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親子揃って外堀固めてくれるのやめて……
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「こちらにございます」
メイドに案内されたのは見晴らしのいい庭。
テーブルが設置されており、その上に置かれている大きなケーキスタンドには軽食や焼き菓子が綺麗に並べられている。
「随分と遅かったではないか」
「少し話をしていました」
ラウ公爵にアラウディ様は言う。
「ほう……で、どうだ?」
「脈無しかと。今は」
「なんと、」
俺に分からない話が進んでいく。
交互に親子を見ているとラウ親子が俺の前に顔を近づけてきた。
「シュウマよ。アディは嫌いか?」
「いや、嫌いでは―――っ?!」
(しまった!)
ここはきっぱりと否定するべきポイントっ!!
ラウ公爵の圧に負けてしまった。
嫌な汗がにじむ。
そんな俺の事など気にせずラウ公爵は満面の笑みを浮かべる。
「ならば良い。アディもお前を気に入っている」
「それは……光栄です」
空気が変わった。
庭の風すら止まったような錯覚。
笑っているのに、逃げ道がない。
「お断りします」などと言える雰囲気ではない。
ラウ公爵の笑みには、拒否を許さぬ圧が乗っていた。
だが、ここで頷く気は微塵もない。
「お言葉ですが公爵。私には荷が重すぎます」
「嫌い、ではないのだろう?」
「はい。嫌いではありません。ですが恋愛感情もありません」
(そもそも5歳児に何を聞いてるんだジジイっ!)
内心毒を吐きつつ、笑みは崩さない。
この世界は同性婚が普通に成立する。
笑えない事に。
「私はまだ子供。結婚を考えるには早すぎるかと」
(俺は外野席でポップコーン食ってる役でいいんだよ!)
「その考えができるだけで十分だと思うがな」
逃げ道が、塞がれていく。
「では、許嫁。というのはどうでしょう」
アラウディ様は一切の迷いなく提案する。
(余計なことを言うなっ!!)
「まずはお互いを知る。そして成人したら祝言を挙げる。それで問題はないだろ」
「あの――」
「そうですね。楽しみです」
アラウディ様の視線が逃がさないと言っている。
父子で話はまとまった。
俺の意思は、最初から数に入っていない。
この後食べた茶菓子の味は、全く覚えていなかった。
―――
帰りの馬車でぐったりとしながら俺は思う。
(逃げ場、完全に塞がれたのでは?)
……いいや、まだだ。まだ打開策があるはずだ。
本編である学園編に行けばアラウディ様の興味は受けのルードに行くはず。
行く―――よな?
そうでなければ、俺は本気で詰む。
(あの執着心をどうにかしないと)
ティータイムの時のアラウディ様の表情。
それを思い出すだけで、とてつもない不安でため息が止まらなくなった。
メイドに案内されたのは見晴らしのいい庭。
テーブルが設置されており、その上に置かれている大きなケーキスタンドには軽食や焼き菓子が綺麗に並べられている。
「随分と遅かったではないか」
「少し話をしていました」
ラウ公爵にアラウディ様は言う。
「ほう……で、どうだ?」
「脈無しかと。今は」
「なんと、」
俺に分からない話が進んでいく。
交互に親子を見ているとラウ親子が俺の前に顔を近づけてきた。
「シュウマよ。アディは嫌いか?」
「いや、嫌いでは―――っ?!」
(しまった!)
ここはきっぱりと否定するべきポイントっ!!
ラウ公爵の圧に負けてしまった。
嫌な汗がにじむ。
そんな俺の事など気にせずラウ公爵は満面の笑みを浮かべる。
「ならば良い。アディもお前を気に入っている」
「それは……光栄です」
空気が変わった。
庭の風すら止まったような錯覚。
笑っているのに、逃げ道がない。
「お断りします」などと言える雰囲気ではない。
ラウ公爵の笑みには、拒否を許さぬ圧が乗っていた。
だが、ここで頷く気は微塵もない。
「お言葉ですが公爵。私には荷が重すぎます」
「嫌い、ではないのだろう?」
「はい。嫌いではありません。ですが恋愛感情もありません」
(そもそも5歳児に何を聞いてるんだジジイっ!)
内心毒を吐きつつ、笑みは崩さない。
この世界は同性婚が普通に成立する。
笑えない事に。
「私はまだ子供。結婚を考えるには早すぎるかと」
(俺は外野席でポップコーン食ってる役でいいんだよ!)
「その考えができるだけで十分だと思うがな」
逃げ道が、塞がれていく。
「では、許嫁。というのはどうでしょう」
アラウディ様は一切の迷いなく提案する。
(余計なことを言うなっ!!)
「まずはお互いを知る。そして成人したら祝言を挙げる。それで問題はないだろ」
「あの――」
「そうですね。楽しみです」
アラウディ様の視線が逃がさないと言っている。
父子で話はまとまった。
俺の意思は、最初から数に入っていない。
この後食べた茶菓子の味は、全く覚えていなかった。
―――
帰りの馬車でぐったりとしながら俺は思う。
(逃げ場、完全に塞がれたのでは?)
……いいや、まだだ。まだ打開策があるはずだ。
本編である学園編に行けばアラウディ様の興味は受けのルードに行くはず。
行く―――よな?
そうでなければ、俺は本気で詰む。
(あの執着心をどうにかしないと)
ティータイムの時のアラウディ様の表情。
それを思い出すだけで、とてつもない不安でため息が止まらなくなった。
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