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ARKADIA──それが人であるということ──

起源

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 起源ルーツ。それは全ての始点はじまり。物体に及ばず、それは命有る存在モノにも言えること。

 そこに在るからには、そこに在るまでの過程があって。その過程の始点こそ起源なのだ。起源こそ──世界の母。有り体に言ってしまえば、それこそ神という概念の存在である。

 いつからかはわからない。まだ言葉の一つも繰り得ぬ赤子の頃から、はたまた言語を覚え始めた幼子の頃か。

 とにかく──その起源というものに、並々ならぬ興味があった。知的探究心とも取れる、多大なる好奇心を抱いていた。

 理由などわからない。ただ本能的に、求めていたのだ。

 ひたすらに漁った。貪欲に動いていた。この世界に存在する、全ての起源を追いかけた。

 その結果としてこの世界において知らぬことは、ほぼなくなった。偉大なる先人たちが残した過去の叡智を、一つ残らず我がものとした。

 ────だというのに、一番肝心な起源は手に入らなかった。

 それを手に入れたいが為に今まで起源を追い求めていたというのに。それを知りたいが為に今まで起源を追い求めていたというのに。

 皮肉なことにそれは叶わず終わってしまった。その時抱いた絶望は、今でも忘れられない。

 だが同時に悟ってもいた。恐らく、きっと──その起源を知ることはないのだろう。この願望が叶う未来は、この先に有りはしないのだろう。



 だが、そんな予想は呆気なく覆される────拭いようのない果てしなき後悔の到来と同時に。

 こうなってしまうのならば、こんなろくでもない結果を齎らすなら──────









 ──起源ルーツなんて、知るんじゃなかった。




 今はただ、委ねるとしよう。未だ頭の片隅にこびりつく、この尊き過去の残景に。

 永劫とも思えるこの瞬間ときを、全て想起に費やそう────そうすることで、このつみもほんの僅かばかりは、軽くなるだろうから。

 だから、今だけは────孤独で在ろう。












 終焉による滅びは阻まれ。

 剣戟による滅びは砕けて。

 輝闇による滅びは墜えた。



 次なるは理想による滅び。遠き遥かなる理想郷が築かれる刻────第四の厄災は成される。
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