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20ハイウエイ

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 ネバダ子爵は、商業ギルドに属している人だから、すんなり入国が認められ、辺境領に住むことになり、また領営住宅をあっせんすることになったのだ。

 引っ越しの人員は、マルベール国から呼んできたものの、引っ越しの手伝いに来た人全員が、またもや辺境領に移民したいと希望があり、もうどうとでもなれ!という気持ちになる。

 マーガレットは自動車教習所の一角に自動車工場を建てる予定であったが、そこにまた領営住宅と大型ショッピングセンターとガソリンスタンドを作ることにする。

 ますます人口が増える見込みに対応しなければならないから。

 そして、ドワーフの工房を砂漠に建て、ドワーフや辺境領の作業員たちが通勤しやすいように地下鉄を作ったのだが、地下鉱脈を傷つけないように、慎重に工事をしたため、開通までに相当な時間を要した。

 前世ニッポンのト〇タ方式で、別々に作った部品を組み立てラインにすることにする。

 車体は車体だけ、エンジンはエンジンだけと言うようにそれぞれのラインで作ったものを最後に組み立てていく。

 乗用車というより、トラックを中心に生産していく。外国へ輸出するつもりなのだ。ガソリンの精油の技術を持っているのは、マーガレットだけなので、独占販売が見込める。

 この世界に独占禁止法などないはずだから、思いっきり経済を優先できる。

 それから、宝石が採掘できる地域のことは、辺境領の領民には内緒にしておく。

 だから地下鉄を停める気もない。盗掘を恐れてだ。別に先住民を疑っているわけではない。あとから移民として入ってきたような他国民やアンダルシア国民のことはもう一つ信用していない。

 まぁ本来、内緒だから砂漠から歩いていくにはあまりにも遠いし、車を買ったとしても運転ができなければ意味がない。そう考えると誰でも彼でも、免許を取らすことには慎重にならざるを得ない。

 宝石が採れるあたりには、また高い塀を張り巡らそうか?でも、そんなことすれば、ここにお宝が眠っていますよ、と知らしめるも同然である。

 何かいい方法はないかしら。執務室に寝そべっているレオと目が合う。

 何か殺気を感じたのか、そろりと出て行こうとしている。

 「いいこと考えたわ。」

 レオはビクっとカラダを震わせ、そそくさと出て行こうとしている。

 「レオには関係ないことよ。」

 レオはジト目でマーガレットを見てくる。

 「何よ。そんなにわたくしのことを信用できないの?」

 最初は、レオに宝石を守らせようと思ったけど、やめる。

 一応、レオはマーガレットの護衛だから、マーガレットの傍にいないとまた変な生き物を獲ってきて「調理しろ」と言われかねない。

 だからマギー領にハイウエイをめぐらすの。そして、宝石が採れるところにはジャンクションを作らず、ハイウエイそのものもその地域を避けるようにすれば、うまくいくんじゃない?

 「わたくしって頭がいいわ。まぁ、昔からだけど。」

 ハイウエイには壁がつきものですよね。まぁ、ないところもあるけど、防音のためと落下防止?

 クランベールから頂いた土地には先住民がいなかったのは、幸いだった。やっぱりジャングルがあったから、獣に食われる?からか。

 とりあえず温泉街を充実させ、外貨を獲得しよう。

 湯畑を作り、適度に温泉を冷ましてから、各宿屋に?いや、ここで源泉かけ流しのホテルを直営すれば、もっと儲かる。

 マギー温泉1号館は団体客用で貴族が家ごと来る場合はこちら、2号館はファミリー用、3号館はカップル向けにして、部屋に露天風呂を付けて、思い存分、愛を確かめ合ってもらえばいいのではないか?あと女子会用と敬老会用があれば、もう十分だろう。

 忘年会用、新年会用なんてものもいるか?お酒を飲んでからの温泉は危険だ。

 辺境領と新しい土地の名前をマギー地域として、電気、ガス、水道を完備し、世界一の街に発展させることを目的とする

 温泉が出るということは、活断層があるということだから、どこかの街みたいに高速道路が横倒しにならないように、堅いめのコンクリートを練る。

 ガソリンスタンドをどこに?と悩む。温泉街には当然必要。カフェをセルフにしているから、ガソリンスタンドもセルフでいい?いやいや、まだそこまではこの街は成熟していないと思う。

 ハイウエイにサービスエリア、パーキングエリアに給油所を設ける。

 ガソリンスタンドと言うのは、案外、耐震性に優れている。前世ニッポンでは避難所として指定されているところもあるぐらいだ。

 地下10メートル以上は掘削し、コンクリートの箱を作り、ガソリンを守っている。

 ガソリンスタンドを廃業などで取り壊すとき、なかなか厄介なのがそういうところ。

 ハイウエイの壁面壁の図柄を公募することにした。1等の賞品は自家用車かトラックのどちらか好きな方を選んでもらう。

 移民の中で運転手を選んでもらうと新たな雇用が創出できる。

 移民には、強制的に家族のうち、1人は教習所へ通ってもらうことを条件に移民を受け入れるのだ。

 移民がお里帰りをするとき、車を運転していくと、注目の的になり、ますます車への需要が高まる。

 温泉街へ引っ越ししたい人には、補助金を出す。

 温泉ホテルでの雇用の機会を必須条件にして、引っ越し代金の一部を補助する。

 今のところ、普通の人が住めるのは、温泉街ぐらいで、後はジャングルと砂漠と秘密の岩場。

 教習所の教官は、カルロス様とマーガレットが交互に教える。

 この世界でも、まだ自家用車はぜいたく品で、馬車より揺れないし、冷暖房完備なのだが、そのことを知る人はまだ少ない。

 温泉街の床にも樹脂加工タイルを敷き詰めよう。

 そして、街として完成すれば、観光バスで辺境領からハイウエイに乗り、マギー温泉街まで1泊2日の旅行を抽選でプレゼントしよう。

 そうすれば、車の安全性と快適性、そしてハイウエイからの眺め、温泉街もにぎやかになり、広告宣伝費と思えば、安上がりだ。

 図柄を応募してくれた人から抽選で温泉旅行をプレゼントする。

 口コミでアッという間に噂が広まり、応募者が殺到する。
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