追放令嬢、魔導と科学で文明開花いたしますわ〜辺境から始める世界再設計〜

☆ほしい

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第27話

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 未来局の稼働によって、アウローラはますます勢いを増しましたの。次々と生まれる新技術により、都市機能は日ごとに進化し、生活水準は爆発的に向上いたしましたわ。

 「お嬢様! 新型魔力変換炉、試運転成功です!」

 リゼが目を輝かせながら報告してきましたの。

 「よろしいですわ。では、公共施設から順次導入を開始なさい」

 「了解です!」

 わたくしは書類に目を通しながら、次の手を考えましたの。次なる目標は、アウローラ連邦の防衛体制の強化。それも、外敵を撃退するためではなく、抑止力として機能させるためですわ。

 「リゼ、防衛局の強化案、進捗は?」

 「はいっ! 自律型防衛ネットワークの拡張工事が九割完了です!」

 「ふふ、順調ですわね。リゼ、次は空中防衛網に着手いたしましょう」

 「そ、空中……!?」

 「ええ、飛翔型魔導機構による広域索敵と迎撃体制の構築。これがあれば、地上からの侵攻だけでなく、空からの奇襲も防げますわ」

 リゼがメモを取りながら必死に頷いておりましたの。

 「お嬢様、ほんとうに全部考えて……」

 「当然ですわ。国家運営とは、あらゆる可能性を想定し、先手を打ち続けることですもの」

 その間にも、王国はあらゆる妨害を仕掛けてまいりましたわ。

 「お嬢様、王国が沿岸交易同盟に経済制裁をちらつかせています!」

 「ふふ、愚かな」

 わたくしは冷笑を漏らしましたの。

 「リゼ、すぐに沿岸交易同盟へ追加支援を通達なさい。特区製インフラ整備の無償提供も提案して」

 「了解です!」

 王国が締め付ければ締め付けるほど、逆にアウローラの影響力は増していく。まるで締めた手の中から水が溢れるように。

 その数日後、沿岸交易同盟が正式にアウローラ連邦への加盟を表明いたしましたの。

 「リゼ、これで連邦の海上ルートも確保できましたわ」

 「はいっ! もう、王国に封鎖される心配はありません!」

 ええ、もはや王国の経済圏は縮小の一途ですわ。焦り、苛立ち、無策。すべてが、わたくしの望む展開。

 そんな中、王国はついに直接交渉に出てきましたの。

 「お嬢様、王国から特使が来ています!」

 「ふふ、ようやくですのね」

 わたくしは悠然と立ち上がりましたの。

 応接室に通された特使は、硬直した表情の中年男でしたわ。彼は机に分厚い封筒を置き、わたくしに頭を下げましたの。

 「グリムヴァルト……いや、アウローラ連邦代表エリス閣下。我が王国は、貴国との正式な国交樹立を希望する」

 「まあ、殊勝なことで」

 わたくしはティーカップを傾けながら、涼しい顔で返しましたの。

 「ですが、条件がございますわ」

 特使が顔を引きつらせましたのを見て、わたくしはさらに言葉を重ねましたの。

 「第一に、王国は特区独立を正式に承認すること」

 「……ぐ……」

 「第二に、技術交流を双方向に行うこと。もちろん、我々の技術を一方的に搾取する形ではなく」

 「く……」

 「第三に、王国の教育制度に、特区式カリキュラムを完全導入すること」

 特使は顔色を失い、震えながら答えましたわ。

 「……持ち帰り、検討する……」

 「よろしいですわ」

 わたくしは微笑んでティーカップを置きましたの。

 「時間はあまり残されておりませんのよ? 王国が自壊するのが先か、賢明な判断をするのが先か。興味深い賭けですわね」

 特使は青ざめた顔で逃げるように部屋を出て行きましたわ。

 リゼが息を飲みながら尋ねましたの。

 「お嬢様、本当に……王国を……」

 「崩壊させるつもりですわ」

 わたくしはさらりと言いましたの。

 「彼らが変われないなら、壊してしまえばいい。新しい秩序を築くのは、わたくしたちですもの」

 リゼが小さく拳を握り締めるのを、わたくしは横目で見ながら、次の指示を出しましたの。

 「リゼ、次の計画に移りますわ。世界魔導標準化計画を開始いたします」

 「はいっ!」

 わたくしたちは、さらに前へ進みますの。
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