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新妻・卯月の仙台暮らし
47.島を散策します。
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暫くうさぎを堪能した後、お腹が空いて来たので私達は『兎カフェ』でランチを兼ねて一服することにした。
カフェと言っても宿泊所の一角に設置されたスペースにある休憩所っぽい場所なのだけれど、窓際の席に座れば外が見える。生垣の下で身を寄せ合ってくつろぐうさぎ達とか、観光客が餌をあげる様子を眺めながらまったりとした時間を過ごした。
それから島の中を散策することになった。本来うさぎは夜行性。昼間より夕方や朝方の方が活発になる。一旦うさぎは横に置いておいて、明るい内に島内をいろいろと見て回ろうと言うことになった。
だって、このままだとこの宿泊所の周辺から動けずに一日が終わりそうな予感がしたから。どうせ宿泊するのだから、あえて楽しみは後に取っておこう! と私たちは頷き合う。そうじゃないと、抗えない魅力の虜になりつつあったのだ……! うさぎ島、恐るべし……!!
レンタサイクルも借りられるのだけれど、ゆっくり歩いても二時間ほどで一周できるって何かに書いてあったから、取りあえず徒歩でテクテク歩くことにする。
「うーん、気持ちが良いねぇ!」
海岸線を取り囲むように配置された遊歩道に沿って、ブラブラと歩く。海の方を見渡すと、キラキラと波立つ凪いだ水面に大小さまざまな小島が浮かんでいた。端っこまで歩いたところは、静かな浜になっている。海水浴でにぎわうビーチは島の逆側で、泳いでいる人もいない静かな場所だ。
「わぁ! 丈さん、見て見て! 海、透き通ってるね!」
海水浴には特に興味が無かった。だって泳ぎも苦手だし、なんとなくそう言うキャピキャピと浮かれたイベントって自分に似合わない、なんて思っていたから。だから卯崎島に綺麗なビーチがあるって知ってはいたけれど、私達はうさぎを愛でに行くのであって海で遊ぶ時間はない! なんて決めつけて、敢えて海水浴の準備はして来なかったのだ。
けれど……実際目にした途端、抑えきれずに胸が高鳴ってしまう。ワクワクが止まらなくなって、つい我を忘れて衝動的に砂浜へと駆け下りた!
波がしらが白くって、透明な海の水に現れる砂がザザーっと動いて。ああ、なんでこんな貴重な機会を最初から手放してしまったのだろう! なんて自分に歯がみをしたくなった。
波打ち際ギリギリまで近づいて、波が引くところまで歩く。そして波が押し寄せるタイミングで後退る。
うっ……た、楽しい! 楽し過ぎる……!
すっかり童心に帰って遊んでいると、ジリジリと胸の中に欲求が溜まって来てしまう。
「うー、水着持ってくればよかったかなぁ?」
せめてサンダルでも持って来てればなぁ……。
私は残念な目で自分の足元を見る。山歩きもするだろうし、と考えてお洒落よりも歩き易さを重視したスニーカーだ。
むむむ……出来れば足だけでも、浸したい……!
「そうだ! 脱いじゃおう!」
子供みたいにハイテンションではしゃぐ私に呆れているのか、後ろの方で丈さんはボンヤリとこちらを眺めていた。そんな丈さんを振り返り、駆け寄って訴える。
「丈さんも! 脱ごう! せっかくの旅行だし!」
「……え?……」
私の唐突な思いつきに、ギョッとしたように目を見開く丈さん。
むむっ……大人な丈さんは私のはしゃぎっぷりに引いているのかな? でもせっかくの新婚旅行だし! 無理して大人っぽい女性になろうなんて、考えるのは止めたから、自分がやりたいことはちゃんと『やりたい!』って主張しようと思う。
「靴脱いで、海に入ろうよ。大丈夫、そのリュックにタオル入れてあるし!」
お互いジーパンだけれど、捲ればひざ下くらいまでなら海に入れるハズ。何も水着にならなくても、海を直接楽しむ事は出来る……!
「え、ああ……靴ね、靴……そうだな」
ちょっと気が進まないのか、戸惑ったような返答だったけれど、私がポイポイ靴と靴下を脱いで波打ち際まで走って行くと、丈さんもリュックを置いて後から追いかけて来てくれた。
私は追い付いて来た丈さんの手を掴まえる。それから彼を強引に引っ張るようにして、一緒に波打ち際に駆け寄った。覚悟を決め切れないのか動きの鈍い彼を促して、追いかけて来る波から逃げてみたり、それからギリギリ行ける深い所まで挑戦してみたり。はしゃぎまくる私に感化されてくれたのか、丈さんも次第に屈託なく楽しんでくれるようになった。
散々遊んで笑って。そろそろ散策に戻ろうと言うことになって、リュックの所に戻った。タオルで拭いても海水は少しべたべたするし、海砂はなかなか取るのに苦労する。丈さんもこんな子供っぽい奥さん貰って疲れるなぁ、なんて内心思っているかもしれないけれど……でも後悔はしていない。一緒に遊べて、楽しかったもの!
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予告:次話はおまけで亀田視点を追加します(・m・ )クスッ
カフェと言っても宿泊所の一角に設置されたスペースにある休憩所っぽい場所なのだけれど、窓際の席に座れば外が見える。生垣の下で身を寄せ合ってくつろぐうさぎ達とか、観光客が餌をあげる様子を眺めながらまったりとした時間を過ごした。
それから島の中を散策することになった。本来うさぎは夜行性。昼間より夕方や朝方の方が活発になる。一旦うさぎは横に置いておいて、明るい内に島内をいろいろと見て回ろうと言うことになった。
だって、このままだとこの宿泊所の周辺から動けずに一日が終わりそうな予感がしたから。どうせ宿泊するのだから、あえて楽しみは後に取っておこう! と私たちは頷き合う。そうじゃないと、抗えない魅力の虜になりつつあったのだ……! うさぎ島、恐るべし……!!
レンタサイクルも借りられるのだけれど、ゆっくり歩いても二時間ほどで一周できるって何かに書いてあったから、取りあえず徒歩でテクテク歩くことにする。
「うーん、気持ちが良いねぇ!」
海岸線を取り囲むように配置された遊歩道に沿って、ブラブラと歩く。海の方を見渡すと、キラキラと波立つ凪いだ水面に大小さまざまな小島が浮かんでいた。端っこまで歩いたところは、静かな浜になっている。海水浴でにぎわうビーチは島の逆側で、泳いでいる人もいない静かな場所だ。
「わぁ! 丈さん、見て見て! 海、透き通ってるね!」
海水浴には特に興味が無かった。だって泳ぎも苦手だし、なんとなくそう言うキャピキャピと浮かれたイベントって自分に似合わない、なんて思っていたから。だから卯崎島に綺麗なビーチがあるって知ってはいたけれど、私達はうさぎを愛でに行くのであって海で遊ぶ時間はない! なんて決めつけて、敢えて海水浴の準備はして来なかったのだ。
けれど……実際目にした途端、抑えきれずに胸が高鳴ってしまう。ワクワクが止まらなくなって、つい我を忘れて衝動的に砂浜へと駆け下りた!
波がしらが白くって、透明な海の水に現れる砂がザザーっと動いて。ああ、なんでこんな貴重な機会を最初から手放してしまったのだろう! なんて自分に歯がみをしたくなった。
波打ち際ギリギリまで近づいて、波が引くところまで歩く。そして波が押し寄せるタイミングで後退る。
うっ……た、楽しい! 楽し過ぎる……!
すっかり童心に帰って遊んでいると、ジリジリと胸の中に欲求が溜まって来てしまう。
「うー、水着持ってくればよかったかなぁ?」
せめてサンダルでも持って来てればなぁ……。
私は残念な目で自分の足元を見る。山歩きもするだろうし、と考えてお洒落よりも歩き易さを重視したスニーカーだ。
むむむ……出来れば足だけでも、浸したい……!
「そうだ! 脱いじゃおう!」
子供みたいにハイテンションではしゃぐ私に呆れているのか、後ろの方で丈さんはボンヤリとこちらを眺めていた。そんな丈さんを振り返り、駆け寄って訴える。
「丈さんも! 脱ごう! せっかくの旅行だし!」
「……え?……」
私の唐突な思いつきに、ギョッとしたように目を見開く丈さん。
むむっ……大人な丈さんは私のはしゃぎっぷりに引いているのかな? でもせっかくの新婚旅行だし! 無理して大人っぽい女性になろうなんて、考えるのは止めたから、自分がやりたいことはちゃんと『やりたい!』って主張しようと思う。
「靴脱いで、海に入ろうよ。大丈夫、そのリュックにタオル入れてあるし!」
お互いジーパンだけれど、捲ればひざ下くらいまでなら海に入れるハズ。何も水着にならなくても、海を直接楽しむ事は出来る……!
「え、ああ……靴ね、靴……そうだな」
ちょっと気が進まないのか、戸惑ったような返答だったけれど、私がポイポイ靴と靴下を脱いで波打ち際まで走って行くと、丈さんもリュックを置いて後から追いかけて来てくれた。
私は追い付いて来た丈さんの手を掴まえる。それから彼を強引に引っ張るようにして、一緒に波打ち際に駆け寄った。覚悟を決め切れないのか動きの鈍い彼を促して、追いかけて来る波から逃げてみたり、それからギリギリ行ける深い所まで挑戦してみたり。はしゃぎまくる私に感化されてくれたのか、丈さんも次第に屈託なく楽しんでくれるようになった。
散々遊んで笑って。そろそろ散策に戻ろうと言うことになって、リュックの所に戻った。タオルで拭いても海水は少しべたべたするし、海砂はなかなか取るのに苦労する。丈さんもこんな子供っぽい奥さん貰って疲れるなぁ、なんて内心思っているかもしれないけれど……でも後悔はしていない。一緒に遊べて、楽しかったもの!
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予告:次話はおまけで亀田視点を追加します(・m・ )クスッ
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