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Ⅰ 第一学年
46 新しい仲間1
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「へー、これが情報世界なんだ。撲達式神使いってさ、ほら、自分の身体を軸に置いて式神を使うでしょ。だから意識は絶対に身体から手放さないんだ。意識を別の場所に置くって、初めての経験だな。うーん、なんだか裸で歩いているような感じで、ぞくぞくするよ。でも余計な神経使わないで気が抜けるからすっきりするよ。うん、感覚は解ったから今度はディープなキス無しでも大丈夫だと思うよ。うっ、ふっ、ふっ、ふっ、残念かい」
僕は新しいメンバーに情報世界への入り方をマンツーマンで教えている。
二年A組の紙敷祭夜さん、式神の使役に才を持っており、魂の断片に意識を乗せる術を行使する性質上意識の分離が難しいようなので、唇を重ねて情報世界に連れ出したのだ。
髪の短いボーイッシュな感じのスラッとした宝塚風の美人さんだ。
「ハル、おいで」
「はい、マスター」
「この子がさっき話したハルなんだ」
「へー、綺麗な子だね。精神体とも違うし、霊体とも違うんだね。へー」
「どうかな」
「大丈夫だと思うよ、精神の幹が有るし」
ハルが学校に行きたいと言い始めたのだが、美子の様に現実世界に存在する手段を持っていない。
なので、式神の手法で現実世界に存在できないか相談してみたのだ。
「捕えた鬼の使役だと使い捨てになっちゃうけど、その子なら意識の枝を伸ばせそうだから、撲達と同じ方法で式神を作れるかもしれないよ」
式神の作りには幾通りかが有るそうで、リモコン操作の様に術でコントロールする方法、捕えた鬼などの精神体を使役する方法、動物などの霊体を憑依させ使役する方法、自分の魂と意識を憑依させ自分の身体として使う方法などだ。
ただ、動物を使う方は動物愛護管理法の関係で最近は使われないそうだ。
「じゃっ、テーブルの上に紙の人型が三つ並んでるだろ。あそこに意識を乗せてみようか」
ハルが外界を画面に映し出してくれている、情報世界から情報世界へと意識を送ったことはあるが、情報世界に送った意識を、情報世界から外界に送り出すのは初めての経験かも知れない。
画面を介して意識を送ると人型に描かれた呪文に意識が染み込んで行き、意識が人型を中心に膨らんで行く。
意識を移して目を開ける、面白い、目の前に虚ろな表情で椅子に座っている自分が居る。
「ほう、雷君は才能があるな。輪郭がしっかりしている、ハルちゃんはもうちょっと頑張れ、平面じゃなくて立体的なイメージだ」
「はい」
首を動かし脇を見る、隣に祭夜さんの憑依した式神が座っている、圧倒的な存在感があり、まるで二人目の祭夜さんが座っているようだ。
僕の身体は半透明で、手を下ろすとテーブルを抜けてしまう。
ハルは映像が映っているような感じだ。
「これは精神的な思い込ませなんだが、だんだん触感が感じられる様になって来る。そうなれば、見た人も同様に思い込んでくれて、普通の人には式神と解らなくなるよ」
「うん、ありがとう」
「いや、今日は撲も貴重な体験をさせてもらったよ。一回情報世界にアクセスしてここにアンカーを置くと、精神が安定しているし楽なんだよ。トラブルが発生しても直接身体に影響が及ばないからリスクも減るしね。ぼくこそお礼を言うよ」
「もう一人頼みたいんだけど良い」
「ん?構わないよ」
「おーい、美子ちゃん、いるかい」
「なあに、お兄ちゃん呼んだ」
「こりゃ、可愛いのが来たね。彼女も雷君の愛人かい、雷君って守備範囲が広いんだね」
「いいえ、違います」
ーーーーー
『御帰りなさい、あなた』
部屋に帰ると半透明のハルと美子ちゃんが待っていた。
「ご飯にします、お風呂にします、それとも、わ・た・し。きゃー、きゃー、きゃー」
美子ちゃんが燥いでいる。
「ハル、ええと」
「何でしょう、マスター」
「何で二人とも裸エプロンなんだ」
「昨晩マスターが鑑賞して精神的な高揚を高めていた動画を参考にしました」
「うっ・・・、美子ちゃん、この話はママやパパに言っちゃ駄目だよ」
「なんで、お兄ちゃん。面白いのに」
「ママもパパも驚いて、お兄ちゃんがおまわりさんに捕まっちゃうからだよ」
「うん判った、内緒にする」
「じゃっ、約束だよ。指切りげんまん」
”がらがら”
「雷君帰ったのー、あー!」
「舞これは違うぞ、勘違いするな」
「迷子ちゃん大変だ、雷君がー」
ーーーーー
「今日からこのクラスに転入してきたハルさんだ。見た目は外国人だが純然たる日本人だそうだ。席は雷夢の隣で良いな。雷夢、ちょっと良いか。ハルの名字がお前と同じで住所もお前の部屋なんだが・・、お前の嫁さんか」
「はい、マスターは昨晩私と一緒に寝ました」
こらハル、確かに昨晩情報世界に入ってからお前の膝枕で寝込んでしまったが、その言い方は誤解を招くだろ。
あー!舌をチョロッ出した、確信犯だな、おい。
ーーーーー
「ねえ、雷君、何でハルが制服着てここに座ってるのよ」
おじさんの研究室の応接セットだ、雷子が腰に手を当てて仁王立ちしている、なんか身体の周囲に稲妻が飛び交っている。
「私も雷術の講義に参加するからです。そんな事も解らないのですか、脳の精密検査をしましょうか?」
僕は新しいメンバーに情報世界への入り方をマンツーマンで教えている。
二年A組の紙敷祭夜さん、式神の使役に才を持っており、魂の断片に意識を乗せる術を行使する性質上意識の分離が難しいようなので、唇を重ねて情報世界に連れ出したのだ。
髪の短いボーイッシュな感じのスラッとした宝塚風の美人さんだ。
「ハル、おいで」
「はい、マスター」
「この子がさっき話したハルなんだ」
「へー、綺麗な子だね。精神体とも違うし、霊体とも違うんだね。へー」
「どうかな」
「大丈夫だと思うよ、精神の幹が有るし」
ハルが学校に行きたいと言い始めたのだが、美子の様に現実世界に存在する手段を持っていない。
なので、式神の手法で現実世界に存在できないか相談してみたのだ。
「捕えた鬼の使役だと使い捨てになっちゃうけど、その子なら意識の枝を伸ばせそうだから、撲達と同じ方法で式神を作れるかもしれないよ」
式神の作りには幾通りかが有るそうで、リモコン操作の様に術でコントロールする方法、捕えた鬼などの精神体を使役する方法、動物などの霊体を憑依させ使役する方法、自分の魂と意識を憑依させ自分の身体として使う方法などだ。
ただ、動物を使う方は動物愛護管理法の関係で最近は使われないそうだ。
「じゃっ、テーブルの上に紙の人型が三つ並んでるだろ。あそこに意識を乗せてみようか」
ハルが外界を画面に映し出してくれている、情報世界から情報世界へと意識を送ったことはあるが、情報世界に送った意識を、情報世界から外界に送り出すのは初めての経験かも知れない。
画面を介して意識を送ると人型に描かれた呪文に意識が染み込んで行き、意識が人型を中心に膨らんで行く。
意識を移して目を開ける、面白い、目の前に虚ろな表情で椅子に座っている自分が居る。
「ほう、雷君は才能があるな。輪郭がしっかりしている、ハルちゃんはもうちょっと頑張れ、平面じゃなくて立体的なイメージだ」
「はい」
首を動かし脇を見る、隣に祭夜さんの憑依した式神が座っている、圧倒的な存在感があり、まるで二人目の祭夜さんが座っているようだ。
僕の身体は半透明で、手を下ろすとテーブルを抜けてしまう。
ハルは映像が映っているような感じだ。
「これは精神的な思い込ませなんだが、だんだん触感が感じられる様になって来る。そうなれば、見た人も同様に思い込んでくれて、普通の人には式神と解らなくなるよ」
「うん、ありがとう」
「いや、今日は撲も貴重な体験をさせてもらったよ。一回情報世界にアクセスしてここにアンカーを置くと、精神が安定しているし楽なんだよ。トラブルが発生しても直接身体に影響が及ばないからリスクも減るしね。ぼくこそお礼を言うよ」
「もう一人頼みたいんだけど良い」
「ん?構わないよ」
「おーい、美子ちゃん、いるかい」
「なあに、お兄ちゃん呼んだ」
「こりゃ、可愛いのが来たね。彼女も雷君の愛人かい、雷君って守備範囲が広いんだね」
「いいえ、違います」
ーーーーー
『御帰りなさい、あなた』
部屋に帰ると半透明のハルと美子ちゃんが待っていた。
「ご飯にします、お風呂にします、それとも、わ・た・し。きゃー、きゃー、きゃー」
美子ちゃんが燥いでいる。
「ハル、ええと」
「何でしょう、マスター」
「何で二人とも裸エプロンなんだ」
「昨晩マスターが鑑賞して精神的な高揚を高めていた動画を参考にしました」
「うっ・・・、美子ちゃん、この話はママやパパに言っちゃ駄目だよ」
「なんで、お兄ちゃん。面白いのに」
「ママもパパも驚いて、お兄ちゃんがおまわりさんに捕まっちゃうからだよ」
「うん判った、内緒にする」
「じゃっ、約束だよ。指切りげんまん」
”がらがら”
「雷君帰ったのー、あー!」
「舞これは違うぞ、勘違いするな」
「迷子ちゃん大変だ、雷君がー」
ーーーーー
「今日からこのクラスに転入してきたハルさんだ。見た目は外国人だが純然たる日本人だそうだ。席は雷夢の隣で良いな。雷夢、ちょっと良いか。ハルの名字がお前と同じで住所もお前の部屋なんだが・・、お前の嫁さんか」
「はい、マスターは昨晩私と一緒に寝ました」
こらハル、確かに昨晩情報世界に入ってからお前の膝枕で寝込んでしまったが、その言い方は誤解を招くだろ。
あー!舌をチョロッ出した、確信犯だな、おい。
ーーーーー
「ねえ、雷君、何でハルが制服着てここに座ってるのよ」
おじさんの研究室の応接セットだ、雷子が腰に手を当てて仁王立ちしている、なんか身体の周囲に稲妻が飛び交っている。
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