで……、確か前世の記憶では、1泊当たり普通の素泊まりの半額であったような?あまり儲けにはならない。
では素泊まりにしなければいい。料理旅館のような?前世で言えば管理栄養士が献立を作り、医学的に有効な食べ物を提供するといいのでは?
辺境領から、すぐさまカルロス様を呼び寄せる。来られるまでの間、料理人の募集をかけ、それとホテルをあと3軒建てるための設計図を引く。
何か忘れ物をしているような気がしているけど、無視、無視。超多忙を極めているので、重大なことを忘れていても、おざなりにしていることが多い今日この頃。
「秘書が欲しいわ。イケメンの?いや、若くて有能なら何でもいい。最近、少々欲求不満気味で、若いイケメンなら誰でも押し倒してしまいそうだから。女性のほうがよかったりして?でも残念ながら、女性で有能なものは数が圧倒的に少ない。
だから学校教育を急がなくてはならない。とりあえず、小学校と中学校だけは開校させたけど、高等部と大学はまだまだ先になりそう。
まぁ、高等部は隣接しているアンダルシアの別の貴族が治めている領地の中にあることはある。裕福な家庭の子供が通っているみたい。
あ!そうだ!
って、別に重要な案件を思い出したわけではない。
温泉地だけだから儲からないのだ。近隣にレジャー施設を作り、相乗効果で倍以上の売り上げが見込めるはず。
もしかすれば、その土地でも温泉が湧くかもしれない。
マーガレットは早速、机に地図を広げる。この温泉地からそう遠くはない場所でハイウエイが通っているところと言えば、……あるにはあるが……原野だ。
原野を開拓するのは……ちょっと……。でも、やるしかないか?
できれば緑は残しておきたい派なんだけど。原野と言っても、言い換えれば野原だから。造成工事と整地だよな?
どちらも温泉街を作るときに経験済みだから、何とかなるだろう。
あーあ、めんどくさい。
執務室の扉がノックされると、
「マギー、今夜のこと覚えている?」
クランベール国のスティーブン第1王子様がひょっこり顔を出されている。
「!」
「その顔だと、すっかり忘れていたみたいだね?」
そう土地を頂いたお礼に、クランベール王族ご一行様をご招待したんだっけ。それでクランベールの第1王子とすっかり打ち解けて、ちょっといい仲に……。
そう、さっきから何か忘れ物をしていると思ったのは、このことだった。
「わ、わ、忘れてたってわけではないのよ。ステイ(スティーブンの愛称)お願いがあるの。」
「なんだい?マギーの頼み事ならなんだって聞くよ。愛しているよ。」
「あ、あのね。……。」
スティーブン王子はいきなり、マーガレットの腰を抱きながらチュッチュしてくるので、言いにくい。
さっさと帰って。とは言いにくい。
仕事が忙しいのよ。とも言いづらい。
「あのね。ステイ、秘書になってくれない?」
「へ?」
マーガレットがスティーブンに目を付けた最大の魅力は仕事ができること。
仕事に関して、ステイ程頼りになる男はいない。カルロス様を除いて、だけど。
カルロス様はお医者様だから、経営とか実務面に不安がある。
その点、スティーブン殿下は、バーモンドと違って、公務もしっかりなさっているから、いろいろと相談に乗ってくださる。
だから「付き合ってください。」と言われたとき、思わず「ハイ」って返事しちゃったの。
まぁ後悔はしていない。もし、話が先に進んだとしても。
前世で奥さんと結婚するときもこんな感じだったから、愛しているのかもしれない。
そのうち、一緒に暮らすようになって、だんだん芽生えてくる感情もある。
「それは、結婚しようという意味か!?」
「まぁ……そう捉えていただいてもいいですわ。」
「喜んで。マーガレット嬢、アナタさまのお仕事を全力でサポートさせていただきます。」
「ありがとう。期待してるわ。ステイ。ずっとそばにいてね。」
「もちろんだよ。ああ!なんて今日は素晴らしい日になったんだ。そうだ!今夜のパーティで結婚の報告をしてもいいか?」
スティーブン様はマーガレットから離れてくださらない。ずっとくっついて、チュッチュされるから仕事にならないけど、前世、鈴之助も通ってきた道だから、ひたすら我慢する。
「では、またあとで。」
名残惜しそうにスティーブン様は出て行かれる。
次の来客が来たためだったのだが、こんなことならどうせきしてもらえばよかったかもしれないという事件が起きる。
カルロス様が到着されたのだけど、温泉街に出発する際、アンダルシア国教会の連中から車で行くなら同乗させてほしいと懇願されて、一緒に来てしまったとか。
「ふーん。それでどういったご用向きでございましょうか?わたくしこう見えても忙しいもので……。」
「いえ。簡単なことでございます。オリヴィアが聖女様だと勘違いしてしまい、マーガレット嬢には大変なご心痛とご迷惑をおかけしましたことを心より、お詫び申し上げるとともに、ぜひ、この水晶玉判定を受けていただきたいのでございます。」
ああ、これクリストファーが言ってたヤツ?アンダルシアの国中巡って、聖女探しをしているとか?
「いやですわ。わたくしが聖女様のわけ、ございませんことよ。バーモンド殿下から捨てられたような女でございますから。どうぞ、お引き取りを。」
「いいえ。辺境領へ着いた時から、確信がありました。マーガレット嬢こそ真実の聖女様に違いないと思っていました。こんな見たこともない素晴らしい技術を目の当たりにすれば誰もが信じます。これは聖女様のなせる業でしかございません。」
いやいや、ちょっと待ってよ。
これはすべて前世の記憶とチートスキル?みたいなもので、それに乙女ゲームの設定のなせる業……、とは言えない。
「その前にひとつ、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
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