兄妹○○は死罪です・・・妹と一緒にサンドワームに喰われました

切粉立方体

文字の大きさ
21 / 73
Ⅲ 王都フルムル

4 兄妹王都に向かう4

しおりを挟む
峠を越えて道がなだらかな下り道になり始めると、森は次第に明るくなり、街道の幅も少し広くなる。
他の商隊の護衛達の顔に安堵の表情が広がっているから、危険な個所は乗り切ったという事らしい。
二割は途中で襲われて命を落とすと聞いていたので、町を出た荷車がすべて無事に安全圏に辿り着くのはかなり希な事だったらしい。

街道は所々見晴らしの良い場所を通る様になり、魔獣の気配も薄くなる、やがて下方に高い丸太の塀で囲まれた町並みが見えて来た。
クスク大森林で取れる野獣や魔獣の革や森林奥で採取される希少な薬草や茸が集まる、猟師の町トロラである。

町に近付くと、森から獲物を背負った猟師たちが現れ街道を歩く人が多くなる。
猟師達は突如現れた大きな荷車隊を驚いた顔で見送っていた。

黒と銀が混じった髪で西欧風の顔立ち、毛皮の服を着て背中の荷に弓と矢筒を括り付けている。
山の民と呼ばれる人々で、トルノトスに辿り着いた時の俺達に似ている。

門を抜けて町に入ると大きな広場になっており、絨毯を広げて、商人が猟師から毛皮を買い取っていた。
他の商隊は町の商人ギルドへ通行証の手配に向かったが、この隊は貴族特権で通行証は不要なので直接宿の手配へと向かった。
俺達は別れて別の宿を取ろうと思ったのだが、ミハエルが強引に俺達の部屋を確保して、結局俺達も同宿することになった。

重厚なログハウスの木の温もりが気分を落ち着かせる宿だったが残念な事に風呂が無かった。
井戸端で男女関係無く裸になって水浴びしているのだが、やはり日本人としては暖かい風呂に入りたかった。

なので部屋は広いし床も頑丈そうだったので、甲羅の舟をマジックボックスから引っ張り出して風呂桶替りにした。
水術で水を貯め、熱術でお湯に変える。
極楽だった、マリアは俺の膝の上に座り込んで寛いでいる。
何か段々裸で身体を寄せ合っていることに違和感が無くなり、むしろマリアが幼かった時の様に自然な感覚になっている。
マリアも俺に身体を洗わせることに抵抗が無くなったようで、幼い頃の様に安心しきって俺に身体を預けている。
水術で水を蒸発させ、甲羅をマジックボックスに仕舞う、柔らかい布で身体を拭いて一息吐く。

食事は肉と山菜と茸がメインだった、山牛の肉はやはり野犬よりも美味しかった。

食後ミハエルの部屋に呼ばれた、俺達の部屋の三倍近い広さがあり、大きな応接セットが置いてあった。
その応接セットでミハエルが商人達を相手にしていた。
金魚の糞の様に後ろに付いて来た商人達が一斉に礼を言いにやって来たのだ。
礼にと自分の商っている商品を、ミハエルへのPRがてら献上しに来たのだ。

宝石や香水や香辛料、装飾具や魔道具や薬草など値の張る珍しいものが多かった。
商人達が帰ると、ミハエルはそのすべてを惜しげもなく俺達に押し付けた。

「このお礼の主は君達だからね、爺構わないだろ」
「勿論でございます、お坊ちゃま」
「僕からのお礼は王都に着いてから改めてするよ、君達が一緒で今回助かったよ。ヤマダに聞いたよ、君達強いんだね。どうだい、僕の家に雇われないかい、報酬は弾むよ」

冗談じゃない、ネルトネッテ伯爵に居場所を知られてしまう可能性が物凄く高くなる、まだ火炙りにされたくない。

「悪いが買い被りだ、俺達はたまたまオーガの動きを封じる手段を持っていただけで、強い訳じゃない」
「父さんに頼んで騎士に取り立てても良いんだよ」
「すまんが、騎士には興味が無い。マリと二人で静かに暮らせればそれで満足だ」
「そーか、欲が無いんだね。何か事情が有るんなら相談に乗るよ」
「いや、そんな物はない」

商人達の献上品をマジックボックスに入れてミハエルの部屋から退出した。

ーーーーー

「爺、あのマジックボックス気が付いたかい」
「いえ、少々容量が大きそうですが普通の品かと」
「アリューシャは」
「そうね、縁取りがノーラ様の文様だったからノーラ神殿からの贈り物ね。それに縦方向に刻印刺繍が並んでたから神殿の上位者の持ち物ね」
「正解、あのバックと同じ物を御祖母さんが持ってるんだ」
「若、あれは聖女のバックなのですか」
「うん、たぶん」
「でも使ってたのは男よ、ミーシャ」
「夫婦なら共有できるんだよ。この国に聖女は二人しかいない。爺、父さんに連絡して調べさせて貰えるかい」
「承知いたしました」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

処理中です...