男娼ウサギは寡黙なトラに愛される

てんつぶ

文字の大きさ
5 / 6

死んでしまう ※

しおりを挟む
 ラヴィは自分を助けてくれたはずの男を呆然と見上げていた。
 せり上がってくる衝動は男もラヴィと同じなのか、荒い呼吸を殺しながらラヴィを組み敷いていた。
「僕を……助けてくれたんじゃ……ないの……っ」
 ぶわりと広がる男の匂い――フェロモンに、ラヴィの身体は糸の切れたマリオネットのようだった。抵抗する言葉とは裏腹に、身体は従順に従った。
 ボトムを剥ぎ取られる瞬間だけは、勃起する桃色の陰茎が引っかかった。下着はもうぐしゅぐしゅに濡れそぼっている。
「助けただろう」
「じゃあ……っ、なんで、こんな……っ、ア……」
 男の大きな指が、赤く膨らんだ胸の先端を押しつぶした。たったのそれだけで身体がビクビクと震えた。
「俺のものだ」
 言葉が少ない性質なのか、男はそう呟くと、熱心にラヴィの反対の胸に舌を這わせた。ネコ科特有のざらざらとした舌が、痛みに近い強烈な快感を与えてくる。
「ひ、う……っ、あン……っ、んんんっ……! だめ、だめ……っ!」
 ラヴィはとりたてて乳首への愛撫が弱い訳では無かった。仕事であれば感じているフリはいくらでもできたし、そうすることで喜ぶ客も多かった。だが今、たまらず制止の声を上げるほど、その快楽は恐ろしいほどに脳髄を揺さぶってくる。
「んぁ……、あ! あ! ……っ、うあああ……っ、駄目、駄目……ぇっ!」
 片手で乳首をくりくりと摘ままれ、反対を舌で舐めしゃぶられただけなのに、ラヴィはあっけなく精を放った。
 はくはくと口を開き、身体を震わせるラヴィは、今までに無い絶頂感から降りてこれないでいる。
 そんなラヴィの様子から射精に気づいた男は、腹に散った白濁を舌で舐めた。
「ひう……っ!」
 男はへそのくぼみに溜まるソレを、ちゅるりと吸い、脇腹に流れ落ちようとする精液を指で掬い取った。
 そしてその精液をラヴィの後孔に塗り込めようとして、その必要が無い程に濡れたそこに一瞬だけ動きを止めた。
「……使い込んでるな」
 怒りがにじむ男の声に、ラヴィは背筋を震わせた。これは快楽のせいではない、恐怖感からだ。そもそもウサギ獣人である自分は、肉食獣に比べて圧倒的に下位なのだ。本能はすぐに白旗をあげる。
「ごめ……なさ……っ、だって……っ、仕事だ、から……っ」
 いつもの生意気な態度も、圧倒的な恐怖の前では何の役にも立たない。素直に謝るラヴィの頭を、男の手が優しく撫でた。
「……男娼か」
 ラヴィはコクコクと頷いた。
「ごめん……なさい……っ、ごめんなさい……っ」
 どうしてか、男に嫌われるのが怖かった。自分勝手にラヴィを抱こうとしているのは、さっきの傭兵と同じだというのに。
「泣くな」
 いつの間にか零れていた涙を、男のざらつく舌が舐め取った。親が子にするかのような慈しみのこもったその行為は、ラヴィの胸をきゅうと締め付ける。
 弟妹を養うためにラヴィを娼館に売った親は、血の繋がった子である自分にそんな事もしてくれなかったのに。
 ラヴィの胸はトクトクと早鐘を打った。
 だけど、次の瞬間、男はラヴィの腰を抱えて一気に奥まで貫いた。
「か……っ、は……!」
「すまないが俺にも余裕が無い」
 慣れたラヴィの身体で、そして何故かぐしゃぐしゃに濡れている後孔をもってしても、全てを飲み込むにはトラ獣人のモノは大きすぎた。
 ラヴィは呼吸をすることも忘れて、腹を突き破りそうな程に巨大なソレに、はくはくと口だけで喘いだ。
「動くぞ」
「ま……、あ、あああああ!」
 死んでしまう。
 ラヴィはそう思った。
 男が引き抜くと、内臓全てが持って行かれるようだった。そして抜け落ちるギリギリまで引き抜かれたソレは、再び重量を伴ったまま奥へと突き入れられる。
 多少は気遣われているらしいその動きはゆっくりで、だがだからといって身体の小さいラヴィにそれはあまりに長大だった。
「あ、ああ……あ、う、あ……」
 それなのにラヴィの肉筒は少しでも快楽を拾おうと、男の熱塊をしゃぶりあげる。腰はくねり、よく知る自分のイイ所に当てようと勝手に揺れた。
「あ、ン……、あ、はぁ……っああ……」
 かつて無いほど巨大な逸物は、馴染んでくるとたまらない程に心地よかった。甘い声が自然に漏れて、ラビの腰を抱える男の身体に足を絡めた。
 一突きされるごとに、全身が性感帯になったような強烈な快楽。鼻孔をくすぐる甘い匂いは、まるでタチの悪い媚薬のようだ。
「あっ、あっ、ああ……っ、凄い……っ」
 大きく張り出た亀頭が、ラヴィの弱い部分をねっとりと擦る。我慢出来なかったと挿入した割には、ラヴィにも快感を与えようとする姿に気がついたラヴィは、こんな無理矢理抱かれているというのにときめいてしまう。
 粗末な室内にパンパン、ギシギシという即物的な音が響いた。
「駄目……イく、イっちゃう、あ、あああ……!」
「俺もだ……っ」
 ラヴィは思わず男の背中に腕を回した。
 堪えるように眉間に皺を寄せる男の目鼻立ちは整って、太い眉はいかにも意思が強そうだった。トラ獣人であることから、間違いなく支配階級だろうと思ったのに、腕を回したそのシャツはくたびれた綿麻のもので、貧しい者がよく使う生地だったことに落胆した。
 驚く程に相性が良いトラ獣人、この男ならひょっとして自分を娼館から救い出してくれるかもしれないと、ほんの一瞬だけ思ったからだ。
 ラヴィは頭を振って、上り詰める快楽だけに集中した。
 どうせこの男も、タダで抱こうとラヴィを狙ってきたのだろう。最低だ、最悪だ。だけど、身体の相性だけは認めるしか無い。
 初めてと言って良いほどに、ラヴィは深い絶頂を味わった。
「あ……、あああ、イく……っ!」
「う、く……!」
 お互いの身体の硬直、そしてドクドク最奥に注ぎ込まれる精液の感触がする。緊張から弛緩した身体はぐったりと疲れているのに、ラヴィの欲望はまだ収まる気配がしない。
 これは明らかにおかしいと、ラヴィは自分の身体に起こった異常をようやく受け止め始めた。
 だが、再開された律動に、思考は一瞬のうちに霧散する。
「なんで……っ、大きく、あああ……っ!」
「トラ獣人は交尾に二日はかける――動くぞ」
 快楽にとろけきったラヴィの身体は、散々男に貪られた。
 過ぎた快楽に泣こうとも、男はその涙を舐めて最奥を暴いた。もう無理だと泣き言を叫ぶラヴィの腰を膝に抱いて焦らし、結局ラヴィは男にしがみ付いて自分からもっともっとと願う羽目になった。
 人気の男娼であるラヴィのちっぽけなプライドは、二晩かけて抱き潰された事によって粉々に砕け散った。
 何とか男が眠った隙に宿を抜け出し、ガクガクと震える足腰を叱責して娼館に戻った。
 幸いにも最初にラヴィに手を出そうとした傭兵が街から逃げていた事も手伝って、ラヴィの足抜けより拉致を心配されていた。憔悴した様子のラヴィを店主は大切に保護し、そして一週間程部屋で大事を取らせてくれた。
 ラヴィは自分を散々良いようにした男を告発してやろうかとも思ったが、だがあの身なりから得られるものは何も無いと思った。二日間もラヴィを好き放題抱いて、娼館にいたらどれだけの金を得られただろう。
 あんな風に激しく自分を犯しておいて、愛の言葉の一つも囁かなかった。疲れた身体に一つも残らない情欲の痕。結局あれは、ただの性欲処理だったのだ。
 ツキンと胸が痛む理由は分からなかったが、逃げた傭兵に全ての罪を押しつけつつも、あの腹正しいトラ獣人とは二度と関わるまいと誓ったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

愛を知らない少年たちの番物語。

あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。 *触れ合いシーンは★マークをつけます。

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...