72 / 161
第3章 MENUETT
op.09 序奏とロンド・カプリチオーソ(4)
しおりを挟む
「あの、着替え終わりました……」
ヴァルターとエドの宿で、ちょこりと奥の部屋の扉から顔を出したリチェルの姿を見て、ヴィオはもちろんヴァルター達も思わず言葉を失った。
シンプルなブラウンの上着に、緑のタイ。
頭にはキャスケット帽。
ヴィオと出会った時はしばらく男装をしていたリチェルだが、エドのサイズはリチェルにちょうど良いようで以前よりもよほどしっくりときていた。
何よりエドをよく知るヴァルターや、リチェルをよく知るヴィオにはもちろん見分けはつくとしても、貸された服装に着替えたリチェルはどこからどう見てもエドにそっくりだった。
「うわぁ、予想していた以上だね……すごいや」
呆気にとられたようにエドはつぶやいて、そそくさとリチェルのそばに寄っていくと、リチェルの手をヒョイと取ってダンスをするように手をひいた。
きゃっと小さくリチェルが悲鳴をあげて、くるりとリチェルとエドの場所が入れ替わる。
「どーっちだ?」
「……エド」
茶目っ気を含んだエドの言葉を、ヴァルターが呆れたように遮った。
どっちだも何も今喋っている人がエドで相違ない。
だけど同じ格好で並んでみれば確かに二人は双子にすら見えるのかもしれない。
かもしれない、というのはエドが先ほどとは打って変わって暗色のスーツを着込んでいるからだ。髪型も変えている。サロンの関係者の格好ですよ、と笑って教えてくれた。
ヴィオがヴァルターに依頼していた条件を、ヴァルターは難なく揃えてくれた。
とはいえ確証の方は、十分に話せるものでもなく、ヴィオが納得できるまでお話ししましょうと言う具合だったが。美術品を実際見てもヴィオにはとても鑑定できないのだ。
鑑定書を見ても偽造かどうかを見分けることはできない。それでもヴァルターは誠意を持って説明してくれたし、聞いた限りは矛盾も無かったのでヴィオも良しとしたのだ。
「会は十五時からです。少し早いですが、そろそろ参りましょうか」
ヴァルターの言葉にヴィオは頷く。
リチェルに寄り添ったままのエドが『はぁい!』とにっこり笑って返事をする。
「……あの」
その、片隅で。
今まで黙り込んでいた一人の青年が微かに震えながら、一連の面々を制した。
「……今更だけど何でこの面子に僕がいるのかな?」
そう言って、今にも吐きそうな顔で発言したのは何を隠そうアルである。
普段の格好ではなく、ヴァルターが手配したスーツを着込んでいる。競売に参加するのにギリギリ手配してもらったのだ。
「何で、って。説明しただろう?」
「確かに説明はしてもらったけど!」
しれっと言ったヴィオに、半ば悲鳴のようにアルが主張する。
「普通はソルヴェーグさんでしょ⁉︎ 僕は正真正銘ただの一般人なんだけど⁉︎」
やだなぁ、アルさん。とエドがにっこり笑う。
「僕だってただの一般人で、アルさんより余程人生経験の浅い子供ですよ?」
「そう見えないから言ってるんだよ⁉︎」
確かにエドの態度は、今から関係者以外立ち入り禁止の場所に忍び込もうとしている少年の態度ではない。
場慣れしている、というのがしっくりくる大層な落ち着きぶりである。
肝が座っているのか単に鈍いのか。前者だろうな、とヴィオは思っている。
ちなみにソルヴェーグはリートとリリコを連れて、宿に帰っている。
今夜の打ち合わせの為にヴィオとソルヴェーグがヴァルターと話をしている間、リチェルとアルは双子を連れてアガタの面会に行っており、その話の結果としてアルに白羽の矢が立ったわけだ。
「仕方ないだろう。現地にあるのがピアノだったんだから」
「聞いたよ!」
しれっとヴィオが言うと、アルが反論した。
「一応お前の意志を確認したつもりではあったんだが……」
「あの、ヴィオ。わたしのわがままでアルさんが無理をするのは心苦しいから、アルさんは待っていてもらったり出来ないかしら……?」
「いや全然いいんだ! リチェルさんの事は全く責めてないから! むしろ僕がやるって言ったんだし!」
リチェルが声をかけた途端、分かりやすく一八〇度発言を変えたアルに周りが苦笑をこぼす。
実際のところ、アルには一度合意をもらっているが、それもリチェルが協力したいと言った事が効いているのだと言うことは何となくヴィオも察していた。
「いや、でもこの溢れ出る場違い感……。大丈夫かな……」
「アルさん、本当に大丈夫?」
オロオロとリチェルが心配そうにアルに声をかける。お腹の辺りを押さえながら、アルが顔を上げて帽子をかぶったリチェルに目を留める。
「それにしても男性の格好をしていても、リチェルさんは可愛いね。僕としてはバレるんじゃないかってヒヤヒヤしちゃうよ……」
アルの言葉におかしいですか? と慌ててリチェルが帽子を押さえる。
「いえ、リチェルさんは全然おかしくないですよ。アルさん、それは僕も可愛いって事ですよね?」
ことりと小首を傾げてエドが尋ねる。
今のリチェルはエドにそっくりで、確かにエドからすると自分が愛らしいと言われている気分になるのだろう。あまりそれで気分を害するタイプにも見えないから問題ないだろうが。
「あー、うん。そうだね。エド君にそう言うと失礼かもしれないけれど。いや、でもやっぱり違うな。多分僕がリチェルさんが女性だと知ってるからなんだろうね。リチェルさんは男の子の格好をしていても、野原に揺れる一輪の花みたいに可憐だと感じるよ」
うわ、とエドが素で砂糖を吐くような声を漏らす。
ど直球の褒め言葉にリチェルが赤面している事に、アルは気付いていない。
多分こう言う言葉が特別でもなく素で出てくるのがアルのすごいところなのだろう。それがどこか面白くもない気もしたが、気にしないことにする。
「……うん、リチェルさんもいるし僕も頑張るよ」
「あ、ありがとうアルさん。付き合わせてごめんなさい」
「心配しなくても俺もお前もただの保険だ。基本的に黙っててくれればいい」
「そうさせてもらうよ……」
やはり胃の辺りを押さえているが、一度ボヤいて観念したらしい。そろそろ行きましょう、というヴァルターの声にヴィオも頷く。
宿を出ると、外の空気はやや冷たい。
外はまだ人通りも多かったが、ヴァルターはヴィオ達が進みやすいように人の流れに配慮しながら進んでくれた。
「緊張しているか?」
「うん……。でも、大丈夫。自分でやるって言ったんだもの」
尋ねると、リチェルが思いのほかしっかりとした口調で応じた。
胸の前でぎゅっと両の拳を握る仕草が愛らしく、口には出さないが先程のアルの言葉も理解できた。
「それにヴィオとアルさんがついてきてくれたから心強いわ」
「リチェルさん、喋らなくて良いからね」
前を歩いていたエドが振り返って、リチェルに声をかけた。
むしろ喋るとバレちゃうから、と笑うエドの言葉に、リチェルも分かっているのか頷いた。
「ただもうちょっと口角上げて笑ってみて。リチェルさんの笑顔可愛いけどお嬢さんって感じだから、ほらこんな感じ」
そう言ってエドが両手の人差し指を頬に当てて、口角をキュッと上げるとにっこり笑う。
「こ、こうかしら?」
「そうそう、もうちょっとにこ! って」
エドの指がひょいっと伸びてリチェルの頬に触れる。エドがまだ幼いからかそれとも自分に似ているからか、リチェルも怖がる様子はなくされるがままになっている。
「そうそう、そんな感じ! お弟子さんですか? って聞かれたらとりあえず笑ってればいいよ。あとは先生が何とかしてくれるからね!」
そう言って、エドは片目をつぶってみせる。
ほら、もうそこだよ、とエドの声に促されてリチェルとヴィオは顔を上げる。いつの間にか会場に着いていたのだろう。
「じゃ、僕はこの辺で先に行ってるから!」
エドは軽い足取りでヴァルターの所へ駆けていくと、二、三話してすぐに姿を消した。
ヴァルターに話は聞いたが、何人か内部でも話を通している人間はいるらしい。
思っていた以上に用意は周到にされているようだが、確実性が欲しくて自分達が会場にいるのだとヴァルターは言っていた。
どこまで本当なのかは分からないが、ヴィオの勘では『全部話していないが、嘘は言っていない』と言う辺りだろう。
(まぁ、どちらでもいい)
ヴィオとしては、出来るだけ確実に終わらせて、リチェルに危険がないようにしたいという一点だけだった。
ヴァルターとエドの宿で、ちょこりと奥の部屋の扉から顔を出したリチェルの姿を見て、ヴィオはもちろんヴァルター達も思わず言葉を失った。
シンプルなブラウンの上着に、緑のタイ。
頭にはキャスケット帽。
ヴィオと出会った時はしばらく男装をしていたリチェルだが、エドのサイズはリチェルにちょうど良いようで以前よりもよほどしっくりときていた。
何よりエドをよく知るヴァルターや、リチェルをよく知るヴィオにはもちろん見分けはつくとしても、貸された服装に着替えたリチェルはどこからどう見てもエドにそっくりだった。
「うわぁ、予想していた以上だね……すごいや」
呆気にとられたようにエドはつぶやいて、そそくさとリチェルのそばに寄っていくと、リチェルの手をヒョイと取ってダンスをするように手をひいた。
きゃっと小さくリチェルが悲鳴をあげて、くるりとリチェルとエドの場所が入れ替わる。
「どーっちだ?」
「……エド」
茶目っ気を含んだエドの言葉を、ヴァルターが呆れたように遮った。
どっちだも何も今喋っている人がエドで相違ない。
だけど同じ格好で並んでみれば確かに二人は双子にすら見えるのかもしれない。
かもしれない、というのはエドが先ほどとは打って変わって暗色のスーツを着込んでいるからだ。髪型も変えている。サロンの関係者の格好ですよ、と笑って教えてくれた。
ヴィオがヴァルターに依頼していた条件を、ヴァルターは難なく揃えてくれた。
とはいえ確証の方は、十分に話せるものでもなく、ヴィオが納得できるまでお話ししましょうと言う具合だったが。美術品を実際見てもヴィオにはとても鑑定できないのだ。
鑑定書を見ても偽造かどうかを見分けることはできない。それでもヴァルターは誠意を持って説明してくれたし、聞いた限りは矛盾も無かったのでヴィオも良しとしたのだ。
「会は十五時からです。少し早いですが、そろそろ参りましょうか」
ヴァルターの言葉にヴィオは頷く。
リチェルに寄り添ったままのエドが『はぁい!』とにっこり笑って返事をする。
「……あの」
その、片隅で。
今まで黙り込んでいた一人の青年が微かに震えながら、一連の面々を制した。
「……今更だけど何でこの面子に僕がいるのかな?」
そう言って、今にも吐きそうな顔で発言したのは何を隠そうアルである。
普段の格好ではなく、ヴァルターが手配したスーツを着込んでいる。競売に参加するのにギリギリ手配してもらったのだ。
「何で、って。説明しただろう?」
「確かに説明はしてもらったけど!」
しれっと言ったヴィオに、半ば悲鳴のようにアルが主張する。
「普通はソルヴェーグさんでしょ⁉︎ 僕は正真正銘ただの一般人なんだけど⁉︎」
やだなぁ、アルさん。とエドがにっこり笑う。
「僕だってただの一般人で、アルさんより余程人生経験の浅い子供ですよ?」
「そう見えないから言ってるんだよ⁉︎」
確かにエドの態度は、今から関係者以外立ち入り禁止の場所に忍び込もうとしている少年の態度ではない。
場慣れしている、というのがしっくりくる大層な落ち着きぶりである。
肝が座っているのか単に鈍いのか。前者だろうな、とヴィオは思っている。
ちなみにソルヴェーグはリートとリリコを連れて、宿に帰っている。
今夜の打ち合わせの為にヴィオとソルヴェーグがヴァルターと話をしている間、リチェルとアルは双子を連れてアガタの面会に行っており、その話の結果としてアルに白羽の矢が立ったわけだ。
「仕方ないだろう。現地にあるのがピアノだったんだから」
「聞いたよ!」
しれっとヴィオが言うと、アルが反論した。
「一応お前の意志を確認したつもりではあったんだが……」
「あの、ヴィオ。わたしのわがままでアルさんが無理をするのは心苦しいから、アルさんは待っていてもらったり出来ないかしら……?」
「いや全然いいんだ! リチェルさんの事は全く責めてないから! むしろ僕がやるって言ったんだし!」
リチェルが声をかけた途端、分かりやすく一八〇度発言を変えたアルに周りが苦笑をこぼす。
実際のところ、アルには一度合意をもらっているが、それもリチェルが協力したいと言った事が効いているのだと言うことは何となくヴィオも察していた。
「いや、でもこの溢れ出る場違い感……。大丈夫かな……」
「アルさん、本当に大丈夫?」
オロオロとリチェルが心配そうにアルに声をかける。お腹の辺りを押さえながら、アルが顔を上げて帽子をかぶったリチェルに目を留める。
「それにしても男性の格好をしていても、リチェルさんは可愛いね。僕としてはバレるんじゃないかってヒヤヒヤしちゃうよ……」
アルの言葉におかしいですか? と慌ててリチェルが帽子を押さえる。
「いえ、リチェルさんは全然おかしくないですよ。アルさん、それは僕も可愛いって事ですよね?」
ことりと小首を傾げてエドが尋ねる。
今のリチェルはエドにそっくりで、確かにエドからすると自分が愛らしいと言われている気分になるのだろう。あまりそれで気分を害するタイプにも見えないから問題ないだろうが。
「あー、うん。そうだね。エド君にそう言うと失礼かもしれないけれど。いや、でもやっぱり違うな。多分僕がリチェルさんが女性だと知ってるからなんだろうね。リチェルさんは男の子の格好をしていても、野原に揺れる一輪の花みたいに可憐だと感じるよ」
うわ、とエドが素で砂糖を吐くような声を漏らす。
ど直球の褒め言葉にリチェルが赤面している事に、アルは気付いていない。
多分こう言う言葉が特別でもなく素で出てくるのがアルのすごいところなのだろう。それがどこか面白くもない気もしたが、気にしないことにする。
「……うん、リチェルさんもいるし僕も頑張るよ」
「あ、ありがとうアルさん。付き合わせてごめんなさい」
「心配しなくても俺もお前もただの保険だ。基本的に黙っててくれればいい」
「そうさせてもらうよ……」
やはり胃の辺りを押さえているが、一度ボヤいて観念したらしい。そろそろ行きましょう、というヴァルターの声にヴィオも頷く。
宿を出ると、外の空気はやや冷たい。
外はまだ人通りも多かったが、ヴァルターはヴィオ達が進みやすいように人の流れに配慮しながら進んでくれた。
「緊張しているか?」
「うん……。でも、大丈夫。自分でやるって言ったんだもの」
尋ねると、リチェルが思いのほかしっかりとした口調で応じた。
胸の前でぎゅっと両の拳を握る仕草が愛らしく、口には出さないが先程のアルの言葉も理解できた。
「それにヴィオとアルさんがついてきてくれたから心強いわ」
「リチェルさん、喋らなくて良いからね」
前を歩いていたエドが振り返って、リチェルに声をかけた。
むしろ喋るとバレちゃうから、と笑うエドの言葉に、リチェルも分かっているのか頷いた。
「ただもうちょっと口角上げて笑ってみて。リチェルさんの笑顔可愛いけどお嬢さんって感じだから、ほらこんな感じ」
そう言ってエドが両手の人差し指を頬に当てて、口角をキュッと上げるとにっこり笑う。
「こ、こうかしら?」
「そうそう、もうちょっとにこ! って」
エドの指がひょいっと伸びてリチェルの頬に触れる。エドがまだ幼いからかそれとも自分に似ているからか、リチェルも怖がる様子はなくされるがままになっている。
「そうそう、そんな感じ! お弟子さんですか? って聞かれたらとりあえず笑ってればいいよ。あとは先生が何とかしてくれるからね!」
そう言って、エドは片目をつぶってみせる。
ほら、もうそこだよ、とエドの声に促されてリチェルとヴィオは顔を上げる。いつの間にか会場に着いていたのだろう。
「じゃ、僕はこの辺で先に行ってるから!」
エドは軽い足取りでヴァルターの所へ駆けていくと、二、三話してすぐに姿を消した。
ヴァルターに話は聞いたが、何人か内部でも話を通している人間はいるらしい。
思っていた以上に用意は周到にされているようだが、確実性が欲しくて自分達が会場にいるのだとヴァルターは言っていた。
どこまで本当なのかは分からないが、ヴィオの勘では『全部話していないが、嘘は言っていない』と言う辺りだろう。
(まぁ、どちらでもいい)
ヴィオとしては、出来るだけ確実に終わらせて、リチェルに危険がないようにしたいという一点だけだった。
0
あなたにおすすめの小説
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
☘ 累計ポイント/ 190万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す
RINFAM
ファンタジー
なんの罰ゲームだ、これ!!!!
あああああ!!!
本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!
そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!
一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!
かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。
年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。
4コマ漫画版もあります。
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる