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結果的に姫ポジ、快適かも。
オープンになってから皆優しい。絡んできてた井上君達まで優しくなった。そしてスキンシップが増えた。頭を撫でられたり抱き着かれるのは最早日常で、「彼女出来た時の練習」って言って膝に座らされたり姫抱きされる事もある。
今まで誰も話かけて来なかったのは僕が陰キャだからだと思っていたけど、見守りつつ牽制し合っていたからだって言われた。
クラスメイトと話す機会が増えると楽しくて、最近は陰キャ卒業出来るかもしれないって思ってるくらいだ。
そして文化祭シーズンがやって来た。
僕達のクラスはたこ焼き屋をやることが決まった。それは良い。それは良いんだけど、売り子は女装するってことになり案の定僕は満場一致で売り子に決定した。
男子校の文化祭でウケ狙いの女装は定番だって言われて、僕以外の売り子も女装するって事になった。陰キャな僕でも女装したらウケるだろうか? それに自分だけじゃないならお祭りみたいなものだし楽しいかもしれない。
夕ご飯を食べている時、家族にその事を話したら姉がやたらと乗り気になってしまい、当日の僕のメイクとヘアセットをやらせろって言い出した。流石にクラスの皆に確認しないとマズイと思って翌日教室でその話をしたら、なぜかそれも満場一致でOKになった。
文化祭当日がやって来た。
まず僕は教室で黒のシンプルな脛丈ワンピースとフリルのエプロンに着替えた。足元は白の折り返しソックスに黒いストラップパンプスを履いた。
「すごく可愛い」
「B組の牧野より可愛い」
「うちの小林の方が絶対可愛い」
着替えただけでクラスメイト達は盛り上がってくれて僕も嬉しくなってしまう。
「じゃあ、姉ちゃんにメイクしてもらって来るね」
教室を出て学校の駐車場に許可を貰って車で来ている姉のところに行く。車の中でメイクとヘアセット、衣装も整えてもらって(エプロンのリボンが縦結びだった)頭にツインテールになるつけ毛を着けてヘッドドレスも着けたらメイドスタイル完成だ。
「変じゃない?」
「さすが我が弟、バッチリだよ。開場したら母さん連れて見に来るね!」
「いいけど、うちのクラスはロシアンたこ焼きだから辛いのが混ざってるよ。じゃあ教室に戻るね。メイクありがとう」
姉にお礼を言って駐車場を離れて昇降口に向かう。そうしたら途中で生徒会の腕章を付けた生徒に呼び止められた。
「すみません。一般の方は入場開始前には入れませんので時間までお待ち下さい」
「あ、僕はこの学校の生徒です。もう衣装に着替えてしまったんです」
「えっ? 男? いや、でも。え?」
「小林君? え? 小林君だよね?!」
「高橋先輩、おはようございます」
戸惑っている生徒の後ろから高橋さんが声をかけてきた。良かった。僕を知っている人が来てくれたから大丈夫かな。
「小林君、まさかこの姿で学校まで来たの?」
「いえ、教室で着替えました。ちょっと外に出ていて今から戻る所です」
「…あぶないから教室まで送って行く。ちょっと離れるけどよろしく」
高橋さんが隣の腕章を付けた生徒に断って僕の肩に手を回して連れて行ってくれる。この恰好だとまた一般来場者に間違われてしまうからだろう。
「すみません。女装してると紛らわしいですよね」
「まあ、そうだね…。それにしても小林君のクラスは何やるの?」
「ロシアンたこ焼きです。売り子はみんな女装します」
そんな話をしながら教室へ向かう間も擦れ違う生徒がやたらこっちを見てきたからやっぱり一般来場者と思われているのかもしれない。でもこんな恰好で来る人なんているのかな。とは言え無事教室に到着できたのは高橋さんが送ってくれたおかげだ。
「ありがとうございました。高橋先輩のおかげで助かりました」
「どういたしまして。あんまりその姿で教室から出たら駄目だよ」
お礼を言ったらそんなことを言われたので、一般来場者が入ってくるまでは大人しくしていようと思った。手を振って帰って行く高橋さんや生徒会の人達にまた面倒をかけてしまうかもしれないもんな。
「メイクしてもらったよ。どうかな?」
教室に入って完成したメイドスタイルを披露したら更に盛り上がってくれた。
「うわぁっ、小林マジで可愛い!」
「凄い。女の子にしか見えない。ヤバいくらい可愛い!」
「小林っ、やっぱり付き合ってくれ!」
「佐藤君、罰ゲームはもういいから」
佐藤君が悪乗りしてまた沢田君にヘッドロックされてる。そんなやり取りもすっごく楽しい! 女装したからなのか自分のテンションもいつもより高い気がする。陰キャの僕がクラスメイトとこんな風に文化祭を楽しむことが出来るのも姫ポジになったおかげだ。
他の売り子担当の女装はチャイナドレスの野田君、セーラー服の伊藤君、後は花柄のワンピースを着てカツラを被っただけの中山君だ。そしてみんなメイクを自分でやったから中々凄い仕上がりになっていて、僕だけ普通のメイクなのは浮いちゃいそうだ。
「僕もほっぺに渦巻とか描いた方がいいかな?」
「「「「 絶対ダメ 」」」」
みんなに猛反対されてしまった。
オープンになってから皆優しい。絡んできてた井上君達まで優しくなった。そしてスキンシップが増えた。頭を撫でられたり抱き着かれるのは最早日常で、「彼女出来た時の練習」って言って膝に座らされたり姫抱きされる事もある。
今まで誰も話かけて来なかったのは僕が陰キャだからだと思っていたけど、見守りつつ牽制し合っていたからだって言われた。
クラスメイトと話す機会が増えると楽しくて、最近は陰キャ卒業出来るかもしれないって思ってるくらいだ。
そして文化祭シーズンがやって来た。
僕達のクラスはたこ焼き屋をやることが決まった。それは良い。それは良いんだけど、売り子は女装するってことになり案の定僕は満場一致で売り子に決定した。
男子校の文化祭でウケ狙いの女装は定番だって言われて、僕以外の売り子も女装するって事になった。陰キャな僕でも女装したらウケるだろうか? それに自分だけじゃないならお祭りみたいなものだし楽しいかもしれない。
夕ご飯を食べている時、家族にその事を話したら姉がやたらと乗り気になってしまい、当日の僕のメイクとヘアセットをやらせろって言い出した。流石にクラスの皆に確認しないとマズイと思って翌日教室でその話をしたら、なぜかそれも満場一致でOKになった。
文化祭当日がやって来た。
まず僕は教室で黒のシンプルな脛丈ワンピースとフリルのエプロンに着替えた。足元は白の折り返しソックスに黒いストラップパンプスを履いた。
「すごく可愛い」
「B組の牧野より可愛い」
「うちの小林の方が絶対可愛い」
着替えただけでクラスメイト達は盛り上がってくれて僕も嬉しくなってしまう。
「じゃあ、姉ちゃんにメイクしてもらって来るね」
教室を出て学校の駐車場に許可を貰って車で来ている姉のところに行く。車の中でメイクとヘアセット、衣装も整えてもらって(エプロンのリボンが縦結びだった)頭にツインテールになるつけ毛を着けてヘッドドレスも着けたらメイドスタイル完成だ。
「変じゃない?」
「さすが我が弟、バッチリだよ。開場したら母さん連れて見に来るね!」
「いいけど、うちのクラスはロシアンたこ焼きだから辛いのが混ざってるよ。じゃあ教室に戻るね。メイクありがとう」
姉にお礼を言って駐車場を離れて昇降口に向かう。そうしたら途中で生徒会の腕章を付けた生徒に呼び止められた。
「すみません。一般の方は入場開始前には入れませんので時間までお待ち下さい」
「あ、僕はこの学校の生徒です。もう衣装に着替えてしまったんです」
「えっ? 男? いや、でも。え?」
「小林君? え? 小林君だよね?!」
「高橋先輩、おはようございます」
戸惑っている生徒の後ろから高橋さんが声をかけてきた。良かった。僕を知っている人が来てくれたから大丈夫かな。
「小林君、まさかこの姿で学校まで来たの?」
「いえ、教室で着替えました。ちょっと外に出ていて今から戻る所です」
「…あぶないから教室まで送って行く。ちょっと離れるけどよろしく」
高橋さんが隣の腕章を付けた生徒に断って僕の肩に手を回して連れて行ってくれる。この恰好だとまた一般来場者に間違われてしまうからだろう。
「すみません。女装してると紛らわしいですよね」
「まあ、そうだね…。それにしても小林君のクラスは何やるの?」
「ロシアンたこ焼きです。売り子はみんな女装します」
そんな話をしながら教室へ向かう間も擦れ違う生徒がやたらこっちを見てきたからやっぱり一般来場者と思われているのかもしれない。でもこんな恰好で来る人なんているのかな。とは言え無事教室に到着できたのは高橋さんが送ってくれたおかげだ。
「ありがとうございました。高橋先輩のおかげで助かりました」
「どういたしまして。あんまりその姿で教室から出たら駄目だよ」
お礼を言ったらそんなことを言われたので、一般来場者が入ってくるまでは大人しくしていようと思った。手を振って帰って行く高橋さんや生徒会の人達にまた面倒をかけてしまうかもしれないもんな。
「メイクしてもらったよ。どうかな?」
教室に入って完成したメイドスタイルを披露したら更に盛り上がってくれた。
「うわぁっ、小林マジで可愛い!」
「凄い。女の子にしか見えない。ヤバいくらい可愛い!」
「小林っ、やっぱり付き合ってくれ!」
「佐藤君、罰ゲームはもういいから」
佐藤君が悪乗りしてまた沢田君にヘッドロックされてる。そんなやり取りもすっごく楽しい! 女装したからなのか自分のテンションもいつもより高い気がする。陰キャの僕がクラスメイトとこんな風に文化祭を楽しむことが出来るのも姫ポジになったおかげだ。
他の売り子担当の女装はチャイナドレスの野田君、セーラー服の伊藤君、後は花柄のワンピースを着てカツラを被っただけの中山君だ。そしてみんなメイクを自分でやったから中々凄い仕上がりになっていて、僕だけ普通のメイクなのは浮いちゃいそうだ。
「僕もほっぺに渦巻とか描いた方がいいかな?」
「「「「 絶対ダメ 」」」」
みんなに猛反対されてしまった。
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