欠陥品なんです、あなた達は・・・ネズミ捕りから始める異世界生活。

切粉立方体

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41 一夜

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 僕の接待する客層が、急に上品になって来た。
 目立たない様に地味な色合いの服を着ているのだが、無茶苦茶上等な生地を使っているので、上流階級の婦人達だと直ぐに解った。
 何処から入って来るのか解らないのだが、庭園に馬車がふらりと現れ、そこから降りてくるのだ。

 初心な感じの御夫人が多く、男性経験が少ないようだった。
 店の中では最初俯いて座っているのだが、酒が少し入って、僕の歌に聞き惚れてくると、顔を少し上げて目を輝かせ始める。
 ダンスに誘って少し刺激してやると、年相応の潤んだ妖艶な瞳に変り、僕をじっと見つめる。

 でも庭園の別荘へ連れて行くと、少女の様に無茶苦茶緊張して身体を強張らせている。
 その様子に蔓がやる気満々なので、くすぐりの奇襲攻撃を仕掛けると物凄く反応良く笑い転げてくれる。
 剥き上げて、たっぷり刺激してたっぷりサービスした後、膝枕してリュトルを爪弾いてやると、安心した様に聞き入っている。
 それからが本番で、反応を身体の奥から次々に引き出してやると、反応が徐々に高まって激しさが増して来る。
 弱点を探し開発を楽しんでいると、大抵夜が明けている。
 抱き寄せてやると、子供の様に安心しきった顔で、肌を合わせたまま、静かな寝息を立て始める。

ーーーーー
メトロノ王国 第二王妃 グリッサンド

 フルティア国との合同晩餐会で、不思議な噂話を小耳に挟みました。
 聖都で、勇者の少年と一晩過ごせる機会が提供されているというのです。
 マルカートからの手紙で、国家連合の横槍で勇者様と一緒に暮らせない状態にあることは知っていました。
 なので、国家連合主導の、各国の王女への勇者の血の供給事業なのだろうなと思いました。
 マルカートには可愛そうだと思いましたが、優秀な血をより多くの人に伝えるための常識的な計画なので反対することも難しいと思いました。
 でもよくよく聞いてみると、主導しているのは国家連合ではなく、商人ギルドが取引のお礼として実施しているそうなのです。
 密かに多くの国の王妃や公爵夫人が招待されているらしく、様々な噂が飛び交っているらしいのです。

「私が直接招待された訳じゃないから、又聞きの又聞きなんだけど、凄いらしいの。快楽の底無し沼の中で、夜が明けて足腰が立たなくなるまで、何度も物凄く激しく攻め抜かれるらしいの」

 フルティア国の公爵夫人が嬉しそうに眼を輝かせて話していました。
 娘のフィアンセです、城に戻ってから、出入りの商人に聞いてみました。
 勿論娘の幸せを心配する母親の気持ちからです。

「はい、日頃からお取引頂いております皆様方への感謝の一環としまして、期間限定のサービスとして、”幸せを貴方に、勇者と過ごす一夜の思い出キャンペーン”を実施しております。光魔法の達人による身代わりサービス付きですので、なんの心配もございません。もちろん、セキュリティー対策もばっちりです」

 私は王しか知りません。
 王は何時も、プチッと入れて、ピッと出して、サッサと寝てしまうので、私は話に聞く女の幸せと言うものを知りません。
 だから、一晩中攻め抜かれるなんて想像すらできません。
 横になると、あの少年の艶々した肌や手が目の前にちらついて眠れません。
 いいえ、私は単に母親として、娘が心配なだけです。

ーーーーー
 馬車から降りてきたのは、マルカートの御袋さんだった。
 蔓はなんだか大喜びしている。
 これは不味い、気合いを入れて口を封じておく必要がある。
 抱き寄せて耳元で囁く。

「お母さん、二人だけの秘密ですよ」

ーーーーー
メトロノ王国 第二王妃 グリッサンド

 聖都城でマルカートと会った後、散歩と称して馬車を公園の中へ乗り入れました。
 すると、鏡に映した様に、私自身を乗せた馬車が正面から走って来て擦れ違ったのです。
 不思議な感覚でした。
 馬車がテーブルや椅子が並べられた料亭の様な場所の庭先で停まりました。
 降りて周囲を見回しても、今走って来た道が見当たりません。
 馬車は樹木に囲まれた場所に停まっていたのです。

 娘の彼氏、勇者のスノウちゃんが出迎えてくれました。
 ふふ、驚いた顔をしています。
 でも直ぐに立ち直って私を抱き寄せました。
 想像よりも胸幅が厚く、男性の身体です。

「お母さん、二人だけの秘密ですよ」

 夜明けまで眠らせて貰えませんでした。
 一つの波が押し寄せた後、その波が治まらない内に、次から次へと波が押し寄せ、どんどん高みへ昇って行くような感じでした。
 何度も気を失ったのですが、その度呼び戻されました。
 大勢の男達の手が私を宙に持ち上げて、私の全身を弄っているような感じでした。

 その波から解放された時には、窓の外が明るくなっていました。
 彼は空が明るくなり始めた風呂場で私の身体を隅々まで洗ってくれて、丁寧に身体を拭いてから、ベットへ運んでくれました。
 意識を手放す前に聞いておきたい事があります。

「ねえ、あの子としたの」
「いいえ、まだですよ。お母さん」
「ねえ、リサと呼んで頂戴」

 あの子に勝った気がしました。
 彼の温もりを全身に感じながら、彼の胸に顔を沈め、意識を手放しました。

 楽しい時は直ぐに終わってしまいました。
 馬車が樹木の中を走り出し、また私の乗った馬車と擦れ違いました。
 馬車は公園の中を走っています、御伽の国から現実の世界に戻りました。

「お母様、昨日は早めに床へ入られたの心配しておりました。御加減は如何ですか」
「大丈夫よマルカート、楽しい夢を一杯見れたから、十歳くらい若返った感じよ」
   
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