25 / 34
懲りずに新しい恋を探しちゃいけませんか?
6. ミリオンズホテル お見合いパーティー②
しおりを挟む
◇
秋晴れの良い天気のもと、駅前の大きな噴水の前で寧々ちゃんと待ち合わせていた。お出かけ用のお気に入りの腕時計と周囲を交互に見遣る。
「いた!先輩~!」
と、駅の構内から広場へ続く道を彼女が手を振りながら駆けてくるのが見えた。
「あ!おはよう。うわぁ、寧々ちゃん、今日めっちゃ可愛い」
レモンイエローのワンピースとオフホワイトの上着。膝下まであるふわふわ揺れる生地には、控えめだが目を引く小花柄の刺繍が入っていて、とても綺麗だ。
パールのネックレスやピアス、波打つ柔らかな肩まであるブラウンの髪の毛はうなじが美しく見えるアップスタイル。
くりっと大きな目で、元気な印象を与える彼女の雰囲気ととてもマッチしていた。寧々ちゃんの良さを最大限に活かして、かつ、大人らしい色気も漂っている。
「えへへ~。気合い十分!井手 寧々、運命の出会い狙っていきますよ~!」
「う、うん。頑張ろうね....」
寧々ちゃんの気迫がすごい....
背後で燃える炎が見えて、思わず身を引いていた。
寧々ちゃんは、私の様子など気にした風もない。
「先輩も。めっちゃ綺麗!いつも綺麗ですけど、今日は特に!しかも、なんか先輩らしいコーディネートで、私好きです!」
「....ありがとう。私らしいって嬉しい」
今日は白のトップスに黒のタイトスカート。ゴールドのポイントが入っていて、アクセサリーも同じ色合いにした。バッグは、もちろん赤。
ロングの髪の毛はそのまま下ろして、ハーフアップだ。
お見合いパーティーに向いているかと言われると謎の組み合わせだが、いいのだ。同じ轍を踏まぬために、清楚っぽく見えない、私なりに個性を意識したコーディネートなのだから。
「でも良かったです。電車遅れてて。ギリギリだったから、さっき連絡入れたんですけど......先輩、既読にもならないし。ちょっと心配してました」
「あ、ごめん。実は、スマホ充電できてなかったみたいでさ。さっき駅に向かう途中で気づいたんだ....」
トボトボ歩き始めた折に、そんな会話をする。
充電器はさしたはずなのだが、もしかしたら充電器自体をコンセントにさしていなかったのかもしれない。たまにやらかすことだった。
「え~、大丈夫なんですか?」
「うん。まぁ、帰るまで充電はできないけど。寧々ちゃんとは待ち合わせ場所も時間も決まってたから、合流はできるかなって」
「ですね。じゃ、尚更良かったです。電車動いて、何とか遅れずに済みましたし」
「ふふ、うん。ランチどこにしようか?私、あのお店気になるなって思ってて」
「やだ、先輩。趣味良すぎです!私も気になってました~」
「じゃあ、あそこで決まりね」
「はぁい」
あと二時間。出陣前の女子たちは、お腹を満たすためイタリアンのお店へランチに向かった。白にシミがつかないよう十分気をつけて。
◇
「どうぞ。番号札は見やすい位置におつけ下さい。会場に入りましたら自己紹介カードのご記入をお願いします。ーー良き出会いがありますように。行ってらっしゃいませ」
受付を済ませると、パーティーの主催会社のスタッフの人たちにホールの入り口で上品に頭を下げられ送り出された。
「先輩、準備はいいですか?」
「う、うん」
寧々ちゃんの気合いは最高潮。鼻息荒く戦闘態勢だ。
「いざ、出陣!」
「は、はいっ」
後輩とは思えない引率力でリードされ入ったホールはそれはもう、豪奢。かつ、華やかでーー。
「「 ほわぁ..... 」」
さすが有名ホテルのホール。二人してポカンとなった。
広さはもちろんのこと、キラキラのシャンデリアに、赤いビロードの絨毯。ちょうどティータイムの開催時間とあって、色とりどりのお洒落なスイーツや軽食。ここのケーキは美味しいことでよく知られていた。
ドリンクは、アルコールからソフトドリンク、フレーバーウォーターまで。好きに選べる。立食でも、ホールの端のテーブルでも、どちらでも頂けるスタイルだ。
「「 す、すごい.... 」」
気づけば、二人の声は重なっていた。
すでに人は多く集まっていて、私には人数が足りてないとは到底思えないほどだ。
パーティーは、司会進行役のスタッフさんの指示で進んでいくらしい。
「先輩、何か食べます?」
「あ、私はドリンクにしようかな」
「了解でーす!私、ケーキ気になるんで見て来てもいいですか?」
「ふふ、うん。ドリンクとって、この辺に居るよ」
さっき『出陣だ』とすごい迫力だったはずなのに、コロッとケーキに気持ちを向けた彼女が可愛くて、くすくす笑ってしまった。
私の返事を聞くやいなや、ケーキのテーブルに一直線に歩いていく彼女を見送って、私はくるりと背を向ける。
(何にしよう.....)
ケーキや軽食とは反対側のテーブルにドリンク類は置かれていた。アルコールは希望があればスタッフがその場で拵えてくれる。
私は、種類豊富なドリンクに迷いながら、アイスティーに手を伸ばした。
「僕がお注ぎしましょうか」
「え?」
秋晴れの良い天気のもと、駅前の大きな噴水の前で寧々ちゃんと待ち合わせていた。お出かけ用のお気に入りの腕時計と周囲を交互に見遣る。
「いた!先輩~!」
と、駅の構内から広場へ続く道を彼女が手を振りながら駆けてくるのが見えた。
「あ!おはよう。うわぁ、寧々ちゃん、今日めっちゃ可愛い」
レモンイエローのワンピースとオフホワイトの上着。膝下まであるふわふわ揺れる生地には、控えめだが目を引く小花柄の刺繍が入っていて、とても綺麗だ。
パールのネックレスやピアス、波打つ柔らかな肩まであるブラウンの髪の毛はうなじが美しく見えるアップスタイル。
くりっと大きな目で、元気な印象を与える彼女の雰囲気ととてもマッチしていた。寧々ちゃんの良さを最大限に活かして、かつ、大人らしい色気も漂っている。
「えへへ~。気合い十分!井手 寧々、運命の出会い狙っていきますよ~!」
「う、うん。頑張ろうね....」
寧々ちゃんの気迫がすごい....
背後で燃える炎が見えて、思わず身を引いていた。
寧々ちゃんは、私の様子など気にした風もない。
「先輩も。めっちゃ綺麗!いつも綺麗ですけど、今日は特に!しかも、なんか先輩らしいコーディネートで、私好きです!」
「....ありがとう。私らしいって嬉しい」
今日は白のトップスに黒のタイトスカート。ゴールドのポイントが入っていて、アクセサリーも同じ色合いにした。バッグは、もちろん赤。
ロングの髪の毛はそのまま下ろして、ハーフアップだ。
お見合いパーティーに向いているかと言われると謎の組み合わせだが、いいのだ。同じ轍を踏まぬために、清楚っぽく見えない、私なりに個性を意識したコーディネートなのだから。
「でも良かったです。電車遅れてて。ギリギリだったから、さっき連絡入れたんですけど......先輩、既読にもならないし。ちょっと心配してました」
「あ、ごめん。実は、スマホ充電できてなかったみたいでさ。さっき駅に向かう途中で気づいたんだ....」
トボトボ歩き始めた折に、そんな会話をする。
充電器はさしたはずなのだが、もしかしたら充電器自体をコンセントにさしていなかったのかもしれない。たまにやらかすことだった。
「え~、大丈夫なんですか?」
「うん。まぁ、帰るまで充電はできないけど。寧々ちゃんとは待ち合わせ場所も時間も決まってたから、合流はできるかなって」
「ですね。じゃ、尚更良かったです。電車動いて、何とか遅れずに済みましたし」
「ふふ、うん。ランチどこにしようか?私、あのお店気になるなって思ってて」
「やだ、先輩。趣味良すぎです!私も気になってました~」
「じゃあ、あそこで決まりね」
「はぁい」
あと二時間。出陣前の女子たちは、お腹を満たすためイタリアンのお店へランチに向かった。白にシミがつかないよう十分気をつけて。
◇
「どうぞ。番号札は見やすい位置におつけ下さい。会場に入りましたら自己紹介カードのご記入をお願いします。ーー良き出会いがありますように。行ってらっしゃいませ」
受付を済ませると、パーティーの主催会社のスタッフの人たちにホールの入り口で上品に頭を下げられ送り出された。
「先輩、準備はいいですか?」
「う、うん」
寧々ちゃんの気合いは最高潮。鼻息荒く戦闘態勢だ。
「いざ、出陣!」
「は、はいっ」
後輩とは思えない引率力でリードされ入ったホールはそれはもう、豪奢。かつ、華やかでーー。
「「 ほわぁ..... 」」
さすが有名ホテルのホール。二人してポカンとなった。
広さはもちろんのこと、キラキラのシャンデリアに、赤いビロードの絨毯。ちょうどティータイムの開催時間とあって、色とりどりのお洒落なスイーツや軽食。ここのケーキは美味しいことでよく知られていた。
ドリンクは、アルコールからソフトドリンク、フレーバーウォーターまで。好きに選べる。立食でも、ホールの端のテーブルでも、どちらでも頂けるスタイルだ。
「「 す、すごい.... 」」
気づけば、二人の声は重なっていた。
すでに人は多く集まっていて、私には人数が足りてないとは到底思えないほどだ。
パーティーは、司会進行役のスタッフさんの指示で進んでいくらしい。
「先輩、何か食べます?」
「あ、私はドリンクにしようかな」
「了解でーす!私、ケーキ気になるんで見て来てもいいですか?」
「ふふ、うん。ドリンクとって、この辺に居るよ」
さっき『出陣だ』とすごい迫力だったはずなのに、コロッとケーキに気持ちを向けた彼女が可愛くて、くすくす笑ってしまった。
私の返事を聞くやいなや、ケーキのテーブルに一直線に歩いていく彼女を見送って、私はくるりと背を向ける。
(何にしよう.....)
ケーキや軽食とは反対側のテーブルにドリンク類は置かれていた。アルコールは希望があればスタッフがその場で拵えてくれる。
私は、種類豊富なドリンクに迷いながら、アイスティーに手を伸ばした。
「僕がお注ぎしましょうか」
「え?」
21
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
Melty romance 〜甘S彼氏の執着愛〜
yuzu
恋愛
人数合わせで強引に参加させられた合コンに現れたのは、高校生の頃に少しだけ付き合って別れた元カレの佐野充希。適当にその場をやり過ごして帰るつもりだった堀沢真乃は充希に捕まりキスされて……
「オレを好きになるまで離してやんない。」
冷たかった夫が別人のように豹変した
京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。
ざまぁ。ゆるゆる設定
女性が少ない世界でVTuberやります!
dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉
なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。
※恋愛大賞ラストスパートなので24日火曜~27日金曜日まで連日投稿予定!
参加してるみんな!あと少しだよ頑張ろう!(>▽<)/作者ブル
わたしの愉快な旦那さん
川上桃園
恋愛
あまりの辛さにブラックすぎるバイトをやめた。最後塩まかれたけど気にしない。
あ、そういえばこの店入ったことなかったな、入ってみよう。
「何かお探しですか」
その店はなんでも取り扱うという。噂によると彼氏も紹介してくれるらしい。でもそんなのいらない。彼氏だったらすぐに離れてしまうかもしれないのだから。
店員のお兄さんを前にてんぱった私は。
「旦那さんが欲しいです……」
と、斜め上の回答をしてしまった。でもお兄さんは優しい。
「どんな旦那さんをお望みですか」
「え、えっと……愉快な、旦那さん?」
そしてお兄さんは自分を指差した。
「僕が、お客様のお探しの『愉快な旦那さん』ですよ」
そこから始まる恋のお話です。大学生女子と社会人男子(御曹司)。ほのぼのとした日常恋愛もの
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる