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18 雪精霊の祭り1
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(8 魔法2 国名が違っていたので訂正しました)
ーーーーー
今日は闇曜日、僕達は野犬狩りにも慣れ、野犬を満載して意気洋々と町に戻って来た。
すると朝見た時と違って、一面に広がる白一色の世界の中、裏門と農業組合が赤や黄色や青や緑などのカラフルな花飾りで飾り立てられていた。
「来週から雪精霊の季節ですからね。雪精霊のお祭りの準備なんです」
ケントルさんが説明してくれた。
「季祭りは初めてですよね。雪精霊のお祭りは裏門が会場なんです。明日と明後日からの一週間、裏門は祭船以外通行止めになります。申し訳ありませんが明日からの仕事はお休みにして下さい。船曳や舞人、役員に振る舞う食事で宜しければ、祭りの間もお食事はご用意いたしますよ」
今日は闇曜日なので、宿所で夕飯を食った後、慈悲の救済教会へ泊まりに行く。
教会で救済粥を食っても良かったのだが、子供達全員が泣きそうだったので、夕食不用とメアリーさんへ連絡して、組合の食堂で夕飯を食べさせて貰おうと考えている。
「それじゃすいませんが、お言葉に甘えさせて頂きます」
「はい、了解しました。明日の夕刻から祭りの参加者が宿所に泊まりますので、少々騒がしくなるかもしれませんが、御容赦下さい」
「いえいえ、御厚意で泊めさせて頂いてるんですから遠慮なさらないで下さい」
「ありがとうございます。食堂は込み合いますので、部屋へ食事はお運びします」
「ありがとうございます」
祭船と呼ばれる飾り立てた船を、船曳と呼ばれる男達が曳き、船の上で舞人と呼ばれる女性達が楽器を奏でながら踊るそうだ。
ちょうど、僕等の世界の山車と同じなのだろう。
船は月曜日の夜明け前に裏門から町へ入り、町の中を練り歩いてから日没に裏門へ戻ってくるそうだ。
祭りの参加者は組合の宿所に泊まり、次の日の夜明け前に再び裏門から町に入り、練り歩く地区を替えながら、一週間これを続ける。
想像しただけでも、船曳役の人は大変そうだ。
祭船は雪精霊の季節の神、冬の季節に属する神様が祭られている教会が用意するそうで、信徒が船曳や舞人を務めるそうだ。
「特に最終日は、一晩中街中を練り歩いてから帰って来るので、行列の光石の飾りが凄く綺麗ですよ。宿所のベランダから良くみえますから楽しみにして下さい」
「うわー、楽しみにしてます」
「屋台でるの」
「街中にも、組合前にも一杯並びますよ」
「アキ、屋台巡りしようぜ」
「おー」
「お兄ちゃん」
「うん良いよ、連れてくよ」
『わーい』
風呂に入って犬臭さを洗い落し、明美以下の女の子の頭と背中を洗う。
屋根や壁の向こうの光景を意識すれば、森や街明りや星空が周囲に広がり、露天の風呂に身を浸している様な、リゾート地の気分になる。
明日から一週間のお休みだ。
食事の心配も、寝る場所の心配も一切無い。
野犬狩りも順調だし、心置きなくこの世界での初めてのお祭りを楽しめる。
裏門の飾り付けはまだ終わっていない様で、大勢の人が門と組合の間を往復している。
門に飾り付けられた光石の中を通過する魔素が、黄色の淡い光りを放っており、モノトーンの世界に彩を与えている。
「兄ちゃん、なにボーっとしてるの」
「壁の向こうの景色が綺麗だったんで、見とれていたんだよ」
「ふーん、お兄ちゃんは、近くのピチピチギャルを無視して外を眺めていたんだ」
「なんか、変よね」
「きっと、スキンシップが不足している所為だ」
リコとメイとリンが抱き付いて来て、顔をグリグリ押し付けて来る。
「あはははは、兄ちゃん、僕も」
”ガツン”
「痛って、姉ちゃんまだ何も言ってねえぞ」
美味しい夕食を堪能しから、毛布を抱えて風船へ乗り込む。
椅子を固定してある甲板の留め金を外し、板を裏返せば椅子は船腹に収納できる。
平になった甲板で、ハルさん達が幸せそうに雑魚寝している。
無人の雪原を、僕は静かに船を疾走させた。
「遅~い!」
メアリーさんが教会の前で仁王立ちして待っていた。
船を停めると、鋸やくぎ抜きなどの大工道具を抱えて、船に乗り込んで来た。
「あれ?椅子は」
メアリーさんは鋸と巨大な釘抜きを左右の手に持って、首を傾げている。
椅子の収納方法を調べておいて良かった。
借り物の船なのに、無理矢理椅子を取っ払われてしまうとこだった。
でも何故?
「ハル、アキ、リコ、メイ、リン、さあ起きて。あんた達これから特訓よ、寝てる暇なんてないわよ」
「メアリーさん、特訓って」
「祭りのに決まってるでしょ、これからお囃子と舞の特訓よ」
「えっ!メアリーさん。それって」
「そうよ、祭りに参加するの。慈悲の女神様は雪精霊の季節の神様なのよ。四代前のシスターから、船が無くて祭りに参加出来なかったけど、今年はこの船があるからお布施を稼げるわよ。毎年悔しかったけど、指を咥えて見てたのよねー」
ちなみに、雪と氷の女神、闇の女神、死の女神、風の女神、眠りの女神、夢の女神、沈黙の女神、慈悲の女神が雪精霊の季節の神様、冬神だそうだ。
一番羽振りが良いのは風の女神、陸運組合、海運組合、河運組合からの献金が麗澤とのこと。
次は沈黙の女神、政治家や王族に信徒が多く、自分が黙るのではなく、相手を黙らせる怖い神様らしい。
眠りの女神と夢の女神は庶民から献金が多く、雪と氷の女神、闇の女神、死の女神は固定客が多いらしい。
うん、一番貧乏なのが慈悲の女神様だそうだ。
ーーーーー
ハル
タケさんの優しい運転のおかげで、安心して熟睡してしまいました。
お祭りの話を聞いた所為でしょうか、タケさんと腕を組んで、家の近所の天神様の縁日を歩いている夢を見ました。
私が何かをタケさんに話掛け、タケさんが優しく微笑んでくれています。
タケさんの胸に顔を預けると、私の頬をタケさんの掌が優しく包み、タケさんの顔が近づいて来ました。
「ハルちゃん、起きて」
うー、大事な所でタケさんの顔が消えてしまい、メアリーさんの顔に変わってしまいました、残念。
「寝てる場合じゃないわよ」
えっ、緊急事態でしょうか。慌てて飛び起きました。
まだ事態が良く解らない内に、礼拝堂へズンズンと引っ張って行かれてしまいました。
「さあ、好きなの選んで」
祭壇の前に楽器が並べてあり、その脇には、フリルの付いた白い服が重ねて置いてあります。
アキちゃんもリコちゃんもメイちゃんもリンちゃんも、私と同じ様ように、戸惑って、眠そうに目を擦っています。
頭を振って、少し意識をはっきりさせてから、改めて目の前に並んでいる楽器を確かめます。
高さ三十センチ位の竪琴、長さ二十五センチ位の短い横笛、長さ五十センチくらいの先が広くなったラッパの様な縦笛、タンバリンを二個繋げた様な打楽器、直径五センチ位の鉦、少し短かくて厚い、ギターの様な可愛らしい弦楽器。
私は可愛らしいギターに手を伸ばしました。
アキちゃんは意外な事に竪琴、リコちゃんが縦笛、メイちゃんが太鼓、リンちゃんが横笛を選びました。
「それじゃ、ハルちゃん、アキちゃん、メイちゃん、今から私が歌を歌うから、順番に真似をしてみて」
メアリーさんが哀愁を帯びた曲を歌い始めました。
”~♪~一片の雪が~、空から舞い降り~、幾重も、幾重も、幾重も重なり、全てを覆い隠す~。何時までも、何時までも、何時までも、私は待っています~、この真白い雪原で。あなたが今夜、私を胸に抱いてくれるまで~♪~”
「うわー、恋の歌ですか」
「違うわよ、勇者様に呼び掛ける神聖な歌よ」
「・・・・・」
「それじゃ順番に歌って見て」
私は歌に自信があったのですが、アキちゃんに全然敵いませんでした。
何か、凄く負けた感があります。
「それじゃアキちゃんに決定ね」
「わーい、兄ちゃんは僕の物だ」
むっ、それは全然関係ないと思います。
「それじゃ練習しましょうか」
「えっ、何の練習ですか」
「勿論、お祭の練習よ。船の上で演奏しながら踊るの、ああ、アキちゃんは歌もね。五曲あるから、今晩中に覚えるわよ」
『えー!』
「それじゃ着替えて」
リコちゃんの縦笛は草笛の様な音でした。
リンちゃんの横笛は、高音の鋭く澄んだ音が出る笛でした。
メイちゃんの太鼓は、撥を使ってリズミカルに叩く太鼓でした。
アキちゃんの竪琴も私のギターも、びっくりするくらい大きな音が出ました。
ちなみに、踊りの衣装は、背中に羽が生えた、フリフリの一杯付いた白いワンピースでした。
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今日は闇曜日、僕達は野犬狩りにも慣れ、野犬を満載して意気洋々と町に戻って来た。
すると朝見た時と違って、一面に広がる白一色の世界の中、裏門と農業組合が赤や黄色や青や緑などのカラフルな花飾りで飾り立てられていた。
「来週から雪精霊の季節ですからね。雪精霊のお祭りの準備なんです」
ケントルさんが説明してくれた。
「季祭りは初めてですよね。雪精霊のお祭りは裏門が会場なんです。明日と明後日からの一週間、裏門は祭船以外通行止めになります。申し訳ありませんが明日からの仕事はお休みにして下さい。船曳や舞人、役員に振る舞う食事で宜しければ、祭りの間もお食事はご用意いたしますよ」
今日は闇曜日なので、宿所で夕飯を食った後、慈悲の救済教会へ泊まりに行く。
教会で救済粥を食っても良かったのだが、子供達全員が泣きそうだったので、夕食不用とメアリーさんへ連絡して、組合の食堂で夕飯を食べさせて貰おうと考えている。
「それじゃすいませんが、お言葉に甘えさせて頂きます」
「はい、了解しました。明日の夕刻から祭りの参加者が宿所に泊まりますので、少々騒がしくなるかもしれませんが、御容赦下さい」
「いえいえ、御厚意で泊めさせて頂いてるんですから遠慮なさらないで下さい」
「ありがとうございます。食堂は込み合いますので、部屋へ食事はお運びします」
「ありがとうございます」
祭船と呼ばれる飾り立てた船を、船曳と呼ばれる男達が曳き、船の上で舞人と呼ばれる女性達が楽器を奏でながら踊るそうだ。
ちょうど、僕等の世界の山車と同じなのだろう。
船は月曜日の夜明け前に裏門から町へ入り、町の中を練り歩いてから日没に裏門へ戻ってくるそうだ。
祭りの参加者は組合の宿所に泊まり、次の日の夜明け前に再び裏門から町に入り、練り歩く地区を替えながら、一週間これを続ける。
想像しただけでも、船曳役の人は大変そうだ。
祭船は雪精霊の季節の神、冬の季節に属する神様が祭られている教会が用意するそうで、信徒が船曳や舞人を務めるそうだ。
「特に最終日は、一晩中街中を練り歩いてから帰って来るので、行列の光石の飾りが凄く綺麗ですよ。宿所のベランダから良くみえますから楽しみにして下さい」
「うわー、楽しみにしてます」
「屋台でるの」
「街中にも、組合前にも一杯並びますよ」
「アキ、屋台巡りしようぜ」
「おー」
「お兄ちゃん」
「うん良いよ、連れてくよ」
『わーい』
風呂に入って犬臭さを洗い落し、明美以下の女の子の頭と背中を洗う。
屋根や壁の向こうの光景を意識すれば、森や街明りや星空が周囲に広がり、露天の風呂に身を浸している様な、リゾート地の気分になる。
明日から一週間のお休みだ。
食事の心配も、寝る場所の心配も一切無い。
野犬狩りも順調だし、心置きなくこの世界での初めてのお祭りを楽しめる。
裏門の飾り付けはまだ終わっていない様で、大勢の人が門と組合の間を往復している。
門に飾り付けられた光石の中を通過する魔素が、黄色の淡い光りを放っており、モノトーンの世界に彩を与えている。
「兄ちゃん、なにボーっとしてるの」
「壁の向こうの景色が綺麗だったんで、見とれていたんだよ」
「ふーん、お兄ちゃんは、近くのピチピチギャルを無視して外を眺めていたんだ」
「なんか、変よね」
「きっと、スキンシップが不足している所為だ」
リコとメイとリンが抱き付いて来て、顔をグリグリ押し付けて来る。
「あはははは、兄ちゃん、僕も」
”ガツン”
「痛って、姉ちゃんまだ何も言ってねえぞ」
美味しい夕食を堪能しから、毛布を抱えて風船へ乗り込む。
椅子を固定してある甲板の留め金を外し、板を裏返せば椅子は船腹に収納できる。
平になった甲板で、ハルさん達が幸せそうに雑魚寝している。
無人の雪原を、僕は静かに船を疾走させた。
「遅~い!」
メアリーさんが教会の前で仁王立ちして待っていた。
船を停めると、鋸やくぎ抜きなどの大工道具を抱えて、船に乗り込んで来た。
「あれ?椅子は」
メアリーさんは鋸と巨大な釘抜きを左右の手に持って、首を傾げている。
椅子の収納方法を調べておいて良かった。
借り物の船なのに、無理矢理椅子を取っ払われてしまうとこだった。
でも何故?
「ハル、アキ、リコ、メイ、リン、さあ起きて。あんた達これから特訓よ、寝てる暇なんてないわよ」
「メアリーさん、特訓って」
「祭りのに決まってるでしょ、これからお囃子と舞の特訓よ」
「えっ!メアリーさん。それって」
「そうよ、祭りに参加するの。慈悲の女神様は雪精霊の季節の神様なのよ。四代前のシスターから、船が無くて祭りに参加出来なかったけど、今年はこの船があるからお布施を稼げるわよ。毎年悔しかったけど、指を咥えて見てたのよねー」
ちなみに、雪と氷の女神、闇の女神、死の女神、風の女神、眠りの女神、夢の女神、沈黙の女神、慈悲の女神が雪精霊の季節の神様、冬神だそうだ。
一番羽振りが良いのは風の女神、陸運組合、海運組合、河運組合からの献金が麗澤とのこと。
次は沈黙の女神、政治家や王族に信徒が多く、自分が黙るのではなく、相手を黙らせる怖い神様らしい。
眠りの女神と夢の女神は庶民から献金が多く、雪と氷の女神、闇の女神、死の女神は固定客が多いらしい。
うん、一番貧乏なのが慈悲の女神様だそうだ。
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ハル
タケさんの優しい運転のおかげで、安心して熟睡してしまいました。
お祭りの話を聞いた所為でしょうか、タケさんと腕を組んで、家の近所の天神様の縁日を歩いている夢を見ました。
私が何かをタケさんに話掛け、タケさんが優しく微笑んでくれています。
タケさんの胸に顔を預けると、私の頬をタケさんの掌が優しく包み、タケさんの顔が近づいて来ました。
「ハルちゃん、起きて」
うー、大事な所でタケさんの顔が消えてしまい、メアリーさんの顔に変わってしまいました、残念。
「寝てる場合じゃないわよ」
えっ、緊急事態でしょうか。慌てて飛び起きました。
まだ事態が良く解らない内に、礼拝堂へズンズンと引っ張って行かれてしまいました。
「さあ、好きなの選んで」
祭壇の前に楽器が並べてあり、その脇には、フリルの付いた白い服が重ねて置いてあります。
アキちゃんもリコちゃんもメイちゃんもリンちゃんも、私と同じ様ように、戸惑って、眠そうに目を擦っています。
頭を振って、少し意識をはっきりさせてから、改めて目の前に並んでいる楽器を確かめます。
高さ三十センチ位の竪琴、長さ二十五センチ位の短い横笛、長さ五十センチくらいの先が広くなったラッパの様な縦笛、タンバリンを二個繋げた様な打楽器、直径五センチ位の鉦、少し短かくて厚い、ギターの様な可愛らしい弦楽器。
私は可愛らしいギターに手を伸ばしました。
アキちゃんは意外な事に竪琴、リコちゃんが縦笛、メイちゃんが太鼓、リンちゃんが横笛を選びました。
「それじゃ、ハルちゃん、アキちゃん、メイちゃん、今から私が歌を歌うから、順番に真似をしてみて」
メアリーさんが哀愁を帯びた曲を歌い始めました。
”~♪~一片の雪が~、空から舞い降り~、幾重も、幾重も、幾重も重なり、全てを覆い隠す~。何時までも、何時までも、何時までも、私は待っています~、この真白い雪原で。あなたが今夜、私を胸に抱いてくれるまで~♪~”
「うわー、恋の歌ですか」
「違うわよ、勇者様に呼び掛ける神聖な歌よ」
「・・・・・」
「それじゃ順番に歌って見て」
私は歌に自信があったのですが、アキちゃんに全然敵いませんでした。
何か、凄く負けた感があります。
「それじゃアキちゃんに決定ね」
「わーい、兄ちゃんは僕の物だ」
むっ、それは全然関係ないと思います。
「それじゃ練習しましょうか」
「えっ、何の練習ですか」
「勿論、お祭の練習よ。船の上で演奏しながら踊るの、ああ、アキちゃんは歌もね。五曲あるから、今晩中に覚えるわよ」
『えー!』
「それじゃ着替えて」
リコちゃんの縦笛は草笛の様な音でした。
リンちゃんの横笛は、高音の鋭く澄んだ音が出る笛でした。
メイちゃんの太鼓は、撥を使ってリズミカルに叩く太鼓でした。
アキちゃんの竪琴も私のギターも、びっくりするくらい大きな音が出ました。
ちなみに、踊りの衣装は、背中に羽が生えた、フリフリの一杯付いた白いワンピースでした。
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