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間章1【瘴脈討伐】
勇者様御一行のお仕事(1)
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ここからはレギーナたち“蒼薔薇騎士団”がラグ辺境伯に依頼され瘴脈を討伐した際のエピソード。『小説家になろう』版では5話構成でしたが、アルファポリス用に話を短めに区切ったら何故か全14話に(汗)。
おっかしいなー、なんでだろ?30,000字ちょっとくらいしかないのになあ?(←だからだ!)
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
「でも、さすがは勇者ってところかな。飛んでる翼竜を剣のひと振りで倒すなんて、本当に凄いよね」
アルベルトが感心しきりなのも無理はない。空を自在に飛んで剣の届かない位置から一方的に攻撃してくる翼竜は、冒険者にとっては灰熊以上の難敵で、普通なら魔術師のサポートなしではまず倒せないのだ。
それをレギーナはひとりで宙を駆け上がって倒してみせたのだから、当然というものだ。
「別に、なんてことないわ。こないだも“巨竜”を狩ってきたし」
「え……………ええっ!?」
だがまたしても簡単に言ってのけるレギーナに、今度こそアルベルトは空いた口が塞がらなくなる。
「えっじゃあ、レギーナさんは“竜殺し”なのかい!?」
「そうよ?」
「こないだ、っていつのことなのさ!?ラグに来る前ってこと!?」
「ほら、“瘴脈”を討伐してきたって言ったじゃない。その時よ、倒したのは」
「ホントに最近じゃないか!」
「そういや、そん時の詳しか話をおいちゃんにはしとらんやったばいねえ」
そして彼女たちは、“瘴脈”討伐の顛末を話して聞かせるのであった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ラグ辺境伯、先々代勇者ロイからのほのめかしを受けて蛇王の情報を持つというアルベルトという冒険者を救い、そのまま彼を雇うことにしたレギーナたち蒼薔薇騎士団。彼の人となりや実力のほどを確かめるためその仕事に1日付きまとい、信用できると判断して翌日に辺境伯へと報告し、彼を連れて行くのなら黒一点になるがと指摘されてすったもんだしたさらに翌日。
蒼薔薇騎士団はまたしてもラグ辺境伯に呼ばれて辺境伯公邸を訪れていた。
「すまないね、何度も呼び立てして」
「いえ、予定などございませんので」
新調する脚竜車の完成までおよそ1ヶ月ほどかかるということで、その間彼女たちはラグに逗留することになっている。完成を待つまでの間何もしないというわけにもいかないので、どこか冒険者ギルドに顔を出して適当に依頼でもこなそうかと思っていたところだ。
「暇つぶし、というわけではないのだが、ひとつ仕事を依頼しようと思っていてね」
だが冒険者ギルドを経由するまでもなく、辺境伯が仕事を持ちかけてきた。
「ラグの北に中規模の瘴脈があるのだが、君たちは知っているだろうか」
「“レファ渓谷”ですね。この辺りではもっとも活発な瘴脈と聞いていますが」
レファ渓谷の瘴脈は竜骨回廊沿いではもっとも規模の大きな瘴脈だ。大地の下を流れる瘴気が地表に吹き出す瘴脈、それがちょうど渓谷の最深部にあるせいで地形的にも瘴気が溜まりやすく、魔物の棲息密度もかなり高く危険な瘴脈だと言われている。
ただ、至近にある都市がラグで、歴代勇者を多数輩出している〈竜の泉〉亭と〈黄金の杯〉亭という西方世界でも名の知れたギルドが本拠を構えており、その所属冒険者たちの定期巡回を受けているため、渓谷の外まで危険が広がることは滅多にない。
「そろそろ定期巡回の時期でね。今回は私が行こうと思っていたのだが、君たちが空いているのならば頼もうかと思ってね」
「なるほど。そういう事でしたらお請けいたします」
レギーナは即答だった。勇者としての一般的な業務なのだから当然だ。
ただ正式な依頼となると契約が発生する。報酬に関してはもちろん、どこまでやるかなど細かく決めなくてはならない。
「それで、今回は具体的にどう処理すればよろしいでしょうか」
「そうだね、単純に棲息密度を下げてもらえればそれで構わないよ。魔獣もだが、特に魔物を間引いてくれればいい。
谷の外に逃げ出した個体については追わなくてもよろしい。あまり逃がすと良くはないが、多少ならば地域のギルドの仕事になるからね」
「畏まりました。現在の『強度』はいかほどで?」
「うむ、今は『熟練者』といったところか。まだ『凄腕』までは行っておらんだろう」
つまり、熟練者に匹敵するような個体はいるが凄腕に伍するほどの個体はいなさそうだ、というのが辺境伯の見立てである。
「なるほど、その程度でしたら問題ありません。期間については?」
「それは君たちに任せるよ。というか数次第だろうからね」
つまり討伐数も討伐期間も明確に定めないというわけだ。敵の強度を考えても、レギーナにとっては片手間で終えられる緩い仕事と言えた。
「君たちが戻ったあと、情報部から人員を派遣して棲息数を確認する。それをもって報酬額を算定し振り込むとしよう。それでいいかね?」
「はい、結構です。では明日にでも出立いたします」
「よろしく頼む。現地の拠点としてはレファ山に見張り小屋を設けてあるから、そこを使うといい」
「ありがとうございます。そうさせて頂きます」
こうして、レギーナたち蒼薔薇騎士団は瘴脈の討伐へと向かうことになった。
おっかしいなー、なんでだろ?30,000字ちょっとくらいしかないのになあ?(←だからだ!)
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「でも、さすがは勇者ってところかな。飛んでる翼竜を剣のひと振りで倒すなんて、本当に凄いよね」
アルベルトが感心しきりなのも無理はない。空を自在に飛んで剣の届かない位置から一方的に攻撃してくる翼竜は、冒険者にとっては灰熊以上の難敵で、普通なら魔術師のサポートなしではまず倒せないのだ。
それをレギーナはひとりで宙を駆け上がって倒してみせたのだから、当然というものだ。
「別に、なんてことないわ。こないだも“巨竜”を狩ってきたし」
「え……………ええっ!?」
だがまたしても簡単に言ってのけるレギーナに、今度こそアルベルトは空いた口が塞がらなくなる。
「えっじゃあ、レギーナさんは“竜殺し”なのかい!?」
「そうよ?」
「こないだ、っていつのことなのさ!?ラグに来る前ってこと!?」
「ほら、“瘴脈”を討伐してきたって言ったじゃない。その時よ、倒したのは」
「ホントに最近じゃないか!」
「そういや、そん時の詳しか話をおいちゃんにはしとらんやったばいねえ」
そして彼女たちは、“瘴脈”討伐の顛末を話して聞かせるのであった。
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ラグ辺境伯、先々代勇者ロイからのほのめかしを受けて蛇王の情報を持つというアルベルトという冒険者を救い、そのまま彼を雇うことにしたレギーナたち蒼薔薇騎士団。彼の人となりや実力のほどを確かめるためその仕事に1日付きまとい、信用できると判断して翌日に辺境伯へと報告し、彼を連れて行くのなら黒一点になるがと指摘されてすったもんだしたさらに翌日。
蒼薔薇騎士団はまたしてもラグ辺境伯に呼ばれて辺境伯公邸を訪れていた。
「すまないね、何度も呼び立てして」
「いえ、予定などございませんので」
新調する脚竜車の完成までおよそ1ヶ月ほどかかるということで、その間彼女たちはラグに逗留することになっている。完成を待つまでの間何もしないというわけにもいかないので、どこか冒険者ギルドに顔を出して適当に依頼でもこなそうかと思っていたところだ。
「暇つぶし、というわけではないのだが、ひとつ仕事を依頼しようと思っていてね」
だが冒険者ギルドを経由するまでもなく、辺境伯が仕事を持ちかけてきた。
「ラグの北に中規模の瘴脈があるのだが、君たちは知っているだろうか」
「“レファ渓谷”ですね。この辺りではもっとも活発な瘴脈と聞いていますが」
レファ渓谷の瘴脈は竜骨回廊沿いではもっとも規模の大きな瘴脈だ。大地の下を流れる瘴気が地表に吹き出す瘴脈、それがちょうど渓谷の最深部にあるせいで地形的にも瘴気が溜まりやすく、魔物の棲息密度もかなり高く危険な瘴脈だと言われている。
ただ、至近にある都市がラグで、歴代勇者を多数輩出している〈竜の泉〉亭と〈黄金の杯〉亭という西方世界でも名の知れたギルドが本拠を構えており、その所属冒険者たちの定期巡回を受けているため、渓谷の外まで危険が広がることは滅多にない。
「そろそろ定期巡回の時期でね。今回は私が行こうと思っていたのだが、君たちが空いているのならば頼もうかと思ってね」
「なるほど。そういう事でしたらお請けいたします」
レギーナは即答だった。勇者としての一般的な業務なのだから当然だ。
ただ正式な依頼となると契約が発生する。報酬に関してはもちろん、どこまでやるかなど細かく決めなくてはならない。
「それで、今回は具体的にどう処理すればよろしいでしょうか」
「そうだね、単純に棲息密度を下げてもらえればそれで構わないよ。魔獣もだが、特に魔物を間引いてくれればいい。
谷の外に逃げ出した個体については追わなくてもよろしい。あまり逃がすと良くはないが、多少ならば地域のギルドの仕事になるからね」
「畏まりました。現在の『強度』はいかほどで?」
「うむ、今は『熟練者』といったところか。まだ『凄腕』までは行っておらんだろう」
つまり、熟練者に匹敵するような個体はいるが凄腕に伍するほどの個体はいなさそうだ、というのが辺境伯の見立てである。
「なるほど、その程度でしたら問題ありません。期間については?」
「それは君たちに任せるよ。というか数次第だろうからね」
つまり討伐数も討伐期間も明確に定めないというわけだ。敵の強度を考えても、レギーナにとっては片手間で終えられる緩い仕事と言えた。
「君たちが戻ったあと、情報部から人員を派遣して棲息数を確認する。それをもって報酬額を算定し振り込むとしよう。それでいいかね?」
「はい、結構です。では明日にでも出立いたします」
「よろしく頼む。現地の拠点としてはレファ山に見張り小屋を設けてあるから、そこを使うといい」
「ありがとうございます。そうさせて頂きます」
こうして、レギーナたち蒼薔薇騎士団は瘴脈の討伐へと向かうことになった。
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