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第1章

第73話 帰路

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 さあて、久し振りの船だ!ウキウキするぜ!何と来た時のと違う種類の船だぜ!なんと羽根付きだ!飛ぶのか?と思えなくもない、すんばらしいデザイン!よきかな!

 俺のテンションは高かった。ミリアとイリアの下がった分だけ俺が高くなった?お陰で、2人から獣を見るような目で見られていた。

 コホン。お金を払わねばだ。夕方の船は料金が高い。通常便の3倍だそうだ。
 何故なら、高速運用便だからだ。
 しかし構わない。お金には困っていないからね。

 魔石を大量に使って水車をずっと回して進む。通常便だと約3時間位だが、高速船は約1時で着く。おまけに船体を少し浮かせて進み、ほぼ水車の部分しか水に浸かっていないのだ。揺れも少ないのだそうだ。

 まるでジェットフ○ルだ。

 この船の設計に日本人が関与しているとしか思えない。

 時間が短いのと、揺れが殆どなく、イリアとミリアも船酔いはしなかった。

 船旅は順調で、港に着いてから急ぎ宿を確保する。

 宿で明日からどうしようか?となり、一旦王都に向かい、そこで情報を収集するという事を、当面の目的地にする事になった。
 早ければもうソロソロ変異が始まるのだ。

 宿は幸い高級宿が取れた。だが、明日からはまた馬車の旅なので、ゆっくり休みたい。

 その為、今日は食事は程程にして早目に部屋で休む事にしている。

 そう言えばと思い、レベルを確認したが、既に100だった。つまりカンストしていたのだ。

 翌日ギルドにてカードの更新をするが、皆S級に上がってしまった。

 また、収納のお陰で馬車の快適度が格段に上がった。
 2人増えたが、荷物は収納に入れているから馬車は軽いし、なによりも広く使える。

 因みにカナロアは屋根に登り、ひたすら歌っている。時折窓から中を覗いてくるが、どうやらリクエストを聞きに来ていた。意外にもイリアとミリアが色々なリクエストを出していて、カナロアが嬉しそうにしている。妙に懐いているので、カナロアに2人を取られやしないかと冷や冷やだ。

 何気に馬車の屋根は快適らしいので、たまには男同士での会話をとなり、俺も登った。

 俺の国の歌をせがまれ、知っている限りの歌を教えていった。

 驚いたのはその記憶力だ。
 一度聞けばもう暗記している。

 メロディーもそうだ。
 ただ、残念なお知らせがあります?俺は超音痴だ。なので、メロディーはもっぱら口笛でつたえた。

 能力の使い方が勿体無いなとは思うが、地図を見させたら記憶していそうだ。驚きの記憶力だった。

 港を出てから、初日の道中は特に何事もなかった。

 2日目も何もなく暇で少しだらけていた。

 暇をもて余していて、俺は将棋盤と駒を作っていた。

 また、知っている遊びを皆に伝えていた。
 子供の遊びも全く違い、それはそれで、新鮮だった。

 2日目の宿も何事もなく、普通に過ごす。まあ、これが嵐の前の静けさって奴かなとか思っていた。
 ただ、時折ゼツエイがゴホゴホしているのが気になるのと、気の所為か間隔が短くなっている。

 残念ながら、回復魔法には病気治療がなく、怪我した時にしか使えなかった。

 まあ、帰りが順調ならそれで良い。

 それと、俺は激しく後悔していた。そうミザリアと致さなかった事をだ。
 格好を付け過ぎたが、結果として俺の事を紳士とみなし、女性陣のハートを鷲掴みにしていたのを今は知らなかったのであった。その前からだって?全員じゃなかったからね。ムネチカは主人として見ていての話で、友安として、1人の人として見ていた訳じゃないんだ。
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