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17 救済粥
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”肉”と書かれた札を眺めながら部屋に戻ると、皆がクジ引きでベットを決めていた。
最初にユウが作ったクジは、二人で一つのベットという、ユウの欲望が籠ったクジだったのだが、ハルさんの拳骨で却下された。
再度一人一ベットでクジが作り直され、僕の引いた場所は北の窓側の下段だった。
窓から伝わって来る冷気は気になったが、掛布団も敷布団も羽毛でふわふわしている。
手足を伸ばして横になると、久々に寛げた様な気がする。
自分一人の空間に浸れる事が思っていた以上に嬉しくて、自然に頬が緩んで来た。
だが、歯を磨いてから部屋に戻ると、当然の様にニコニコ顔で、明美が枕を持ってベットで待っていた。
説得するのも面倒臭かったので、一人の空間は諦めて、明美と一緒に寝ることにした。
教会の擦り切れた毛布と違い、羽毛の布団は暖かった。
明美の安らかな寝息を聞きながら、直ぐに意識を手放した。
その夜、おでこに”肉”と書いてあるメアリーさんが、包丁を持って追い駆けて来る夢を見た。
ーーーーー
翌朝、組合から木の箱が運ばれた来た。
箱を開けると、湯気の立ったコーンスープ、焼きたての白パン、バター、チーズ、ハムエッグ、ベーコン、ジャガイモ、野菜サラダ、牛乳が新鮮な状態で入っていた。
この世界に来てから初めて食べる、救済粥以外の朝食だった。
「昨日の夕飯でも思ったんだけど、救済粥はやっぱ人間の食べ物じゃないよな」
「こら、ユウ、メアリーさんに申し訳ないでしょ」
「兄ちゃん、これ美味いよ。兄ちゃんのも頂戴」
「こらこら、ちゃんとおかわりは有るぞ」
「今日の夕食が辛くなるから、少し自重しましょう」
「うん、明日もあるからね。あまり味あわないで食べましょ」
「うん、これは悪魔の仕掛けた罠なのよ」
「うん、美味しい。僕は明日の分まで今食べておく」
「リコ達食べないんだったら、頂戴」
『駄目!』
食べる事が修行の様な救済粥と違い、美味しい食事だとみんなの口数も多くなる。
騒がしい食事も終わり、僕とハルさんで保温の魔道具と食器を組合の食堂へ返しに行くと、ケントルさんはもう出勤していた。
「良く眠れましたか」
「はい、久々に熟睡できました。朝食も美味しくて、涙が出そうです」
「なら雪の間は、ここを拠点にして野犬の討伐へ行かれたらどうですか。どうせ雪の季節は遊ばせている施設ですので。それに泊まって頂くと、この近在の住民も安心できます。宿泊費も食費も無料で結構ですよ」
「えっ、本当ですか。それなら是非お願いします」
ーーーーー
ここに泊まらせて貰えると聞いて、皆大喜びだった。
救済粥から解放されたと言って、リコとメイとリンは抱き合って泣いていた。
皆、救済粥が余程辛かったらしい。
僕とハルさんはほっとしている。
慈悲の救済教会を出なければならない日が数日後に迫っており、冒険者ギルドでランクアップを確認してから、急いでその日の内に家探しをしなければならないと考えていたのだ。
雪精霊の季節の間ここに無料で泊まれれば、次の季節の働き方を調べた上で、余裕を持って家捜しが出来るのだ。
今回の件で、情報収集が如何に大切かを、身に染みて感じていた。
出発前、昨日、野犬を橇に積むのに苦労したので、少し大き目の橇を一台、組合いから借りられないか、ケントルさんに相談してみた。
「ああそれでしたら、中途半端な大きさなので使っていない風船が一台あります。遊ばせておくのも勿体無いので、使って下さい」
「えっ、でも俺達使えませんよ」
「大丈夫です。小さい船ですから簡単です。今から教えて差し上げます」
ケントルさんに案内されて付いて行くと、風船置き場の片隅に、小型の風船が雪に埋もれていた。
全員で協力して雪を掻いて行くと、船首側に六席、船尾側に四席の椅子を固定してある小型船が姿を現した。
「五年前に雪精霊の季節の観光客用で特注したんですが、結局肝心の観光客が全然来なくて使う機会がありませんでした。定期船に転用との案も出たのですが、小さ過ぎてコスト的に駄目でした。組合員の方達からは無駄使いだと随分怒られましてね、あはははは」
船尾に荷室があり、野犬なら五十匹は入りそうだった。
運転は簡単だった、マスト下の運転席に座って、左右にある球形の石に手を触れると、船首に一本、船尾の左右に二本ずつある風の魔道具が、身体の一部の様に操作出来るのだ。
簡単な訓練で、全員が取敢えず動かせるようになった。
でも、野次馬で見に来ていた船頭さん達からは、僕だけが及第点を貰えた。
僕は風の中に微かに混じっている雪片を魔素の目で見て風を調節できるので、微妙なコントロールが可能だった。
明美とユウが運転させろと文句を言っていたが、僕が操船して野犬狩りへ向かう。
白一色の世界では、僕の魔素を見る目が無いと不安だった。
歩く必要が無いので、目的地には直ぐに到着した。
少し手前に船を停めて、野犬のトンネルを捜す。
トンネルの入口近くにテントを張って待ち受けるのは昨日と同じ。
この日は、帰りの船の時間を気にしないで済むので、昨日よりも二鐘ほど余分に狩りをして、二十七匹の野犬を倒した。
組合で野犬の確認と買い取りをして貰う。
野犬の臭いを落す為に風呂に向かう。
もう今日は諦めて何も言わない、ハルさんが恥かしそうに、一番後ろから付いて来た。
食堂へ向かうと、調理のおばさんが組合の食堂から一人来てくれていて、暖かい食事を準備してくれていた。
椅子に座って美味しそうな食事を食べようとしたら、小さなフクロウが何故か僕の肉を啄んでいる。
見知った顔のフクロウだった、首から木札をぶらさげている。
「ハルさん、用事を思い出したから、俺ちょっと出かけて来る」
「えっ、今から?。外は真っ暗よ」
「俺は暗くても見えるから大丈夫。直ぐに戻るから、俺の分は残しておいて」
残業していたケントルさんから一匹分の野犬の肉を買戻し、昼間に使った風船に乗り込む。
今朝、ここに泊まれるとケントルさんから聞いて、皆で大喜びしていたら、メアリーさんの事も、肉の事も綺麗に頭から飛び去っていた。
包丁を持って追い駆けて来るメアリーさんの姿が脳裏浮かび、大急ぎで風船を慈悲の救済教会目指して飛ばした。
「へーー、こんな高級な風船を教会の前に横付けして、タケミチ、良い御身分ね」
思ったとおりメアリーさんは怒っていた。
恐る恐る事情を説明した。
「ふーん、世話になった私を放っておいて、自分達だけ良い思いをしてるんだ。タケミチ!あんたちょっと薄情じゃない」
「いいえ、もう直ぐここを出なきゃいけない事情もあるでしょ、ちょうどタイミングが。ほらメアリーさん、クムの砂糖浸け食べます。落陽門広場の名物ですよ」
落陽門の屋台で、店仕舞いを始めていた爺さんから、無理矢理奪い取るように買って来た砂糖菓子だ。
「タケミチにしては気が利くわね。でも私はこんなもんじゃ騙されないわよ」
成功だったようで、メアリーさんの顔が綻んでいる。
「ずっとそこに住む訳じゃなくて、雪精霊の季節の間だけですから。今は野犬の狩場が近いからちょうど良かったんですよ。花精霊の季節になったら、またこの辺に戻って来て救済粥を食べに来ますよ」
「本当に」
「ええ、本当です」
「まあ、仕方が無いか。でも闇曜日には必ず帰って来て、聖曜日の朝の礼拝と掃除には参加しなさいよ。それと肉は五日に一回必ず持って来なさい」
「はい、判りました」
「それじゃ、みんなの分の救済粥作っちゃたから、持って帰って。勿論有料よ」
ーーーーー
「タケさんごめんなさい。タケさんの分アキちゃんとユウが食べちゃったの」
帰ったら僕の夕食が無くなっていた。
「あははは、兄ちゃんごめん。我慢出来なかった」
「仕方ないだろ、俺達育ち盛りなんだから」
「こらユウ、ちゃんと謝りなさい」
「明美、ユウ。まだ腹減ってるか。お土産が有るんだけどなー」
「うん食べる、食べる。まだお腹減ってる」
「俺も、俺も」
「明美こっちへ来い」
「うん、何」
「ハルさん、ユウを抑え付けておいて下さい」
「えっ」
「メアリーさんがこれ持たせてくれたんだ。俺一人じゃ食い切れないからちょうど良かった」
「うわー、兄ちゃんごめん。もうしないから」
「タケミチごめん、謝るから勘弁してくれ」
ーーーーー
翌朝、ノルマとして救済粥を一人一杯と宣言したら、事情を知らないリコ達五人がしばらく固まっていた。
最初にユウが作ったクジは、二人で一つのベットという、ユウの欲望が籠ったクジだったのだが、ハルさんの拳骨で却下された。
再度一人一ベットでクジが作り直され、僕の引いた場所は北の窓側の下段だった。
窓から伝わって来る冷気は気になったが、掛布団も敷布団も羽毛でふわふわしている。
手足を伸ばして横になると、久々に寛げた様な気がする。
自分一人の空間に浸れる事が思っていた以上に嬉しくて、自然に頬が緩んで来た。
だが、歯を磨いてから部屋に戻ると、当然の様にニコニコ顔で、明美が枕を持ってベットで待っていた。
説得するのも面倒臭かったので、一人の空間は諦めて、明美と一緒に寝ることにした。
教会の擦り切れた毛布と違い、羽毛の布団は暖かった。
明美の安らかな寝息を聞きながら、直ぐに意識を手放した。
その夜、おでこに”肉”と書いてあるメアリーさんが、包丁を持って追い駆けて来る夢を見た。
ーーーーー
翌朝、組合から木の箱が運ばれた来た。
箱を開けると、湯気の立ったコーンスープ、焼きたての白パン、バター、チーズ、ハムエッグ、ベーコン、ジャガイモ、野菜サラダ、牛乳が新鮮な状態で入っていた。
この世界に来てから初めて食べる、救済粥以外の朝食だった。
「昨日の夕飯でも思ったんだけど、救済粥はやっぱ人間の食べ物じゃないよな」
「こら、ユウ、メアリーさんに申し訳ないでしょ」
「兄ちゃん、これ美味いよ。兄ちゃんのも頂戴」
「こらこら、ちゃんとおかわりは有るぞ」
「今日の夕食が辛くなるから、少し自重しましょう」
「うん、明日もあるからね。あまり味あわないで食べましょ」
「うん、これは悪魔の仕掛けた罠なのよ」
「うん、美味しい。僕は明日の分まで今食べておく」
「リコ達食べないんだったら、頂戴」
『駄目!』
食べる事が修行の様な救済粥と違い、美味しい食事だとみんなの口数も多くなる。
騒がしい食事も終わり、僕とハルさんで保温の魔道具と食器を組合の食堂へ返しに行くと、ケントルさんはもう出勤していた。
「良く眠れましたか」
「はい、久々に熟睡できました。朝食も美味しくて、涙が出そうです」
「なら雪の間は、ここを拠点にして野犬の討伐へ行かれたらどうですか。どうせ雪の季節は遊ばせている施設ですので。それに泊まって頂くと、この近在の住民も安心できます。宿泊費も食費も無料で結構ですよ」
「えっ、本当ですか。それなら是非お願いします」
ーーーーー
ここに泊まらせて貰えると聞いて、皆大喜びだった。
救済粥から解放されたと言って、リコとメイとリンは抱き合って泣いていた。
皆、救済粥が余程辛かったらしい。
僕とハルさんはほっとしている。
慈悲の救済教会を出なければならない日が数日後に迫っており、冒険者ギルドでランクアップを確認してから、急いでその日の内に家探しをしなければならないと考えていたのだ。
雪精霊の季節の間ここに無料で泊まれれば、次の季節の働き方を調べた上で、余裕を持って家捜しが出来るのだ。
今回の件で、情報収集が如何に大切かを、身に染みて感じていた。
出発前、昨日、野犬を橇に積むのに苦労したので、少し大き目の橇を一台、組合いから借りられないか、ケントルさんに相談してみた。
「ああそれでしたら、中途半端な大きさなので使っていない風船が一台あります。遊ばせておくのも勿体無いので、使って下さい」
「えっ、でも俺達使えませんよ」
「大丈夫です。小さい船ですから簡単です。今から教えて差し上げます」
ケントルさんに案内されて付いて行くと、風船置き場の片隅に、小型の風船が雪に埋もれていた。
全員で協力して雪を掻いて行くと、船首側に六席、船尾側に四席の椅子を固定してある小型船が姿を現した。
「五年前に雪精霊の季節の観光客用で特注したんですが、結局肝心の観光客が全然来なくて使う機会がありませんでした。定期船に転用との案も出たのですが、小さ過ぎてコスト的に駄目でした。組合員の方達からは無駄使いだと随分怒られましてね、あはははは」
船尾に荷室があり、野犬なら五十匹は入りそうだった。
運転は簡単だった、マスト下の運転席に座って、左右にある球形の石に手を触れると、船首に一本、船尾の左右に二本ずつある風の魔道具が、身体の一部の様に操作出来るのだ。
簡単な訓練で、全員が取敢えず動かせるようになった。
でも、野次馬で見に来ていた船頭さん達からは、僕だけが及第点を貰えた。
僕は風の中に微かに混じっている雪片を魔素の目で見て風を調節できるので、微妙なコントロールが可能だった。
明美とユウが運転させろと文句を言っていたが、僕が操船して野犬狩りへ向かう。
白一色の世界では、僕の魔素を見る目が無いと不安だった。
歩く必要が無いので、目的地には直ぐに到着した。
少し手前に船を停めて、野犬のトンネルを捜す。
トンネルの入口近くにテントを張って待ち受けるのは昨日と同じ。
この日は、帰りの船の時間を気にしないで済むので、昨日よりも二鐘ほど余分に狩りをして、二十七匹の野犬を倒した。
組合で野犬の確認と買い取りをして貰う。
野犬の臭いを落す為に風呂に向かう。
もう今日は諦めて何も言わない、ハルさんが恥かしそうに、一番後ろから付いて来た。
食堂へ向かうと、調理のおばさんが組合の食堂から一人来てくれていて、暖かい食事を準備してくれていた。
椅子に座って美味しそうな食事を食べようとしたら、小さなフクロウが何故か僕の肉を啄んでいる。
見知った顔のフクロウだった、首から木札をぶらさげている。
「ハルさん、用事を思い出したから、俺ちょっと出かけて来る」
「えっ、今から?。外は真っ暗よ」
「俺は暗くても見えるから大丈夫。直ぐに戻るから、俺の分は残しておいて」
残業していたケントルさんから一匹分の野犬の肉を買戻し、昼間に使った風船に乗り込む。
今朝、ここに泊まれるとケントルさんから聞いて、皆で大喜びしていたら、メアリーさんの事も、肉の事も綺麗に頭から飛び去っていた。
包丁を持って追い駆けて来るメアリーさんの姿が脳裏浮かび、大急ぎで風船を慈悲の救済教会目指して飛ばした。
「へーー、こんな高級な風船を教会の前に横付けして、タケミチ、良い御身分ね」
思ったとおりメアリーさんは怒っていた。
恐る恐る事情を説明した。
「ふーん、世話になった私を放っておいて、自分達だけ良い思いをしてるんだ。タケミチ!あんたちょっと薄情じゃない」
「いいえ、もう直ぐここを出なきゃいけない事情もあるでしょ、ちょうどタイミングが。ほらメアリーさん、クムの砂糖浸け食べます。落陽門広場の名物ですよ」
落陽門の屋台で、店仕舞いを始めていた爺さんから、無理矢理奪い取るように買って来た砂糖菓子だ。
「タケミチにしては気が利くわね。でも私はこんなもんじゃ騙されないわよ」
成功だったようで、メアリーさんの顔が綻んでいる。
「ずっとそこに住む訳じゃなくて、雪精霊の季節の間だけですから。今は野犬の狩場が近いからちょうど良かったんですよ。花精霊の季節になったら、またこの辺に戻って来て救済粥を食べに来ますよ」
「本当に」
「ええ、本当です」
「まあ、仕方が無いか。でも闇曜日には必ず帰って来て、聖曜日の朝の礼拝と掃除には参加しなさいよ。それと肉は五日に一回必ず持って来なさい」
「はい、判りました」
「それじゃ、みんなの分の救済粥作っちゃたから、持って帰って。勿論有料よ」
ーーーーー
「タケさんごめんなさい。タケさんの分アキちゃんとユウが食べちゃったの」
帰ったら僕の夕食が無くなっていた。
「あははは、兄ちゃんごめん。我慢出来なかった」
「仕方ないだろ、俺達育ち盛りなんだから」
「こらユウ、ちゃんと謝りなさい」
「明美、ユウ。まだ腹減ってるか。お土産が有るんだけどなー」
「うん食べる、食べる。まだお腹減ってる」
「俺も、俺も」
「明美こっちへ来い」
「うん、何」
「ハルさん、ユウを抑え付けておいて下さい」
「えっ」
「メアリーさんがこれ持たせてくれたんだ。俺一人じゃ食い切れないからちょうど良かった」
「うわー、兄ちゃんごめん。もうしないから」
「タケミチごめん、謝るから勘弁してくれ」
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翌朝、ノルマとして救済粥を一人一杯と宣言したら、事情を知らないリコ達五人がしばらく固まっていた。
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