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第62話
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わたくしは次なる敵性反応の座標を即座に捕捉し、現場へと転移いたしましたの。転移直後、肌を刺すような圧力とともに、空間そのものが異常な振動を始めましたの。
なるほど、これは通常の次元干渉波ではありませんわ。むしろ、空間の論理構造を裏返そうとする……いえ、“書き換え”を伴う魔導的侵略現象。これまでの敵とは、根本から異なる波動特性を持っていますの。
「リゼ、波動解析を急ぎなさい。可能なら、敵の根源演算構造を抽出しなさい」
「了解です! ただし、相当な干渉密度……完全解析には時間がかかりそうです!」
「よろしいわ、時間はわたくしが稼ぎますわ」
視界を埋め尽くすように現れたのは、金属光沢を帯びた球体群でしたの。だが単なる兵器ではございませんの。その中心には脈動するような有機核が存在し、まるで意思を持って動いているように見えますの。自己判断、自己適応、自己増殖型――すなわち、魔導生命体の応用種ですわね。しかも、この反応は……セラフィムのそれと類似していますわ。
「成程、貴女たち……セラフィムの残滓から抽出された模倣体ですのね。クロノス機関、ついに魂まで技術として扱い始めたのかしら」
球体群が一斉に震え、無数の刃状の触手を伸ばしてまいりましたの。空間を切断する軌跡が迫りくる中、わたくしは即座に反応。
「《重層障壁・クロノライズ》起動」
六重構造の魔導防壁がわたくしの周囲を覆い、初撃をすべて弾き返しましたの。その隙に、わたくしは展開していた魔導式を変換し、迎撃モードへと移行。
「《位相加速式・ブレイズノート》、全力展開。周囲四十メートル、焼却領域として指定」
空間が燃え上がるように変質し、敵の前衛球体が一斉に融解しましたの。しかし、奥からさらに同型の球体が迫ってきますわ。どうやら、単体の撃破には意味がない。敵全体でひとつの演算ネットワークを構築している様子。となれば、やるべきことはひとつですわ。
「リゼ、相互演算ルートを突き止めなさい。中央ノードを突けば全体を停止させられますわ」
「はい! 該当ノード、特定……中央塔地下第七層のエネルギー中枢を核にしてます!」
「そこですわね。ならば、切り裂いてあげますわ」
わたくしは転移術式を再展開し、指定座標へと一瞬で跳びましたの。そこには、無数の演算触手がうねる中心核が鎮座しておりましたの。もはや塔の構造ごと取り込もうとしていますわ。
「《断絶干渉術式・レムナントバインド》展開。演算ネットワークの流動性を封鎖しますわ」
青白い術式陣が展開され、中心核の波動が一時的に停止しましたの。この隙を逃す手はありませんわ。
「《次元粒子衝撃槍・ヴァルシオン》、発射」
魔導演算によって構成された実体化槍が空間を突き破り、敵の核へと直撃。強烈な振動とともに、周囲の触手が爆散しましたの。しかし、まだ反応がありますわ。中枢演算コアは破壊されていない。
「ほう、しぶといですわね。では、最終段階に移行しましょうか」
わたくしは《プロメテウス》の最深部と接続し、秘匿されていたエネルギーコア《セレスティアル・リアクター》を解放しましたの。高次元魔導炉心により、魔力演算速度は従来の千倍にまで跳ね上がりますの。
「限界を超えるのが、わたくしという存在ですわ」
生成された《オメガ級魔導剣・アルティメットルミナス》を手に、中心核へと一気に斬り込みましたの。刃が空間を裂き、因果律ごと断ち切った瞬間――核が崩壊し、敵の全演算構造が停止。
リゼからの通信が入りましたの。
「敵性魔導ネットワーク、完全停止を確認! 全区域において敵機能、凍結状態です!」
「当然の結果ですわ」
わたくしは剣を収め、崩れ落ちる構造体を見下ろしましたの。だが、ほんの一瞬だけ、視界の端に微細な光点が走りましたの。わたくしはそれを逃さず、即座に追跡。
「リゼ、エネルギー残滓を追跡。微細粒子帯域に逃走経路が存在しますわ」
「該当座標をマーク! 東部地下施設《エクシード・ラボ》に向かってます!」
「やはりそこでしたのね。ならば、全防衛隊に通達。ラボ施設への立ち入りを即時禁止。わたくしが直接向かいますわ」
《エクシード・ラボ》――それは未来都市《アウローラ》建設以前、旧帝国時代に使用されていた、古代魔術と科学融合の実験拠点。かつて廃棄されたはずの施設ですが、今でもわたくしの管理下にありましたの。どうやら、そこにクロノス機関が最後の手を隠していたようですわ。
「ふふ、最後の舞台にふさわしい場所ですわね。クロノス機関、貴様たちの企み、余さず暴いて差し上げますわ」
転移ゲートを構築し、《エクシード・ラボ》の最深部へと向かう道を切り拓きましたの。わたくしの周囲には、空間そのものを拒絶するような圧力が漂っておりますわ。
そこに待ち受けるのは、ただの敵ではありませんわね。わたくしの記録によれば、あの施設には、かつて開発されかけていた“全世界再構築機構”――通称《エンジェル・コード》が眠っているはず。セラフィムを模倣して構築された意識ネットワーク、その集合体を用いて、世界そのものを書き換えるという禁忌の技術。
「来ましたわね、最終計画の痕跡が。リゼ、全ネットワークを《クローズドリンク》へ移行。外部干渉を遮断しなさい。ここから先は、わたくし一人で対処いたしますわ」
「……はい、お嬢様。どうか、ご無事で」
転移が完了し、わたくしは《エクシード・ラボ》最深部――中枢制御室へと到達しましたの。だが、扉の向こうから感じる波動は、まるでセラフィムそのもの。いいえ、それ以上の圧力すら伴っておりますの。
「ふふ、ようやくここまで来ましたわね。さあ、クロノス機関。全ての真実を見せていただきますわ」
なるほど、これは通常の次元干渉波ではありませんわ。むしろ、空間の論理構造を裏返そうとする……いえ、“書き換え”を伴う魔導的侵略現象。これまでの敵とは、根本から異なる波動特性を持っていますの。
「リゼ、波動解析を急ぎなさい。可能なら、敵の根源演算構造を抽出しなさい」
「了解です! ただし、相当な干渉密度……完全解析には時間がかかりそうです!」
「よろしいわ、時間はわたくしが稼ぎますわ」
視界を埋め尽くすように現れたのは、金属光沢を帯びた球体群でしたの。だが単なる兵器ではございませんの。その中心には脈動するような有機核が存在し、まるで意思を持って動いているように見えますの。自己判断、自己適応、自己増殖型――すなわち、魔導生命体の応用種ですわね。しかも、この反応は……セラフィムのそれと類似していますわ。
「成程、貴女たち……セラフィムの残滓から抽出された模倣体ですのね。クロノス機関、ついに魂まで技術として扱い始めたのかしら」
球体群が一斉に震え、無数の刃状の触手を伸ばしてまいりましたの。空間を切断する軌跡が迫りくる中、わたくしは即座に反応。
「《重層障壁・クロノライズ》起動」
六重構造の魔導防壁がわたくしの周囲を覆い、初撃をすべて弾き返しましたの。その隙に、わたくしは展開していた魔導式を変換し、迎撃モードへと移行。
「《位相加速式・ブレイズノート》、全力展開。周囲四十メートル、焼却領域として指定」
空間が燃え上がるように変質し、敵の前衛球体が一斉に融解しましたの。しかし、奥からさらに同型の球体が迫ってきますわ。どうやら、単体の撃破には意味がない。敵全体でひとつの演算ネットワークを構築している様子。となれば、やるべきことはひとつですわ。
「リゼ、相互演算ルートを突き止めなさい。中央ノードを突けば全体を停止させられますわ」
「はい! 該当ノード、特定……中央塔地下第七層のエネルギー中枢を核にしてます!」
「そこですわね。ならば、切り裂いてあげますわ」
わたくしは転移術式を再展開し、指定座標へと一瞬で跳びましたの。そこには、無数の演算触手がうねる中心核が鎮座しておりましたの。もはや塔の構造ごと取り込もうとしていますわ。
「《断絶干渉術式・レムナントバインド》展開。演算ネットワークの流動性を封鎖しますわ」
青白い術式陣が展開され、中心核の波動が一時的に停止しましたの。この隙を逃す手はありませんわ。
「《次元粒子衝撃槍・ヴァルシオン》、発射」
魔導演算によって構成された実体化槍が空間を突き破り、敵の核へと直撃。強烈な振動とともに、周囲の触手が爆散しましたの。しかし、まだ反応がありますわ。中枢演算コアは破壊されていない。
「ほう、しぶといですわね。では、最終段階に移行しましょうか」
わたくしは《プロメテウス》の最深部と接続し、秘匿されていたエネルギーコア《セレスティアル・リアクター》を解放しましたの。高次元魔導炉心により、魔力演算速度は従来の千倍にまで跳ね上がりますの。
「限界を超えるのが、わたくしという存在ですわ」
生成された《オメガ級魔導剣・アルティメットルミナス》を手に、中心核へと一気に斬り込みましたの。刃が空間を裂き、因果律ごと断ち切った瞬間――核が崩壊し、敵の全演算構造が停止。
リゼからの通信が入りましたの。
「敵性魔導ネットワーク、完全停止を確認! 全区域において敵機能、凍結状態です!」
「当然の結果ですわ」
わたくしは剣を収め、崩れ落ちる構造体を見下ろしましたの。だが、ほんの一瞬だけ、視界の端に微細な光点が走りましたの。わたくしはそれを逃さず、即座に追跡。
「リゼ、エネルギー残滓を追跡。微細粒子帯域に逃走経路が存在しますわ」
「該当座標をマーク! 東部地下施設《エクシード・ラボ》に向かってます!」
「やはりそこでしたのね。ならば、全防衛隊に通達。ラボ施設への立ち入りを即時禁止。わたくしが直接向かいますわ」
《エクシード・ラボ》――それは未来都市《アウローラ》建設以前、旧帝国時代に使用されていた、古代魔術と科学融合の実験拠点。かつて廃棄されたはずの施設ですが、今でもわたくしの管理下にありましたの。どうやら、そこにクロノス機関が最後の手を隠していたようですわ。
「ふふ、最後の舞台にふさわしい場所ですわね。クロノス機関、貴様たちの企み、余さず暴いて差し上げますわ」
転移ゲートを構築し、《エクシード・ラボ》の最深部へと向かう道を切り拓きましたの。わたくしの周囲には、空間そのものを拒絶するような圧力が漂っておりますわ。
そこに待ち受けるのは、ただの敵ではありませんわね。わたくしの記録によれば、あの施設には、かつて開発されかけていた“全世界再構築機構”――通称《エンジェル・コード》が眠っているはず。セラフィムを模倣して構築された意識ネットワーク、その集合体を用いて、世界そのものを書き換えるという禁忌の技術。
「来ましたわね、最終計画の痕跡が。リゼ、全ネットワークを《クローズドリンク》へ移行。外部干渉を遮断しなさい。ここから先は、わたくし一人で対処いたしますわ」
「……はい、お嬢様。どうか、ご無事で」
転移が完了し、わたくしは《エクシード・ラボ》最深部――中枢制御室へと到達しましたの。だが、扉の向こうから感じる波動は、まるでセラフィムそのもの。いいえ、それ以上の圧力すら伴っておりますの。
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