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Ⅰ 第一学年
45 閑話
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「雷夢さん、本当にありがとうございました。美子がまた学校に通えるなんて夢にも思ってみませんでした」
「また幸せな美子の笑い顔が見れるななんて夢の様です、ありがとうございます」
「お兄ちゃん、ママもパパも喜んでる。ありがとう」
偏入学手続きを終えた美子ちゃんのご両親が事務所に寄ってくれた、能力判定試験でも、面接でも問題無かったので、美子ちゃんの編入学は無事認められたのだ。
学院が側でも判断が二分したらしいのだが、修業に支障を来す事柄が特に見当たらないとの意見が多く、他の生徒に対しても霊体との接触はプラスになると考えたのだ。
「お兄ちゃん、美子新しいお部屋をもらったの、今度遊びに来てね。お兄ちゃんのお部屋より綺麗だよ」
初等部の寄宿舎に一部屋もらい、そこを美子ちゃんの拠点にすることになった。
普通の女の子と全く同じにベットや机を揃え、そこにパソコンを置いてある、うん、僕の四畳半とはだいぶ違うらしい。
「今度お姉ちゃん達と一緒に行くよ」
うん、迷子と舞の僕を見る目に疑惑が混じっている、初等部の女子寄宿舎を一人でうろついたら、何を言われるか解ったもんじゃない。
「来週から御出でって、美子楽しみなの」
ーーーーー
”明美、本当に大丈夫なの。変な中年男の愛人なんかやってるんじゃないよね。家に全然帰って来ないし”
「だから大丈夫だって母ちゃん、陰陽師の仕事で稼いだんだってば。それで夏休み帰れなかったんだよ。明日川崎で仕事入ってるからちょっと寄るよ。大丈夫だってば、じゃっ切るよ、大丈夫だってば」
「明美、お母さんからなの」
「うん、母ちゃん。私の銀行口座にお金振り込もうとしてびっくり扱いたらしいの」
「明美は幾らくらい貯まってるのさ」
「六百万ちょっと」
「それじゃ驚くよね、明美と香は夏休み中結構蟲取り行ったもんね」
「うん、それに飲み食いとか服とかは全部雷人にたかったしねー、貯まる一方だよねー。香は大丈夫なの」
「うん、私は自分で稼いでるから振り込み要らないって連絡してある。でもねー、親は心配してないんだけど兄貴がねー、連れ戻すって大騒ぎしたらしいの」
「シスコン?」
「うん、シスコン」
ーーーーー
「はいみんな、これが来月のスケジュールね」
「弥生、私と雷君が一緒の予定は無いの」
「雷子は有資格者なんだから雷君とは別行動よ、灯さんも同じでしょ」
「弥生、あんたが島根で講師やる日、なんで倉敷で雷君と夜合流するのよ」
「仕方ないでしょ、島根は不便なんだから」
「倉敷まで行くんだったら、飛行機で羽田まで帰って来れるでしょ。この高知と高松も一緒、高松に電車で移動してる間に飛行機で羽田まで帰れるわよ」
「仕方ないでしょ、私飛行機が嫌いなんだから」
「可笑しい、絶対に可笑しい」
「弥生」
「なあに、雷君」
「宿、二部屋にしないか」
「却下」
「弥生」
「なあに、水江さん」
「この広島で講師やって新幹線で東京に深夜帰って来る日、静岡に雷君が泊まってるんだけど」
「ああその日ね、それ”のぞみ”だから静岡は止まらないの」
「ねえ、弥生」
「なあに、迷子」
「私、雷君とのお泊りが一杯で嬉しいけど良いの」
「ええ、迷子は雷君と一緒じゃなきゃ駄目なの。ねえ、みんな」
『うん』
ーーーーー
「雷君、ちゃんと考えてよ」
「灯さんに一任しますよ」
「だーめ、あなたが代表者なんだら、ちゃんと自覚して頂戴」
目の前に履歴書が百三十二枚積んである。
来月灯さんと雷子を除く全員に初級試験を受けてもらって事業拡大を考えている、段々依頼が多くなり捌き切れなくなってきたのだ。
事務をお願いするアルバイトを五名ほど、学院のキャリアセンターを通して募集したら履歴書が山程送られて来たのだ。
これでも大学生の希望者を取り除いた量だ、最初はこれの三倍くらいの量が有った。
僕等の考えていた以上に、新しい除霊方法は世間にインパクトを与えたらしい。
生活パターンが近い人と考え、高等部の生徒に絞り込んだ。
「討伐や除霊の仕事を手伝ってもらいたいから、僕等に無い能力を持っている人が良いよね」
「そーね、使役術とか式神使いとかかしらねー」
「幻術の人も欲しいよね。んっ、この人夢野先生の妹さんじゃないか」
「蟲使いの人も欲しいわよねー、最近雀鬼蜂の依頼が増えてるし」
「地球温暖化で熱鬼が北上してるから、熱術の人も欲しいね」
結局五人の予定が十人になってしまった、まあ、今のこの事務所の収益なら百人位雇っても大丈夫だろう。
大家さんに頼んで、事務所の広さを三倍くらいに広げてもらおう。
ーーーーー
「雷夢ちょっと来い」
翌日のホームルームの後、夢野先生に呼ばれた。
「解ってると思うが、妹を泣かせる様なことが有ったら、一生忘れられない夢をプレゼントするからな」
ーーーーー
「マスター、私も学校に行きたいです」
「また幸せな美子の笑い顔が見れるななんて夢の様です、ありがとうございます」
「お兄ちゃん、ママもパパも喜んでる。ありがとう」
偏入学手続きを終えた美子ちゃんのご両親が事務所に寄ってくれた、能力判定試験でも、面接でも問題無かったので、美子ちゃんの編入学は無事認められたのだ。
学院が側でも判断が二分したらしいのだが、修業に支障を来す事柄が特に見当たらないとの意見が多く、他の生徒に対しても霊体との接触はプラスになると考えたのだ。
「お兄ちゃん、美子新しいお部屋をもらったの、今度遊びに来てね。お兄ちゃんのお部屋より綺麗だよ」
初等部の寄宿舎に一部屋もらい、そこを美子ちゃんの拠点にすることになった。
普通の女の子と全く同じにベットや机を揃え、そこにパソコンを置いてある、うん、僕の四畳半とはだいぶ違うらしい。
「今度お姉ちゃん達と一緒に行くよ」
うん、迷子と舞の僕を見る目に疑惑が混じっている、初等部の女子寄宿舎を一人でうろついたら、何を言われるか解ったもんじゃない。
「来週から御出でって、美子楽しみなの」
ーーーーー
”明美、本当に大丈夫なの。変な中年男の愛人なんかやってるんじゃないよね。家に全然帰って来ないし”
「だから大丈夫だって母ちゃん、陰陽師の仕事で稼いだんだってば。それで夏休み帰れなかったんだよ。明日川崎で仕事入ってるからちょっと寄るよ。大丈夫だってば、じゃっ切るよ、大丈夫だってば」
「明美、お母さんからなの」
「うん、母ちゃん。私の銀行口座にお金振り込もうとしてびっくり扱いたらしいの」
「明美は幾らくらい貯まってるのさ」
「六百万ちょっと」
「それじゃ驚くよね、明美と香は夏休み中結構蟲取り行ったもんね」
「うん、それに飲み食いとか服とかは全部雷人にたかったしねー、貯まる一方だよねー。香は大丈夫なの」
「うん、私は自分で稼いでるから振り込み要らないって連絡してある。でもねー、親は心配してないんだけど兄貴がねー、連れ戻すって大騒ぎしたらしいの」
「シスコン?」
「うん、シスコン」
ーーーーー
「はいみんな、これが来月のスケジュールね」
「弥生、私と雷君が一緒の予定は無いの」
「雷子は有資格者なんだから雷君とは別行動よ、灯さんも同じでしょ」
「弥生、あんたが島根で講師やる日、なんで倉敷で雷君と夜合流するのよ」
「仕方ないでしょ、島根は不便なんだから」
「倉敷まで行くんだったら、飛行機で羽田まで帰って来れるでしょ。この高知と高松も一緒、高松に電車で移動してる間に飛行機で羽田まで帰れるわよ」
「仕方ないでしょ、私飛行機が嫌いなんだから」
「可笑しい、絶対に可笑しい」
「弥生」
「なあに、雷君」
「宿、二部屋にしないか」
「却下」
「弥生」
「なあに、水江さん」
「この広島で講師やって新幹線で東京に深夜帰って来る日、静岡に雷君が泊まってるんだけど」
「ああその日ね、それ”のぞみ”だから静岡は止まらないの」
「ねえ、弥生」
「なあに、迷子」
「私、雷君とのお泊りが一杯で嬉しいけど良いの」
「ええ、迷子は雷君と一緒じゃなきゃ駄目なの。ねえ、みんな」
『うん』
ーーーーー
「雷君、ちゃんと考えてよ」
「灯さんに一任しますよ」
「だーめ、あなたが代表者なんだら、ちゃんと自覚して頂戴」
目の前に履歴書が百三十二枚積んである。
来月灯さんと雷子を除く全員に初級試験を受けてもらって事業拡大を考えている、段々依頼が多くなり捌き切れなくなってきたのだ。
事務をお願いするアルバイトを五名ほど、学院のキャリアセンターを通して募集したら履歴書が山程送られて来たのだ。
これでも大学生の希望者を取り除いた量だ、最初はこれの三倍くらいの量が有った。
僕等の考えていた以上に、新しい除霊方法は世間にインパクトを与えたらしい。
生活パターンが近い人と考え、高等部の生徒に絞り込んだ。
「討伐や除霊の仕事を手伝ってもらいたいから、僕等に無い能力を持っている人が良いよね」
「そーね、使役術とか式神使いとかかしらねー」
「幻術の人も欲しいよね。んっ、この人夢野先生の妹さんじゃないか」
「蟲使いの人も欲しいわよねー、最近雀鬼蜂の依頼が増えてるし」
「地球温暖化で熱鬼が北上してるから、熱術の人も欲しいね」
結局五人の予定が十人になってしまった、まあ、今のこの事務所の収益なら百人位雇っても大丈夫だろう。
大家さんに頼んで、事務所の広さを三倍くらいに広げてもらおう。
ーーーーー
「雷夢ちょっと来い」
翌日のホームルームの後、夢野先生に呼ばれた。
「解ってると思うが、妹を泣かせる様なことが有ったら、一生忘れられない夢をプレゼントするからな」
ーーーーー
「マスター、私も学校に行きたいです」
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