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第2話 秘密の取引はマドレーヌの香り
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夜の学園は、昼間とは全然違う顔をしていた。
シンと静まり返った廊下、窓の外で風に揺れる木々の影が、まるで生き物みたいにうごめいて見える。
(こ、怖い……けど、行かなくちゃ!)
ぎゅっとレシピノートを抱きしめ、私は目的の場所――あの古い温室の裏手へと向かった。おばあちゃんのメモによれば、魔力を鎮める効果を持つ『月見草』は、清らかな月の光を浴びられる場所にしか咲かないらしい。
温室の近くまで来ると、昼間の恐怖が蘇ってきて、足がすくみそうになる。
(大丈夫、大丈夫……。これは、レオン様を助けるためなんだから……!)
自分に言い聞かせながら、茂みの中をそっと進む。
すると、暗闇の中に、ぼんやりと淡い光を放つ花々が浮かび上がった。
「わぁ……!」
思わず、声がもれた。
そこに咲いていたのは、月光を一身に浴びて、自ら発光しているかのように輝く、真っ白な月見草の群生だった。キラキラと光の粒子が、花の周りをふわりと舞っている。なんて幻想的な光景なの……!
私は夢中で、持ってきた小さなガラス瓶に、花びらに溜まった夜露のように輝く『月見草の蜜』を集めていった。花の甘い香りと、夜のひんやりとした空気が混ざり合って、私の不安な気持ちを優しく撫でてくれるみたい。
(よし、これだけあれば……!)
蜜で満たされた小瓶を大切にカバンにしまい、私は大急ぎで製菓科の実習室へと引き返した。
一人きりの実習室は、なんだかいつもよりずっと広く感じる。
私はエプロンをきゅっと締め直して、気合を入れた。
「――私の魔法は、あなたを笑顔にすること」
それは、お菓子作りを始める前にいつも唱える、私だけのおまじない。
まず、ボウルに新鮮な卵を割り入れて、泡立て器で丁寧に混ぜる。そこに、ふんわりと振るった最高級の小麦粉と、お砂糖。バターは、焦がさないようにゆっくり、ゆっくりと鍋で溶かして、甘い香りを最大限に引き出す。
そして――ガラスの小瓶を取り出した。
蓋を開けると、月見草の甘くて清らかな香りが、ふわっと実習室いっぱいに広がった。
生地の中に、蜜をそっと垂らす。
トクトク……という小さな音と共に、生地に落ちた蜜が、まるで星屑みたいにキラキラと輝きながら溶けていく。
(美味しくなあれ……)
心の中で、強く、強く念じる。
(どうか、このお菓子が、あなたの苦しみを少しでも和らげますように。あなたの心が、穏やかになりますように――)
生地をマドレーヌの型に流し込み、オーブンに入れる。
あとは、焼き上がりを待つだけ。
オーブンの小さな窓から中を覗くと、生地がぷっくりと、可愛らしく膨らんでいくのが見えた。
チーン!という軽やかな音と共に、扉を開ける。
「……できた!」
そこに現れたのは、貝殻みたいな形をした、完璧な黄金色のマドレーヌだった。
表面はつややかに輝いていて、まるで月の光そのものを閉じ込めたみたいに、優しくて、温かい光を放っている。
甘いバターの香りに混じって、月見草の清らかな香りが、私の胸をいっぱいにした。
これなら、きっと……。
私は完成した『月のマドレーヌ』を、レースペーパーで一つ一つ丁寧にラッピングしながら、明日、どうやって彼にこれを渡そうか、そればかりを考えていた。
◇
翌日の放課後。
私は、今まで足を踏み入れたことのない領域――魔法科の校舎の前に立っていた。
(うぅ……空気が違う……)
製菓科の甘くてのんびりした雰囲気とは正反対の、ピリッとした緊張感が漂っている。廊下を歩く生徒たちも、みんな自信に満ちあふれていて、なんだかすごく大人に見えた。
(場違い感、半端ない……でも!)
ここで帰るわけにはいかない。
私は胸に抱えたマドレーヌの箱をぎゅっと握りしめ、レオン様の姿を探した。
キョロキョロと辺りを見回していると、中庭に面した大きな木の下に、見覚えのある銀髪を見つけた。
(いた……!)
レオン様だった。
彼は一人、木陰のベンチに座って、分厚い魔導書を静かに読んでいた。
さらり、と風が彼の銀髪を揺らす。木漏れ日が彼の白い肌を照らして、キラキラと輝いている。その姿は、やっぱりこの世のものとは思えないくらい綺麗で、私は一瞬、声をかけるのも忘れて見とれてしまった。
(……って、ダメダメ!私、何しに来たの!)
ドクン、ドクンと暴れる心臓を叱咤して、私は意を決して彼に近付いた。
「あ、あの……レオン様!」
私の声に、彼の肩がぴくりと揺れた。
ゆっくりと本から顔を上げたレオン様は、私を認識した瞬間、サファイアの瞳をすっと細めた。
その視線は、昨日よりもっとずっと冷たくて、鋭くて、私の心臓を氷の矢で射抜くみたいだった。
「……何の用だ」
「えっと、これは……その……」
「昨日のことは忘れろと言ったはずだ。それとも何か? 俺の弱みを握ったつもりで、脅しに来たのか?」
彼の言葉は、突き放すように冷たい。
ズキッ、と胸が痛んで、喉がキュッと締まる。
(違う、そんなんじゃないのに……!)
あまりの威圧感に、足が震えて、後ずさりしそうになる。
でも、ここで逃げたら、全部終わりだ。私の気持ちも、このマドレーヌも、届かないまま。
私はぶんぶんと首を横に振って、彼の前に一歩踏み出した。
「違います! そうじゃなくて……これを、受け取ってください!」
そう言って、彼の目の前にマドレーヌの箱を差し出す。
レオン様は、箱に一瞥をくれただけで、鼻でフンと笑った。
「……くだらない。そんなもので俺を懐柔できるとでも思ったか? 落ちこぼれの製菓科が作った、ままごと菓子など」
「ままごとじゃ、ありません!」
思わず、大きな声が出ていた。
彼の驚いた顔が見える。
「これは……! これは、ただのお菓子じゃないんです! 魔力を穏やかにする効果がある、特別な魔法菓子なんです!」
もう、どうにでもなれ。
私は必死で、言葉を続けた。
「昨日、あなたが苦しんでるのを見て……私、何もできなかったから……! だから、私にできることをしたかったんです! あなたの、助けになりたいんです!」
◇
「――魔力を、穏やかにする?」
私の言葉に、レオン様の氷のような表情が、ほんの少しだけ揺らいだ気がした。
彼は私の顔と、私が差し出した箱を、疑うように交互に見ている。
そのサファイアの瞳の奥に、ほんの一瞬だけ、昨日見たような弱々しい光が宿ったのを、私は見逃さなかった。
(やっぱり、彼は一人で苦しんでるんだ……!)
そう確信した途端、さっきまでの恐怖が嘘みたいに消えていく。
「本当です! 私のおばあちゃんから教わった、秘密のレシピなんです。月見草の蜜には、乱れた魔力を優しく鎮める力があるって……!」
「……月見草だと?」
「はい! だから、どうか、試してみてください!」
私の真っ直ぐな瞳を、彼はじっと見つめていた。
沈黙が、気まずく流れる。
もうダメかな。やっぱり、信じてもらえないのかな。
私が諦めかけて、差し出した腕を下ろそうとした、その時だった。
すっ、と彼の綺麗な指先が伸びてきて、私の手からマドレーヌの箱を、まるでひったくるみたいに奪い取った。
「え……?」
「……取引だ」
ぶっきらぼうに、彼は言った。
「これを飲んで、もし効果があるなら……昨日のことは不問にしてやる。だが、その代わり、お前は俺の秘密を墓場まで持っていけ。誰かに話したのがわかった瞬間――どうなるか、わかるな?」
「……は、はい!」
「それから……」
彼は一度言葉を切ると、私の方に一歩近付いた。
ふわっと、彼の冷たくて、でもどこか澄んだ香りがして、ドキッとする。
「二度と、俺の前でその腑抜けた菓子作りを『魔法』などと呼ぶな。不愉快だ」
そう言い捨てると、レオン様は私に背を向けて、さっさと歩き去ってしまった。
その横顔は、やっぱり冷たくて、綺麗で……でも、ほんの少しだけ、耳が赤くなっているように見えたのは、きっと夕日のせいだ。
(……って、なんで私が彼のことでこんなに一喜一憂してるの――っ!?)
一人、中庭に残された私。
心臓は、まだバクバクと大きな音を立てている。
突き放されたはずなのに。不愉快だとまで言われたはずなのに。
なぜか、ちっとも嫌な気持ちじゃなかった。
それどころか、胸の奥から、ぽかぽかと温かいものが込み上げてくる。
(受け取って、くれた……!)
私の作った魔法菓子を、あの氷の王子様が、受け取ってくれた。
ただそれだけのことが、信じられないくらい嬉しくて、私はその場で飛び跳ねたいくらいの気持ちを必死で抑えた。
その頃、レオンが自室で一人、手の中の小さな箱を無言で見つめていることなど、もちろん私は知らない。
箱から漂う、甘くて優しい香りに戸惑いながら、彼がゆっくりとマドレーヌを一つ、口に運んだことも。
そして、その優しい甘さが体に染み渡った瞬間、彼の荒れ狂う魔力が、本当に少しだけ、穏やかになったことにも――。
落ちこぼれパティシエールの私と、心を閉ざした王子様の、秘密の取引が始まった。
このとろけるように甘いお菓子が、二人の運命を大きく変えていくことになるなんて、この時の私はまだ、知る由もなかった。
シンと静まり返った廊下、窓の外で風に揺れる木々の影が、まるで生き物みたいにうごめいて見える。
(こ、怖い……けど、行かなくちゃ!)
ぎゅっとレシピノートを抱きしめ、私は目的の場所――あの古い温室の裏手へと向かった。おばあちゃんのメモによれば、魔力を鎮める効果を持つ『月見草』は、清らかな月の光を浴びられる場所にしか咲かないらしい。
温室の近くまで来ると、昼間の恐怖が蘇ってきて、足がすくみそうになる。
(大丈夫、大丈夫……。これは、レオン様を助けるためなんだから……!)
自分に言い聞かせながら、茂みの中をそっと進む。
すると、暗闇の中に、ぼんやりと淡い光を放つ花々が浮かび上がった。
「わぁ……!」
思わず、声がもれた。
そこに咲いていたのは、月光を一身に浴びて、自ら発光しているかのように輝く、真っ白な月見草の群生だった。キラキラと光の粒子が、花の周りをふわりと舞っている。なんて幻想的な光景なの……!
私は夢中で、持ってきた小さなガラス瓶に、花びらに溜まった夜露のように輝く『月見草の蜜』を集めていった。花の甘い香りと、夜のひんやりとした空気が混ざり合って、私の不安な気持ちを優しく撫でてくれるみたい。
(よし、これだけあれば……!)
蜜で満たされた小瓶を大切にカバンにしまい、私は大急ぎで製菓科の実習室へと引き返した。
一人きりの実習室は、なんだかいつもよりずっと広く感じる。
私はエプロンをきゅっと締め直して、気合を入れた。
「――私の魔法は、あなたを笑顔にすること」
それは、お菓子作りを始める前にいつも唱える、私だけのおまじない。
まず、ボウルに新鮮な卵を割り入れて、泡立て器で丁寧に混ぜる。そこに、ふんわりと振るった最高級の小麦粉と、お砂糖。バターは、焦がさないようにゆっくり、ゆっくりと鍋で溶かして、甘い香りを最大限に引き出す。
そして――ガラスの小瓶を取り出した。
蓋を開けると、月見草の甘くて清らかな香りが、ふわっと実習室いっぱいに広がった。
生地の中に、蜜をそっと垂らす。
トクトク……という小さな音と共に、生地に落ちた蜜が、まるで星屑みたいにキラキラと輝きながら溶けていく。
(美味しくなあれ……)
心の中で、強く、強く念じる。
(どうか、このお菓子が、あなたの苦しみを少しでも和らげますように。あなたの心が、穏やかになりますように――)
生地をマドレーヌの型に流し込み、オーブンに入れる。
あとは、焼き上がりを待つだけ。
オーブンの小さな窓から中を覗くと、生地がぷっくりと、可愛らしく膨らんでいくのが見えた。
チーン!という軽やかな音と共に、扉を開ける。
「……できた!」
そこに現れたのは、貝殻みたいな形をした、完璧な黄金色のマドレーヌだった。
表面はつややかに輝いていて、まるで月の光そのものを閉じ込めたみたいに、優しくて、温かい光を放っている。
甘いバターの香りに混じって、月見草の清らかな香りが、私の胸をいっぱいにした。
これなら、きっと……。
私は完成した『月のマドレーヌ』を、レースペーパーで一つ一つ丁寧にラッピングしながら、明日、どうやって彼にこれを渡そうか、そればかりを考えていた。
◇
翌日の放課後。
私は、今まで足を踏み入れたことのない領域――魔法科の校舎の前に立っていた。
(うぅ……空気が違う……)
製菓科の甘くてのんびりした雰囲気とは正反対の、ピリッとした緊張感が漂っている。廊下を歩く生徒たちも、みんな自信に満ちあふれていて、なんだかすごく大人に見えた。
(場違い感、半端ない……でも!)
ここで帰るわけにはいかない。
私は胸に抱えたマドレーヌの箱をぎゅっと握りしめ、レオン様の姿を探した。
キョロキョロと辺りを見回していると、中庭に面した大きな木の下に、見覚えのある銀髪を見つけた。
(いた……!)
レオン様だった。
彼は一人、木陰のベンチに座って、分厚い魔導書を静かに読んでいた。
さらり、と風が彼の銀髪を揺らす。木漏れ日が彼の白い肌を照らして、キラキラと輝いている。その姿は、やっぱりこの世のものとは思えないくらい綺麗で、私は一瞬、声をかけるのも忘れて見とれてしまった。
(……って、ダメダメ!私、何しに来たの!)
ドクン、ドクンと暴れる心臓を叱咤して、私は意を決して彼に近付いた。
「あ、あの……レオン様!」
私の声に、彼の肩がぴくりと揺れた。
ゆっくりと本から顔を上げたレオン様は、私を認識した瞬間、サファイアの瞳をすっと細めた。
その視線は、昨日よりもっとずっと冷たくて、鋭くて、私の心臓を氷の矢で射抜くみたいだった。
「……何の用だ」
「えっと、これは……その……」
「昨日のことは忘れろと言ったはずだ。それとも何か? 俺の弱みを握ったつもりで、脅しに来たのか?」
彼の言葉は、突き放すように冷たい。
ズキッ、と胸が痛んで、喉がキュッと締まる。
(違う、そんなんじゃないのに……!)
あまりの威圧感に、足が震えて、後ずさりしそうになる。
でも、ここで逃げたら、全部終わりだ。私の気持ちも、このマドレーヌも、届かないまま。
私はぶんぶんと首を横に振って、彼の前に一歩踏み出した。
「違います! そうじゃなくて……これを、受け取ってください!」
そう言って、彼の目の前にマドレーヌの箱を差し出す。
レオン様は、箱に一瞥をくれただけで、鼻でフンと笑った。
「……くだらない。そんなもので俺を懐柔できるとでも思ったか? 落ちこぼれの製菓科が作った、ままごと菓子など」
「ままごとじゃ、ありません!」
思わず、大きな声が出ていた。
彼の驚いた顔が見える。
「これは……! これは、ただのお菓子じゃないんです! 魔力を穏やかにする効果がある、特別な魔法菓子なんです!」
もう、どうにでもなれ。
私は必死で、言葉を続けた。
「昨日、あなたが苦しんでるのを見て……私、何もできなかったから……! だから、私にできることをしたかったんです! あなたの、助けになりたいんです!」
◇
「――魔力を、穏やかにする?」
私の言葉に、レオン様の氷のような表情が、ほんの少しだけ揺らいだ気がした。
彼は私の顔と、私が差し出した箱を、疑うように交互に見ている。
そのサファイアの瞳の奥に、ほんの一瞬だけ、昨日見たような弱々しい光が宿ったのを、私は見逃さなかった。
(やっぱり、彼は一人で苦しんでるんだ……!)
そう確信した途端、さっきまでの恐怖が嘘みたいに消えていく。
「本当です! 私のおばあちゃんから教わった、秘密のレシピなんです。月見草の蜜には、乱れた魔力を優しく鎮める力があるって……!」
「……月見草だと?」
「はい! だから、どうか、試してみてください!」
私の真っ直ぐな瞳を、彼はじっと見つめていた。
沈黙が、気まずく流れる。
もうダメかな。やっぱり、信じてもらえないのかな。
私が諦めかけて、差し出した腕を下ろそうとした、その時だった。
すっ、と彼の綺麗な指先が伸びてきて、私の手からマドレーヌの箱を、まるでひったくるみたいに奪い取った。
「え……?」
「……取引だ」
ぶっきらぼうに、彼は言った。
「これを飲んで、もし効果があるなら……昨日のことは不問にしてやる。だが、その代わり、お前は俺の秘密を墓場まで持っていけ。誰かに話したのがわかった瞬間――どうなるか、わかるな?」
「……は、はい!」
「それから……」
彼は一度言葉を切ると、私の方に一歩近付いた。
ふわっと、彼の冷たくて、でもどこか澄んだ香りがして、ドキッとする。
「二度と、俺の前でその腑抜けた菓子作りを『魔法』などと呼ぶな。不愉快だ」
そう言い捨てると、レオン様は私に背を向けて、さっさと歩き去ってしまった。
その横顔は、やっぱり冷たくて、綺麗で……でも、ほんの少しだけ、耳が赤くなっているように見えたのは、きっと夕日のせいだ。
(……って、なんで私が彼のことでこんなに一喜一憂してるの――っ!?)
一人、中庭に残された私。
心臓は、まだバクバクと大きな音を立てている。
突き放されたはずなのに。不愉快だとまで言われたはずなのに。
なぜか、ちっとも嫌な気持ちじゃなかった。
それどころか、胸の奥から、ぽかぽかと温かいものが込み上げてくる。
(受け取って、くれた……!)
私の作った魔法菓子を、あの氷の王子様が、受け取ってくれた。
ただそれだけのことが、信じられないくらい嬉しくて、私はその場で飛び跳ねたいくらいの気持ちを必死で抑えた。
その頃、レオンが自室で一人、手の中の小さな箱を無言で見つめていることなど、もちろん私は知らない。
箱から漂う、甘くて優しい香りに戸惑いながら、彼がゆっくりとマドレーヌを一つ、口に運んだことも。
そして、その優しい甘さが体に染み渡った瞬間、彼の荒れ狂う魔力が、本当に少しだけ、穏やかになったことにも――。
落ちこぼれパティシエールの私と、心を閉ざした王子様の、秘密の取引が始まった。
このとろけるように甘いお菓子が、二人の運命を大きく変えていくことになるなんて、この時の私はまだ、知る由もなかった。
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