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連載2
対決17
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悲痛な嘆きの声をあげていたユーリアが、不意に血走った目で私を睨みつけた。
「さっきまで勝ち誇った顔をしてた癖に、急に何よ、その目は! 今さら聖女ぶったって遅いのよっ、気持ち悪い!」
「……別に聖女ぶってなんかないよ」
「それじゃあ、その哀れみに満ちた目は何なのよ? 私をこんな目に遭わせておいて、どこまでお奇麗なつもり? ………本当にあんたは腹が立つ女だわ。初めて会った時から何も変わってない!」
動物が威嚇するみたいに、ユーリアはかちかちと歯を鳴らしながら、顔を真っ赤にして怒鳴った。
「私と同じように最底辺の存在として、ごみだめの中で虐げられて生きてきた癖に『全ての苦しむ人を救いたい』と思うなんて、ばっっっかじゃないの!! せっかく特別な力を得られるのなら、今まで自分を傷つけてきた奴らを虐げたいと思って当然でしょう!? 調和なんか、結局は恵まれた奴らが、自分の地位を脅かしたくないが為に望むものよ! 死と破壊に満ちた混沌こそが、真の平等だって何故わからないの!? 何故一番私の近くにいて、同じ境遇を生きてきたお前が私を否定するの!?」
まくし立てられて言葉の意味が、すぐには理解できなかった。言われている内容に全く心当たりがない。
それは、アシュリナの記憶を思い返してみても、同じことだった。
けれどユーリアはまっすぐに私を睨みつけていて。
明らかに私に向かって語りかけていた。
……いや、私じゃない。
「私は何度お前に倒されようが、絶対にお前を認めないわ、セーラ! 例えこのまま石にされたとしても、必ずまた転生してお前を殺してやる! 私があの御方のお傍にいれる機会を奪った分、今まで以上に残虐に、とことん苦しめて殺してやるんだから!」
ユーリアは、私を通して初代聖女であるセーラを見ていた。
初代聖女の出生は、現在では語り継がれていないし、全てを知っているだろう予言者も、それを私に語ろうとはしなかった。
だから私は、初代聖女がどんな環境で生まれ育って、初代【災厄の魔女】とどんな関係だったのか、知らない。
ユーリアの言葉が本当ならば、初代【災厄の魔女】と初代聖女はきっと浅からぬ関係があったのだろう。二人の間には、私の知らない様々なドラマがあったのかもしれない。
……でも。
「残念だけど……私は初代聖女じゃない。全くの別人だよ」
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「……別に聖女ぶってなんかないよ」
「それじゃあ、その哀れみに満ちた目は何なのよ? 私をこんな目に遭わせておいて、どこまでお奇麗なつもり? ………本当にあんたは腹が立つ女だわ。初めて会った時から何も変わってない!」
動物が威嚇するみたいに、ユーリアはかちかちと歯を鳴らしながら、顔を真っ赤にして怒鳴った。
「私と同じように最底辺の存在として、ごみだめの中で虐げられて生きてきた癖に『全ての苦しむ人を救いたい』と思うなんて、ばっっっかじゃないの!! せっかく特別な力を得られるのなら、今まで自分を傷つけてきた奴らを虐げたいと思って当然でしょう!? 調和なんか、結局は恵まれた奴らが、自分の地位を脅かしたくないが為に望むものよ! 死と破壊に満ちた混沌こそが、真の平等だって何故わからないの!? 何故一番私の近くにいて、同じ境遇を生きてきたお前が私を否定するの!?」
まくし立てられて言葉の意味が、すぐには理解できなかった。言われている内容に全く心当たりがない。
それは、アシュリナの記憶を思い返してみても、同じことだった。
けれどユーリアはまっすぐに私を睨みつけていて。
明らかに私に向かって語りかけていた。
……いや、私じゃない。
「私は何度お前に倒されようが、絶対にお前を認めないわ、セーラ! 例えこのまま石にされたとしても、必ずまた転生してお前を殺してやる! 私があの御方のお傍にいれる機会を奪った分、今まで以上に残虐に、とことん苦しめて殺してやるんだから!」
ユーリアは、私を通して初代聖女であるセーラを見ていた。
初代聖女の出生は、現在では語り継がれていないし、全てを知っているだろう予言者も、それを私に語ろうとはしなかった。
だから私は、初代聖女がどんな環境で生まれ育って、初代【災厄の魔女】とどんな関係だったのか、知らない。
ユーリアの言葉が本当ならば、初代【災厄の魔女】と初代聖女はきっと浅からぬ関係があったのだろう。二人の間には、私の知らない様々なドラマがあったのかもしれない。
……でも。
「残念だけど……私は初代聖女じゃない。全くの別人だよ」
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