ぽっちゃりおっさん異世界ひとり旅〜目指せSランク冒険者〜

駆け出し冒険者

異世界グルメ

　銀貨４２枚を初依頼達成の報酬として受け取った僕は、受付嬢に尋ねてみた。

　「初心者講習を受けたいんですが、お願い出来ますか？」

　「大丈夫ですよ。本日はもう終了してますので、明日になりますが、いかがでしょうか？」

　僕は、明日の朝１番早い予約をお願いした。

　さらに今日泊まる事が出来るオススメの宿屋を尋ねてみた。

　「初心者冒険者でしたら、［宿り木］という宿屋が良いかと思いますよ。食事も美味しいと評判の宿です。」

　受付嬢にお礼を言い、教えてもらった宿屋に行く事にした。

　【探索：宿り木】

　と念じるとマップ画面に場所が表示され、迷う事なく辿り着けた。

　カランコロンカラン♪

　ドアを開けると音がする。

　「いらっしゃい」

　恰幅かっぷくの良い女将さんが明るい声で出迎えてくれた。

　「今日泊まる事は出来ますか？」

　「出来るよ！１人かい？朝夜の２食付いて１泊銀貨１０枚だけど、どうするかい？」

　先程、銀貨４２枚稼いだので、明日の初心者講習に銀貨５枚、宿屋で銀貨１０枚支払ってもまだ余裕がある。

　「一泊お願いします。」

　２階の部屋に案内され、しばらくすると女将さんが部屋を訪れた。

　「食堂で夜食の準備が出来てるよ。都合のいい時に食べに来ておくれ。」

　食堂に行くと、すでに他の泊まり客が食事を楽しんでいた。

　案内されたテーブルに着席すると、料理担当の亭主が挨拶に来た。

　「ウチの自慢の食事をゆっくりと楽しんでくれ！酒もあるけど、まだ飲めないかな？ガッハッハ」

　豪快な笑い声を残し厨房に去っていった。

　この世界では１５歳だが、中身は酒好きおっさんである。異世界での酒も味わいたい。

　飲み放題で、銀貨５枚追加になるようだが、頼む事にした。

　［ナホリエール］

　という大きな木のジョッキに入った酒が運ばれてきた。

　フルーティな香りに、軽いアルコール度数の飲みやすい酒だ。

　すると前菜として［キャベツの酢漬け］が運ばれてきた。パリパリキャベツを酸味が効いた酢漬けにした前菜だ。

　食べると食欲が増すのが分かる。

　［ナホリエール］を飲み干し、お代わりを頼んだ。

　［ブタイノシシのモツ煮込み］が、ナホリエールと一緒に運ばれてきた。

　生姜が効いた、味噌のような味付けで、ナホリエールとの相性はピッタリだ！

　［野菜とブタイノシシのシチュー］大きくゴロゴロした野菜と、旨味たっぷりなジューシーなブタイノシシのバラ肉をシチューにした逸品。

　「これも美味い！」

　空になったナホリエールのお代わりを女将さんに頼む。

　「アンタイケるね！ナホリエールも名物だけど、こんなのもどうだい？」

　とこちらも名物だというナホリワインを運んできた。

　「これもオススメだからちょっと試してみてよ。」

　［ナホリワイン］ナホリの芳醇なブドウを使った赤ワイン。香り高くまろやかな味わいである。

　［角ウサギのステーキ］近場で獲れるという角ウサギを柔らかくジューシーに焼き上げたステーキ。

　「このステーキを食べる時には、ナホリワインを一緒に飲んで欲しいんだ。」

　ナホリワインと食べれば最高の相性だ。

　美味しい酒とこだわりの料理で、異世界初めての夜を充分に堪能した。

　満足した僕は、部屋に戻り心地よく眠りについた。