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42 再会と鉄拳
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ーーーーー
第一群魔法学院中等部二年 勇女ハル
悪い噂が次々と流れてきます。
アキちゃんの友達のマルカートちゃんは、絶対悪い男に騙されているのだと思います。
丁度明日、マルカートちゃんのお城で開催される舞踏会へ、あの男も呼ばれているそうです。
なので強制的に、あの卑劣なゴミ虫をここから駆除しようかと思います。
私は何度もレベルアップして、素手でオーガを殴り倒せるくらいには強くなりました。
普通の軍隊の小隊を相手にできるレベルだそうです。
だから私一人で十分だと思いましたが、マルカートちゃんと仲が良いアキちゃんが手伝ってくれると言ってくれたので、リコちゃんとメイちゃんとリンちゃんにも応援を頼みました。
みんな魔法を覚えて、随分強くなっています。
皆で協力すれば、普通の国の軍隊なら十分に勝てるかもしれません。
マルカートちゃんは少し悲しむかもしれませんが、彼女の為です。
ゴミ虫が感ずいて逃げ出さない様に、少し遅れて密かに会場へ入れてもらいました。
会場を見回すと、居ました!こちらに背を向けて立っています。
服の背中に描かれた大きな竜が、目立とうとする浅ましい精神を物語っているようで不快です。
それでも王女様達が引き寄せられて、回りを取り囲んでいます。
ゴミ虫が馴れ馴れしく腰に手を回したり、抱き寄せて耳元で囁いたりしています。
そのチャラチャラした背中を見ていると、お腹の底から沸々と怒りが込み上げて来ました。
女の感が、ゴミ虫は邪悪な女の敵だと教えてくれます。
纏っているねっとりとした糸を引きそうな雰囲気が、気の毒な女の子達を、大勢毒牙に掛けてきたことを物語っています。
見えない糸を張り巡らせて、糸で絡め取った獲物を啜っている毒蜘蛛の様です。
なんか、ここで撲殺しちゃっても良い気分になってきました。
「ねえ、あなた」
ゴミ虫の肩に手を掛け振り向かせます。
「えっ!ハルさん」
えっ!目の前に立っていたのは、無残に変り果てたタケさんでした。
髪の毛を染め、目の色も変えています。
私達がこんなに心配していたのに、目の前で鼻の下を伸ばしてチャラチャラしています。
考えるよりも早く手が動いていました。
ーーーーー
振り向いたら、目の前にハルさんと明美とリコとメイとリンが立っていた。
皆少し大人びて、背が高くなっている。
懐かしかったので、飛び付こうとした。
だが先に、何故かハルさんの凄まじい鉄拳が飛んできた。
明美の回し蹴りが飛んで来るし、氷塊やら火球やら稲妻やらテーブルやら椅子やらコップやら皿やら、色々な物が降り注いで来た。
何か背中に十本くらい、ホークとナイフが突き刺さっている気がする。
何故かみんな物凄く怒っている。
でも、何故みんなが怒っているのか僕には見当も付かなかった。
取り敢えず謝っておく。
「ごめんなさい」
「タケミチ!そこに正座」
ーーーーー
メトロノ王国第二王女 マルカート
勇女のハル様が、これほどお怒りになっているのは初めて見ました。
勇者様を殴り倒した衝撃が、クリスタル殿を大きく震わせました。
ここは竜の攻撃にも耐えられる様に設計された、竜シェルターも兼ねた建物です。
そのクリスタル殿を震わせるなんて、凄まじい攻撃力です。
何時も陽気で明るいアキちゃんも、物凄く怒っています。
回し蹴りが巻き起こした風が、周りのテーブルを吹き飛ばしています。
リコちゃんメイちゃんリンちゃんも物凄く怒っていて、魔法やテーブルや椅子なんかを勇者様へ投げつけています。
会場は竜に襲われ後の様に、壊れたテーブルや椅子が散乱しています。
一方的に勇者様が攻撃されており、避ける気配もありません。
最初、勇者様と勇女様達の間で過去に遺恨があり、敵対関係に有るのではと心配しましたが、違うようです。
今は多少治まった様で、床の上に正座した勇者様に怒号を浴びせています。
それでも時々地響きを伴う鉄拳が振るわれるので、皆さん恐ろしくて近付けません。
ーーーーー
「こんなのタケさんじゃない。タケさんどうしたの。私達がどれだけ心配してたと思ってるの」
「不良になるなんて、兄ちゃんらしくないよ。こんなに心配していたのに」
「こんな嫌らしいお兄ちゃん、見たくなかったわ」
「精神を叩き直さないと、このままじゃ根性が腐りきっちゃう」
「心を入れ替えて前のお兄ちゃんに戻ってよ」
「解ってるのタケさん」
「そうだよ兄ちゃん、目と心が腐ってるよ」
「このままじゃマルカートちゃんに申し訳ありません。根性を入れ替えて貰います」
根性とか精神とか言われても、何が問題なのか全然解らない。
目も見えてるし、犯罪も犯していないし、精神状態も普通だと思う。
うん、たぶん連絡しなかったことに怒っているのだろう。
「ごめん、忙しくてさ。連絡してる暇がなかったんだ。これからは連絡するよ」
みんなの気持ちを落ち着かせようと、取って置きの笑顔で微笑んだのだが、逆にみんなの顔が強張っている。
何故だ、理由が解らん。
何か頭に衝撃が走り、意識を刈り取られた。
気が付いたら小さなホールの様な場所に、縛られて逆さまにぶら下げられていた。
うん、蓑虫になった気分だ。
魔素の目で周りを見回したら、ハルさん達は離れた場所で何か集まって相談しているようだ。
さっきまで僕の身体の中に隠れていた、裏切り者の蔓がやっと出て来た。
殴られながら何度も逃げようと呼び掛けたのに、怖がって出て来なかった。
蔓に縄を解かせた。
ホールの入り口にも、玄関にも見張りが立っている。
窓の外には小さな森が広がっていたので、窓から森へと逃げ出した。
囚われていたのは、鳥が翼を広げたような建物だった。
右側が女性の居住区、左側が男性の居住区の様だった。
僕は木々の上を逃げ出した。
森の中には散策路の様な物があり、何ヵ所か東屋が設けられていた。
その東屋の一つに、懐かしい顔を見付けた。
ハルさん達はまだ気が付いていない様なので、下に降りてみた。
「よお、ユウ、孝太、隆文」
「タケ兄ちゃん」
「えっ、タケミチ。なんか恰好良くなったな」
孝太と隆文が抱き付いて来た。
この三人は変っていないようだ。
三人とも背丈が伸びており、特にユウは大人の顔に変わりつつある。
「ユウ、毛が生えたか」
「余計なお世話だ!」
三人はリュトルの練習をしていた、その音で気が付いたのだ。
「姉ちゃんに知られると殴られるんだ。だからここで練習してるんだけど、上達しなくてよ」
「俺が教えてやろうか」
「えっ、タケミチ弾けるのか」
「ああ、プロだぜ」
何か目的が有るのだろう、三人は熱心で飲み込みが早い。
でも、孝太と隆文に比べ、ユウの弾き方が少し乱暴だ、そう、優しさが足りない。
「ユウ、女を撫でるように優しく弾かないと音が硬くなるぞ」
「女なんて撫でさせて貰えないから解んねーよ」
「仕方がねーな」
土魔法で泥人形を作ってやる。
「ウヒャー」
三人が大喜びしてくれた、なんか嬉しい。
「こんな感じだ、触ってみろ」
三人が恐々と手を伸ばして、感触を確かめ始めた。
女性の肌の感覚と同じ様な柔らかさに調整してある。
ユウが胸を揉み始めた。
「ユウ、そんな乱暴に扱ったら嫌われるぞ。いいか、親指と小指で両方をクリクリと」
「うん、うん、うん」
三人が熱心に聞いてくれるので、ついつい熱が入ってしまった。
「片足を担いでこことここを刺激してやるんだ。それからここをこうやって舐めてやるとイチコロだぞ」
熱心に聞いて居た三人が、突然物凄い勢いで後退った。
しまった、一生懸命になりすぎて、周囲の気配を探っていなかった。
振り返ったら、鬼のような形相のハルさん達が立っていた。
「タケさん、その泥人形は何かなー」
あえて名前を付ければ、ハル一号だ、かなりリアルに作ってある。
僕は降り注ぐ色々な魔法を避けて逃げ出した。
なかなか明美が振り切れない。
風魔法を駆使して、木の幹を蹴って追って来る。
やっと振り切れたのは、料理店の二階の階段だった。
明美は一階の厨房で?を頭の上に一杯浮かべている。
しばらく料理店の出入り口に監視が立っていたが、隣家の屋根を通路代わりに窓から出入りしていたら、そのうち居なくなった。
時々ユウ達にはリュトルを教えに行っている。
第一群魔法学院中等部二年 勇女ハル
悪い噂が次々と流れてきます。
アキちゃんの友達のマルカートちゃんは、絶対悪い男に騙されているのだと思います。
丁度明日、マルカートちゃんのお城で開催される舞踏会へ、あの男も呼ばれているそうです。
なので強制的に、あの卑劣なゴミ虫をここから駆除しようかと思います。
私は何度もレベルアップして、素手でオーガを殴り倒せるくらいには強くなりました。
普通の軍隊の小隊を相手にできるレベルだそうです。
だから私一人で十分だと思いましたが、マルカートちゃんと仲が良いアキちゃんが手伝ってくれると言ってくれたので、リコちゃんとメイちゃんとリンちゃんにも応援を頼みました。
みんな魔法を覚えて、随分強くなっています。
皆で協力すれば、普通の国の軍隊なら十分に勝てるかもしれません。
マルカートちゃんは少し悲しむかもしれませんが、彼女の為です。
ゴミ虫が感ずいて逃げ出さない様に、少し遅れて密かに会場へ入れてもらいました。
会場を見回すと、居ました!こちらに背を向けて立っています。
服の背中に描かれた大きな竜が、目立とうとする浅ましい精神を物語っているようで不快です。
それでも王女様達が引き寄せられて、回りを取り囲んでいます。
ゴミ虫が馴れ馴れしく腰に手を回したり、抱き寄せて耳元で囁いたりしています。
そのチャラチャラした背中を見ていると、お腹の底から沸々と怒りが込み上げて来ました。
女の感が、ゴミ虫は邪悪な女の敵だと教えてくれます。
纏っているねっとりとした糸を引きそうな雰囲気が、気の毒な女の子達を、大勢毒牙に掛けてきたことを物語っています。
見えない糸を張り巡らせて、糸で絡め取った獲物を啜っている毒蜘蛛の様です。
なんか、ここで撲殺しちゃっても良い気分になってきました。
「ねえ、あなた」
ゴミ虫の肩に手を掛け振り向かせます。
「えっ!ハルさん」
えっ!目の前に立っていたのは、無残に変り果てたタケさんでした。
髪の毛を染め、目の色も変えています。
私達がこんなに心配していたのに、目の前で鼻の下を伸ばしてチャラチャラしています。
考えるよりも早く手が動いていました。
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振り向いたら、目の前にハルさんと明美とリコとメイとリンが立っていた。
皆少し大人びて、背が高くなっている。
懐かしかったので、飛び付こうとした。
だが先に、何故かハルさんの凄まじい鉄拳が飛んできた。
明美の回し蹴りが飛んで来るし、氷塊やら火球やら稲妻やらテーブルやら椅子やらコップやら皿やら、色々な物が降り注いで来た。
何か背中に十本くらい、ホークとナイフが突き刺さっている気がする。
何故かみんな物凄く怒っている。
でも、何故みんなが怒っているのか僕には見当も付かなかった。
取り敢えず謝っておく。
「ごめんなさい」
「タケミチ!そこに正座」
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メトロノ王国第二王女 マルカート
勇女のハル様が、これほどお怒りになっているのは初めて見ました。
勇者様を殴り倒した衝撃が、クリスタル殿を大きく震わせました。
ここは竜の攻撃にも耐えられる様に設計された、竜シェルターも兼ねた建物です。
そのクリスタル殿を震わせるなんて、凄まじい攻撃力です。
何時も陽気で明るいアキちゃんも、物凄く怒っています。
回し蹴りが巻き起こした風が、周りのテーブルを吹き飛ばしています。
リコちゃんメイちゃんリンちゃんも物凄く怒っていて、魔法やテーブルや椅子なんかを勇者様へ投げつけています。
会場は竜に襲われ後の様に、壊れたテーブルや椅子が散乱しています。
一方的に勇者様が攻撃されており、避ける気配もありません。
最初、勇者様と勇女様達の間で過去に遺恨があり、敵対関係に有るのではと心配しましたが、違うようです。
今は多少治まった様で、床の上に正座した勇者様に怒号を浴びせています。
それでも時々地響きを伴う鉄拳が振るわれるので、皆さん恐ろしくて近付けません。
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「こんなのタケさんじゃない。タケさんどうしたの。私達がどれだけ心配してたと思ってるの」
「不良になるなんて、兄ちゃんらしくないよ。こんなに心配していたのに」
「こんな嫌らしいお兄ちゃん、見たくなかったわ」
「精神を叩き直さないと、このままじゃ根性が腐りきっちゃう」
「心を入れ替えて前のお兄ちゃんに戻ってよ」
「解ってるのタケさん」
「そうだよ兄ちゃん、目と心が腐ってるよ」
「このままじゃマルカートちゃんに申し訳ありません。根性を入れ替えて貰います」
根性とか精神とか言われても、何が問題なのか全然解らない。
目も見えてるし、犯罪も犯していないし、精神状態も普通だと思う。
うん、たぶん連絡しなかったことに怒っているのだろう。
「ごめん、忙しくてさ。連絡してる暇がなかったんだ。これからは連絡するよ」
みんなの気持ちを落ち着かせようと、取って置きの笑顔で微笑んだのだが、逆にみんなの顔が強張っている。
何故だ、理由が解らん。
何か頭に衝撃が走り、意識を刈り取られた。
気が付いたら小さなホールの様な場所に、縛られて逆さまにぶら下げられていた。
うん、蓑虫になった気分だ。
魔素の目で周りを見回したら、ハルさん達は離れた場所で何か集まって相談しているようだ。
さっきまで僕の身体の中に隠れていた、裏切り者の蔓がやっと出て来た。
殴られながら何度も逃げようと呼び掛けたのに、怖がって出て来なかった。
蔓に縄を解かせた。
ホールの入り口にも、玄関にも見張りが立っている。
窓の外には小さな森が広がっていたので、窓から森へと逃げ出した。
囚われていたのは、鳥が翼を広げたような建物だった。
右側が女性の居住区、左側が男性の居住区の様だった。
僕は木々の上を逃げ出した。
森の中には散策路の様な物があり、何ヵ所か東屋が設けられていた。
その東屋の一つに、懐かしい顔を見付けた。
ハルさん達はまだ気が付いていない様なので、下に降りてみた。
「よお、ユウ、孝太、隆文」
「タケ兄ちゃん」
「えっ、タケミチ。なんか恰好良くなったな」
孝太と隆文が抱き付いて来た。
この三人は変っていないようだ。
三人とも背丈が伸びており、特にユウは大人の顔に変わりつつある。
「ユウ、毛が生えたか」
「余計なお世話だ!」
三人はリュトルの練習をしていた、その音で気が付いたのだ。
「姉ちゃんに知られると殴られるんだ。だからここで練習してるんだけど、上達しなくてよ」
「俺が教えてやろうか」
「えっ、タケミチ弾けるのか」
「ああ、プロだぜ」
何か目的が有るのだろう、三人は熱心で飲み込みが早い。
でも、孝太と隆文に比べ、ユウの弾き方が少し乱暴だ、そう、優しさが足りない。
「ユウ、女を撫でるように優しく弾かないと音が硬くなるぞ」
「女なんて撫でさせて貰えないから解んねーよ」
「仕方がねーな」
土魔法で泥人形を作ってやる。
「ウヒャー」
三人が大喜びしてくれた、なんか嬉しい。
「こんな感じだ、触ってみろ」
三人が恐々と手を伸ばして、感触を確かめ始めた。
女性の肌の感覚と同じ様な柔らかさに調整してある。
ユウが胸を揉み始めた。
「ユウ、そんな乱暴に扱ったら嫌われるぞ。いいか、親指と小指で両方をクリクリと」
「うん、うん、うん」
三人が熱心に聞いてくれるので、ついつい熱が入ってしまった。
「片足を担いでこことここを刺激してやるんだ。それからここをこうやって舐めてやるとイチコロだぞ」
熱心に聞いて居た三人が、突然物凄い勢いで後退った。
しまった、一生懸命になりすぎて、周囲の気配を探っていなかった。
振り返ったら、鬼のような形相のハルさん達が立っていた。
「タケさん、その泥人形は何かなー」
あえて名前を付ければ、ハル一号だ、かなりリアルに作ってある。
僕は降り注ぐ色々な魔法を避けて逃げ出した。
なかなか明美が振り切れない。
風魔法を駆使して、木の幹を蹴って追って来る。
やっと振り切れたのは、料理店の二階の階段だった。
明美は一階の厨房で?を頭の上に一杯浮かべている。
しばらく料理店の出入り口に監視が立っていたが、隣家の屋根を通路代わりに窓から出入りしていたら、そのうち居なくなった。
時々ユウ達にはリュトルを教えに行っている。
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