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第70話 白銀の鉄路と裏切りの塩
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アークライト鉄道の北方線は、今日も快調に雪原を走り抜けていた。
窓の外を流れる景色は、見渡す限りの白銀世界だ。
かつては馬車で数週間を要した死の雪道を、最新鋭の魔導エンジンを搭載したこの鉄の塊は、わずか数時間で踏破していく。
規則正しい車輪の音が、私の鼓動と心地よくシンクロしていた。
私は六歳になり、以前よりも少しだけ視線が高くなったのを感じる。
窓ガラスに映る自分の姿は、北国の乾燥した空気にも負けず、健康的で艶やかな肌を保っていた。
銀色の髪はアメジストの瞳を際立たせ、その奥には常に数字と利益を計算する冷徹な光が宿っている。
「リリア様。本日の定期報告書でございます」
隣に控えていたカシアンが、恭しく分厚い帳簿を差し出した。
彼は今や、アークライト商会の心臓部を担う筆頭監査役だ。
その眼鏡の奥の瞳は、どんな些細な不正も見逃さない鋭さを持っている。
私は優雅に手元のレモネードを一口飲み、帳簿を受け取った。
西方の砂漠から直送されたレモンと、北方の氷河から切り出した純度の高い氷。
そして、アークライト領で精製された最高級の砂糖。
それらが完璧な比率で混ざり合ったこの一杯は、私の脳細胞を活性化させる魔法の薬だ。
口の中に広がる爽やかな酸味と甘みを感じながら、私はパラパラとページをめくった。
「……ふむ。北方の物流、全体的には順調ね」
鉄鉱石の輸送量、海産物の出荷量、どれも右肩上がりだ。
私の敷いたレールが、この国の動脈として機能している証拠である。
だが、あるページで私の指がピタリと止まった。
数字の羅列の中に、わずかな違和感を見つけたからだ。
それは、砂漠の中の一粒の砂金を見つけるような、直感に近い感覚だった。
「カシアン。北方の『塩』の価格変動率が、私の予測モデルと0.5パーセント乖離しているわ」
私の指摘に、カシアンがハッとした表情で身を乗り出した。
「さすがはリリア様。……はい、実はその件について、現地のアークライト銀行支店から不穏な報告が入っております」
「特定の地域において、塩の供給量が不安定になり、闇市場での取引価格が上昇しているとのことです」
「供給量は安定しているはずよ。私が生産計画を管理しているのだから」
私は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
塩は生命維持に不可欠なミネラルであり、アークライト商会が独占的に扱う最重要戦略物資の一つだ。
その流通が乱れるということは、私の管理下にない「穴」が存在することを意味する。
「私の鉄道を使わずに、裏ルートで塩を流しているネズミがいるようね」
「輸送コストを考えれば、鉄道を使わないメリットなどないはずですが……」
「脱税と、横流しよ。正規のルートを通せば、私の帳簿に記録が残る。それを嫌った連中が、旧時代の獣道を使ってコソコソと運んでいるのよ」
私は帳簿をパタンと閉じ、窓の外の雪原を睨みつけた。
私の敷いたインフラを利用せず、私の定めたルールを破り、私に支払うべき利益を掠め取る。
それは単なる密輸ではない。
私に対する明確な「挑戦状」であり、経済秩序への「反逆行為」だ。
許せるはずがない。
「カシアン。直ちにアークライト銀行の北方総括支店に連絡して」
「当該エリアにおける不審な資金移動を全て洗い出しなさい。塩の裏取引で得た金は、必ずどこかで洗浄されているはずよ」
「口座の凍結準備と、担保物件のリストアップも忘れないで」
「はっ! 直ちに手配いたします!」
カシアンが魔導通信機に向かって早口で指示を飛ばし始めた。
彼の優秀さは疑いようがないが、数字の裏に潜む「悪意」を暴くには、もう一人の専門家の力が必要だ。
「素晴らしいわ。兄様の方は、どうなっているかしら」
私が天井に向かって何気なく呟くと、シャンデリアの影がゆらりと揺れた。
次の瞬間、黒いマントを翻したゼロ兄様が、音もなく私の前のテーブルに着地した。
いつものことだが、重力を無視したような身のこなしだ。
彼は冷たい雪の匂いを纏い、氷のような瞳で私を見下ろした。
「相変わらず耳が早いな、リリア。俺が報告に来る前に気づくとは」
「兄様が優秀な斥候を放っていることは知っていますもの。それで? 塩を盗み出しているルートは特定できたのかしら」
「ああ。北の国境、アイゼン領と隣国の緩衝地帯にある古い廃坑だ」
「そこを中継地点にして、夜な夜な馬車で塩を運び出している」
「廃坑、ですか。……以前、私がヴァロワ家の残党から接収した鉱山の近くね」
私は頭の中の地図を展開し、該当箇所に赤いピンを立てた。
地形が複雑で、雪深く、正規軍が見回りを避けるような場所だ。
なるほど、ネズミが巣食うにはお誂え向きの場所と言える。
「兄様。彼らの背後にいるのは、誰かしら」
「単なる小悪党の集まりにしては、組織立っているようだけれど」
「バーストン公爵の親族と、シオン王国の残党だな」
「以前、お前が叩き潰した連中の残党が、手を組んで最後のあがきを見せているようだ」
「また彼らなのね。本当に、学習能力のない人たちだわ」
「何度叩きのめされても、懲りずに私の利益に手を出そうとするなんて。ある意味、感心してしまうわね」
私は呆れを通り越して、乾いた笑いを漏らした。
バーストン公爵家とシオン王国の旧勢力。
どちらも私が完膚なきまでに経済的に叩き潰したはずだが、まだ隠し資産を持っていたということか。
いや、あるいは破れかぶれで、一発逆転を狙った博打に出ているのかもしれない。
「奴らは、盗み出した塩を隣国で売りさばき、金塊に変えて持ち逃げするつもりのようだ」
「すでにかなりの量が運び出されている。放置すれば、北方の塩相場が崩壊するぞ」
「金塊? それは、アークライト銀行への冒涜だわ」
私の管理する経済圏において、私の許可なく通貨を金塊に変えて国外へ持ち出すなど、万死に値する重罪だ。
通貨の流出は、国内経済のデフレを招き、私の資産価値を目減りさせる。
それは、私個人への攻撃と同義だ。
「決まりね。これ以上、彼らを野放しにはできないわ」
私はソファから優雅に立ち上がり、足元でくつろいでいた二匹の相棒に声をかけた。
「フェン、ノクス。お昼寝の時間は終わりよ」
「少しばかり、雪遊びに出かけましょうか」
「わんっ! 雪原を走るのは、ぼくの得意分野です! 体がうずうずします!」
「にゃあ。お魚の塩焼きのために、一肌脱いで上げましょうか。寒いのは苦手だけど、リリアの『お掃除』は見ていてスカッとするものね」
フェンが銀色の尻尾を激しく振り、ノクスがしなやかに伸びをして立ち上がった。
二匹とも、この半年でさらに逞しく、美しく成長している。
フェンの毛並みはダイヤモンドダストのように輝き、ノクスの瞳は深淵を覗くように深い。
彼らは私の最強の矛であり、盾だ。
「さあ、お仕事の時間よ。行くわよ」
私は二匹を引き連れ、車両のデッキへと向かった。
列車が減速し、アイゼン要塞の麓にある駅へと滑り込む。
プシュゥゥゥッという蒸気の排出音が、静寂な雪山に響き渡り、私の到着を高らかに告げた。
ホームに降り立つと、そこにはすでにアイゼン候の姿があった。
彼は相変わらずの巨漢で、熊の毛皮を豪快に羽織っている。
その顔には厳しい皺が刻まれているが、私を見る目だけは、孫を見る好々爺のように温かく、そして確かな敬意に満ちていた。
「ようこそ、リリア殿。また騒がしいネズミが現れたようだな」
「ご機嫌よう、侯爵。お出迎え感謝いたしますわ」
「ええ、少しばかり躾のなっていないネズミたちが、私の庭を荒らしているようですので」
私はにっこりと微笑み、優雅にカーテシーをした。
外気は氷点下だが、私の纏う最高級の防寒ドレスと、体内の魔力循環のおかげで寒さは感じない。
「うむ。我が軍の精鋭部隊を貸そう。雪山での戦闘なら、彼らの右に出る者はいない」
「廃坑ごと包囲して、すり潰してくれようか」
侯爵が太い腕を組み、好戦的な笑みを浮かべた。
彼の提案は魅力的だが、軍隊を動かせばコストがかかるし、何より目立ちすぎる。
今回の件は、あくまで「害虫駆除」だ。
大げさな戦争ごっこをするつもりはない。
「お気遣いありがとうございます、侯爵。ですが、今回はレオン様たちの騎士団だけで十分ですわ」
「武力で制圧するよりも、数字と契約で彼らを社会的に殺すのが、私の流儀ですから」
「ははは! 相変わらず手厳しいな。敵に回したくない相手だ」
侯爵は豪快に笑い、私の背後に控えるレオン様に視線を向けた。
レオン様は緊張した面持ちで直立不動の姿勢をとっているが、その瞳にはやる気がみなぎっている。
「それに、今回は新しい『おもちゃ』のテストも兼ねていますの」
私はセバスチャンに合図を送った。
彼が恭しく差し出した木箱の中には、私が開発させた最新型の「魔導通信機」が収められている。
これまでの大型で据え置き型のものとは違い、片手で持てるサイズまで小型化に成功したモデルだ。
「これを使えば、広大な北方領土のどこにいても、瞬時に情報を共有できます」
「廃坑の包囲網を敷くのに、これほど便利なものはありませんわ」
情報伝達の速度は、そのまま支配の確実性に繋がる。
軍隊の移動速度よりも、情報の速度の方が遥かに速く、致命的なのだ。
私は通信機をレオン様に手渡し、作戦の最終確認を行った。
「レオン様。廃坑の周囲五キロを、完全に封鎖してください」
「一人の逃亡も、金貨一枚の流出も許してはなりません」
「発見次第、即座に通信機で位置を報告し、ゼロ兄様の遊撃隊と連携して捕獲するのです」
「はっ! 承知いたしました! ネズミ一匹、逃しはしません!」
レオン様が敬礼し、部下たちに指示を飛ばす。
騎士たちが雪原用迷彩のマントを羽織り、音もなく散開していく。
その統率の取れた動きは、見ていて実に気持ちがいい。
無駄な動きが一切ない。
これぞ、コストパフォーマンスの良い軍隊だ。
私はその様子を満足げに眺めながら、ふと鼻をくんくんとさせた。
冷たい風に乗って、要塞の厨房の方から、何とも言えない香ばしい匂いが漂ってきたのだ。
焦げた脂の匂い、香草の香り、そして焼けた肉の野性味あふれる芳香。
私の胃袋が、キュウと小さく鳴った。
「セバスチャン。あの匂いは、もしかして……」
「はい、リリア様。ご明察でございます」
「リリア様のご到着に合わせて、北方のジビエの中でも特に希少な『大角イノシシ』のローストをご用意させました」
「ちょうど今、焼き上がった頃合いかと」
「素晴らしいわ! さすがはセバスチャン、私の心を読んでいますね」
「作戦の前に、少しだけ力を蓄えましょう。腹が減っては、完璧な計算もできませんもの」
私は侯爵に向き直り、満面の笑みを向けた。
「侯爵、まずは食事にしましょうか。お話は、その後でたっぷりと」
「うむ、そうこなくてはな! さあ、中へ入れ! 最高の酒も用意してあるぞ!」
案内された大食堂には、中央の巨大な暖炉で薪火が赤々と燃え盛っていた。
その火の上で、丸太のように太いイノシシの足が、一本丸ごと串刺しにされて回転している。
表面は美しい飴色に焼き上がり、皮がパリパリと弾けている。
溢れ出した脂が火に落ちて、ジュッという音と共に香ばしい煙を上げていた。
「おお、これは見事な……!」
私は思わずゴクリと喉を鳴らした。
テーブルには、特製の岩塩と、砕いたナッツ、それに酸味の効いたベリーのソースが並べられている。
シェフが巨大なナイフを振るい、最も脂の乗った腿の部分を豪快に切り分けた。
ザクッ、という音と共に、断面から薔薇色の肉汁が溢れ出し、皿の上で輝く湖を作った。
「さあ、リリア殿。熱いうちに食らってくれ!」
侯爵に促され、私はフォークを突き刺した。
ずしりとした肉の重みが手に伝わる。
そのまま大きく口を開け、一切れを放り込んだ。
「……んんっ!」
噛み締めた瞬間、野生の力が口の中で爆発した。
イノシシ肉特有の力強い弾力と、噛めば噛むほど湧き出てくる濃厚な旨味。
脂は驚くほど甘く、しかし決してしつこくない。
そこにベリーソースの鮮烈な酸味が加わることで、後味が驚くほど爽やかに引き締まる。
ナッツのカリカリとした食感が、良いアクセントになっていた。
「美味しい……! 生きている喜びを感じる味ですわ!」
王都の洗練された料理も良いが、この北の大地で食べる野性味あふれる料理には、魂を揺さぶるような感動がある。
前世の私がこれを知ったら、間違いなく腰を抜かしていただろう。
私は夢中でナイフとフォークを動かし、次々と肉を口に運んだ。
咀嚼するたびに、脳内の血管に栄養が行き渡り、思考がクリアになっていくのを感じる。
美味しい食事は、私にとって最高の魔導具であり、燃料だ。
足元では、フェンとノクスも専用の皿に盛られた肉に食らいついている。
「わんっ! はぐはぐ! これ、すごくおいしいです! ちからがわいてきます!」
「にゃあ。この脂身、最高ね。お肌がつやつやになりそうだわ」
二匹も大満足のようだ。
私は完食し、最後の肉汁までパンで拭って食べた後、口元をナプキンで優雅に拭った。
満腹感と共に、全身に力がみなぎってくる。
これで、準備は万端だ。
「さて。腹ごしらえは済んだわ。ネズミ狩りを始めましょう」
私は立ち上がり、瞳に冷徹な光を宿した。
侯爵も、満足そうに頷く。
「行ってくるがいい、リリア殿。吉報を待っているぞ」
私はフェンとノクスを連れて、要塞の外へ出た。
そこには、特注の魔導ソリが待機している。
アークライト商会の技術の粋を集めた、雪上最速の乗り物だ。
流線型のボディはミスリル銀でコーティングされ、吹雪の中でも視認性を高めるための魔法ライトが装備されている。
「乗りなさい、フェン、ノクス。ドライブの時間よ」
私は二匹を抱えてソリに乗り込み、操縦桿を握った。
魔力を流し込むと、エンジンが低く唸りを上げ、車体がふわりと浮き上がる。
「出発!」
私が叫ぶと同時に、ソリは矢のように飛び出した。
猛吹雪の中を、私たちは滑るようにして廃坑へと向かう。
視界は悪いが、私の頭の中には廃坑までのルートが完璧に描かれている。
さらに、手の中にはアークライト銀行の北方総帳簿の写しがある。
この一冊が、彼らにとっての死刑執行書となるだろう。
北国の容赦ない寒風が、結界越しに私の頬を撫でていく。
だが私の心は、次の利益を掴むために溶岩のように熱く燃え上がっていた。
私の邪魔をする者は、誰であろうと許さない。
その代償は、彼らの全財産と労働力で支払ってもらう。
「フェン。あの廃坑を制圧したら、そこを私たちの新しい倉庫にするわよ」
「塩だけでなく、北方の海産物や毛皮を保管する、巨大な物流拠点にするの」
私の言葉に、フェンが嬉しそうに吠えた。
「わんっ! 美味しいものを、たくさん貯めましょうね! ぼくが番犬になります!」
ソリは速度を上げ、闇の奥へと突き進んでいった。
その先には、怯えたネズミたちと、莫大な富が待っている。
そう思うと、私は思わず口元を緩ませてしまうのだった。
窓の外を流れる景色は、見渡す限りの白銀世界だ。
かつては馬車で数週間を要した死の雪道を、最新鋭の魔導エンジンを搭載したこの鉄の塊は、わずか数時間で踏破していく。
規則正しい車輪の音が、私の鼓動と心地よくシンクロしていた。
私は六歳になり、以前よりも少しだけ視線が高くなったのを感じる。
窓ガラスに映る自分の姿は、北国の乾燥した空気にも負けず、健康的で艶やかな肌を保っていた。
銀色の髪はアメジストの瞳を際立たせ、その奥には常に数字と利益を計算する冷徹な光が宿っている。
「リリア様。本日の定期報告書でございます」
隣に控えていたカシアンが、恭しく分厚い帳簿を差し出した。
彼は今や、アークライト商会の心臓部を担う筆頭監査役だ。
その眼鏡の奥の瞳は、どんな些細な不正も見逃さない鋭さを持っている。
私は優雅に手元のレモネードを一口飲み、帳簿を受け取った。
西方の砂漠から直送されたレモンと、北方の氷河から切り出した純度の高い氷。
そして、アークライト領で精製された最高級の砂糖。
それらが完璧な比率で混ざり合ったこの一杯は、私の脳細胞を活性化させる魔法の薬だ。
口の中に広がる爽やかな酸味と甘みを感じながら、私はパラパラとページをめくった。
「……ふむ。北方の物流、全体的には順調ね」
鉄鉱石の輸送量、海産物の出荷量、どれも右肩上がりだ。
私の敷いたレールが、この国の動脈として機能している証拠である。
だが、あるページで私の指がピタリと止まった。
数字の羅列の中に、わずかな違和感を見つけたからだ。
それは、砂漠の中の一粒の砂金を見つけるような、直感に近い感覚だった。
「カシアン。北方の『塩』の価格変動率が、私の予測モデルと0.5パーセント乖離しているわ」
私の指摘に、カシアンがハッとした表情で身を乗り出した。
「さすがはリリア様。……はい、実はその件について、現地のアークライト銀行支店から不穏な報告が入っております」
「特定の地域において、塩の供給量が不安定になり、闇市場での取引価格が上昇しているとのことです」
「供給量は安定しているはずよ。私が生産計画を管理しているのだから」
私は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
塩は生命維持に不可欠なミネラルであり、アークライト商会が独占的に扱う最重要戦略物資の一つだ。
その流通が乱れるということは、私の管理下にない「穴」が存在することを意味する。
「私の鉄道を使わずに、裏ルートで塩を流しているネズミがいるようね」
「輸送コストを考えれば、鉄道を使わないメリットなどないはずですが……」
「脱税と、横流しよ。正規のルートを通せば、私の帳簿に記録が残る。それを嫌った連中が、旧時代の獣道を使ってコソコソと運んでいるのよ」
私は帳簿をパタンと閉じ、窓の外の雪原を睨みつけた。
私の敷いたインフラを利用せず、私の定めたルールを破り、私に支払うべき利益を掠め取る。
それは単なる密輸ではない。
私に対する明確な「挑戦状」であり、経済秩序への「反逆行為」だ。
許せるはずがない。
「カシアン。直ちにアークライト銀行の北方総括支店に連絡して」
「当該エリアにおける不審な資金移動を全て洗い出しなさい。塩の裏取引で得た金は、必ずどこかで洗浄されているはずよ」
「口座の凍結準備と、担保物件のリストアップも忘れないで」
「はっ! 直ちに手配いたします!」
カシアンが魔導通信機に向かって早口で指示を飛ばし始めた。
彼の優秀さは疑いようがないが、数字の裏に潜む「悪意」を暴くには、もう一人の専門家の力が必要だ。
「素晴らしいわ。兄様の方は、どうなっているかしら」
私が天井に向かって何気なく呟くと、シャンデリアの影がゆらりと揺れた。
次の瞬間、黒いマントを翻したゼロ兄様が、音もなく私の前のテーブルに着地した。
いつものことだが、重力を無視したような身のこなしだ。
彼は冷たい雪の匂いを纏い、氷のような瞳で私を見下ろした。
「相変わらず耳が早いな、リリア。俺が報告に来る前に気づくとは」
「兄様が優秀な斥候を放っていることは知っていますもの。それで? 塩を盗み出しているルートは特定できたのかしら」
「ああ。北の国境、アイゼン領と隣国の緩衝地帯にある古い廃坑だ」
「そこを中継地点にして、夜な夜な馬車で塩を運び出している」
「廃坑、ですか。……以前、私がヴァロワ家の残党から接収した鉱山の近くね」
私は頭の中の地図を展開し、該当箇所に赤いピンを立てた。
地形が複雑で、雪深く、正規軍が見回りを避けるような場所だ。
なるほど、ネズミが巣食うにはお誂え向きの場所と言える。
「兄様。彼らの背後にいるのは、誰かしら」
「単なる小悪党の集まりにしては、組織立っているようだけれど」
「バーストン公爵の親族と、シオン王国の残党だな」
「以前、お前が叩き潰した連中の残党が、手を組んで最後のあがきを見せているようだ」
「また彼らなのね。本当に、学習能力のない人たちだわ」
「何度叩きのめされても、懲りずに私の利益に手を出そうとするなんて。ある意味、感心してしまうわね」
私は呆れを通り越して、乾いた笑いを漏らした。
バーストン公爵家とシオン王国の旧勢力。
どちらも私が完膚なきまでに経済的に叩き潰したはずだが、まだ隠し資産を持っていたということか。
いや、あるいは破れかぶれで、一発逆転を狙った博打に出ているのかもしれない。
「奴らは、盗み出した塩を隣国で売りさばき、金塊に変えて持ち逃げするつもりのようだ」
「すでにかなりの量が運び出されている。放置すれば、北方の塩相場が崩壊するぞ」
「金塊? それは、アークライト銀行への冒涜だわ」
私の管理する経済圏において、私の許可なく通貨を金塊に変えて国外へ持ち出すなど、万死に値する重罪だ。
通貨の流出は、国内経済のデフレを招き、私の資産価値を目減りさせる。
それは、私個人への攻撃と同義だ。
「決まりね。これ以上、彼らを野放しにはできないわ」
私はソファから優雅に立ち上がり、足元でくつろいでいた二匹の相棒に声をかけた。
「フェン、ノクス。お昼寝の時間は終わりよ」
「少しばかり、雪遊びに出かけましょうか」
「わんっ! 雪原を走るのは、ぼくの得意分野です! 体がうずうずします!」
「にゃあ。お魚の塩焼きのために、一肌脱いで上げましょうか。寒いのは苦手だけど、リリアの『お掃除』は見ていてスカッとするものね」
フェンが銀色の尻尾を激しく振り、ノクスがしなやかに伸びをして立ち上がった。
二匹とも、この半年でさらに逞しく、美しく成長している。
フェンの毛並みはダイヤモンドダストのように輝き、ノクスの瞳は深淵を覗くように深い。
彼らは私の最強の矛であり、盾だ。
「さあ、お仕事の時間よ。行くわよ」
私は二匹を引き連れ、車両のデッキへと向かった。
列車が減速し、アイゼン要塞の麓にある駅へと滑り込む。
プシュゥゥゥッという蒸気の排出音が、静寂な雪山に響き渡り、私の到着を高らかに告げた。
ホームに降り立つと、そこにはすでにアイゼン候の姿があった。
彼は相変わらずの巨漢で、熊の毛皮を豪快に羽織っている。
その顔には厳しい皺が刻まれているが、私を見る目だけは、孫を見る好々爺のように温かく、そして確かな敬意に満ちていた。
「ようこそ、リリア殿。また騒がしいネズミが現れたようだな」
「ご機嫌よう、侯爵。お出迎え感謝いたしますわ」
「ええ、少しばかり躾のなっていないネズミたちが、私の庭を荒らしているようですので」
私はにっこりと微笑み、優雅にカーテシーをした。
外気は氷点下だが、私の纏う最高級の防寒ドレスと、体内の魔力循環のおかげで寒さは感じない。
「うむ。我が軍の精鋭部隊を貸そう。雪山での戦闘なら、彼らの右に出る者はいない」
「廃坑ごと包囲して、すり潰してくれようか」
侯爵が太い腕を組み、好戦的な笑みを浮かべた。
彼の提案は魅力的だが、軍隊を動かせばコストがかかるし、何より目立ちすぎる。
今回の件は、あくまで「害虫駆除」だ。
大げさな戦争ごっこをするつもりはない。
「お気遣いありがとうございます、侯爵。ですが、今回はレオン様たちの騎士団だけで十分ですわ」
「武力で制圧するよりも、数字と契約で彼らを社会的に殺すのが、私の流儀ですから」
「ははは! 相変わらず手厳しいな。敵に回したくない相手だ」
侯爵は豪快に笑い、私の背後に控えるレオン様に視線を向けた。
レオン様は緊張した面持ちで直立不動の姿勢をとっているが、その瞳にはやる気がみなぎっている。
「それに、今回は新しい『おもちゃ』のテストも兼ねていますの」
私はセバスチャンに合図を送った。
彼が恭しく差し出した木箱の中には、私が開発させた最新型の「魔導通信機」が収められている。
これまでの大型で据え置き型のものとは違い、片手で持てるサイズまで小型化に成功したモデルだ。
「これを使えば、広大な北方領土のどこにいても、瞬時に情報を共有できます」
「廃坑の包囲網を敷くのに、これほど便利なものはありませんわ」
情報伝達の速度は、そのまま支配の確実性に繋がる。
軍隊の移動速度よりも、情報の速度の方が遥かに速く、致命的なのだ。
私は通信機をレオン様に手渡し、作戦の最終確認を行った。
「レオン様。廃坑の周囲五キロを、完全に封鎖してください」
「一人の逃亡も、金貨一枚の流出も許してはなりません」
「発見次第、即座に通信機で位置を報告し、ゼロ兄様の遊撃隊と連携して捕獲するのです」
「はっ! 承知いたしました! ネズミ一匹、逃しはしません!」
レオン様が敬礼し、部下たちに指示を飛ばす。
騎士たちが雪原用迷彩のマントを羽織り、音もなく散開していく。
その統率の取れた動きは、見ていて実に気持ちがいい。
無駄な動きが一切ない。
これぞ、コストパフォーマンスの良い軍隊だ。
私はその様子を満足げに眺めながら、ふと鼻をくんくんとさせた。
冷たい風に乗って、要塞の厨房の方から、何とも言えない香ばしい匂いが漂ってきたのだ。
焦げた脂の匂い、香草の香り、そして焼けた肉の野性味あふれる芳香。
私の胃袋が、キュウと小さく鳴った。
「セバスチャン。あの匂いは、もしかして……」
「はい、リリア様。ご明察でございます」
「リリア様のご到着に合わせて、北方のジビエの中でも特に希少な『大角イノシシ』のローストをご用意させました」
「ちょうど今、焼き上がった頃合いかと」
「素晴らしいわ! さすがはセバスチャン、私の心を読んでいますね」
「作戦の前に、少しだけ力を蓄えましょう。腹が減っては、完璧な計算もできませんもの」
私は侯爵に向き直り、満面の笑みを向けた。
「侯爵、まずは食事にしましょうか。お話は、その後でたっぷりと」
「うむ、そうこなくてはな! さあ、中へ入れ! 最高の酒も用意してあるぞ!」
案内された大食堂には、中央の巨大な暖炉で薪火が赤々と燃え盛っていた。
その火の上で、丸太のように太いイノシシの足が、一本丸ごと串刺しにされて回転している。
表面は美しい飴色に焼き上がり、皮がパリパリと弾けている。
溢れ出した脂が火に落ちて、ジュッという音と共に香ばしい煙を上げていた。
「おお、これは見事な……!」
私は思わずゴクリと喉を鳴らした。
テーブルには、特製の岩塩と、砕いたナッツ、それに酸味の効いたベリーのソースが並べられている。
シェフが巨大なナイフを振るい、最も脂の乗った腿の部分を豪快に切り分けた。
ザクッ、という音と共に、断面から薔薇色の肉汁が溢れ出し、皿の上で輝く湖を作った。
「さあ、リリア殿。熱いうちに食らってくれ!」
侯爵に促され、私はフォークを突き刺した。
ずしりとした肉の重みが手に伝わる。
そのまま大きく口を開け、一切れを放り込んだ。
「……んんっ!」
噛み締めた瞬間、野生の力が口の中で爆発した。
イノシシ肉特有の力強い弾力と、噛めば噛むほど湧き出てくる濃厚な旨味。
脂は驚くほど甘く、しかし決してしつこくない。
そこにベリーソースの鮮烈な酸味が加わることで、後味が驚くほど爽やかに引き締まる。
ナッツのカリカリとした食感が、良いアクセントになっていた。
「美味しい……! 生きている喜びを感じる味ですわ!」
王都の洗練された料理も良いが、この北の大地で食べる野性味あふれる料理には、魂を揺さぶるような感動がある。
前世の私がこれを知ったら、間違いなく腰を抜かしていただろう。
私は夢中でナイフとフォークを動かし、次々と肉を口に運んだ。
咀嚼するたびに、脳内の血管に栄養が行き渡り、思考がクリアになっていくのを感じる。
美味しい食事は、私にとって最高の魔導具であり、燃料だ。
足元では、フェンとノクスも専用の皿に盛られた肉に食らいついている。
「わんっ! はぐはぐ! これ、すごくおいしいです! ちからがわいてきます!」
「にゃあ。この脂身、最高ね。お肌がつやつやになりそうだわ」
二匹も大満足のようだ。
私は完食し、最後の肉汁までパンで拭って食べた後、口元をナプキンで優雅に拭った。
満腹感と共に、全身に力がみなぎってくる。
これで、準備は万端だ。
「さて。腹ごしらえは済んだわ。ネズミ狩りを始めましょう」
私は立ち上がり、瞳に冷徹な光を宿した。
侯爵も、満足そうに頷く。
「行ってくるがいい、リリア殿。吉報を待っているぞ」
私はフェンとノクスを連れて、要塞の外へ出た。
そこには、特注の魔導ソリが待機している。
アークライト商会の技術の粋を集めた、雪上最速の乗り物だ。
流線型のボディはミスリル銀でコーティングされ、吹雪の中でも視認性を高めるための魔法ライトが装備されている。
「乗りなさい、フェン、ノクス。ドライブの時間よ」
私は二匹を抱えてソリに乗り込み、操縦桿を握った。
魔力を流し込むと、エンジンが低く唸りを上げ、車体がふわりと浮き上がる。
「出発!」
私が叫ぶと同時に、ソリは矢のように飛び出した。
猛吹雪の中を、私たちは滑るようにして廃坑へと向かう。
視界は悪いが、私の頭の中には廃坑までのルートが完璧に描かれている。
さらに、手の中にはアークライト銀行の北方総帳簿の写しがある。
この一冊が、彼らにとっての死刑執行書となるだろう。
北国の容赦ない寒風が、結界越しに私の頬を撫でていく。
だが私の心は、次の利益を掴むために溶岩のように熱く燃え上がっていた。
私の邪魔をする者は、誰であろうと許さない。
その代償は、彼らの全財産と労働力で支払ってもらう。
「フェン。あの廃坑を制圧したら、そこを私たちの新しい倉庫にするわよ」
「塩だけでなく、北方の海産物や毛皮を保管する、巨大な物流拠点にするの」
私の言葉に、フェンが嬉しそうに吠えた。
「わんっ! 美味しいものを、たくさん貯めましょうね! ぼくが番犬になります!」
ソリは速度を上げ、闇の奥へと突き進んでいった。
その先には、怯えたネズミたちと、莫大な富が待っている。
そう思うと、私は思わず口元を緩ませてしまうのだった。
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