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第61話
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第二波侵攻の余波が静まる間もなく、わたくしは次の局面への対応に意識を集中しましたの。
クロノス機関の意図は、もはや単なる武力侵攻ではありませんわ。都市中枢《アウローラ・ハート》に流れ込む量子情報群の解析結果から、敵が我が未来都市群の存在構造そのものを反転・吸収しようとしていることが見えてきましたの。
「リゼ、量子干渉帯域での歪曲レベル、再確認なさい」
「現在レベル7! これ以上進行すれば、都市座標そのものが分解されます!」
「ならば、座標を固定するしかありませんわ」
わたくしは魔導演算盤へと手を伸ばし、《次元重鎖固定式・グラントノード》を起動しましたの。空間の繋がりそのものを鎖で縫い止める、わたくしが開発したばかりの術式ですわ。塔の骨格が震えましたが、それでも崩壊は止まりましたの。
「ふう、座標固定完了。とりあえず、こちらの足場は確保できましたわね」
リゼがホログラム表示されたマップを睨みながら叫びましたの。
「しかしお嬢様! 西部区域にて新たな歪曲が発生! しかもこれは……!」
「何ですの?」
「転移ゲートを複数起動……敵勢力、同時多発転送で都市内部に侵入を……!」
「ふふ、今度は同時多面展開で来ましたのね。だとしても、こちらには都市全域に網羅された迎撃網がございますわ」
わたくしは指を鳴らし、即座に命令を下しましたの。
「《アウローラ・シールド》を局所解除、転移座標をエネルギーホーミングで囲い込み、敵部隊を封鎖なさい。各エリア防衛隊には即時殲滅プロトコルを」
「了解!」
リゼが一斉指令を発信し、都市各区画に設置された魔導演算ノードが稼働を開始しましたの。外周地区から中央中枢に至るまで、あらゆる場所が赤い警告色に染まりましたの。
「面白くなってまいりましたわ。リゼ、わたくし自らも迎撃に参ります。中枢制御は副補佐官チームへ委譲を」
「そんな……! お嬢様が前線へ!? 危険すぎます!」
「それでも行かねばなりませんの。今回の敵、どうも引っかかりますわ。単なる量産機や戦術兵器の進化系ではない、何か別の“意志”を感じますもの」
わたくしは愛用の魔導手袋を強く握り締めましたの。《プロメテウス》の心臓部に接続し、即時起動モードへと移行。
「《戦闘装束・ミスティア・エルヴェイン》起動。適合率、百パーセント。全武装、展開完了ですわ」
全身を覆う軽量装甲が展開し、魔力伝導体で編まれたローブがはためきましたの。視界が切り替わり、敵の存在波動が精密に浮かび上がってまいりましたわ。
「第一接敵地点、西部第七工業区。そこに何かがございますの」
わたくしは跳躍し、空間を飛び越えて転移いたしましたの。次元座標を跨ぐ感覚にもはや慣れておりますわ。数秒後、わたくしは現地へと到達。
「……これは」
そこには、見慣れた装備を纏った敵機体群ではなく、まるで生き物のように蠢く有機金属構造体――まるで、人工的に進化させられた生命体のような存在が蠢いておりましたの。
「これはただの兵器ではありませんわね。半生命体……いえ、“時空寄生型生命機構”とでも呼ぶべきかしら」
その一体が、わたくしを見据えるようにこちらへと向かってきましたの。
「……言葉を理解するかしら? 貴様、どこから現れたの?」
返答はありませんでしたが、代わりに精神波動のようなものが脳に直接届きましたの。
――“原初因果核ノ在処、報告ヲ要請ス。セラフィム消失確認。次ノ調律対象、エリス・フォン・グリムヴァルト。抹消優先度、最大。”
「……あらあら。ずいぶんと失礼な挨拶ですこと」
わたくしは即座に《虚数反射陣・イレヴン・レイヤ》を展開し、敵が放ってきた精神干渉波を跳ね返しましたの。すると、その存在が急激に体表を変化させ、巨大な刃のような触手を展開しましたの。
「なるほど、今度は物理的手段ですのね。ですが、それではわたくしには届きませんわ」
《反重力斥力推進・ゼフィルドシステム》を起動、重力場の支配領域から脱出しながら、わたくしは右腕に《拡張戦術武装・ヘリオスフレア》を生成しましたの。
「この一撃、受け止めてみなさい!」
炸裂する熱量の奔流が、敵の体表を貫きましたの。しかし、次の瞬間、奴は傷ついた箇所を自己再構成し、再び形を戻しましたの。
「自己修復能力まで……いや、これは記憶を伴う自己適応型? まるで学習しているようですわね」
リゼの声が通信越しに飛び込んできましたの。
「お嬢様! 都市内に散見される同様の構造体、全てが同じ信号パターンを持っています! おそらくこの個体がコアです!」
「コアね……ならば、ここで叩き潰すしかありませんわ」
わたくしは剣型魔導兵装《ソル=リベリオン》を召喚し、全身の演算リソースを攻撃に特化しましたの。
「未来を創る者の剣、見せて差し上げますわ!」
突撃。
刹那の交錯。
触手が放つ時間差攻撃を《時空位相解析シールド》で受け流し、空中で剣を旋回させながらカウンターを放ちましたの。
「滅びなさい、《断因果・ソルフレア》!」
剣から放たれた光が敵コアに直撃し、粒子崩壊が始まりましたの。奴の精神波動が断末魔のように乱れ、周囲の従属体も次々と沈黙していきましたわ。
「……これで一掃ですわね」
ですが、わたくしの視界に警告が飛び込んできましたの。
「……! リゼ、新たな波動反応、今の十倍規模。何ですの、これは?」
「解析不能……ですが、おそらく“本体”です!」
「まったく、次から次へと……よろしいですわ。迎えて差し上げます」
新たなる敵の出現を前にしても、わたくしは微塵も怯えず、むしろ胸の高鳴りを抑えきれませんでしたの。敵の正体、クロノス機関の真なる切り札――それを打ち破ってこそ、未来はわたくしたちの手にございますもの。
クロノス機関の意図は、もはや単なる武力侵攻ではありませんわ。都市中枢《アウローラ・ハート》に流れ込む量子情報群の解析結果から、敵が我が未来都市群の存在構造そのものを反転・吸収しようとしていることが見えてきましたの。
「リゼ、量子干渉帯域での歪曲レベル、再確認なさい」
「現在レベル7! これ以上進行すれば、都市座標そのものが分解されます!」
「ならば、座標を固定するしかありませんわ」
わたくしは魔導演算盤へと手を伸ばし、《次元重鎖固定式・グラントノード》を起動しましたの。空間の繋がりそのものを鎖で縫い止める、わたくしが開発したばかりの術式ですわ。塔の骨格が震えましたが、それでも崩壊は止まりましたの。
「ふう、座標固定完了。とりあえず、こちらの足場は確保できましたわね」
リゼがホログラム表示されたマップを睨みながら叫びましたの。
「しかしお嬢様! 西部区域にて新たな歪曲が発生! しかもこれは……!」
「何ですの?」
「転移ゲートを複数起動……敵勢力、同時多発転送で都市内部に侵入を……!」
「ふふ、今度は同時多面展開で来ましたのね。だとしても、こちらには都市全域に網羅された迎撃網がございますわ」
わたくしは指を鳴らし、即座に命令を下しましたの。
「《アウローラ・シールド》を局所解除、転移座標をエネルギーホーミングで囲い込み、敵部隊を封鎖なさい。各エリア防衛隊には即時殲滅プロトコルを」
「了解!」
リゼが一斉指令を発信し、都市各区画に設置された魔導演算ノードが稼働を開始しましたの。外周地区から中央中枢に至るまで、あらゆる場所が赤い警告色に染まりましたの。
「面白くなってまいりましたわ。リゼ、わたくし自らも迎撃に参ります。中枢制御は副補佐官チームへ委譲を」
「そんな……! お嬢様が前線へ!? 危険すぎます!」
「それでも行かねばなりませんの。今回の敵、どうも引っかかりますわ。単なる量産機や戦術兵器の進化系ではない、何か別の“意志”を感じますもの」
わたくしは愛用の魔導手袋を強く握り締めましたの。《プロメテウス》の心臓部に接続し、即時起動モードへと移行。
「《戦闘装束・ミスティア・エルヴェイン》起動。適合率、百パーセント。全武装、展開完了ですわ」
全身を覆う軽量装甲が展開し、魔力伝導体で編まれたローブがはためきましたの。視界が切り替わり、敵の存在波動が精密に浮かび上がってまいりましたわ。
「第一接敵地点、西部第七工業区。そこに何かがございますの」
わたくしは跳躍し、空間を飛び越えて転移いたしましたの。次元座標を跨ぐ感覚にもはや慣れておりますわ。数秒後、わたくしは現地へと到達。
「……これは」
そこには、見慣れた装備を纏った敵機体群ではなく、まるで生き物のように蠢く有機金属構造体――まるで、人工的に進化させられた生命体のような存在が蠢いておりましたの。
「これはただの兵器ではありませんわね。半生命体……いえ、“時空寄生型生命機構”とでも呼ぶべきかしら」
その一体が、わたくしを見据えるようにこちらへと向かってきましたの。
「……言葉を理解するかしら? 貴様、どこから現れたの?」
返答はありませんでしたが、代わりに精神波動のようなものが脳に直接届きましたの。
――“原初因果核ノ在処、報告ヲ要請ス。セラフィム消失確認。次ノ調律対象、エリス・フォン・グリムヴァルト。抹消優先度、最大。”
「……あらあら。ずいぶんと失礼な挨拶ですこと」
わたくしは即座に《虚数反射陣・イレヴン・レイヤ》を展開し、敵が放ってきた精神干渉波を跳ね返しましたの。すると、その存在が急激に体表を変化させ、巨大な刃のような触手を展開しましたの。
「なるほど、今度は物理的手段ですのね。ですが、それではわたくしには届きませんわ」
《反重力斥力推進・ゼフィルドシステム》を起動、重力場の支配領域から脱出しながら、わたくしは右腕に《拡張戦術武装・ヘリオスフレア》を生成しましたの。
「この一撃、受け止めてみなさい!」
炸裂する熱量の奔流が、敵の体表を貫きましたの。しかし、次の瞬間、奴は傷ついた箇所を自己再構成し、再び形を戻しましたの。
「自己修復能力まで……いや、これは記憶を伴う自己適応型? まるで学習しているようですわね」
リゼの声が通信越しに飛び込んできましたの。
「お嬢様! 都市内に散見される同様の構造体、全てが同じ信号パターンを持っています! おそらくこの個体がコアです!」
「コアね……ならば、ここで叩き潰すしかありませんわ」
わたくしは剣型魔導兵装《ソル=リベリオン》を召喚し、全身の演算リソースを攻撃に特化しましたの。
「未来を創る者の剣、見せて差し上げますわ!」
突撃。
刹那の交錯。
触手が放つ時間差攻撃を《時空位相解析シールド》で受け流し、空中で剣を旋回させながらカウンターを放ちましたの。
「滅びなさい、《断因果・ソルフレア》!」
剣から放たれた光が敵コアに直撃し、粒子崩壊が始まりましたの。奴の精神波動が断末魔のように乱れ、周囲の従属体も次々と沈黙していきましたわ。
「……これで一掃ですわね」
ですが、わたくしの視界に警告が飛び込んできましたの。
「……! リゼ、新たな波動反応、今の十倍規模。何ですの、これは?」
「解析不能……ですが、おそらく“本体”です!」
「まったく、次から次へと……よろしいですわ。迎えて差し上げます」
新たなる敵の出現を前にしても、わたくしは微塵も怯えず、むしろ胸の高鳴りを抑えきれませんでしたの。敵の正体、クロノス機関の真なる切り札――それを打ち破ってこそ、未来はわたくしたちの手にございますもの。
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