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第2章:秀吉の憶えめでたくなろう
外堀埋められる
しおりを挟む「この度は誠にめでたいですなぁ。
寧々殿は、この藤吉郎にとってやはり高嶺の花でござった。
足軽大将の杉原家には、某、釣り合いが取れませんでしたな~」
なぜか、寧々ちゃんと祝言をあげている俺、明智光秀15歳です。
実年齢45歳にして初婚ですが、嬉しいよりも危機意識がJアラート並みに頭の中をよぎりによぎっています。
秀吉よ。
顔はいつものニコニコ猿面だけどな。
片目のまぶたがヒクヒクしているぞ。
決して俺のせいではない!
間違えるな。間違えて天下を取った時に俺を仲間はずれ、いや成敗するなんて考えるなよ~。
全くもって不安しかない。
蒲焼の一件以来、ご近所の杉原さんちの寧々ちゃんが、ことあるごとにお家に来るんだよ。
弁当作って来たとか、お鍋しているから一緒に食べませんかとか。
俺は断ろうとするんだが、食いしん坊のアレが、お家にはいるんだよなぁ。
「それは有難い! お邪魔いたしま~す」
と、勝手にドスドスと冬木の野郎がお呼ばれに応じてしまう。
時には、床下から
「ご主人様~。私も食べるです~」
と、蚊の鳴く様な小さな妹系アニメ声が聞こえてくる。
アゲハは寝床やタンス、薬の調合棚とかを狭い床下に持ちこんで、そこに住んでいる。部屋を用意すると言っても全然言う事を聞かない。
「忍びは常に主の身辺を警護するです」
と言って、譲らない。
その居場所が、なぜか俺の居間と寝所の真下に広がっている。
この場所が護衛に最適だとか言う。
真剣に守ってくれているのだから仕方ない。
寧々ちゃんもアゲハを可愛がるので、色々とガールズトークを展開している。
だがな。
ガールズトークのために床下に入っていくなよ、寧々ちゃん!
そんな生活を3か月。
ある時、信長が俺を呼びつけた。
「キンカン! 嫁を取れ!」
あ。
遂に俺。キンカンというあだ名になりました。
別にハゲていて、マゲが正月飾りの金柑のように見えたわけではなく。
段々と髪の毛の色が薄くなっちまったんだ。きっとあの糞坊主の仕業。
それがまるで金柑のような色だと、キラキラネーム好き?の信長君に付けられました~
「何故でございましょうや?」
「お主をもっと働かせるためよ」
?
平常運転の織田信長発言です。
全く意味が解らね~
「お主。毎日、酉の刻(午後5時)になると、どこにもよらずに真っ直ぐ家に帰ると聞いている。だが夜半まで明かりがついており、中で何やら作業をしていると。
今後の献策のために秘密の作業をして居るのであろう。
体を壊されては困る。もっと織田家のための工夫をせよ。そのための嫁じゃ。杉原の娘を貰え」
ああ。嫁に家事を任せてもっと働けと。
信長君にしては家臣想いかと思いきや、功利主義者でございました。
だが断る!
俺は現在、家事をサブカルの一つと考えている。
こんな時代だ。
俺は何としてでも、平成・令和の時代の文化を取り入れた生活様式を再現したいのだ! そのような作業を理解してくれる者がこの時代にいる筈がない!
と思っていた時期が、俺にもありました。
「光秀様!その装束は?この菓子は?そこの絵は何でございましょう!?」
……杉原寧々ちゃん。ハマりました。
ヲタク文化に。
俺と冬木の作っているフィギュアや、二次元萌えの絵に狂喜し、オムライスにハートマークを、ケチャップがないから木苺のジェルで描いて食わせてくれる。
しまいにはアゲハのコス作り始めるし。
外堀がどんどん埋められていきました、はい。
そしてアゲハが強力な援軍として立候補。
同年齢のおねいさんがいるのが嬉しかったんだろう。なにせ孤独な忍び。こっちも狂喜乱舞。
で、信長君。杉原家の事を聞き、俺たちを娶せたのです(涙
「これから寧々は光秀様に生涯ついて参ります。よろしくお願いいたします」
三つ指ついて、寝所でご対面。
45歳にしてDT卒業は嬉しいけど、こんなに可愛い嫁だけど。
1582年に秀吉に殺されるのは何としても避けねば!
こええよ~。
逃げ出したい。
お家に帰りたい。
あ、ここがお家か。
今から熨斗つけて秀吉君の所に送りつけるとか。
……無理ですか、そうですか。
「おい。アゲハ。どうでもいいから、これから寧々ちゃんと夜戦に突入するから退避しろ。ほかで警戒態勢をとれ」
床下のアゲハに命令する。
「……では、天井にて監視いたしますです。うふっ」
話の通じない奴は嫌いだぁ~。
ドンドンドン!
何だ騒々しい。
これから初夜だぞ!
誰かは知らんが、こんな夜中に人の家の戸を叩くな!
「明智殿! お城の石垣が崩れ、死傷者が出ておりまする。大至急登城せよと」
あ。
この前の台風で地盤が緩んだな。
まるで太閤記のような出来事。これから石垣修理かな?
扉を開けると、猿顔。
なんだかニヤニヤしているな。
初夜の邪魔出来て嬉しいか? 秀吉よ。
「わかり申した。火急的速やかに登城いたす」
猿顔が去った後、後ろを振り向くと、既に着物を用意している寧々ちゃん。
さすが北政所様。
手際がいいなぁ。
秀吉の内助の功。
光秀の内助の功になっちまいました。
ごめん秀吉くん。
今度、いい嫁探そうな。
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