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しつこい黒狼②
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「……勝手にしてください。私には関係ないので」
ヴィダルスがランドルークの当主になった時点で、原作エドワードを性奴隷にしたのはこいつであることが確定しそうだが、ほぼ確信しているので、最早どうでもいい。
寧ろ俺のことを性奴隷にしたがる野郎が他にいないのだと確定して、助かるわ。
変なフラグを立てない為にも、絶対こいつの兄弟には、会いたくない。下手に魔力相性が良かったら、さらに変態クソ野郎が増えそうだし。
「関係ないわけねぇだろ。俺がランドルークの当主になるのは、お前の為なんだから」
「どういう意味です?」
「ランドルーク家の当主として、正式にお前の家に婚姻を申し込んでやるって言ってんだよ」
「……申し込まれた所で、断るだけですけど」
「お前は受けるさ。それが、お前の領地の為になるなら」
くつくつと、喉を鳴らしてヴィダルスが嗤う。
「知ってるぜぇ? お前がセネーバとの戦争を止めるために留学して来たことも、自分の領地の為ならばいくらでも自分を犠牲にできる人間だってことも」
「っ」
一瞬アストルディアとの関係や番契約がバレたのかと警戒したが、ヴィダルスは上機嫌に俺の顎をすくって、続けた。
「だからよお。お前に、セネーバにおける最上級の伝手をプレゼントしてやることにしたんだ。ランドルーク家はセネーバの貴族のトップ、女王に対しても真っ向から意見できる強い立場だ。当主になった俺の番になれば、お前はセネーバで強い発言力を持てる。そうなりゃ、戦争だって止められるかもなァ?」
いや、俺は既に第二王子であるアストルディアの番なんで、お前の番になるよりよほど強い発言力を持てる立場なんですけど。……とは、現時点ではもちろん言えないので、ただ醒めた目でヴィダルスを見すえた。
とりあえず、まだアストルディアとの関係も、昨日あいつに抱かれたこと自体もバレてはなさそうだ。
「とりあえず、学生のうちは当主争いに参戦するのも難しいからなァ。動くのは卒業して、ランドルークの当主の座を奪ってからだ。だからそれまでは、勝手に結婚したりせずに、いい子に待ってろよお? できれば俺も、お前の妻になった女やお前の血を引くガキを、ぶっ殺したくはねぇからなァ」
ベロリと頬を舐めるヴィダルスの舌に嫌悪感を抱きながらも、咄嗟に卒業後のことをシミュレーションする。
アストルディアとの計画では、卒業後一年かけて互いの周囲を納得させて足元を固めた後、国民や他のセネーバ貴族に知られる前に子どもを仕込んで、そこから正式に婚姻を結ぶ予定だった。
一個下のヴィダルスが卒業するまで、一年ほど猶予がある。こいつが当主になるべく動き出す頃には、既にアストルディアとの婚姻が発表されている頃だ。
いくら同じ王族であっても、一介の学生である今と違い、卒業してしまえばアストルディアとヴィダルスには明確に立場の違いができるはず。そうなれば、こいつもそう簡単に妨害ができなくなるだろう。
……年下の癖に生意気だとずっと思ってたけど、今初めてこいつが一個下なことに感謝したな。
「ほんとは今すぐ、そのケツにブチ込みてぇけど、無理やりヤろうとした所で魔法で反撃されるのはよくわかったからな。3年……いや、2年半だけ、我慢してやるよ。その代わり、その時が来たら、お前は一生俺のもんだ。俺だけのもんだ。忘れんな。エドワード。ーーお前は、俺の番だ」
頬を舐める勢いのまま、うなじの辺りを噛まれそうになったので、転移魔法を発動させ数メートル先に転移さた。
ガチンと歯が空を切ったヴィダルスが、欲情と狂気が滲んだ目でこちらを睨む。
「……貴方が何と言おうと、私が貴方の番になることだけはあり得ませんから」
ヴィダルスがどれだけ画策しようが、俺は必ず運命を変えてみせる。……アストルディアと、共に。
「貴方が間違いを犯す前に、貴方の本当の『運命の番』が現れることを祈ってますよ」
それだけ言い残して、俺は空き教室を出た。
背中に焼き付くような、熱いヴィダルスの視線を感じながら。
ヴィダルスがランドルークの当主になった時点で、原作エドワードを性奴隷にしたのはこいつであることが確定しそうだが、ほぼ確信しているので、最早どうでもいい。
寧ろ俺のことを性奴隷にしたがる野郎が他にいないのだと確定して、助かるわ。
変なフラグを立てない為にも、絶対こいつの兄弟には、会いたくない。下手に魔力相性が良かったら、さらに変態クソ野郎が増えそうだし。
「関係ないわけねぇだろ。俺がランドルークの当主になるのは、お前の為なんだから」
「どういう意味です?」
「ランドルーク家の当主として、正式にお前の家に婚姻を申し込んでやるって言ってんだよ」
「……申し込まれた所で、断るだけですけど」
「お前は受けるさ。それが、お前の領地の為になるなら」
くつくつと、喉を鳴らしてヴィダルスが嗤う。
「知ってるぜぇ? お前がセネーバとの戦争を止めるために留学して来たことも、自分の領地の為ならばいくらでも自分を犠牲にできる人間だってことも」
「っ」
一瞬アストルディアとの関係や番契約がバレたのかと警戒したが、ヴィダルスは上機嫌に俺の顎をすくって、続けた。
「だからよお。お前に、セネーバにおける最上級の伝手をプレゼントしてやることにしたんだ。ランドルーク家はセネーバの貴族のトップ、女王に対しても真っ向から意見できる強い立場だ。当主になった俺の番になれば、お前はセネーバで強い発言力を持てる。そうなりゃ、戦争だって止められるかもなァ?」
いや、俺は既に第二王子であるアストルディアの番なんで、お前の番になるよりよほど強い発言力を持てる立場なんですけど。……とは、現時点ではもちろん言えないので、ただ醒めた目でヴィダルスを見すえた。
とりあえず、まだアストルディアとの関係も、昨日あいつに抱かれたこと自体もバレてはなさそうだ。
「とりあえず、学生のうちは当主争いに参戦するのも難しいからなァ。動くのは卒業して、ランドルークの当主の座を奪ってからだ。だからそれまでは、勝手に結婚したりせずに、いい子に待ってろよお? できれば俺も、お前の妻になった女やお前の血を引くガキを、ぶっ殺したくはねぇからなァ」
ベロリと頬を舐めるヴィダルスの舌に嫌悪感を抱きながらも、咄嗟に卒業後のことをシミュレーションする。
アストルディアとの計画では、卒業後一年かけて互いの周囲を納得させて足元を固めた後、国民や他のセネーバ貴族に知られる前に子どもを仕込んで、そこから正式に婚姻を結ぶ予定だった。
一個下のヴィダルスが卒業するまで、一年ほど猶予がある。こいつが当主になるべく動き出す頃には、既にアストルディアとの婚姻が発表されている頃だ。
いくら同じ王族であっても、一介の学生である今と違い、卒業してしまえばアストルディアとヴィダルスには明確に立場の違いができるはず。そうなれば、こいつもそう簡単に妨害ができなくなるだろう。
……年下の癖に生意気だとずっと思ってたけど、今初めてこいつが一個下なことに感謝したな。
「ほんとは今すぐ、そのケツにブチ込みてぇけど、無理やりヤろうとした所で魔法で反撃されるのはよくわかったからな。3年……いや、2年半だけ、我慢してやるよ。その代わり、その時が来たら、お前は一生俺のもんだ。俺だけのもんだ。忘れんな。エドワード。ーーお前は、俺の番だ」
頬を舐める勢いのまま、うなじの辺りを噛まれそうになったので、転移魔法を発動させ数メートル先に転移さた。
ガチンと歯が空を切ったヴィダルスが、欲情と狂気が滲んだ目でこちらを睨む。
「……貴方が何と言おうと、私が貴方の番になることだけはあり得ませんから」
ヴィダルスがどれだけ画策しようが、俺は必ず運命を変えてみせる。……アストルディアと、共に。
「貴方が間違いを犯す前に、貴方の本当の『運命の番』が現れることを祈ってますよ」
それだけ言い残して、俺は空き教室を出た。
背中に焼き付くような、熱いヴィダルスの視線を感じながら。
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