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23.海斗の災難3

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「はあ~・・・」


あれからあっという間に、風紀委員に任命されて今に至る。

こんなはずではなかったと言いたいが、高坂には勇人の近くにいられるぞ。と言われて、それもいいかと思った。
実際、あいつが生徒会入りしてから距離ができてしまい話す時間も減っていた。

それに、風紀委員なら堂々と誰にも邪魔されず傍にいられることにメリットを感じた。デメリットはこうやって見回りや取り締まりに自由時間が無くなることだ。


「まあ、退屈せずにいられるからいいか・・」


中学時代は何かといっしょい過ごす時間が多かったからこういう距離感は新鮮だなと思う。

太陽が沈み、薄暗くなってきたし、風も出てきて肌寒くなってきた。


「一通り、見回りもしたし戻るか・・」


足を風紀室へと向けると部活帰りの生徒たちとすれ違う。


「お前ら、人気のないところには行くなよ」

「おおっ」


声を掛けられて驚いたものの風紀の腕章を見て安心したのか笑顔で返事をして寮のある方へと消えていった。


「さて、報告書を書いてさっさと帰るかっ」






「なあ、新しく風紀に入った奴何て名前が知っているか?」

突然、見知らぬ生徒から話しかけられたのは風紀委員の坂田だ。本日何度目かの問いに少々うんざりしていた。



「はあ~・・なぜよのようなことを聞く?」

「え、ああ・・その」


質問を質問で返されるとは思っていなかったのかうろたえる。


「えっと・・オレ写真部なんだけど彼の写真はないのかって問い合わせが多くて・・」


頭をかきながら困った顔の彼に坂田はどうしたものかと考えた。

別に、新しい風紀委員が誰か教えてもいいかと思うが、それは本人の確認をとってからでないと何とも言えない。


「そうか、それは大変だな」

「そうだろっ!だから、さ・・」

「悪いが本人の確認がない限り教えられないな」

「そ、そんな・・」


ショックで固まる彼に同情するつもりはさらさらない。

自分が入った時はクラスメイトが勝手にバラシて散々な目に合わされたのだ。だから絶対に教えるつもりはなかった。


「じゃあな・・」

「え、あっ・・ちょっと!」


関わりたくない彼は写真部を残してその場から離れたのだった。


「クソッ!絶対に正体を暴いてやるっ!」








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