60 / 363
本編 平凡地味子ですが『魔性の女』と呼ばれています。
47.子供みたいな
しおりを挟む
黛を連れて家に戻ると、七海の父親と母親が出掛ける準備をしていた。
今日は翔太は動物園へ連れて行って貰えるらしい。
意外にも黛は感じ良く二人に挨拶した。
美青年が爽やかに笑うと、その場が華が咲いたように明るくなる。
どうやら七海の両親は黛に好印象を抱いたようだ。
(黛君にも外面があったんだ)
七海は変な所で感心した。
そう言えば仕事場や大学での彼を見た事が無い事に気が付いた。
気の置けない関係の世界でしか黛と会って無かったので、そんな大人な対応が出来る事を意外に感じた。
いや、当たり前の事かもしれない。
私と公で違う態度を取る事など。
だけどいつも不遜でマイペースな態度を取り続けて来た黛しか見ていなかった七海は、本当に驚いたのだ。
黛が人見知りをしない性質だと知っている七海は、飲み物を出して彼を居間に放置する。そして七海は洗濯を始めるために脱衣所の方へ向かった。
洗濯籠の中身をチェックをし普通洗いとドライ洗いにするものを分け、汚れやすい部分を手洗いして洗濯機を回す。フローリングワイパー片手に居間に戻ると、黛が翔太と戦いごっこをしている場面に遭遇した。
黛は子供受けが良い。
やはり子供と同じくらい気持ちが幼いからだろうか?
それとも自分に正直で裏表が無い所が―――子供に警戒心を抱かせないのだろうか。と七海は考えた。
新が黛に懐いている理由は、よく一緒にゲームをしてくれるからだと思っていたが、それだけでは無いかもしれない。
本田家の末っ子である新は女性関係を拗らせる信を敬遠しており、心に対しては尊敬しているが恐れてもいるようだった。
黛は新が一番素直に話をできる相手だったと思う。
七海は今まで、自分が物事の一面だけを見て、全てを分かっているような気になっていた。
仕事を始めて怒られたり失敗したりしながら、何とか一通り思い通りにこなせるようになって、すっかり大人になったと思っていた。
だけど全然分かっていなかった。
一塊に見える課の女性陣は、仲良くしていてもそれぞれキチンと違う考えを持っているようだ。一緒に行動していたとしても、学生時代のグループのように声の大きい人間に追従している訳じゃ無いのだと言う事。
スマートに見える男性同士が裏で交わしている猥談の内容を知ってショックだった。しかしそう言う話をしているからと言って、それを相手に押し付けるかどうかは別なのかもしれないと言う事も知った。
自分より社会経験も少ない、女性経験と大学の勉強だけをこなしている友達の事を、高校生の頃と変わらない子供のままだと思っていた。
人と滅多に軋轢を起こさない自分は、トラブルの渦中にいる彼よりずっと大人な人間なのだと、己惚れていたかもしれない。
だけど彼は実際は自分より落ち着いて、広く物事を見られる人間に成長していて。
それとも元からそう言う一面があったのだろうか?だけど子供だった七海には、分からなかっただけなのかもしれない。
五歳の翔太と馬鹿笑いをしながら遊ぶ黛は、図体が大きいだけの子供にしか見えない。
それを見て、それがその人の本質だと思い込むような人がいたら―――それこそその当人がまだ子供の目線しか持てていないって事なのかもしれない。
真剣に翔太と戦いごっこをする黛を見ながら、七海はそんな事を考えたのだった。
今日は翔太は動物園へ連れて行って貰えるらしい。
意外にも黛は感じ良く二人に挨拶した。
美青年が爽やかに笑うと、その場が華が咲いたように明るくなる。
どうやら七海の両親は黛に好印象を抱いたようだ。
(黛君にも外面があったんだ)
七海は変な所で感心した。
そう言えば仕事場や大学での彼を見た事が無い事に気が付いた。
気の置けない関係の世界でしか黛と会って無かったので、そんな大人な対応が出来る事を意外に感じた。
いや、当たり前の事かもしれない。
私と公で違う態度を取る事など。
だけどいつも不遜でマイペースな態度を取り続けて来た黛しか見ていなかった七海は、本当に驚いたのだ。
黛が人見知りをしない性質だと知っている七海は、飲み物を出して彼を居間に放置する。そして七海は洗濯を始めるために脱衣所の方へ向かった。
洗濯籠の中身をチェックをし普通洗いとドライ洗いにするものを分け、汚れやすい部分を手洗いして洗濯機を回す。フローリングワイパー片手に居間に戻ると、黛が翔太と戦いごっこをしている場面に遭遇した。
黛は子供受けが良い。
やはり子供と同じくらい気持ちが幼いからだろうか?
それとも自分に正直で裏表が無い所が―――子供に警戒心を抱かせないのだろうか。と七海は考えた。
新が黛に懐いている理由は、よく一緒にゲームをしてくれるからだと思っていたが、それだけでは無いかもしれない。
本田家の末っ子である新は女性関係を拗らせる信を敬遠しており、心に対しては尊敬しているが恐れてもいるようだった。
黛は新が一番素直に話をできる相手だったと思う。
七海は今まで、自分が物事の一面だけを見て、全てを分かっているような気になっていた。
仕事を始めて怒られたり失敗したりしながら、何とか一通り思い通りにこなせるようになって、すっかり大人になったと思っていた。
だけど全然分かっていなかった。
一塊に見える課の女性陣は、仲良くしていてもそれぞれキチンと違う考えを持っているようだ。一緒に行動していたとしても、学生時代のグループのように声の大きい人間に追従している訳じゃ無いのだと言う事。
スマートに見える男性同士が裏で交わしている猥談の内容を知ってショックだった。しかしそう言う話をしているからと言って、それを相手に押し付けるかどうかは別なのかもしれないと言う事も知った。
自分より社会経験も少ない、女性経験と大学の勉強だけをこなしている友達の事を、高校生の頃と変わらない子供のままだと思っていた。
人と滅多に軋轢を起こさない自分は、トラブルの渦中にいる彼よりずっと大人な人間なのだと、己惚れていたかもしれない。
だけど彼は実際は自分より落ち着いて、広く物事を見られる人間に成長していて。
それとも元からそう言う一面があったのだろうか?だけど子供だった七海には、分からなかっただけなのかもしれない。
五歳の翔太と馬鹿笑いをしながら遊ぶ黛は、図体が大きいだけの子供にしか見えない。
それを見て、それがその人の本質だと思い込むような人がいたら―――それこそその当人がまだ子供の目線しか持てていないって事なのかもしれない。
真剣に翔太と戦いごっこをする黛を見ながら、七海はそんな事を考えたのだった。
32
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。
BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。
父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した!
メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな
みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」
タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。
聖女は神の力を借りて病を治しますので、神の教えに背いた病でいまさら泣きついてきても、私は知りませんから!
甘い秋空
恋愛
神の教えに背いた病が広まり始めている中、私は聖女から外され、婚約も破棄されました。
唯一の理解者である王妃の指示によって、幽閉生活に入りましたが、そこには……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる