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1984年、中3

高校?どうでもいいよ

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「貴久。お前、高校行くのか?」

オヤジが唐突に聞いてきた。

僕はテレビを観ていた時だった。

「行くよ、そりゃ。中学卒業して働くなんて無理じゃん」

「ウチは余分な金なんて無いんだからな!行くなら、金かからない学校に行け!」

この頃、僕はオヤジが大キライだった。
仕事から帰って来て毎晩酒を飲み、いつの間にか寝てしまう。

何だって、毎日酒飲んでるんだ?
僕はこんな大人になりたくない、といつも思っていた。

確かに父親の言う通り、入るなら私立校より都立校がいい。
じゃあ、何処の高校にしようか?

僕はまだ、志望校を決めていなかった

「あのさぁ、オレ都立落ちたら私立ってのは無理かな?」

オフクロに聞いてみた。

「アンタ、高校だけは出なさい。私立になってもいいから、高校ぐらい出ておかないと働き口なんてないでしょ今は?」

そりゃそうだ。

まさか、ウチの息子が中卒で働いてます、なんて世間の目もあるからな。

でも、何で高校に行かなきゃならないんだろ?
中卒じゃダメなんだろうか?

僕は学歴には拘らない。

それは今も同じだ。

やっぱりこういう世の中だから、せめて高校ぐらいは出ておいた方がいいって事なのだろうか。


当時、大沢誉志幸の【そして僕は途方に暮れる】という歌をよく聴いていた。

この曲はカップヌードルのCMソングとしてヒットした。

当時はこの曲を聴く度に、途方に暮れていた。

何となく切ない気分というか、感傷的にさせる様な歌だった。

僕は来年の春、どうなっているのか?
全く予想が出来なかった。

朝起きて学校に行き、教科書を開き、ただ授業を聞いて、下校時間になるまでの間が退屈で仕方がなかった。

何の為に、こんな授業を受けなきゃならないんだ?
こんな学校生活はさっさと終わらせたい…

楽しいと思っていた半面、苦痛に感じる時もあった。


進路を決める、三者面談の日。

母親と一緒に座り、進路について先生はこう言った。

「お母さん、小野君は学力は良いんですが、もう少し勉強すれば都立の進学校に合格出来るんです…第一志望は都立ですか、それとも私立ですか?」

お前が真面目に勉強しないから、この程度の高校にしか行けないんだぞ!という様な目を僕に向けた。

「そうなんですか?
この子は何処の高校に行けるのか解りませんが、高校だけは出なきゃダメって言ってるですがね…」

 何かもう、どうでもよくなってきた。
共学じゃなきゃダメだとか、もう面倒くさくなってきた。


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