62 / 99
第2章
62.婚約1
王家の紋章入りの馬車を狙った犯人は、やはりエリーゼだったそうだ。
翌朝、アタマに二本の矢が刺さったエリーゼの遺体が王城へと続く道の奥の茂みから見つかったらしい。
あの後、王城に着いたジェニファーは、学園から、ここまで来るまでの間に何者かに弓を射かけられたとクリストファーに申し出て、騎士団が捜索してくれたおかげで、犯人が割れる。
黙っていたら、怪我をしてしまった騎士に対して、申し訳がない。それでクリストファーに、すべてを打ち明けることにしたのだ。
「まことか!?ジェニファーが聖女様だったなんて……、思ってもみなかったことだよ。早速、父上に報告して、……それにしても、俺はなんて運がいい男なんだ!」
「ええ。本当です。今は、故郷のアルカイダは壊滅しました。それは、わたくしと婚約破棄したせいで、神の怒りをもろに受けたからです。わたくしは、そうなる前に、アルカイダを脱出し、アルカイダ国教会と共に南の島に移り住んでそこを「聖女島」にして、住んでいます」
「噂で聞いたことがある。聖女様が元の国から領地を持ってこられ、そこを島の様にして、自由気ままにお住みになっているということは、聞き及んでいたが、それがまさか、ジェニファーの島だということは、知らなかった。そういえば、何か月か前に、聖女様が婚約者となるべき男性を募集しているということを聞いたことがあるが……」
「別に募集はしておりませんが、あれはケセラン国が勝手にしたことで、あの縁談では、ロクな殿方に会えず、それで、こうして越境留学をして、将来の伴侶を見つけるべく、シドニー国に参った次第でございます」
「ようこそ。シドニー国へ」
「おかげで、素敵な伴侶となるべく男性に出会えました」
言いながら、二人とも照れて、真っ赤になる。
バタバタと廊下を走ってくる足音が近づいてくる。
「まことか!?まことにジェニファー嬢が聖女様なのかっ!」
クリストファーと同じ反応に思わず吹き出してしまいそうになるのを、グっとこらえる。
「おお!神よ。ありがとうございます」
「皆様、いったん、お庭の方にでも移りましょうか?」
ジェニファーが、王族が庭へ出たところを見計らいパサラン国でもらった船を空中クローゼットから出す。
ざわめきが、起こる中、ジェニファーは、クリストファーを伴いさっさと乗船してしまう。それにつられ、国王夫妻も、それに第2王子とその婚約者のカトリーヌ様も続かれる。護衛も、全員乗船したころを見はからって、船に浮遊魔法をかける。
船は、瞬く間に王城の空高く浮かび上がり、歓声が上がる。
「空だ!空を飛んでいるぞ」
「生まれて初めて、空を飛んだ!素晴らしい花嫁御寮だ!」
「信じられんが、いい眺めだ」
ジェニファーは船を操りながら、進行方向に次から次へと虹を出していく。船は、虹のトンネルをくぐるように周回する。
その度に、船の乗客たちから、歓声が沸き起こる。
「このまま聖女島へ行きますか?それとも、今日は、この辺にしときましょうか?」
誰も返事をしない。
夢のような体験を心行くまで楽しんでいるようだ。
ジェニファーは、そのまま船を走らせ、聖女島の上空まで来て、大聖堂の前で一気に高度を下げる。
「おかえりなさい。聖女様」
「ただいま。今日は、シドニー国の人たちをこの島へご招待させてあげましたの」
「それは重畳、神様もきっと喜ばれておりますよ」
「今夜は、こちらのホテルで、ごゆるりとお休みください」
ジェニファーは、手の平でリゾートホテルを指差している。
まるで催眠術にかかったかのように、王族御一行様は、リゾートホテルに向かって、ぞろぞろと歩き出される。
グラン公爵夫妻も、ホテルの前で、法被こそ来ていないが、再会を喜んで、手を振っている。
翌朝、アタマに二本の矢が刺さったエリーゼの遺体が王城へと続く道の奥の茂みから見つかったらしい。
あの後、王城に着いたジェニファーは、学園から、ここまで来るまでの間に何者かに弓を射かけられたとクリストファーに申し出て、騎士団が捜索してくれたおかげで、犯人が割れる。
黙っていたら、怪我をしてしまった騎士に対して、申し訳がない。それでクリストファーに、すべてを打ち明けることにしたのだ。
「まことか!?ジェニファーが聖女様だったなんて……、思ってもみなかったことだよ。早速、父上に報告して、……それにしても、俺はなんて運がいい男なんだ!」
「ええ。本当です。今は、故郷のアルカイダは壊滅しました。それは、わたくしと婚約破棄したせいで、神の怒りをもろに受けたからです。わたくしは、そうなる前に、アルカイダを脱出し、アルカイダ国教会と共に南の島に移り住んでそこを「聖女島」にして、住んでいます」
「噂で聞いたことがある。聖女様が元の国から領地を持ってこられ、そこを島の様にして、自由気ままにお住みになっているということは、聞き及んでいたが、それがまさか、ジェニファーの島だということは、知らなかった。そういえば、何か月か前に、聖女様が婚約者となるべき男性を募集しているということを聞いたことがあるが……」
「別に募集はしておりませんが、あれはケセラン国が勝手にしたことで、あの縁談では、ロクな殿方に会えず、それで、こうして越境留学をして、将来の伴侶を見つけるべく、シドニー国に参った次第でございます」
「ようこそ。シドニー国へ」
「おかげで、素敵な伴侶となるべく男性に出会えました」
言いながら、二人とも照れて、真っ赤になる。
バタバタと廊下を走ってくる足音が近づいてくる。
「まことか!?まことにジェニファー嬢が聖女様なのかっ!」
クリストファーと同じ反応に思わず吹き出してしまいそうになるのを、グっとこらえる。
「おお!神よ。ありがとうございます」
「皆様、いったん、お庭の方にでも移りましょうか?」
ジェニファーが、王族が庭へ出たところを見計らいパサラン国でもらった船を空中クローゼットから出す。
ざわめきが、起こる中、ジェニファーは、クリストファーを伴いさっさと乗船してしまう。それにつられ、国王夫妻も、それに第2王子とその婚約者のカトリーヌ様も続かれる。護衛も、全員乗船したころを見はからって、船に浮遊魔法をかける。
船は、瞬く間に王城の空高く浮かび上がり、歓声が上がる。
「空だ!空を飛んでいるぞ」
「生まれて初めて、空を飛んだ!素晴らしい花嫁御寮だ!」
「信じられんが、いい眺めだ」
ジェニファーは船を操りながら、進行方向に次から次へと虹を出していく。船は、虹のトンネルをくぐるように周回する。
その度に、船の乗客たちから、歓声が沸き起こる。
「このまま聖女島へ行きますか?それとも、今日は、この辺にしときましょうか?」
誰も返事をしない。
夢のような体験を心行くまで楽しんでいるようだ。
ジェニファーは、そのまま船を走らせ、聖女島の上空まで来て、大聖堂の前で一気に高度を下げる。
「おかえりなさい。聖女様」
「ただいま。今日は、シドニー国の人たちをこの島へご招待させてあげましたの」
「それは重畳、神様もきっと喜ばれておりますよ」
「今夜は、こちらのホテルで、ごゆるりとお休みください」
ジェニファーは、手の平でリゾートホテルを指差している。
まるで催眠術にかかったかのように、王族御一行様は、リゾートホテルに向かって、ぞろぞろと歩き出される。
グラン公爵夫妻も、ホテルの前で、法被こそ来ていないが、再会を喜んで、手を振っている。
あなたにおすすめの小説
【完結】王位に拘る元婚約者様へ
凛 伊緒
恋愛
公爵令嬢ラリエット・ゼンキースア、18歳。
青みがかった銀の髪に、金の瞳を持っている。ラリエットは誰が見ても美しいと思える美貌の持ち主だが、『闇魔法使い』が故に酷い扱いを受けていた。
虐げられ、食事もろくに与えられない。
それらの行為の理由は、闇魔法に対する恐怖からか、或いは彼女に対する嫉妬か……。
ラリエットには、5歳の頃に婚約した婚約者がいた。
名はジルファー・アンドレイズ。このアンドレイズ王国の王太子だった。
しかし8歳の時、ラリエットの魔法適正が《闇》だということが発覚する。これが、全ての始まりだった──
婚約破棄された公爵令嬢ラリエットが名前を変え、とある事情から再び王城に戻り、王太子にざまぁするまでの物語──
※ご感想・ご指摘 等につきましては、近況ボードをご確認くださいませ。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
冤罪で追放された令嬢〜周囲の人間達は追放した大国に激怒しました〜
影茸
恋愛
王国アレスターレが強国となった立役者とされる公爵令嬢マーセリア・ラスレリア。
けれどもマーセリアはその知名度を危険視され、国王に冤罪をかけられ王国から追放されることになってしまう。
そしてアレスターレを強国にするため、必死に動き回っていたマーセリアは休暇気分で抵抗せず王国を去る。
ーーー だが、マーセリアの追放を周囲の人間は許さなかった。
※一人称ですが、視点はころころ変わる予定です。視点が変わる時には題名にその人物の名前を書かせていただきます。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
【完結】婚約破棄に祝砲を。あら、殿下ったらもうご結婚なさるのね? では、祝辞代わりに花嫁ごと吹き飛ばしに伺いますわ。
猫屋敷むぎ
恋愛
王都最古の大聖堂。
ついに幸せいっぱいの結婚式を迎えた、公女リシェル・クレイモア。
しかし、一年前。同じ場所での結婚式では――
見知らぬ女を連れて現れたセドリック王子が、高らかに宣言した。
「俺は――愛を選ぶ! お前との婚約は……破棄だ!」
確かに愛のない政略結婚だったけれど。
――やがて、仮面の執事クラウスと共に踏み込む、想像もできなかった真実。
「お嬢様、祝砲は芝居の終幕でと、相場は決まっております――」
仮面が落ちるとき、空を裂いて祝砲が鳴り響く。
シリアスもラブも笑いもまとめて撃ち抜く、“婚約破棄から始まる、公女と執事の逆転ロマンス劇場”、ここに開幕!
――ミステリ仕立ての愛と逆転の物語です。スッキリ逆転、ハピエン保証。
※「小説家になろう」にも掲載。
※ アルファポリス完結恋愛13位。応援ありがとうございます。
とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、
屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。
そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。
母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。
そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。
しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。
メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、
財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼!
学んだことを生かし、商会を設立。
孤児院から人材を引き取り育成もスタート。
出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。
そこに隣国の王子も参戦してきて?!
本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る
とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない
木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。
生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。
ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。
その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。