5 / 336
今世姉と私
しおりを挟む
……やった! 父さんに好きって言われた!
血まみれでも分かるくらい、口元引きつってるけど、気にしない!
『鶏さんがかわいそうだから、食べられない』
そんな風に泣いてハンストする時代は、前世のごくごく幼い頃に過ぎ去りました。
生きることは、命を奪うこと。自分で手をくださなくても、何かを食べてる時点で同罪なのだ。
ピィ子は、その短い人生を強く生きた。ならば、彼と(うっかり子とつけてしまったが、奴は雄だ)戦い続けた私は、責任持ってその肉を食らわねばならない。
……まあ、あと単純に、コカトリスのお肉って美味しいんだよね。
よく動くから、シャモみたいに身が引き締まってて、旨みがギュッと詰まってるの。
尾っぽの蛇の部分も、また味わいが違ってよきかな。前世では、流石に爬虫類は食べなかったんだけど、鶏部分と繋がっていると思ったら、わりと抵抗なく食べれたよ。あの瞬間、確かに私は一歩大人の階段上ったね。
「とりあえず俺はシャワー浴びて、血を流してくるから。リッカは先に朝ごはん食べて、少し休んでてくれ。その後で、また手伝ってもらいたいことがあるから」
「うん。分かった。……あ、でもその前に、父さん。この卵、規格外だと思うんだけど、朝ごはんに食べていい?」
「規格外でも、最近はコカトリスの卵ならいくらでも買い手はつくけど、リッカが食べたいなら良いよ。持ってきな」
「わあい、ありがとう! なら、母さんか姉さんに卵焼きにしてもらうから、父さんもシャワーから出たら、食べてね」
小さめの……それでも、小ぶりなメロンくらいの大きさはあるけど……卵をいそいそと抱いて、ダイニングへ向かう。
近づくにつれて、スープの良い匂いが漂って来て、思わず口元が緩んだ。
「ただいまー。スープ、良い匂いするね。ピィ子の骨を使ったの?」
「……おかえりなさい。リッカ。貴女は、相変わらずね。でも、骨からスープをとるには時間がなかったから、まだよ。父さんが小分けにして持ってきてくれたお肉なら、少し入れたけど」
苦笑を浮かべながらも、姉さんはスープを皿に持ってくれた。
……ああ。姉さん。今日も相変わらず、儚げで綺麗だ。
「朝から動き回って、お腹空いたでしょう。先にスープを食べてて。今からパンを焼くから」
「ありがとう。姉さん。……ああ、そうだ。この卵、焼いてくれる?」
「あら、産みたての卵を持ってきてくれたのね。今、パンと一緒に焼いちゃうから、少し待ってて」
血まみれでも分かるくらい、口元引きつってるけど、気にしない!
『鶏さんがかわいそうだから、食べられない』
そんな風に泣いてハンストする時代は、前世のごくごく幼い頃に過ぎ去りました。
生きることは、命を奪うこと。自分で手をくださなくても、何かを食べてる時点で同罪なのだ。
ピィ子は、その短い人生を強く生きた。ならば、彼と(うっかり子とつけてしまったが、奴は雄だ)戦い続けた私は、責任持ってその肉を食らわねばならない。
……まあ、あと単純に、コカトリスのお肉って美味しいんだよね。
よく動くから、シャモみたいに身が引き締まってて、旨みがギュッと詰まってるの。
尾っぽの蛇の部分も、また味わいが違ってよきかな。前世では、流石に爬虫類は食べなかったんだけど、鶏部分と繋がっていると思ったら、わりと抵抗なく食べれたよ。あの瞬間、確かに私は一歩大人の階段上ったね。
「とりあえず俺はシャワー浴びて、血を流してくるから。リッカは先に朝ごはん食べて、少し休んでてくれ。その後で、また手伝ってもらいたいことがあるから」
「うん。分かった。……あ、でもその前に、父さん。この卵、規格外だと思うんだけど、朝ごはんに食べていい?」
「規格外でも、最近はコカトリスの卵ならいくらでも買い手はつくけど、リッカが食べたいなら良いよ。持ってきな」
「わあい、ありがとう! なら、母さんか姉さんに卵焼きにしてもらうから、父さんもシャワーから出たら、食べてね」
小さめの……それでも、小ぶりなメロンくらいの大きさはあるけど……卵をいそいそと抱いて、ダイニングへ向かう。
近づくにつれて、スープの良い匂いが漂って来て、思わず口元が緩んだ。
「ただいまー。スープ、良い匂いするね。ピィ子の骨を使ったの?」
「……おかえりなさい。リッカ。貴女は、相変わらずね。でも、骨からスープをとるには時間がなかったから、まだよ。父さんが小分けにして持ってきてくれたお肉なら、少し入れたけど」
苦笑を浮かべながらも、姉さんはスープを皿に持ってくれた。
……ああ。姉さん。今日も相変わらず、儚げで綺麗だ。
「朝から動き回って、お腹空いたでしょう。先にスープを食べてて。今からパンを焼くから」
「ありがとう。姉さん。……ああ、そうだ。この卵、焼いてくれる?」
「あら、産みたての卵を持ってきてくれたのね。今、パンと一緒に焼いちゃうから、少し待ってて」
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
2,456
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる