44 / 161
第2章 ADAGIO
op.06 小さな旦那様、小さな奥様(2)
しおりを挟む
高く澄み渡った空は、岩肌を晒す山々の稜線をくっきりと際立たせる青い色をしていた。
高い山々の頂上は所々白く染まり、天高くには手でぼかしたように薄い雲がまばらに散っている。
歩き始めてもう四日目だと言うのに、その雄大な景色は少しも見飽きることがない。
空気は冷たく、浅く息をするだけで澄んだ空気が身体の中に入ってくる。そこにいるだけで全てが些末に思えるような、ここに在る自分を丸ごと全部受け入れてくれるような美しい景色だった。
「──リチェル、大丈夫か?」
不意に声をかけられて、リチェルは弾かれたように声の方を向いた。
少し先を歩いていた青年が振り返ってこちらを見ていた。琥珀色の瞳は気遣うような色をしていて、慌ててリチェルは小走りで青年の元へ向かう。
「平気、ごめんなさい。空が綺麗でつい見惚れてしまっていたの」
正直にそう話すと、リチェルに声をかけてくれた青年──ヴィオは優しげに瞳を細めた。
「それなら良いんだ。ここ数日ずっと歩き通しだから、疲れたんじゃないかと思って」
「わたしは全然大丈夫よ。昨日はたくさん眠ったから今日はとても元気。ヴィオやソルヴェーグさんは大丈夫?」
リチェルの知っている限り、ヴィオという青年はリチェルより先に寝ていると言うことがない。
流石にここ数日は歩きづめだからかいつもより早く寝ているようではあったが、それでも少し心配だ。荷物は最低限とはいえ、ヴィオの背中にはヴァイオリンのケースもある。リチェルよりも重いはずだ。
リチェルの気遣いにヴィオは苦笑した。
大丈夫だ、と言われてホッとする。
「もうすぐ目的地に着きますから、今日はゆっくりと参りましょう」
立ち止まったヴィオの向こう側で、同じように立ち止まっていた老齢の紳士、ソルヴェーグが穏やかにそう言った。
「それにしてもリチェル殿は健脚ですな。失礼ではありますが同じ年頃の女性と比べて華奢でいらっしゃるので、体力がもつのか心配だったのですが。この四日間一度も歩けなくなる様子がないので驚きました」
ソルヴェーグの言葉にリチェルは微かに頬を染めた。
悪い意味では決してなく、穏やかに笑うソルヴェーグの言葉は言葉通りの意味だろう。
以前リチェルが仕えていたクライネルト家では満足に食事を与えられていたとは言い難く、リチェルは同年代でも小柄な方だ。
男装をしていて違和感がなかったのもそのお陰だろう。
ヴィオと一緒にいるようになってからは三食きちんと頂いていて睡眠も取れているので、以前より確かに体力はついたように思う。
リチェルは恥ずかしそうに笑って答える。
「昨日まではヤンさんが荷物を運んでくださいましたから。それに景色が綺麗なので何だか楽しい気持ちの方が大きくて。山登りはしたことがないのですが、足手まといになっていないようなら良かったです」
途中までリチェル達を送り届けてくれた羊飼いのヤンとは今朝方別れてきたばかりだった。
経由地での宿泊所を手配してくれて、道中では荷車にリチェル達の荷物を載せてくれたのでとても有り難かった。そのお陰でここまで楽に来れたのだ。
「ほっほ。年寄りですから、一番最初に音を上げるのはきっと私になりますな。もうしばらく歩いたら休憩を挟んでくださると老骨の身には有難い」
「そうだな。村も近いしゆっくり行こうか」
ヴィオの言葉にソルヴェーグは笑って頭を下げると、再び道を下り始める。行こう、とヴィオに声をかけられてリチェルもその後に続いた。
「この後の目的地にはヴィオのお知り合いの方がいらっしゃるのよね?」
道中で軽くヴィオに目的地のことは聞いていた。
山を越えた先の小さな村ルフテンフェルトにヴィオの知人がいるとの話だったのだが、ヴィオは曖昧に返事を濁す。
「実のところ俺はよく知らないんだ。父上がこの山を越える時にいつも世話になっていた人がいるとソルヴェーグから聞いたから、寄ってみようという話になっただけで」
包み隠さないヴィオの言葉に、リチェルは慌てたように前を歩くソルヴェーグに目をやった。
こうして一緒に旅をしているものの、ヴィオの実際の身分は貴族で、元々孤児であるリチェルに事情を話すことをヴィオの従者であるソルヴェーグは良くは思わないはずだ。
そう思っての事だったがソルヴェーグは特にこちらを振り返るわけでもなく、ヴィオはリチェルの反応に心配を察したのか大丈夫、というように笑みをこぼした。
ヴィオの様子だとリチェルがヴィオの事情をある程度知っていることは、どうやらソルヴェーグには伝わっているらしい。
聞こえないフリをしている辺りが、彼なりの気遣いなのだろうと察してリチェルも口をつぐむ。
(何か少しでも分かるといいのだけど)
父を探しているというヴィオの目的を思い出して、リチェルは心中で手がかりが見つかることを祈る。
今日のお昼には着くだろうと今朝聞いたので、村まではもう一時間程歩けば着くのだろう。
次の村はどんな所だろう、と考えながらヴィオの後ろを歩いていたその時、不意にヴィオが足を止めてリチェルはその背中にぶつかった。
「……っ、ごめんなさい!」
急いで顔を上げて謝ると、ヴィオがリチェルの方を振り返る。
「すまない。大丈夫か?」
「どうかしたの?」
「いや、あそこに何か……。……人か?」
「え?」
キョトンとして前を向くと、ヴィオの言葉通り視界の開けた下り坂の途中、傾斜にもたれるようにして何かが座り込んでいるのが見えた。
「大変!」
「……っ、リチェル!」
考える前に身体が動いていた。
制するヴィオの隣を通り過ぎてリチェルは急いで走っていく。近づいてみるとやっぱり人だった。休憩しているにしては、姿勢が不自然に脱力している。倒れているのだとしたら一大事だ。
「大丈夫ですか⁉︎」
となりに座りこんで慌てて顔を覗き込んだ。
倒れていたのはリチェル達より少し年上に見える青年で、大きな荷物が二つ近くに転がっている。
「リチェル!」
追いついてきたヴィオ達もリチェルの近くにしゃがみ込む。ソルヴェーグが青年の肩を掴んで、声をかけながら軽く揺する。
「聞こえますか? 大丈夫ですか?」
「……う、うぅ」
青年が微かに呻き声を上げた。その事にホッとしたのも束の間、細い目を開いた青年の乾いた唇がピクピクと動いた。
「……ず」
「え?」
思わず聞き返すと、今度はひび割れた声がハッキリと響いた。
「み、ず……」
「! 水ですね!」
急いでリチェルは革の水筒を取り出すと、飲み口を開いて青年に渡す。
口元にあてがうと、唇を濡らした感触に青年がぼんやりと目を開く。
次の瞬間、ハッと青年が目を開いた。そのまま両手で水筒を掴んで勢いよく飲み始める。
差し出したリチェルさえ驚く飲みっぷりで、くっくと喉を鳴らして青年は水筒の水を飲み干していく。呆気にとられて見守るリチェルの前で青年はあらかた中身を飲み終え、そのまま水筒を離すと──、
もう一度ドサリと後ろに倒れた。
「だ、大丈夫ですか!」
「リチェル殿、大丈夫です。恐らく眠っただけかと」
ソルヴェーグが慌てるリチェルを宥めるように声をかける。間も無く青年が穏やかな呼吸をこぼし始めた。
ぽっこりとしたお腹がゆっくり上下に動くのをポカンとして眺めて、リチェルは恐る恐るヴィオを振り返る。
一連の出来事を後ろで見ていたヴィオは、困惑したような表情を浮かべていたが、やがて呆れた声を絞り出した。
「とりあえず、休ませようか……」
高い山々の頂上は所々白く染まり、天高くには手でぼかしたように薄い雲がまばらに散っている。
歩き始めてもう四日目だと言うのに、その雄大な景色は少しも見飽きることがない。
空気は冷たく、浅く息をするだけで澄んだ空気が身体の中に入ってくる。そこにいるだけで全てが些末に思えるような、ここに在る自分を丸ごと全部受け入れてくれるような美しい景色だった。
「──リチェル、大丈夫か?」
不意に声をかけられて、リチェルは弾かれたように声の方を向いた。
少し先を歩いていた青年が振り返ってこちらを見ていた。琥珀色の瞳は気遣うような色をしていて、慌ててリチェルは小走りで青年の元へ向かう。
「平気、ごめんなさい。空が綺麗でつい見惚れてしまっていたの」
正直にそう話すと、リチェルに声をかけてくれた青年──ヴィオは優しげに瞳を細めた。
「それなら良いんだ。ここ数日ずっと歩き通しだから、疲れたんじゃないかと思って」
「わたしは全然大丈夫よ。昨日はたくさん眠ったから今日はとても元気。ヴィオやソルヴェーグさんは大丈夫?」
リチェルの知っている限り、ヴィオという青年はリチェルより先に寝ていると言うことがない。
流石にここ数日は歩きづめだからかいつもより早く寝ているようではあったが、それでも少し心配だ。荷物は最低限とはいえ、ヴィオの背中にはヴァイオリンのケースもある。リチェルよりも重いはずだ。
リチェルの気遣いにヴィオは苦笑した。
大丈夫だ、と言われてホッとする。
「もうすぐ目的地に着きますから、今日はゆっくりと参りましょう」
立ち止まったヴィオの向こう側で、同じように立ち止まっていた老齢の紳士、ソルヴェーグが穏やかにそう言った。
「それにしてもリチェル殿は健脚ですな。失礼ではありますが同じ年頃の女性と比べて華奢でいらっしゃるので、体力がもつのか心配だったのですが。この四日間一度も歩けなくなる様子がないので驚きました」
ソルヴェーグの言葉にリチェルは微かに頬を染めた。
悪い意味では決してなく、穏やかに笑うソルヴェーグの言葉は言葉通りの意味だろう。
以前リチェルが仕えていたクライネルト家では満足に食事を与えられていたとは言い難く、リチェルは同年代でも小柄な方だ。
男装をしていて違和感がなかったのもそのお陰だろう。
ヴィオと一緒にいるようになってからは三食きちんと頂いていて睡眠も取れているので、以前より確かに体力はついたように思う。
リチェルは恥ずかしそうに笑って答える。
「昨日まではヤンさんが荷物を運んでくださいましたから。それに景色が綺麗なので何だか楽しい気持ちの方が大きくて。山登りはしたことがないのですが、足手まといになっていないようなら良かったです」
途中までリチェル達を送り届けてくれた羊飼いのヤンとは今朝方別れてきたばかりだった。
経由地での宿泊所を手配してくれて、道中では荷車にリチェル達の荷物を載せてくれたのでとても有り難かった。そのお陰でここまで楽に来れたのだ。
「ほっほ。年寄りですから、一番最初に音を上げるのはきっと私になりますな。もうしばらく歩いたら休憩を挟んでくださると老骨の身には有難い」
「そうだな。村も近いしゆっくり行こうか」
ヴィオの言葉にソルヴェーグは笑って頭を下げると、再び道を下り始める。行こう、とヴィオに声をかけられてリチェルもその後に続いた。
「この後の目的地にはヴィオのお知り合いの方がいらっしゃるのよね?」
道中で軽くヴィオに目的地のことは聞いていた。
山を越えた先の小さな村ルフテンフェルトにヴィオの知人がいるとの話だったのだが、ヴィオは曖昧に返事を濁す。
「実のところ俺はよく知らないんだ。父上がこの山を越える時にいつも世話になっていた人がいるとソルヴェーグから聞いたから、寄ってみようという話になっただけで」
包み隠さないヴィオの言葉に、リチェルは慌てたように前を歩くソルヴェーグに目をやった。
こうして一緒に旅をしているものの、ヴィオの実際の身分は貴族で、元々孤児であるリチェルに事情を話すことをヴィオの従者であるソルヴェーグは良くは思わないはずだ。
そう思っての事だったがソルヴェーグは特にこちらを振り返るわけでもなく、ヴィオはリチェルの反応に心配を察したのか大丈夫、というように笑みをこぼした。
ヴィオの様子だとリチェルがヴィオの事情をある程度知っていることは、どうやらソルヴェーグには伝わっているらしい。
聞こえないフリをしている辺りが、彼なりの気遣いなのだろうと察してリチェルも口をつぐむ。
(何か少しでも分かるといいのだけど)
父を探しているというヴィオの目的を思い出して、リチェルは心中で手がかりが見つかることを祈る。
今日のお昼には着くだろうと今朝聞いたので、村まではもう一時間程歩けば着くのだろう。
次の村はどんな所だろう、と考えながらヴィオの後ろを歩いていたその時、不意にヴィオが足を止めてリチェルはその背中にぶつかった。
「……っ、ごめんなさい!」
急いで顔を上げて謝ると、ヴィオがリチェルの方を振り返る。
「すまない。大丈夫か?」
「どうかしたの?」
「いや、あそこに何か……。……人か?」
「え?」
キョトンとして前を向くと、ヴィオの言葉通り視界の開けた下り坂の途中、傾斜にもたれるようにして何かが座り込んでいるのが見えた。
「大変!」
「……っ、リチェル!」
考える前に身体が動いていた。
制するヴィオの隣を通り過ぎてリチェルは急いで走っていく。近づいてみるとやっぱり人だった。休憩しているにしては、姿勢が不自然に脱力している。倒れているのだとしたら一大事だ。
「大丈夫ですか⁉︎」
となりに座りこんで慌てて顔を覗き込んだ。
倒れていたのはリチェル達より少し年上に見える青年で、大きな荷物が二つ近くに転がっている。
「リチェル!」
追いついてきたヴィオ達もリチェルの近くにしゃがみ込む。ソルヴェーグが青年の肩を掴んで、声をかけながら軽く揺する。
「聞こえますか? 大丈夫ですか?」
「……う、うぅ」
青年が微かに呻き声を上げた。その事にホッとしたのも束の間、細い目を開いた青年の乾いた唇がピクピクと動いた。
「……ず」
「え?」
思わず聞き返すと、今度はひび割れた声がハッキリと響いた。
「み、ず……」
「! 水ですね!」
急いでリチェルは革の水筒を取り出すと、飲み口を開いて青年に渡す。
口元にあてがうと、唇を濡らした感触に青年がぼんやりと目を開く。
次の瞬間、ハッと青年が目を開いた。そのまま両手で水筒を掴んで勢いよく飲み始める。
差し出したリチェルさえ驚く飲みっぷりで、くっくと喉を鳴らして青年は水筒の水を飲み干していく。呆気にとられて見守るリチェルの前で青年はあらかた中身を飲み終え、そのまま水筒を離すと──、
もう一度ドサリと後ろに倒れた。
「だ、大丈夫ですか!」
「リチェル殿、大丈夫です。恐らく眠っただけかと」
ソルヴェーグが慌てるリチェルを宥めるように声をかける。間も無く青年が穏やかな呼吸をこぼし始めた。
ぽっこりとしたお腹がゆっくり上下に動くのをポカンとして眺めて、リチェルは恐る恐るヴィオを振り返る。
一連の出来事を後ろで見ていたヴィオは、困惑したような表情を浮かべていたが、やがて呆れた声を絞り出した。
「とりあえず、休ませようか……」
0
あなたにおすすめの小説
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
☘ 累計ポイント/ 190万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す
RINFAM
ファンタジー
なんの罰ゲームだ、これ!!!!
あああああ!!!
本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!
そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!
一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!
かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。
年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。
4コマ漫画版もあります。
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる