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ようやく馴染んだ高校生活

ペアルック~?

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「貴久!慶子から電話きてるよ!」

姉の声で目が覚めた。

(ゲッ!!寝坊じゃんかよ!)

僕は急いで飛び起き、受話器を取った。

「あ、もしもしゴメンっ!寝坊した!今からダッシュでいく!」

「慌てなくていいよ、のんびり待ってるから」

受話器の向こうで波多野は笑ってる。

「わかった!すぐに行くから!じゃあね!」

電話を切って、急いで支度をした。

(あんなワケのわからん事を考えてたから、寝れなかったんだよ!何やってんだオレは?)


寝坊したのを後悔しつつ、急いで駅に向かった。

駅の改札口には波多野がポツンと立っていた。

「あ、小野っち!あれ…アタシと同じの着てるじゃん」

何と、二人とも同じPコートを着ている。


色はダークブラウン、デザインも全く同じヤツだ。

「これ、この前古着屋で買ったんだよ」


バイトの給料が入ってたまには服を買ってみようかなぁと思い、学校の帰りにあったいい感じの古着屋に入り、Pコートを買ったのだ。

「偶然よね!アタシもこれ、学校の近くの店で買ったのよ」

ていうか、これペアルックになるんじゃないのか?

いや~、ペアルックだけはさすがに勘弁願いたい。

康司とサユリはお揃いのジャージなんかで仲良く手を繋いでいるのを見て

(ダッセ~、あんな風になりたくないな)

といつも思っていた。

「ゴメン、オレ着替えてきていい?」

「何で?」

「いやだって…お揃いじゃん?」

「いいじゃん別に~」

「苦手なんだよ、ペアルックってのが」

「そんな事気にしなくていいよ、それより早く行こう」

「行こうって…何処行こうか?」

「決めてなかったの?」

「うん…あれこれ考えたんだけど、イマイチ思い浮かばなくて…」

「えぇ~、小野っち決めてなかったの?じゃあ、動物園行こうか?」

「動物園?ZOOか?」

「イチイチ英語にしなくていいから!ねぇ、動物園行こう?」

波多野の提案で、上野のZOOに行くはめになった。

(動物園ねぇ…小学生以来行ってないな)

小学生の時、上野動物園で檻に入ってる動物をスケッチする、写生大会なんて事をしたっけ…

もちろん今は写生じゃなく、射精の方が重要だけど…

そう、その射精をしに僕は波多野と会ったんだ!

いや、その表現は好ましくないな…

電車の中で色んな事が頭をよぎる。

(まだ付き合ってそんなに経ってないんだろ?
何で、そんなにセックスにこだわるんだ?)


(バカヤロー!キスもオッパイも触ったんだから、セックスだって同じようなもんだ!いいから、押し倒せ!)

僕の中で、天使と悪魔がバトルする。

(何で悩まなきゃならないんだ?)

何だかどうでもよくなり、面倒くさくなってきた。
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