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第2章
62.婚約1
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王家の紋章入りの馬車を狙った犯人は、やはりエリーゼだったそうだ。
翌朝、アタマに二本の矢が刺さったエリーゼの遺体が王城へと続く道の奥の茂みから見つかったらしい。
あの後、王城に着いたジェニファーは、学園から、ここまで来るまでの間に何者かに弓を射かけられたとクリストファーに申し出て、騎士団が捜索してくれたおかげで、犯人が割れる。
黙っていたら、怪我をしてしまった騎士に対して、申し訳がない。それでクリストファーに、すべてを打ち明けることにしたのだ。
「まことか!?ジェニファーが聖女様だったなんて……、思ってもみなかったことだよ。早速、父上に報告して、……それにしても、俺はなんて運がいい男なんだ!」
「ええ。本当です。今は、故郷のアルカイダは壊滅しました。それは、わたくしと婚約破棄したせいで、神の怒りをもろに受けたからです。わたくしは、そうなる前に、アルカイダを脱出し、アルカイダ国教会と共に南の島に移り住んでそこを「聖女島」にして、住んでいます」
「噂で聞いたことがある。聖女様が元の国から領地を持ってこられ、そこを島の様にして、自由気ままにお住みになっているということは、聞き及んでいたが、それがまさか、ジェニファーの島だということは、知らなかった。そういえば、何か月か前に、聖女様が婚約者となるべき男性を募集しているということを聞いたことがあるが……」
「別に募集はしておりませんが、あれはケセラン国が勝手にしたことで、あの縁談では、ロクな殿方に会えず、それで、こうして越境留学をして、将来の伴侶を見つけるべく、シドニー国に参った次第でございます」
「ようこそ。シドニー国へ」
「おかげで、素敵な伴侶となるべく男性に出会えました」
言いながら、二人とも照れて、真っ赤になる。
バタバタと廊下を走ってくる足音が近づいてくる。
「まことか!?まことにジェニファー嬢が聖女様なのかっ!」
クリストファーと同じ反応に思わず吹き出してしまいそうになるのを、グっとこらえる。
「おお!神よ。ありがとうございます」
「皆様、いったん、お庭の方にでも移りましょうか?」
ジェニファーが、王族が庭へ出たところを見計らいパサラン国でもらった船を空中クローゼットから出す。
ざわめきが、起こる中、ジェニファーは、クリストファーを伴いさっさと乗船してしまう。それにつられ、国王夫妻も、それに第2王子とその婚約者のカトリーヌ様も続かれる。護衛も、全員乗船したころを見はからって、船に浮遊魔法をかける。
船は、瞬く間に王城の空高く浮かび上がり、歓声が上がる。
「空だ!空を飛んでいるぞ」
「生まれて初めて、空を飛んだ!素晴らしい花嫁御寮だ!」
「信じられんが、いい眺めだ」
ジェニファーは船を操りながら、進行方向に次から次へと虹を出していく。船は、虹のトンネルをくぐるように周回する。
その度に、船の乗客たちから、歓声が沸き起こる。
「このまま聖女島へ行きますか?それとも、今日は、この辺にしときましょうか?」
誰も返事をしない。
夢のような体験を心行くまで楽しんでいるようだ。
ジェニファーは、そのまま船を走らせ、聖女島の上空まで来て、大聖堂の前で一気に高度を下げる。
「おかえりなさい。聖女様」
「ただいま。今日は、シドニー国の人たちをこの島へご招待させてあげましたの」
「それは重畳、神様もきっと喜ばれておりますよ」
「今夜は、こちらのホテルで、ごゆるりとお休みください」
ジェニファーは、手の平でリゾートホテルを指差している。
まるで催眠術にかかったかのように、王族御一行様は、リゾートホテルに向かって、ぞろぞろと歩き出される。
グラン公爵夫妻も、ホテルの前で、法被こそ来ていないが、再会を喜んで、手を振っている。
翌朝、アタマに二本の矢が刺さったエリーゼの遺体が王城へと続く道の奥の茂みから見つかったらしい。
あの後、王城に着いたジェニファーは、学園から、ここまで来るまでの間に何者かに弓を射かけられたとクリストファーに申し出て、騎士団が捜索してくれたおかげで、犯人が割れる。
黙っていたら、怪我をしてしまった騎士に対して、申し訳がない。それでクリストファーに、すべてを打ち明けることにしたのだ。
「まことか!?ジェニファーが聖女様だったなんて……、思ってもみなかったことだよ。早速、父上に報告して、……それにしても、俺はなんて運がいい男なんだ!」
「ええ。本当です。今は、故郷のアルカイダは壊滅しました。それは、わたくしと婚約破棄したせいで、神の怒りをもろに受けたからです。わたくしは、そうなる前に、アルカイダを脱出し、アルカイダ国教会と共に南の島に移り住んでそこを「聖女島」にして、住んでいます」
「噂で聞いたことがある。聖女様が元の国から領地を持ってこられ、そこを島の様にして、自由気ままにお住みになっているということは、聞き及んでいたが、それがまさか、ジェニファーの島だということは、知らなかった。そういえば、何か月か前に、聖女様が婚約者となるべき男性を募集しているということを聞いたことがあるが……」
「別に募集はしておりませんが、あれはケセラン国が勝手にしたことで、あの縁談では、ロクな殿方に会えず、それで、こうして越境留学をして、将来の伴侶を見つけるべく、シドニー国に参った次第でございます」
「ようこそ。シドニー国へ」
「おかげで、素敵な伴侶となるべく男性に出会えました」
言いながら、二人とも照れて、真っ赤になる。
バタバタと廊下を走ってくる足音が近づいてくる。
「まことか!?まことにジェニファー嬢が聖女様なのかっ!」
クリストファーと同じ反応に思わず吹き出してしまいそうになるのを、グっとこらえる。
「おお!神よ。ありがとうございます」
「皆様、いったん、お庭の方にでも移りましょうか?」
ジェニファーが、王族が庭へ出たところを見計らいパサラン国でもらった船を空中クローゼットから出す。
ざわめきが、起こる中、ジェニファーは、クリストファーを伴いさっさと乗船してしまう。それにつられ、国王夫妻も、それに第2王子とその婚約者のカトリーヌ様も続かれる。護衛も、全員乗船したころを見はからって、船に浮遊魔法をかける。
船は、瞬く間に王城の空高く浮かび上がり、歓声が上がる。
「空だ!空を飛んでいるぞ」
「生まれて初めて、空を飛んだ!素晴らしい花嫁御寮だ!」
「信じられんが、いい眺めだ」
ジェニファーは船を操りながら、進行方向に次から次へと虹を出していく。船は、虹のトンネルをくぐるように周回する。
その度に、船の乗客たちから、歓声が沸き起こる。
「このまま聖女島へ行きますか?それとも、今日は、この辺にしときましょうか?」
誰も返事をしない。
夢のような体験を心行くまで楽しんでいるようだ。
ジェニファーは、そのまま船を走らせ、聖女島の上空まで来て、大聖堂の前で一気に高度を下げる。
「おかえりなさい。聖女様」
「ただいま。今日は、シドニー国の人たちをこの島へご招待させてあげましたの」
「それは重畳、神様もきっと喜ばれておりますよ」
「今夜は、こちらのホテルで、ごゆるりとお休みください」
ジェニファーは、手の平でリゾートホテルを指差している。
まるで催眠術にかかったかのように、王族御一行様は、リゾートホテルに向かって、ぞろぞろと歩き出される。
グラン公爵夫妻も、ホテルの前で、法被こそ来ていないが、再会を喜んで、手を振っている。
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