兄妹○○は死罪です・・・妹と一緒にサンドワームに喰われました

切粉立方体

文字の大きさ
24 / 73
Ⅲ 王都フルムル

7 商業都市モスロ2

しおりを挟む
ヒューロス王国”妖精王”監視部隊ノーラ街道脇幕営地

”メテオ”から五日後、途中で確保した流木にしがみ付いて泥の中を昼夜交代で必死に掻き進み、一人の脱落者も発生することなく無事沼の岸に辿り着いた。
街道は泥で覆われ沼地と一体化し、大蜥蜴や鰐亀などの沼の生き物達の住処と化していた。

幕営地に残して来た部隊の生存を危うんだが、泥波跡の境目に幕営がまだ確保されていた。
守備兵が周囲に張り巡らせた防馬柵を乗り越えて侵入しようする沼蜥蜴の群れと必死に戦っている。

自分達も戦いに加わり、背後から沼蜥蜴を群れを切り倒す。
殲滅後、入口の用の防馬柵に近付いたら、泥人と思われたのだろうか、柵の中から槍で突かれそうになった。

「馬鹿野郎、俺だ」
「あっ!隊長、おーい、隊長が戻られたぞ」

”隊長が戻られたぞ”柵内で同じ言葉が繰り返され広がって行く。
入り口の防馬柵が開かれ、中に招き入れられた。

「隊長!隊長!」

沼蜥蜴の青い血に塗れた副長が走り寄って来て抱き付いた。

「良くあの流星雨の中をご無事で」
「良く頑張ったな」

頭を撫でてやると、副長が泣き出した、貴族将校養成学校を出て二年目の若い女の子だ、心細かったらしい。
目の下に隅が出来ているから、この数日寝ないで沼蜥蜴を防いでいたのだろう。

「自分達の方が睡眠時間が取れている、上等兵以下の余力の有る者は防馬柵の守備を交代しろ」
『了解です』
「小隊長以上は今後の対策を打ち合わせる、指令営に集合しろ」
『了解です』
「鳥便兵」
「はっ」
「隼便は飛ばせるか」
「はっ、可能であります」
「良し直ぐに準備しろ」

指令営に移動する、手を洗って上着を着替え、作戦卓で隼便をしたためる。
作戦卓を囲んで座っている部下の視線は、全て自分の手元に集中している。

「良し、これを至急本部に送ってくれ」
「はっ」

本部とは、王領南部方面司令本部のことである、街道を昼夜馬を乗り継いで飛ばせば二日程の距離に有る。

「さて、自分と同行した者は既に承知していると思うが、あの流星雨は”メテオ”だ」
「へっ?」
「えっ?」
「げっ」
「ひっ」

守備隊として残していた者達から驚きの声が上がるが、自分と同行した者達は深く頷いている。

「何よりの証拠は、自分達全員が生かされて無事帰って来たことだ。本部には”妖精王”監視任務の解除とトルトノス南門と北門での検閲任務の許可を申請した」
「えっ!隊長、それはトルトノスとの協定違反では」
「大丈夫だ、検閲は門の少し外側、トルトノス都市外であり我国内である場所で行う」
「・・・・・」
「任務指令が届き次第、街道を強行突破する。その後トルトノス評議会の内部協力者と連絡を取って”メテオ”の施術者を特定する。特定が難しい、または協力が得られない場合に備えて、トルトノスの強制占拠と中隊規模の派兵も併せて進言した。一番避けなければならない事態は、施術者を王都に近付けることだ。数時間後には本部から指令が届く筈だ。出発の準備を整えてくれ、睡眠が不足している者が居たら睡眠を優先して荷は置いて行け」
『了解です』

ーーーーー

濁った河の水を汲み上げ、パコ草の絞り汁を混ぜて濁りを沈ませる、その上澄みを熱石と呼ばれる熱を発する魔道具が埋め込まれた水路に通して温め、木の樋で小さな小部屋に置かれた浴槽に分配する。
これがモスロの公衆浴場の大雑把な仕組みだ。

入口で料金を支払うと木札を渡され、その木札の番号が書かれた小部屋を探す。
大屋根の下に屋根の無い小部屋が横に長く並んでいる様な感じで、小部屋は大体三畳くらいの大きさがある。
戸を開けると畳一畳くらいの簀子が敷かれた脱衣所、その奥が畳一畳位の洗い場、そして一番奥が畳一畳位の浴槽で、正面壁の上に設置された木の樋からお湯が流れ落ちている。

大屋根には光石と呼ばれる魔道具が取り付けてあり、小部屋の中は案外明るい。
何だか、互いに目の前で服を脱ぐ事に躊躇が無くなって来ている。
ズボンとパンツを洗って水術で乾かす。

浴槽に浸かる、少しぬるいので、熱術で暖める。
マリアが俺の膝の上で寛いでいる、これはジョージとマリアに無い習慣なのだが当たり前の様にマリアが膝の上に乗ってくる。

身体が温まって、飲んだ酒の酔いが再び回って来る、マリアがうとうとし始めた。
突然マリアが振り向き、抱き付いて唇を重ねて来た、髪の毛が完全な銀髪になっている。

「お兄ちゃん、さっきはありがとう。私凄く嬉しかったわ。強いし優しいし、私、兄さんも好きだけどお兄ちゃんも大好き」

マリアだ、再び唇を重ねて舌を入れて来る、ジョージとしての記憶は有るのだが、俺としては初めての経験だ。
マリアの手が下半身に伸びて来て俺のあれを握り締める。

「ねえ、お兄ちゃん、しようか」

俺の頭の中が真っ白になった、するとマリアの表情が何度か入れ替わって、馴染の有る”真理亜”の表情で落ち着いた。

「ダメー!!兄ちゃんは私の物よ、手を出さないで、泥棒猫」

良かった、マリアが復活したようだ。

「兄ちゃんも惑わされちゃだめだよ」
「いやごめん」
「もう、まったく」
「あのな、マリアすまん、手を離してくれないか」
「えっ!ひっ!ごめん兄ちゃん」

互いに身体を洗って何事も無く無事宿に戻る、その夜マリアもジョージも出て来なかったので熟睡することができた。

翌朝、宿の直ぐ目の前の船着き場から二本マストの大きな帆船に乗り込む、公爵家ご用達の船運業者らしく、帆に公爵家の黒竜の紋章が染め抜かれていた。
風術の魔術師が二人乗り込んでおり、帆を一杯に膨らませた船は、通常半日は要する航路を僅か三時間で走破した。

王都は七本の河川が流入する大きな湖の中心にある断崖に囲まれた島上に築かれており、断崖には船が通れる幾つものトンネルとそのトンネルを塞ぐ木の大きな格子状の落し門が設けられている。

崖上の見張り台で大きな手旗が振られ、マストの天辺に座った信号手が手旗を送り返している。
順番待ちで停泊中の一般の貨物船を尻目に、船は指示されたトンネルに入って行く。
トンネルを抜けると、中心に天を貫く様な高い幾本もの尖塔が立っている城が目に飛び込んで来て、その城を取り囲む様に広い幾筋もの運河が走っている天然の岩壁に囲まれた広大な水の都が広がっていた。

船が王城近くの船着き場に接岸した、公爵家専用の船着き場なのだろうか、岸には大勢の家来達が出迎えていた。
船着き場から伸びる広い真っ直ぐな階段の先には、王城に匹敵するような巨大な城が聳えていた。

「さあ、僕の家に着いたよ、少しお茶でも飲んで行ってくれ」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

処理中です...