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緑さんの顔
しおりを挟む手を引かれ部屋に入った
部屋は今までとは違う洋室、
シンプルだが高級感のあるホテルのような部屋だ。
キョロキョロと見回していると緑さんが
ソファーに座りワインを飲み始めた。
緊張をしているのだろうか、本人は気付いて
いないのだろう...バスローブを着ている
緑さんの胸元が開けていてチラチラと目に入ってしまう。
私は慌てて目を手で隠したが、
服の隙間から見える綺麗な体から目が離せなかった。
服の上からだと細身だと思っていた緑さんの生の体は
実際はとても綺麗な筋肉を纏っていた。
肩幅は広く腹筋は割れ
細身ではあれど骨格が男性そのもので
なんとなく魅入ってしまった。
熱い視線を送ってしまっていると
私の視線に気付いた緑さんが声をかけてきた。
緑「...そんなに見られると恥ずかしいのですが...」
「はっ!!!すみません!!とても綺麗なっ...鍛えられているお身体だなぁとっ...!」
私は何を口走ってしまっているんだ...
経験豊富な女じゃあるまいし...
いや、だって...まるで漫画やアニメの世界の
美しい身体なんだもの.....銀さんも美しかったけど
ここの人(狼?)は、みんなこんなに美しいのだろうか...
見てしまうのが後ろめたい気もしてきた...
勝手に罪悪感を感じていると緑さんが人一人分の距離まで近づいてきた。
緑「私とのマーキングなのに、何をそんなに考え事をしているのですか...?」
言えない...
緑さんの体の事を考えていたなんて、
口が裂けてもこんなこと...こんな痴女のようなこと言えない...
「べっ、別に考え事なんて...!体の事なんてっはっ!」
緑「ほう...誰の体の事を考えていたと...?それは気になりますね?」
緑さんが腕を組み片手で自身の顎に手を当て少し意地悪そうに聞いてきた
私としたことが、今まで誰かとコミュニケーションをとろうと努力したことが
無かったせいで余計なことまで口走ってしまった。
「別にですね...考えたくて考えてた訳じゃなくてですね...えぇ...」
緑「...誰の体の事を考えていたのか分かりませんが、今日は私とのマーキングの日...
他の者の事など考えてほしくないのが本音です。」
緑さんはそう言いながらメガネくいっとして顔を逸らした。
「緑さんは、ちゃんと本音を言ってくれるんですね、助かります...」
「マーキングの前にもう一度お聞きたいのですが...緑さんは、私とのマーキングは嫌ではない...ですか?」
私の居たところでは少なくとも法律的には一夫一婦制だ、
何人も夫がいる国では無かった。こちらとしては今日で緑さんは私の2番目になる。
初めての経験の後、初めての人とは違う人と交わる。それだけでもかなり異様に思える。
こちら側では嫌なことではないのか、改めて聞いてみたかった。
緑「正直なところ私達にも初めての経験なので、この高ぶる気持ちがフェロモンに影響されてのものか否かは分かりかねます。ですが、今日少しではありますがあなたとの時間を過ごしてみて私は嫌ではないと思いました。」
「...私も...緑さんとの時間は短かったけど、とても気持ちが穏やかに過ごせました。」
緑「それは良かったです...」
お互いに今の気持ちを素直に言い合い、少し気まずいような恥ずかしいような
そんな空気がもっと気まずくて、うつむいていた顔を上げチラッと緑さんの顔を見ると
緑さんの眼鏡越しでも分かるほど綺麗な瞳がこちらを向いていた。
目が合うと自然とお互いに引き寄せられ、緑さんの手が触れるか触れないか
体温がわかるくらいの距離で頬をつたい、くすぐったくなり少し体がゾクゾクし
緑さんを見上げると緑さんの瞳は先程とは違って煽情的なものへと変わっていた。
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