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17-2 その後の顛末
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「そう。それなら、あなたの心はもう決まったのね」
王女殿下はとても美しい笑みを浮かべた。
「はい」
私は持っていたティーカップを下ろした。
「私はアーサー様と婚約いたします」
改めて言ってみると少し気恥ずかしい。
「ちなみにお兄様のどこを気に入ったのかしら?」
「優しいところです」
そう言った途端、王女殿下は口を尖らせた。
「私、エレノア嬢とは仲良くなれたと思っていたのに。また煙に巻こうとしているのね」
「そんなことないです。本心からそう思っていますから」
アーサー様は本当に優しい人だった。私に対してだけではなく、ありとあらゆる人に対して気配りをしてくれる。友達のライオネル伯爵は勿論のこと、私の親友のベッキーに対しても。それに、イアンに対してもそうだった。
些細な気遣いのできるアーサー様のことを好きにならないはずがなかった。
そのことを王女殿下に対して伝えていると、ベッキーがやって来た。
「遅れてごめんなさい」
「遅いわ。危うく大事な話を聞きそびれるところだったのよ?」
王女殿下はいたずらっぽく言って笑ってみせた。
「大事なことって、まさか!?」
「ベッキー、その前に、席について? お行儀が悪いよ」
「はぁい」
ベッキーはすぐに席に着くと私に向き合った。
「それで、どうなの?」
「アーサー様との婚約をするわ」
「おめでとう!」
ベッキーは私の手を取って言った。
「あら?」
ベッキーは私の左手の薬指を撫でる。そこにつけている指輪に気がついたようだ。
「もしかして、婚約指輪?」
「うん」
「よく見せてよ」
ベッキーは私の手を引き寄せた。
「あら、ステキなダイヤ」
王女殿下は私の手を見て言った。
「すごい! こんな大きなダイヤのついた指輪を見たことないわ!」
ベッキーは目を輝かせている。王女殿下なら一つくらい持っていそうと思ったのは内緒だ。
「大きさよりも、カット技術の方が気になるわ。こんなに綺麗に細工できるなんて・・・・・・。どこの職人かしら」
王女殿下は興味深げに指輪を見つめていた。
「エリーは大公殿下に愛されているのね」
「そうね。そうじゃなければこんな高価な指輪を贈らないでしょうし」
物の値段で愛を推し量るなんて下品なことかもしれない。でも、アーサー様は他の誰でもなく、私のためにこのダイヤを選んで最高の加工を施してくれた。その事実が愛の深さを物語っていると思ってしまう。
「エリーのその顔、久しぶりに見た!」
ベッキーがいきなりそんなことを言ったけれど。何のことだがさっぱり分からない。
「エリーは今、幸せいっぱいで"夢見る乙女"の顔をしてるんだよ!」
その言葉を聞いて私は思わず吹き出した。
ーー"夢見る乙女"か。この世界の元になっているゲームのタイトルは『夢見る乙女のメモリアル』だったわね。
「ちょっと、エリーったら。私は真剣に言ってるんだから!」
「ごめんごめん」
笑った理由を言うわけにもいかないから適当に謝っておいた。
でも、ベッキーのいうことはあながち間違いではないのかもしれない。私はアーサー様との恋に夢を見ている。これかの人生、二人で幸せに暮らしていく夢を。
王女殿下はとても美しい笑みを浮かべた。
「はい」
私は持っていたティーカップを下ろした。
「私はアーサー様と婚約いたします」
改めて言ってみると少し気恥ずかしい。
「ちなみにお兄様のどこを気に入ったのかしら?」
「優しいところです」
そう言った途端、王女殿下は口を尖らせた。
「私、エレノア嬢とは仲良くなれたと思っていたのに。また煙に巻こうとしているのね」
「そんなことないです。本心からそう思っていますから」
アーサー様は本当に優しい人だった。私に対してだけではなく、ありとあらゆる人に対して気配りをしてくれる。友達のライオネル伯爵は勿論のこと、私の親友のベッキーに対しても。それに、イアンに対してもそうだった。
些細な気遣いのできるアーサー様のことを好きにならないはずがなかった。
そのことを王女殿下に対して伝えていると、ベッキーがやって来た。
「遅れてごめんなさい」
「遅いわ。危うく大事な話を聞きそびれるところだったのよ?」
王女殿下はいたずらっぽく言って笑ってみせた。
「大事なことって、まさか!?」
「ベッキー、その前に、席について? お行儀が悪いよ」
「はぁい」
ベッキーはすぐに席に着くと私に向き合った。
「それで、どうなの?」
「アーサー様との婚約をするわ」
「おめでとう!」
ベッキーは私の手を取って言った。
「あら?」
ベッキーは私の左手の薬指を撫でる。そこにつけている指輪に気がついたようだ。
「もしかして、婚約指輪?」
「うん」
「よく見せてよ」
ベッキーは私の手を引き寄せた。
「あら、ステキなダイヤ」
王女殿下は私の手を見て言った。
「すごい! こんな大きなダイヤのついた指輪を見たことないわ!」
ベッキーは目を輝かせている。王女殿下なら一つくらい持っていそうと思ったのは内緒だ。
「大きさよりも、カット技術の方が気になるわ。こんなに綺麗に細工できるなんて・・・・・・。どこの職人かしら」
王女殿下は興味深げに指輪を見つめていた。
「エリーは大公殿下に愛されているのね」
「そうね。そうじゃなければこんな高価な指輪を贈らないでしょうし」
物の値段で愛を推し量るなんて下品なことかもしれない。でも、アーサー様は他の誰でもなく、私のためにこのダイヤを選んで最高の加工を施してくれた。その事実が愛の深さを物語っていると思ってしまう。
「エリーのその顔、久しぶりに見た!」
ベッキーがいきなりそんなことを言ったけれど。何のことだがさっぱり分からない。
「エリーは今、幸せいっぱいで"夢見る乙女"の顔をしてるんだよ!」
その言葉を聞いて私は思わず吹き出した。
ーー"夢見る乙女"か。この世界の元になっているゲームのタイトルは『夢見る乙女のメモリアル』だったわね。
「ちょっと、エリーったら。私は真剣に言ってるんだから!」
「ごめんごめん」
笑った理由を言うわけにもいかないから適当に謝っておいた。
でも、ベッキーのいうことはあながち間違いではないのかもしれない。私はアーサー様との恋に夢を見ている。これかの人生、二人で幸せに暮らしていく夢を。
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