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第46話 深夜の監査と国宝横流し
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王都の別邸にある書斎は、真夜中を過ぎても明々と魔法灯が灯っていた。
机の上には、財務省から「借りてきた」膨大な書類の山が、いくつもの塔を作っている。
私は、インクの匂いが染み付いたページを一枚ずつめくっていく。
前世で培った経理のスキルが、脳内で高速回転していた。
数字は嘘をつかない。
どんなに巧みに隠蔽しようとも、金の流れには必ず痕跡が残るものだ。
「……見つけたわ。やはり、ここね」
私は、予算書の隅に記載された「雑費」という項目を、ペン先でコツコツと叩いた。
一見すると、何の問題もない端数処理のような数字だ。
しかし、過去十年のデータを並べてグラフ化すれば、その異常性は火を見るよりも明らかだった。
特定の時期、特定の業者への発注が、不自然に突出している。
その金の流れは、まるで血管のように複雑に絡み合っていたが、行き着く先は一つだ。
「セバスチャン、いるかしら」
私が虚空に向かって声をかけると、影の中から執事が音もなく姿を現した。
「はい、リリア様。ここに」
「この『ベルモンド商会』という名前を、徹底的に洗ってちょうだい。代表者の経歴、資金の流れ、そして財務大臣との血縁関係を重点的にね」
「かしこまりました。……と言いたいところですが、すでにご用意しております」
セバスチャンは、涼しい顔で一束の資料を私の手元に置いた。
「仕事が早いわね。さすがだわ」
「恐縮です。調査の結果、代表のベルモンドは財務大臣の義理の弟であることが判明しました」
セバスチャンが、淡々とした口調で報告を続ける。
「表向きは輸入雑貨を扱う商会ですが、実態はただのペーパーカンパニーでございます。事務所には看板しかなく、人の出入りは確認できませんでした」
「なるほど。国費を身内の幽霊会社に流して洗浄し、綺麗な金にしてから自分の懐に入れているわけね」
私は、呆れ果てて大きなため息をついた。
あまりにも、手口がお粗末すぎる。
前世のブラック企業でさえ、もう少しマシな粉飾工作をしていたものだ。
この世界の貴族たちは、私のような「数字のプロ」が監査に入ることなど、夢にも思っていなかったのだろう。
平和ボケした彼らの慢心が、私の最大の勝機となる。
「ふふ、いいわ。この程度のパズルなら、一晩で解いてあげましょう」
私は新しい羊皮紙を取り出し、さらさらとペンを走らせた。
一番上に『財務大臣・弾劾計画書』と、大きく書き込む。
足元では、フェンとノクスが身を寄せ合って、安らかな寝息を立てていた。
この平和な寝顔を守るためにも、私は巨悪を討たなければならない。
そして、その巨悪が溜め込んだ富を、私のものにするのだ。
ペンを走らせる音が、深夜の書斎にリズミカルに響き続けた。
翌朝、私はアーノルド殿下を訪ねるために王宮へと向かった。
今回の訪問名目は、公式な会談ではなく、あくまで個人的な「お茶会」だ。
しかし、私が持参した革鞄の中身は、甘いお菓子よりも遥かに刺激的な劇薬だった。
案内された白薔薇の間では、アーノルド殿下が優雅に紅茶を楽しんでいた。
朝日を浴びるその姿は、絵画のように美しい。
だが、その内面には冷徹な計算高さが潜んでいることを、私は知っている。
「リリア、早かったな。ポルトゥスの件は、もう片付いたのか」
殿下が、カップを置いて私に微笑みかけた。
「ええ、あちらはもう、私の庭のようなものですわ。それよりも殿下、今日は面白いお土産を持って参りました」
私は、鞄から分厚いファイルをテーブルの上に置いた。
ずしりとした重みが、その内容の深刻さを物語っている。
「なんだ、これは」
「財務省の、裏の顔ですわ」
殿下は不思議そうな顔でファイルを手に取り、ページをめくり始めた。
最初は興味本位といった表情だったが、読み進めるにつれて、その顔色がみるみる変わっていく。
数分後、彼から余裕の笑みは完全に消え失せていた。
「……これは、本当か。あの財務大臣が、これほどの額を横領していたというのか」
殿下の声が、低く震えた。
信じられないというよりも、信じたくないという響きだ。
「はい。ここにある数字は全て、公式な記録から導き出された事実です。言い逃れはできませんわ」
私は、紅茶を一口飲んでから冷静に付け加えた。
「この事実を公表すれば、財務大臣の派閥は一気に崩壊します。殿下にとって、改革を阻む古狸たちを一掃する、絶好の機会ではありませんこと?」
私の言葉に、殿下の瞳に鋭い光が宿った。
彼は瞬時に、この情報の政治的な価値を理解したのだ。
「……君は、本当に恐ろしい子供だな。国の財布の中身まで、覗き見ているとは」
「あら、私はいつだって『利益』の味方ですわ」
私は、にっこりと無邪気な笑みを浮かべてみせた。
「不正を見逃すことは、国益を損なうことですから」
「違いない。奴らを野放しにすれば、国が腐る」
殿下はファイルを閉じ、強い視線で私を見つめた。
「それで、交換条件は何かな。君がタダでこれほどの情報を提供するはずがないだろう」
「さすが殿下、お話が早いですわね」
私は待ってましたとばかりに、用意していた要求を切り出した。
「二つ、お願いがありますの」
「言ってみろ」
「一つ目は、次期財務大臣の席を、私の息のかかった者に譲ってください。実務能力が高く、私に忠実な人物を推薦いたします」
「分かった。君の人選なら信用できるだろう。もう一つは?」
「王国の会計監査権の一部を、アークライト商会に委託していただきたいのです」
「……会計監査権を、民間商会にだと?」
殿下は、驚きのあまり絶句した。
それは国家権力の根幹に関わる、極めて重要な権限だ。
それを一介の商会に渡すなど、前代未聞の提案である。
「ええ。国の金がどこに使われているか、私が監視します。そうすれば、二度とこのような不祥事は起きませんし、王国の財政は劇的に改善されるでしょう」
私は、さらに自信満々に畳み掛けた。
「私がポルトゥスでやったように、国全体を黒字化してみせますわ。その際に出る『節約分』の二割を、成功報酬として私にください。王国にとっても、損はないはずです」
殿下は腕を組んで、しばらくの間考え込んでいた。
私の野望の大きさに、呆れると同時に感心しているようだ。
リスクはある。
だが、それ以上のメリットがあることも、彼は理解しているはずだ。
「……分かった。君の言う通りにしよう」
長い沈黙の後、殿下は重々しく頷いた。
「ただし、監査は極秘裏に行え。貴族たちの反発を最小限に抑える必要がある」
「承知いたしました。影から、じっくりと調べさせていただきますわ」
「表向きは、王宮直属の特別監査官という肩書きを与えよう」
取引は成立した。
私は心の中で、高らかに勝利のファンファーレを鳴らした。
これで、私は王国の「財布」の鍵を手に入れたのだ。
どんな強力な軍隊よりも、どんな高等な魔法よりも強い力。
それは、お金の流れを支配する権限だ。
「感謝いたします、殿下。では、さっそく準備に取り掛かりますわ」
私は席を立ち、優雅にカーテシーをした。
王宮からの帰り道、馬車の中で私は笑いが止まらなかった。
全てが、私の思い通りに進んでいる。
この快感は、何物にも代えがたい。
屋敷に戻ると、甘い香りが玄関ホールまで漂ってきた。
新しい料理人が作った、試作のお菓子が焼き上がったようだ。
私はサロンへと急いだ。
「リリア様、お帰りなさいませ」
セバスチャンが、ワゴンを押して現れた。
「新作の『天使のシフォンケーキ』でございます」
皿の上には、雪のように真っ白なケーキが乗っている。
ふわふわの生地に、新鮮な生クリームがたっぷりとかかっていた。
まるで、雲を切り取ってお皿に乗せたかのようだ。
「まあ、美味しそう。タイミングが最高ね」
私はソファーに座り、ナプキンを広げた。
「セバスチャン、これも経費でお願いね」
「かしこまりました。すでに『福利厚生費』として処理済みでございます」
私は、完璧な執事の対応に満足した。
フォークを手に取り、ケーキに突き刺す。
何の抵抗もなく、すっと沈んでいった。
一口食べると、驚くほどの軽さだ。
口の中で、しゅわっと溶けていくような食感。
優しい甘さが、頭の疲れを瞬時に癒してくれるようだった。
「美味しい……。これは、傑作だわ」
思わず、頬が緩む。
「リリア様にお気に召していただき、光栄です」
足元で、何かが動いた気配がした。
見下ろすと、ノクスが羨ましそうに私を見上げている。
その黒い瞳が、「私にもよこせ」と訴えかけていた。
「ノクス、あなたも一口どう?」
私は、フォークの先に生クリームを少しだけつけた。
それを、ノクスの前に差し出す。
ノクスは幸せそうに目を細め、ぺろりとそれを平らげた。
「にゃあ」
満足げな声を出して、私の膝に頭を擦り付ける。
フェンも、反対側から鼻を寄せてきた。
「分かっているわよ、フェンにもあげるから」
私は、スポンジの部分をちぎってフェンに与えた。
穏やかな午後の時間が流れる。
この平和で甘美なひとときのために、私は戦っているのだ。
その過程で、私は世界一の富を築く。
そして、最高に美味しいものを毎日食べ続ける。
それが、私の揺るがない目標だ。
「さて、次の獲物は誰かしら」
私はケーキを食べ終えると、新しい名簿を広げた。
そこに並ぶ貴族たちの名前が、私には黄金に輝く「金の卵」に見えた。
彼らの不透明な資産を、一つずつ白日の下に晒していく作業。
それが、今から楽しみで仕方がない。
その日の午後、私はクレメンス公爵夫人のサロンを再び訪れた。
アークライト領で製造していた化粧水「霧の雫」の第一弾が、ついに完成したからだ。
馬車には、美しく包装された化粧品の箱が山積みになっている。
これが全て、莫大な富に変わるのだ。
サロンの扉を開けると、貴婦人たちが熱狂的な歓迎で私を迎えた。
「リリア様! 待っておりましたわ!」
「私の分の化粧水は、いつ届くのかしら」
「もう、待ちきれませんわ」
彼女たちの熱量は、前回よりもさらに高まっているようだった。
公爵夫人の肌が劇的に美しくなったという噂が、社交界中に広まっているのだろう。
私は優雅に微笑んで、彼女たちを見渡した。
「皆様、大変お待たせいたしました。アークライト領の誇る、最高の逸品ですわ」
私はセバスチャンに指示を出し、美しい小瓶を一人一人に手渡させた。
小瓶を開けた瞬間、サロン中に高貴な香りが広がった。
薔薇の芳醇な香りと、爽やかなハーブの香りが絶妙に混じり合う。
「ああ、なんて良い香りなの」
「これをつければ、わたくしも若返るのかしら」
貴婦人たちは、陶酔した表情でその香りを胸いっぱいに吸い込んでいる。
「……素晴らしいわ。これを待っていたのよ」
クレメンス公爵夫人が、満足げに微笑んだ。
彼女の手には、特別仕様の金色の小瓶が握られている。
「リリア嬢、あなたは本当に期待を裏切らないわね」
「光栄ですわ、夫人」
「今後も、あなたのビジネスを全面的に支援させてもらうわ」
公爵夫人の言葉は、王都の社交界における絶対的な「お墨付き」と同じだ。
これで、私の商品は飛ぶように売れるだろう。
「ありがとうございます、夫人。実は、次にご紹介したい『銀行』の件ですが……」
私は、美のビジネスを入り口にして、巧みに金融の勧誘を始めた。
「銀行? それは何かしら」
「皆様の大切な資産を、安全にお預かりする場所ですわ」
私は、誰にでも分かるように丁寧に説明した。
「家に置いておくよりも安全で、しかも預けているだけでお金が増えるのです」
「お金が増える? そんな魔法のようなことが」
「ええ、私が責任を持って運用いたしますから」
彼女たちの目は、宝石を見た時以上に輝きを増した。
私の実績を知っている彼女たちは、疑うことをしない。
彼女たちの莫大な資産が、私の銀行に集まる。
その資金を元手に、さらに新しい事業を興す。
その輝かしい未来が、私にははっきりと見えた。
サロンを出る時、私の懐には金貨の詰まった革袋がいくつもあった。
ずっしりとした重みが、成功の証だ。
「今日は大漁ね」
私は革袋を撫でながら、思わず笑みをこぼした。
「フェン、今日は豪華なステーキにしましょうか」
馬車の中で、私はフェンに話しかけた。
「わんっ!」
フェンが、嬉しそうに吠えた。
尻尾が、ちぎれんばかりに振られている。
私たちは、王都で一番の高級レストランへと馬車を走らせた。
そこでの食事は、期待通りの素晴らしさだった。
個室に通され、誰にも邪魔されずに食事を楽しむ。
最高級の牛肉を、シェフ特製のソースで焼き上げたステーキだ。
ナイフを入れると、肉汁が溢れ出す。
口に入れると、噛む必要がないほど柔らかく溶けていった。
「んん、最高だわ」
肉の旨味が、口いっぱいに広がる。
添えられた野菜も、どれもが最高に新鮮で甘い。
フェンとノクスも、特製の肉料理を夢中で食べている。
「やっぱり、成功の味は最高ね」
私は最後の一口を飲み込み、優雅にナプキンで口を拭った。
会計を済ませ、店を出る。
夜風が、心地よく火照った頬を撫でた。
レストランを出ようとした、その時だ。
物陰から、一人の男が転がるように飛び出してきた。
「……リリア・アークライト様。お耳に入れたいことがございます」
煤けた服を着て、鋭い目をした若い男だ。
周りの護衛たちが、すぐに剣に手をかける。
「待って」
私は、護衛たちを制した。
彼の声には、隠しきれない緊張と、命を懸けた決意がこもっていた。
ただの物乞いではない。
私は立ち止まって、彼をじっと見つめた。
「あなた、誰?」
「私は、財務省の下っ端役人でございます」
男は、震える声で名乗った。
「大臣の不正に、もう耐えられません」
「不正?」
「はい。命を懸けて、これを持って参りました」
男は、懐から一通の封筒を取り出した。
手が、小刻みに震えている。
「これには、大臣が王家の宝物をこっそり売り払った記録が、記されています」
「宝物を?」
私の目が、鋭く光った。
これは、ただの横領の話ではないかもしれない。
大臣の息の根を止める、決定的な証拠になる可能性がある。
「……面白いわ。詳しく話を聞かせてもらえるかしら?」
私は、男を自分の馬車へと招き入れた。
周りの目は、気にしない。
闇に紛れて、新しい陰謀の扉が開こうとしていた。
財務大臣の最期は、私が思っていたよりもずっと早く、そして悲惨なものになりそうだった。
馬車の中で、男は私の向かいに座った。
彼は、緊張でガチガチになっている。
「楽にして。ここなら、誰も聞いていないわ」
私は、できるだけ優しく声をかけた。
男は、震える手で封筒の中身を私に手渡した。
中には、数枚の羊皮紙が入っている。
私は、魔法灯の明かりでそれに目を通した。
「……っ!」
内容を確認して、私は思わず身を乗り出した。
「大臣は、王宮の宝物庫から、三つの国宝を、他国の商人に横流ししました」
男が、絞り出すように言った。
「三つの、国宝ですって?」
書類には、売却された宝物の名前と日付、そして金額が詳細に記されていた。
「初代国王の剣、王妃のティアラ、そして……聖なる杯」
どれも、この国の象徴とも言える品々だ。
「なんということ……」
それは、この国の歴史そのものを揺るがすような、重大な犯罪だった。
財務大臣は、単なる横領犯ではなく、国を売った裏切り者だったのだ。
金のために、国の魂を売った。
その罪は、万死に値する。
「よく、これを持ってきてくれたわね」
私は、男の顔を見た。
彼は、恐怖に耐えながらも、正義感で動いていたのだ。
「怖かったでしょう」
「はい……。見つかれば、殺されると」
「でも、あなたは正しいことをしたわ」
私は、自分の財布から数枚の金貨を取り出した。
それを、男の手に握らせる。
「……分かったわ。この情報は、私が責任を持って預かるわ」
「えっ、これは……」
「これで、どこか遠くへ逃げなさい。ほとぼりが冷めるまで、身を隠すのよ」
「あ、ありがとうございます!」
男は、涙を流して頭を下げた。
「あなたの勇気は、決して無駄にはしないわ」
「リリア様、どうか……どうか国を」
「任せておきなさい」
男は馬車から降りて、夜の街へと消えていった。
私は、手元にある書類を見つめ、不敵な笑みを浮かべた。
これは、最強のカードだ。
これで、大臣を完全に破滅させることができる。
「セバスチャン、進路変更よ」
私は、御者台に向かって声をかけた。
「王宮へ戻りましょう」
「リリア様、深夜でございますが……」
セバスチャンが、困惑した声で答える。
「構わないわ。アーノルド殿下には、この『夜食』を今すぐ召し上がっていただかなければ」
一刻の猶予もない。
国宝が国外に出てしまえば、取り戻すのは困難になる。
「急いで」
「かしこまりました!」
馬車は、再び王宮へと向けて加速した。
石畳を蹴る音が、夜の静寂を切り裂く。
この夜、王都の歴史が大きく動くことになる。
私はその中心で、冷徹なタクトを振り続けるのだ。
フェンとノクスが、私の決意を感じ取ったのか、静かに寄り添ってきた。
「行くわよ。大掃除の時間だわ」
私は、窓の外に広がる王宮の灯りを見つめた。
机の上には、財務省から「借りてきた」膨大な書類の山が、いくつもの塔を作っている。
私は、インクの匂いが染み付いたページを一枚ずつめくっていく。
前世で培った経理のスキルが、脳内で高速回転していた。
数字は嘘をつかない。
どんなに巧みに隠蔽しようとも、金の流れには必ず痕跡が残るものだ。
「……見つけたわ。やはり、ここね」
私は、予算書の隅に記載された「雑費」という項目を、ペン先でコツコツと叩いた。
一見すると、何の問題もない端数処理のような数字だ。
しかし、過去十年のデータを並べてグラフ化すれば、その異常性は火を見るよりも明らかだった。
特定の時期、特定の業者への発注が、不自然に突出している。
その金の流れは、まるで血管のように複雑に絡み合っていたが、行き着く先は一つだ。
「セバスチャン、いるかしら」
私が虚空に向かって声をかけると、影の中から執事が音もなく姿を現した。
「はい、リリア様。ここに」
「この『ベルモンド商会』という名前を、徹底的に洗ってちょうだい。代表者の経歴、資金の流れ、そして財務大臣との血縁関係を重点的にね」
「かしこまりました。……と言いたいところですが、すでにご用意しております」
セバスチャンは、涼しい顔で一束の資料を私の手元に置いた。
「仕事が早いわね。さすがだわ」
「恐縮です。調査の結果、代表のベルモンドは財務大臣の義理の弟であることが判明しました」
セバスチャンが、淡々とした口調で報告を続ける。
「表向きは輸入雑貨を扱う商会ですが、実態はただのペーパーカンパニーでございます。事務所には看板しかなく、人の出入りは確認できませんでした」
「なるほど。国費を身内の幽霊会社に流して洗浄し、綺麗な金にしてから自分の懐に入れているわけね」
私は、呆れ果てて大きなため息をついた。
あまりにも、手口がお粗末すぎる。
前世のブラック企業でさえ、もう少しマシな粉飾工作をしていたものだ。
この世界の貴族たちは、私のような「数字のプロ」が監査に入ることなど、夢にも思っていなかったのだろう。
平和ボケした彼らの慢心が、私の最大の勝機となる。
「ふふ、いいわ。この程度のパズルなら、一晩で解いてあげましょう」
私は新しい羊皮紙を取り出し、さらさらとペンを走らせた。
一番上に『財務大臣・弾劾計画書』と、大きく書き込む。
足元では、フェンとノクスが身を寄せ合って、安らかな寝息を立てていた。
この平和な寝顔を守るためにも、私は巨悪を討たなければならない。
そして、その巨悪が溜め込んだ富を、私のものにするのだ。
ペンを走らせる音が、深夜の書斎にリズミカルに響き続けた。
翌朝、私はアーノルド殿下を訪ねるために王宮へと向かった。
今回の訪問名目は、公式な会談ではなく、あくまで個人的な「お茶会」だ。
しかし、私が持参した革鞄の中身は、甘いお菓子よりも遥かに刺激的な劇薬だった。
案内された白薔薇の間では、アーノルド殿下が優雅に紅茶を楽しんでいた。
朝日を浴びるその姿は、絵画のように美しい。
だが、その内面には冷徹な計算高さが潜んでいることを、私は知っている。
「リリア、早かったな。ポルトゥスの件は、もう片付いたのか」
殿下が、カップを置いて私に微笑みかけた。
「ええ、あちらはもう、私の庭のようなものですわ。それよりも殿下、今日は面白いお土産を持って参りました」
私は、鞄から分厚いファイルをテーブルの上に置いた。
ずしりとした重みが、その内容の深刻さを物語っている。
「なんだ、これは」
「財務省の、裏の顔ですわ」
殿下は不思議そうな顔でファイルを手に取り、ページをめくり始めた。
最初は興味本位といった表情だったが、読み進めるにつれて、その顔色がみるみる変わっていく。
数分後、彼から余裕の笑みは完全に消え失せていた。
「……これは、本当か。あの財務大臣が、これほどの額を横領していたというのか」
殿下の声が、低く震えた。
信じられないというよりも、信じたくないという響きだ。
「はい。ここにある数字は全て、公式な記録から導き出された事実です。言い逃れはできませんわ」
私は、紅茶を一口飲んでから冷静に付け加えた。
「この事実を公表すれば、財務大臣の派閥は一気に崩壊します。殿下にとって、改革を阻む古狸たちを一掃する、絶好の機会ではありませんこと?」
私の言葉に、殿下の瞳に鋭い光が宿った。
彼は瞬時に、この情報の政治的な価値を理解したのだ。
「……君は、本当に恐ろしい子供だな。国の財布の中身まで、覗き見ているとは」
「あら、私はいつだって『利益』の味方ですわ」
私は、にっこりと無邪気な笑みを浮かべてみせた。
「不正を見逃すことは、国益を損なうことですから」
「違いない。奴らを野放しにすれば、国が腐る」
殿下はファイルを閉じ、強い視線で私を見つめた。
「それで、交換条件は何かな。君がタダでこれほどの情報を提供するはずがないだろう」
「さすが殿下、お話が早いですわね」
私は待ってましたとばかりに、用意していた要求を切り出した。
「二つ、お願いがありますの」
「言ってみろ」
「一つ目は、次期財務大臣の席を、私の息のかかった者に譲ってください。実務能力が高く、私に忠実な人物を推薦いたします」
「分かった。君の人選なら信用できるだろう。もう一つは?」
「王国の会計監査権の一部を、アークライト商会に委託していただきたいのです」
「……会計監査権を、民間商会にだと?」
殿下は、驚きのあまり絶句した。
それは国家権力の根幹に関わる、極めて重要な権限だ。
それを一介の商会に渡すなど、前代未聞の提案である。
「ええ。国の金がどこに使われているか、私が監視します。そうすれば、二度とこのような不祥事は起きませんし、王国の財政は劇的に改善されるでしょう」
私は、さらに自信満々に畳み掛けた。
「私がポルトゥスでやったように、国全体を黒字化してみせますわ。その際に出る『節約分』の二割を、成功報酬として私にください。王国にとっても、損はないはずです」
殿下は腕を組んで、しばらくの間考え込んでいた。
私の野望の大きさに、呆れると同時に感心しているようだ。
リスクはある。
だが、それ以上のメリットがあることも、彼は理解しているはずだ。
「……分かった。君の言う通りにしよう」
長い沈黙の後、殿下は重々しく頷いた。
「ただし、監査は極秘裏に行え。貴族たちの反発を最小限に抑える必要がある」
「承知いたしました。影から、じっくりと調べさせていただきますわ」
「表向きは、王宮直属の特別監査官という肩書きを与えよう」
取引は成立した。
私は心の中で、高らかに勝利のファンファーレを鳴らした。
これで、私は王国の「財布」の鍵を手に入れたのだ。
どんな強力な軍隊よりも、どんな高等な魔法よりも強い力。
それは、お金の流れを支配する権限だ。
「感謝いたします、殿下。では、さっそく準備に取り掛かりますわ」
私は席を立ち、優雅にカーテシーをした。
王宮からの帰り道、馬車の中で私は笑いが止まらなかった。
全てが、私の思い通りに進んでいる。
この快感は、何物にも代えがたい。
屋敷に戻ると、甘い香りが玄関ホールまで漂ってきた。
新しい料理人が作った、試作のお菓子が焼き上がったようだ。
私はサロンへと急いだ。
「リリア様、お帰りなさいませ」
セバスチャンが、ワゴンを押して現れた。
「新作の『天使のシフォンケーキ』でございます」
皿の上には、雪のように真っ白なケーキが乗っている。
ふわふわの生地に、新鮮な生クリームがたっぷりとかかっていた。
まるで、雲を切り取ってお皿に乗せたかのようだ。
「まあ、美味しそう。タイミングが最高ね」
私はソファーに座り、ナプキンを広げた。
「セバスチャン、これも経費でお願いね」
「かしこまりました。すでに『福利厚生費』として処理済みでございます」
私は、完璧な執事の対応に満足した。
フォークを手に取り、ケーキに突き刺す。
何の抵抗もなく、すっと沈んでいった。
一口食べると、驚くほどの軽さだ。
口の中で、しゅわっと溶けていくような食感。
優しい甘さが、頭の疲れを瞬時に癒してくれるようだった。
「美味しい……。これは、傑作だわ」
思わず、頬が緩む。
「リリア様にお気に召していただき、光栄です」
足元で、何かが動いた気配がした。
見下ろすと、ノクスが羨ましそうに私を見上げている。
その黒い瞳が、「私にもよこせ」と訴えかけていた。
「ノクス、あなたも一口どう?」
私は、フォークの先に生クリームを少しだけつけた。
それを、ノクスの前に差し出す。
ノクスは幸せそうに目を細め、ぺろりとそれを平らげた。
「にゃあ」
満足げな声を出して、私の膝に頭を擦り付ける。
フェンも、反対側から鼻を寄せてきた。
「分かっているわよ、フェンにもあげるから」
私は、スポンジの部分をちぎってフェンに与えた。
穏やかな午後の時間が流れる。
この平和で甘美なひとときのために、私は戦っているのだ。
その過程で、私は世界一の富を築く。
そして、最高に美味しいものを毎日食べ続ける。
それが、私の揺るがない目標だ。
「さて、次の獲物は誰かしら」
私はケーキを食べ終えると、新しい名簿を広げた。
そこに並ぶ貴族たちの名前が、私には黄金に輝く「金の卵」に見えた。
彼らの不透明な資産を、一つずつ白日の下に晒していく作業。
それが、今から楽しみで仕方がない。
その日の午後、私はクレメンス公爵夫人のサロンを再び訪れた。
アークライト領で製造していた化粧水「霧の雫」の第一弾が、ついに完成したからだ。
馬車には、美しく包装された化粧品の箱が山積みになっている。
これが全て、莫大な富に変わるのだ。
サロンの扉を開けると、貴婦人たちが熱狂的な歓迎で私を迎えた。
「リリア様! 待っておりましたわ!」
「私の分の化粧水は、いつ届くのかしら」
「もう、待ちきれませんわ」
彼女たちの熱量は、前回よりもさらに高まっているようだった。
公爵夫人の肌が劇的に美しくなったという噂が、社交界中に広まっているのだろう。
私は優雅に微笑んで、彼女たちを見渡した。
「皆様、大変お待たせいたしました。アークライト領の誇る、最高の逸品ですわ」
私はセバスチャンに指示を出し、美しい小瓶を一人一人に手渡させた。
小瓶を開けた瞬間、サロン中に高貴な香りが広がった。
薔薇の芳醇な香りと、爽やかなハーブの香りが絶妙に混じり合う。
「ああ、なんて良い香りなの」
「これをつければ、わたくしも若返るのかしら」
貴婦人たちは、陶酔した表情でその香りを胸いっぱいに吸い込んでいる。
「……素晴らしいわ。これを待っていたのよ」
クレメンス公爵夫人が、満足げに微笑んだ。
彼女の手には、特別仕様の金色の小瓶が握られている。
「リリア嬢、あなたは本当に期待を裏切らないわね」
「光栄ですわ、夫人」
「今後も、あなたのビジネスを全面的に支援させてもらうわ」
公爵夫人の言葉は、王都の社交界における絶対的な「お墨付き」と同じだ。
これで、私の商品は飛ぶように売れるだろう。
「ありがとうございます、夫人。実は、次にご紹介したい『銀行』の件ですが……」
私は、美のビジネスを入り口にして、巧みに金融の勧誘を始めた。
「銀行? それは何かしら」
「皆様の大切な資産を、安全にお預かりする場所ですわ」
私は、誰にでも分かるように丁寧に説明した。
「家に置いておくよりも安全で、しかも預けているだけでお金が増えるのです」
「お金が増える? そんな魔法のようなことが」
「ええ、私が責任を持って運用いたしますから」
彼女たちの目は、宝石を見た時以上に輝きを増した。
私の実績を知っている彼女たちは、疑うことをしない。
彼女たちの莫大な資産が、私の銀行に集まる。
その資金を元手に、さらに新しい事業を興す。
その輝かしい未来が、私にははっきりと見えた。
サロンを出る時、私の懐には金貨の詰まった革袋がいくつもあった。
ずっしりとした重みが、成功の証だ。
「今日は大漁ね」
私は革袋を撫でながら、思わず笑みをこぼした。
「フェン、今日は豪華なステーキにしましょうか」
馬車の中で、私はフェンに話しかけた。
「わんっ!」
フェンが、嬉しそうに吠えた。
尻尾が、ちぎれんばかりに振られている。
私たちは、王都で一番の高級レストランへと馬車を走らせた。
そこでの食事は、期待通りの素晴らしさだった。
個室に通され、誰にも邪魔されずに食事を楽しむ。
最高級の牛肉を、シェフ特製のソースで焼き上げたステーキだ。
ナイフを入れると、肉汁が溢れ出す。
口に入れると、噛む必要がないほど柔らかく溶けていった。
「んん、最高だわ」
肉の旨味が、口いっぱいに広がる。
添えられた野菜も、どれもが最高に新鮮で甘い。
フェンとノクスも、特製の肉料理を夢中で食べている。
「やっぱり、成功の味は最高ね」
私は最後の一口を飲み込み、優雅にナプキンで口を拭った。
会計を済ませ、店を出る。
夜風が、心地よく火照った頬を撫でた。
レストランを出ようとした、その時だ。
物陰から、一人の男が転がるように飛び出してきた。
「……リリア・アークライト様。お耳に入れたいことがございます」
煤けた服を着て、鋭い目をした若い男だ。
周りの護衛たちが、すぐに剣に手をかける。
「待って」
私は、護衛たちを制した。
彼の声には、隠しきれない緊張と、命を懸けた決意がこもっていた。
ただの物乞いではない。
私は立ち止まって、彼をじっと見つめた。
「あなた、誰?」
「私は、財務省の下っ端役人でございます」
男は、震える声で名乗った。
「大臣の不正に、もう耐えられません」
「不正?」
「はい。命を懸けて、これを持って参りました」
男は、懐から一通の封筒を取り出した。
手が、小刻みに震えている。
「これには、大臣が王家の宝物をこっそり売り払った記録が、記されています」
「宝物を?」
私の目が、鋭く光った。
これは、ただの横領の話ではないかもしれない。
大臣の息の根を止める、決定的な証拠になる可能性がある。
「……面白いわ。詳しく話を聞かせてもらえるかしら?」
私は、男を自分の馬車へと招き入れた。
周りの目は、気にしない。
闇に紛れて、新しい陰謀の扉が開こうとしていた。
財務大臣の最期は、私が思っていたよりもずっと早く、そして悲惨なものになりそうだった。
馬車の中で、男は私の向かいに座った。
彼は、緊張でガチガチになっている。
「楽にして。ここなら、誰も聞いていないわ」
私は、できるだけ優しく声をかけた。
男は、震える手で封筒の中身を私に手渡した。
中には、数枚の羊皮紙が入っている。
私は、魔法灯の明かりでそれに目を通した。
「……っ!」
内容を確認して、私は思わず身を乗り出した。
「大臣は、王宮の宝物庫から、三つの国宝を、他国の商人に横流ししました」
男が、絞り出すように言った。
「三つの、国宝ですって?」
書類には、売却された宝物の名前と日付、そして金額が詳細に記されていた。
「初代国王の剣、王妃のティアラ、そして……聖なる杯」
どれも、この国の象徴とも言える品々だ。
「なんということ……」
それは、この国の歴史そのものを揺るがすような、重大な犯罪だった。
財務大臣は、単なる横領犯ではなく、国を売った裏切り者だったのだ。
金のために、国の魂を売った。
その罪は、万死に値する。
「よく、これを持ってきてくれたわね」
私は、男の顔を見た。
彼は、恐怖に耐えながらも、正義感で動いていたのだ。
「怖かったでしょう」
「はい……。見つかれば、殺されると」
「でも、あなたは正しいことをしたわ」
私は、自分の財布から数枚の金貨を取り出した。
それを、男の手に握らせる。
「……分かったわ。この情報は、私が責任を持って預かるわ」
「えっ、これは……」
「これで、どこか遠くへ逃げなさい。ほとぼりが冷めるまで、身を隠すのよ」
「あ、ありがとうございます!」
男は、涙を流して頭を下げた。
「あなたの勇気は、決して無駄にはしないわ」
「リリア様、どうか……どうか国を」
「任せておきなさい」
男は馬車から降りて、夜の街へと消えていった。
私は、手元にある書類を見つめ、不敵な笑みを浮かべた。
これは、最強のカードだ。
これで、大臣を完全に破滅させることができる。
「セバスチャン、進路変更よ」
私は、御者台に向かって声をかけた。
「王宮へ戻りましょう」
「リリア様、深夜でございますが……」
セバスチャンが、困惑した声で答える。
「構わないわ。アーノルド殿下には、この『夜食』を今すぐ召し上がっていただかなければ」
一刻の猶予もない。
国宝が国外に出てしまえば、取り戻すのは困難になる。
「急いで」
「かしこまりました!」
馬車は、再び王宮へと向けて加速した。
石畳を蹴る音が、夜の静寂を切り裂く。
この夜、王都の歴史が大きく動くことになる。
私はその中心で、冷徹なタクトを振り続けるのだ。
フェンとノクスが、私の決意を感じ取ったのか、静かに寄り添ってきた。
「行くわよ。大掃除の時間だわ」
私は、窓の外に広がる王宮の灯りを見つめた。
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