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次の日、ギルドでアランさんのために文献を探していると、ナナミちゃんが興味津々といった様子で話しかけてきた。
「佐倉さーん、昨日〈モンス飯亭〉で学者さんとお話ししてたって本当ですかー?」
どこから聞きつけたのやら、ナナミちゃんの情報網には時々驚かされる。
「ええ、まあ、少しだけね。古代遺跡の研究をしている方みたいよ」
「へぇー!学者さんですかー!なんだかカッコイイですね!佐倉さん、もしかして春が来たんじゃないですかー?」
「も、もう、ナナミちゃんったら、変なこと言わないの!ただ、ちょっと調べ物を手伝う約束をしただけよ」
慌てて否定するけれど、ナナミちゃんはニヤニヤと楽しそうだ。
本当に、この子は……。
それでも、ナナミちゃんの明るさに、少しだけ救われている自分もいる。
彼女がいると、ギルドの雰囲気も和やかになる。
昼休み、アランさんが約束通りギルドにやってきた。
私はいくつかの古書店の情報と、ギルドの資料室で見つけた関連がありそうな文献のリストを彼に渡した。
「佐倉さん、本当にありがとう。こんなに早く情報を集めてくれるなんて、思ってもみなかったよ。君は本当に優秀な受付嬢なんだな」
アランさんが心からの感謝を伝えてくれる。
その言葉に、素直に嬉しいと感じる自分がいた。
「いえ、お役に立てたのならよかったです。研究、頑張ってくださいね」
「ああ、君のおかげで、大きな一歩を踏み出せそうだ。もし、何か進展があったら、また報告に来てもいいかな?」
「もちろんです。お待ちしています」
アランさんは晴れやかな顔でギルドを後にした。
彼が無事に研究を進められることを、心から願う。
その日の夜、私はまた〈モンス飯亭〉の暖簾をくぐっていた。
女将さんにアランさんのことを報告すると、彼女は「あらあら、それは良かったじゃない」と自分のことのように喜んでくれた。
「それで、今日のレナちゃんは何にする?」
「そうですね……。なんだか、今日はすごくお腹が空いてるんです。ガツンとくるような、お肉料理が食べたい気分です!」
「それなら、とっておきのがあるわよ。『ロックリザードの丸焼き~特製ハーブソルト添え~』なんてどうかしら?皮はパリパリ、お肉はジューシーで、食べ応え満点よ」
「ロックリザードの丸焼き……!?」
またしても、聞いたことのない魔獣料理だ。
でも、女将さんが「とっておき」と言うからには、絶対に美味しいに違いない。
「ぜひ、それでお願いします!」
運ばれてきたのは、その名の通り、岩のようにゴツゴツとした皮を持つトカゲ型の魔獣が、豪快に丸ごと焼かれた一皿だった。
こんがりと焼き上げられた皮からは香ばしい匂いが立ち上り、添えられた特製ハーブソルトの緑が彩りを添えている。
ナイフを入れると、パリッとした皮の下から、じゅわっと肉汁があふれ出す。
白い身は驚くほど柔らかそうで、食欲をそそる。
一口食べると、まず皮の香ばしさとパリパリとした食感がたまらない。
そして、中の肉はしっとりと柔らかく、噛むほどに濃厚な旨みが口の中に広がる。
鶏肉に似ているけれど、もっと弾力があって、味わい深い。
特製のハーブソルトが、肉の旨みをさらに引き立てている。
「美味しい……!この皮のパリパリ感と、お肉のジューシーさが最高です!」
「そうでしょう?ロックリザードはね、皮をパリッと焼き上げるのが難しいんだけど、そこが腕の見せ所なのよ」
女将さんが得意そうに胸を張る。
確かに、この絶妙な焼き加減は、まさに職人技だ。
夢中で肉にかぶりついていると、あっという間に半分ほど食べてしまった。
これは、ビールが止まらなくなるやつだ。
「すみません、ビールおかわりお願いします!」
「はいよ、お待ちどうさま!」
冷えたビールで喉を潤し、再びロックリザードに向き合う。
骨の周りの肉まで、丁寧にしゃぶりつくす。
こんなに美味しいものを食べられるなんて、本当に幸せだ。
ふと、アランさんのことを思い出した。
彼も、無事に研究を進められているだろうか。
美味しいものを食べて、元気を出しているといいな。
そんなことを考えていると、なんだか心が温かくなるのを感じた。
〈モンス飯亭〉は、美味しい料理だけでなく、人との繋がりも与えてくれる場所なのかもしれない。
そう思うと、この路地裏の小さな飯処が、ますます愛おしく感じられた。
明日も、きっと何か新しい出会いや発見がある。
そんな期待を胸に、私は最後の一切れをゆっくりと味わった。
「佐倉さーん、昨日〈モンス飯亭〉で学者さんとお話ししてたって本当ですかー?」
どこから聞きつけたのやら、ナナミちゃんの情報網には時々驚かされる。
「ええ、まあ、少しだけね。古代遺跡の研究をしている方みたいよ」
「へぇー!学者さんですかー!なんだかカッコイイですね!佐倉さん、もしかして春が来たんじゃないですかー?」
「も、もう、ナナミちゃんったら、変なこと言わないの!ただ、ちょっと調べ物を手伝う約束をしただけよ」
慌てて否定するけれど、ナナミちゃんはニヤニヤと楽しそうだ。
本当に、この子は……。
それでも、ナナミちゃんの明るさに、少しだけ救われている自分もいる。
彼女がいると、ギルドの雰囲気も和やかになる。
昼休み、アランさんが約束通りギルドにやってきた。
私はいくつかの古書店の情報と、ギルドの資料室で見つけた関連がありそうな文献のリストを彼に渡した。
「佐倉さん、本当にありがとう。こんなに早く情報を集めてくれるなんて、思ってもみなかったよ。君は本当に優秀な受付嬢なんだな」
アランさんが心からの感謝を伝えてくれる。
その言葉に、素直に嬉しいと感じる自分がいた。
「いえ、お役に立てたのならよかったです。研究、頑張ってくださいね」
「ああ、君のおかげで、大きな一歩を踏み出せそうだ。もし、何か進展があったら、また報告に来てもいいかな?」
「もちろんです。お待ちしています」
アランさんは晴れやかな顔でギルドを後にした。
彼が無事に研究を進められることを、心から願う。
その日の夜、私はまた〈モンス飯亭〉の暖簾をくぐっていた。
女将さんにアランさんのことを報告すると、彼女は「あらあら、それは良かったじゃない」と自分のことのように喜んでくれた。
「それで、今日のレナちゃんは何にする?」
「そうですね……。なんだか、今日はすごくお腹が空いてるんです。ガツンとくるような、お肉料理が食べたい気分です!」
「それなら、とっておきのがあるわよ。『ロックリザードの丸焼き~特製ハーブソルト添え~』なんてどうかしら?皮はパリパリ、お肉はジューシーで、食べ応え満点よ」
「ロックリザードの丸焼き……!?」
またしても、聞いたことのない魔獣料理だ。
でも、女将さんが「とっておき」と言うからには、絶対に美味しいに違いない。
「ぜひ、それでお願いします!」
運ばれてきたのは、その名の通り、岩のようにゴツゴツとした皮を持つトカゲ型の魔獣が、豪快に丸ごと焼かれた一皿だった。
こんがりと焼き上げられた皮からは香ばしい匂いが立ち上り、添えられた特製ハーブソルトの緑が彩りを添えている。
ナイフを入れると、パリッとした皮の下から、じゅわっと肉汁があふれ出す。
白い身は驚くほど柔らかそうで、食欲をそそる。
一口食べると、まず皮の香ばしさとパリパリとした食感がたまらない。
そして、中の肉はしっとりと柔らかく、噛むほどに濃厚な旨みが口の中に広がる。
鶏肉に似ているけれど、もっと弾力があって、味わい深い。
特製のハーブソルトが、肉の旨みをさらに引き立てている。
「美味しい……!この皮のパリパリ感と、お肉のジューシーさが最高です!」
「そうでしょう?ロックリザードはね、皮をパリッと焼き上げるのが難しいんだけど、そこが腕の見せ所なのよ」
女将さんが得意そうに胸を張る。
確かに、この絶妙な焼き加減は、まさに職人技だ。
夢中で肉にかぶりついていると、あっという間に半分ほど食べてしまった。
これは、ビールが止まらなくなるやつだ。
「すみません、ビールおかわりお願いします!」
「はいよ、お待ちどうさま!」
冷えたビールで喉を潤し、再びロックリザードに向き合う。
骨の周りの肉まで、丁寧にしゃぶりつくす。
こんなに美味しいものを食べられるなんて、本当に幸せだ。
ふと、アランさんのことを思い出した。
彼も、無事に研究を進められているだろうか。
美味しいものを食べて、元気を出しているといいな。
そんなことを考えていると、なんだか心が温かくなるのを感じた。
〈モンス飯亭〉は、美味しい料理だけでなく、人との繋がりも与えてくれる場所なのかもしれない。
そう思うと、この路地裏の小さな飯処が、ますます愛おしく感じられた。
明日も、きっと何か新しい出会いや発見がある。
そんな期待を胸に、私は最後の一切れをゆっくりと味わった。
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