4 / 10
お前は私の番
3
しおりを挟む
「……ぁ……ひ、ぁあッ…………」
目を覚ますと、自身の口から発せられた声に飛び起きようとして―――できなかった。
私を覗き込むように、ヴィルヘルム王が覆いかぶさっていていたからだ。
「な、にを……」
震える唇で問えば、雄を思わせるような顔で薄く笑われた。
ただそれだけの事なのに、瞳と心が目の前の男へ固定されてしまう。
炎のように揺らめく瞳に絡み捕られ、頭のどこかで警鐘が鳴る。
私が私で無くなっていく。
やけに身体が火照り、息が荒い。
オメガの性質に僅かでも抵抗できずに、喉を鳴らす。
――――――欲しい。
心の奥底から切望する言葉に、身体は素直に反応する。
血が騒ぎ、目の前の男目掛け腕を伸ばす。
首に私の腕を回されるまま、男は口端を上げた後、私に口付けてきた。
「ぅあッ」
自身の唇に雄と認識した者の唇が重なり、歓喜に身体が打ち震える。
「―――ああっ!!」
だが、下半身からの過ぎる刺激に顔を逸らし悲鳴を上げた。
理性が戻り、あらぬ場所で感じた火傷しそうな熱。
質量のあるその正体を探りたかったが、ヴィルヘルム王を退けることは敗北国の王子である私はできなかった。
いや。その前に、私はヴィルヘルム王の首に回している自身の腕を外すことができない。
「何が……ッ」
顔を逸らしながら『何が起こっているのですか』そう問おうとしたが、痛いほど顎を掴まれヴィルヘルム王の顔と向き合うようにされてしまった。
またヴィルヘルム王の瞳を見てしまえば、私は本能に支配されてしまう。
咄嗟に、視線だけは逸らした。
「目を背けるな」
絶対的な王者の命令。
それに、オメガである私が抗えることが出来ず、瞳は再びあの赤い炎へと向き合った。
嫌でもわかる自身の欲情している顔が、細められた瞳に映る。
それを認識して、恍惚としていく自身の表情も。
うっとりと溜息を吐く途中、釘付けになった瞳が近づく。
「んンッ!!」
齧り付くように唇を重ねられ、熱く濡れた質量のあるそれで口腔を貪られる。
口内へ送られてくる甘い蜜。
それを求め、自身からもっともっとと絡めた。
それに集中していれば、大きな手が私の脇から腰へ滑り、自身が裸だということがやっとわかった。
それでも私の手は、雄の髪を掻き分け頭に這わし放さない。
胸や腹。気づかないふりをしていた、全開に開いている両脚の中心で、私の素肌と男の素肌が合わさり互いを刺激する。
脚を圧し掛かる男の身体に巻き付ければ、私の中に侵入している熱く長大な杭が更に奥へ入り込む。
薄々わかっていたが否定していたその存在が、自分の行動の所為でまざまざと思い知らされる。
「ひぃ、あッ」
私が甘い悲鳴を発しながら背を仰け反った事で、合わさっていた唇が離れた。
涙をぽろぽろと零す私の目尻へ、男が口付ける。
離れていく唇を名残惜しくて上目遣いで追えば、それに気づいた男が柔らかに目を細めた。
「イオリス」
甘い甘い雄の声。
既に濡れ、男を受け入れているそこが蠢く。
はやく。はやく。
「………はやく」
そう私の声で、言ったのは誰か。
その正体を探す暇を与えず、腰を痛いほどに掴まれ男に揺さぶられた。
「……ひゃぁ、あ、あッ…………」
この嬌声は、誰のものか。
何もかも飲まれそうな中、頭の片端。
私が幼かったあの日、一度だけ出逢えた少女が過る。
可愛いあなた。
愛しいあなた。
―――――ああ。運命の女性。
だが、あの少女の顔を思い出そうとして………。
「ぁあっ―――!!」
私の中のある一点を突かれ、頭の中は真っ白になった。
未知だった快楽。
本能のままに。
己に眠っていた、本来の性が求めるがままに。
私は、欲望を貪った。
腹の中に何度も、何度も男の熱を受け止めて。
後悔すると知っていながら、抗えずに―――――。
目を覚ますと、自身の口から発せられた声に飛び起きようとして―――できなかった。
私を覗き込むように、ヴィルヘルム王が覆いかぶさっていていたからだ。
「な、にを……」
震える唇で問えば、雄を思わせるような顔で薄く笑われた。
ただそれだけの事なのに、瞳と心が目の前の男へ固定されてしまう。
炎のように揺らめく瞳に絡み捕られ、頭のどこかで警鐘が鳴る。
私が私で無くなっていく。
やけに身体が火照り、息が荒い。
オメガの性質に僅かでも抵抗できずに、喉を鳴らす。
――――――欲しい。
心の奥底から切望する言葉に、身体は素直に反応する。
血が騒ぎ、目の前の男目掛け腕を伸ばす。
首に私の腕を回されるまま、男は口端を上げた後、私に口付けてきた。
「ぅあッ」
自身の唇に雄と認識した者の唇が重なり、歓喜に身体が打ち震える。
「―――ああっ!!」
だが、下半身からの過ぎる刺激に顔を逸らし悲鳴を上げた。
理性が戻り、あらぬ場所で感じた火傷しそうな熱。
質量のあるその正体を探りたかったが、ヴィルヘルム王を退けることは敗北国の王子である私はできなかった。
いや。その前に、私はヴィルヘルム王の首に回している自身の腕を外すことができない。
「何が……ッ」
顔を逸らしながら『何が起こっているのですか』そう問おうとしたが、痛いほど顎を掴まれヴィルヘルム王の顔と向き合うようにされてしまった。
またヴィルヘルム王の瞳を見てしまえば、私は本能に支配されてしまう。
咄嗟に、視線だけは逸らした。
「目を背けるな」
絶対的な王者の命令。
それに、オメガである私が抗えることが出来ず、瞳は再びあの赤い炎へと向き合った。
嫌でもわかる自身の欲情している顔が、細められた瞳に映る。
それを認識して、恍惚としていく自身の表情も。
うっとりと溜息を吐く途中、釘付けになった瞳が近づく。
「んンッ!!」
齧り付くように唇を重ねられ、熱く濡れた質量のあるそれで口腔を貪られる。
口内へ送られてくる甘い蜜。
それを求め、自身からもっともっとと絡めた。
それに集中していれば、大きな手が私の脇から腰へ滑り、自身が裸だということがやっとわかった。
それでも私の手は、雄の髪を掻き分け頭に這わし放さない。
胸や腹。気づかないふりをしていた、全開に開いている両脚の中心で、私の素肌と男の素肌が合わさり互いを刺激する。
脚を圧し掛かる男の身体に巻き付ければ、私の中に侵入している熱く長大な杭が更に奥へ入り込む。
薄々わかっていたが否定していたその存在が、自分の行動の所為でまざまざと思い知らされる。
「ひぃ、あッ」
私が甘い悲鳴を発しながら背を仰け反った事で、合わさっていた唇が離れた。
涙をぽろぽろと零す私の目尻へ、男が口付ける。
離れていく唇を名残惜しくて上目遣いで追えば、それに気づいた男が柔らかに目を細めた。
「イオリス」
甘い甘い雄の声。
既に濡れ、男を受け入れているそこが蠢く。
はやく。はやく。
「………はやく」
そう私の声で、言ったのは誰か。
その正体を探す暇を与えず、腰を痛いほどに掴まれ男に揺さぶられた。
「……ひゃぁ、あ、あッ…………」
この嬌声は、誰のものか。
何もかも飲まれそうな中、頭の片端。
私が幼かったあの日、一度だけ出逢えた少女が過る。
可愛いあなた。
愛しいあなた。
―――――ああ。運命の女性。
だが、あの少女の顔を思い出そうとして………。
「ぁあっ―――!!」
私の中のある一点を突かれ、頭の中は真っ白になった。
未知だった快楽。
本能のままに。
己に眠っていた、本来の性が求めるがままに。
私は、欲望を貪った。
腹の中に何度も、何度も男の熱を受け止めて。
後悔すると知っていながら、抗えずに―――――。
0
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました
2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。
様々な形での応援ありがとうございます!
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる