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それぞれの後日談 (前)side アメリア

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おっかしいなぁ~、どうしてこうなったんだろう。


アメリアは不満でも愚痴でも無い本心から今の状況を見てそう思った。そして公爵家を出た夜の事を思い返す。


あの夜、公爵家を出たアメリアは王都の中心にある広場に向けて歩いた。適当な人気の無い路地に破れたスカートと髪の毛の入った血痕が付着した麻袋を無造作に投げ込んだ。


血痕はやり過ぎかとは思ったけど、そうした方が騒いでくれるかと思ったんだよね。憲兵が公爵家に確認を取ってくれればいいんだけど。


元々、居ない者扱いだったから私を探す事は無いかも、とは思ったけれど、返すお金も無いだろう公爵家が私を何としても探し出してガルバ伯爵の後妻にさせる可能性もあった。


翌日、無事に乗り合い馬車に乗って王都を離れる事が出来た。お金はメアリーに宝石を売って貰って持っていたお金を使った。


メアリーと言うのはソフィーの亡くなったお母さんだ。キャロラインたちが公爵邸にやって来て使用人扱いになった時にアメリアによくしてくれたのがメアリーだった。


詳しくは知らないが、母に恩がある、と言っていたメアリーは他の使用人にはバレない様にアメリアを手助けしてくれていたのだ。


五歳の頃だったかなぁ。宝石をお金に換えに行って欲しい、と頼んだ時は驚いていたっけ。


アメリアの乳母は実は外面は頗る良いが、隙あらば仕事はサボりたいというタイプだった。母の前ではさも『貴女のお味方です!』とばかりに、病で段々と弱気になっていった母に同調していたが、アメリアの部屋に戻ればそこは使用人たちの休憩所と化していた。


そこでは使用人たちの不平不満や噂話などが飛び交い、アメリアが父の事情を知ったのも自分の部屋だった。下らない話が大半であったけれど、それでも母がこの世から亡くなった後の心の準備をするのには役立った。


母が亡くなる前からディバイン公爵はキャロラインたちを屋敷に招き入れる準備を始めていた。アメリアの目から見ても母の命が尽きていくのが分かる程だったので、浮かれた公爵が準備を始めている事は母以外の屋敷の者は気づいていた。


そこでアメリアは自分の行く末をしっかりと予想する事が出来た。


私の立場、かなりヤバいよね?


流石に前世の記憶が有っても三歳児では一人で生きていく事は難しい。最悪の予想は死だろう。そこそこ悪くて何処かに売られるか、と思ったが、アメリアはこれでもディバイン公爵家のご令嬢というやつだ。

一歳の時には同じ派閥の貴族を集めてお披露目も済ましている。キッチリと王家への出生の報告もされているので、売られる可能性は少ないと思った。


噂話を聞く限りでは公爵との間に所謂、私の異母妹が生まれているそうだが、まだ愛人関係であったから庶子という扱いだろう。養子縁組という手もあるだろうが、今のままではディバイン公爵家の後継はアメリアとなる。


愛人も実の父でさえもそれは望まないだろうなぁ。


愛人が小悪党ぐらいなら殺されずに済むだろうか、と考えれば良くて虐められる程度で済むかな。


その場合は命の危険が無いならば黙って耐えていればいい。けど食べる物やお金には困りそうだよね。家を追い出されるにしても自分から出て行くにしても多少のお金はあった方がいい。


そう考えたアメリアは母の宝石などをすこし早く事にした。

『かあしゃま。きれぇないしをみーせーて。』


乳母に『母に会いたい。』と強請っては、ベッドに伏せる母の横で無邪気な子どもを装い宝石箱をひっくり返しては宝石を並べて遊んでは戻す、を繰り返したりした。

そうして母の目と乳母の目を盗んで幾つかの小ぶりな宝石をポケットや袖口などに入れて部屋に持ち帰った。

気が咎めなかったか、と言われれば、アメリアは勿論、と答えただろう。


これは将来のアメリアには必要な物だったし、母が亡くなったら乳母や使用人たちが愛人が来る前に手に入れよう、と言っているのを聞いていたからだ。

 実際、屋敷に来たキャロラインは母の宝飾品の少なさに怒った後、嘲笑いながら『旦那様に愛されなかった女は惨めね。』と言っていたが、お金に換えても怪しまれない程度の母の持ち物の殆どが使用人によって奪われていた事には気づいていない様だった。


手に入れた宝石はアメリアの部屋に分散して隠しておいた。そして使用人の様に働かされる事になったアメリアの手でさっさとに無事に移す事が出来た。


そうしてメアリーがアメリアの行く末を本心から案じてくれている、と確信出来た時、アメリアは宝石の一つをメアリーに託した。メアリーは一瞬驚いたものの深く尋ねる事はなく受け取ると休みの日にお金に替えてきてくれたのだ。


その受け取ったお金があったから、急に家を出る事になっても決心する事が出来たのだ。


このお金で一ヵ月過ごすのは無理かも知れないけれど、まだ宝石は残っている。兎に角、隣国まで移動してからその次の事を考えよう。



こうして乗り合い馬車を乗り継ぎ、アメリアは無事に隣国に辿り着いた。アメリアがさっさと隣国に行く事を決めたのには、アメリアが言葉に困らないから、というのがあった。


何故だかアメリアは習ってもいないのに母国語以外の言葉が話せる。話せるというか、普通に会話が成立するのだ。同じ様に読み書きも出来る。


これは公爵家に出入りしていた業者について来た下男が目の前に居る雇用主に呟いた悪口にアメリアが反応した事で気がついた事だった。


それから色々試して能力は理解はしたが、何故かは深く考えても理由は分からないのでアメリアは前世の記憶があるから、で納得する事にした。


屋敷を出た時、アメリアの格好は適当に切ったショートボブぐらいの髪の長さで、使用人たちが着ていたいた草臥れたシャツとズボンにフードの着いたポンチョの様なコートだった。


アメリアは使用人の様に扱われていたが正式に雇用されている使用人では無かった。だからアメリアには給金は一度も支払われた事はない。だから表向きはアメリアはお金を持っている筈は無いのだ。


そしてキャロラインの嫌がらせで、使用人たちに配布される服もアメリアには配られる事は無かった。アメリアのところにくる服は、使用人たちの着古しで廃棄する寸前の物だけだった。


だから乗り合い馬車に乗った時も女性だとは気付かれずに小汚い少年と思われていた。アメリアも敢えて男と認識される様に振る舞った。


そうして辿りついた隣国で冒険者登録をする際に、アメリアは性別をどうするか、少し迷った。自立する為に体を鍛え、前世で得た多少の武術の心得はあるが、それでも男性と比べたら貧弱な体な上に非力だ。

冒険者にならなくとも女性が一人で生きていくには危険も多いだろう。それならバレるまでは性別を偽ろうと決めた。



「済みません。冒険者になりたいんで登録をしたいのですが。」


アメリアが受付で声を掛けると受付嬢はいつも通り淡々と登録していく。


男として登録するなら名前は流石にアメリアではダメだろう。アメリアは少し考えてアリにした。ちょっと強そうな名前だ、と心の中で満足する。


「アリさん、使用する武器の登録はどうしますか?途中で変更も出来ますが。」


武器の登録?そんなのも必要なの?


アメリアは屋敷の外の情報は出入りの業者に訪ねたり書庫の掃除のついでに盗み読んでいた書物などから得る事が多かった。けれど知り得た情報は足りない部分も多かったのだろう。


「えーっと今は武器を持っていないので、体術が僕の武器です。」


武器は持っていないのだから登録しようが無い。更にはまだ武具の用意もしていなかった。


「えぇっ!?たい、、、じゅつ?」


受付嬢が思いっきり驚いているがそうとしか答えられないらから仕方が無い。それにアメリアは体術には少々自信があった。

前世では小さな頃から空手と柔道を習っていた。これは家の目と鼻の先に道場があった事と同い年の幼馴染の家だったから、気づいたら一緒に習っていた。中学校には空手部も柔道部も無かったから幼馴染と一緒に剣道部に入った。

二人はそこそこに運動神経が良かった。だから幼少から続けていた空手と柔道だけでなく、剣道でも段持ちになり大人になっても趣味で続けていたほどだ。

そして公爵家を出る為の準備としてアメリアは体力作りと空手と柔道の練習を密かに続けていた。


両刃の剣の振り方と剣道の振り方では大きく違うだろう。それでも練習すればなんとかなると思う。けど今はとりあえず体術と答えるしか無い。


「はい。今はあまり手持ちがなくて武器を持っていないんです。その内、短剣か長剣を登録するつもりです。」


「えーっと、準備をしてから冒険者登録をした方が良いんじゃないかしら?」


アメリアの言葉に流石に受付嬢も戸惑い気味に言ってくる。

「いえ、あまりお金も無いので、冒険者になって手っ取り早く稼いでから武器を買うつもりです。だって剣とか武具って高いでしょう?」


流石に冒険者登録したら武具はすぐにでも購入するつもりだし剣が買えなくても木剣ぐらいは買うつもりだ。それに依頼だってピンキリだと聞いている。薬草採取ぐらいだったら何とかなるだろう。



。リリー、さっさとそのガキの冒険者登録を完了してやれよ。初級者講習は俺が受け持つから。」


不意にアメリアの後ろから誰かが席を立つ音とともに機嫌の悪そうな低い声が聞こえてきた。


「レ、レンさん!でも、、、、。」


「このガキはさっさと冒険者になって稼ぎたいんだろ?S級冒険者の俺が講習で合格を出せば、直ぐに依頼を受けられるんだから、このガキだって嬉しいだろう。」


「え?冒険者登録したらすぐに依頼を受けられるんじゃないんですか。」


冒険者登録についてまだ知らない事があったのか、とアメリアは素直に口にした。しかし、レンと呼ばれた冒険者はさらに不機嫌になったらしい。


「はっ!そんな事も知らないで冒険者になって稼ぎたい、か。まずはそんな女みたいな弱っちい体を鍛えてから登録に来た方が良かったんじゃないか?

体術なんて言って、そこらの路地裏で少しばかりケンカが強いぐらいじゃ何の役にも立ちゃしねぇ。ましてやそんなヒョロヒョロのチビじゃその体術とやらもアテにならないな。」


アメリアの横に立ったレンという青年は確かにアメリアよりも頭一つ半は背が高く、ガタイも細身ながらも引き締まった体というのが服の上からも見て取れる。彼が言っている事も間違ってはいないのだろう。


けれどレンの言葉はアメリアの戦闘本能に火をつけた。『女みたいな?』『弱っちい体?』さらに『体術もアテにならない。』ですって?


確かにまだ十六歳のアメリアは、十分に食事をとっていなかったから同い年の女性と比べたって人並み以下の背丈だとは自覚している。

けれど小さいイコール弱い訳では無い。知らないとは言え、何より今日までコツコツと鍛えてきた事を否定された気がしてアメリアはカチ~ンと来た。『めっちゃ腹立つ!』ってやつだ。


「分かった。今すぐ初級者講習とかいうやつを受ける。それからの体術がアンタに通用するか確認してくれよ。」


狙った訳ではないが、怒りのあまりアメリアの声もまた低い声となり周囲からは無謀にもS級冒険者にケンカを売った小年のように映っていた。


「じゃ今すぐ試してやろう。クソガキ、ついて来い!」


レンは不敵に笑い、オロオロとするリリーを残してギルドの裏にある訓練場へとアメリアを誘導する。


訓練場には同じ様に初級者講習を受けていた者や訓練に来ていた冒険者たちが居た。彼らはアメリアたちの後からついてきた冒険者たちに話を聞くと訓練の手を止めて二人に注目する。


本来、初級者講習とは冒険者登録した者に対してギルドに所属するA級冒険者以上の者が指導する事になっている。

冒険者の心得など基本的な事を学ぶ座学と登録した武器の扱いと実力を確認する模擬試合などを行い、指導者から合格を貰えると冒険者として依頼を受けられる様になっていた。

指導者はA級以上とはなっているものの、S級ランクの冒険者が初級者講習などを受け持つ事は滅多にない。ましてやレンは一年ほど前からこの地の冒険者ギルドを拠点に活動してはいるが、国を跨いで活動している所謂、流れの冒険者だった。

当然、冒険者になりたての冒険者が敵う訳がない。しかも見るからに弱そうな体格の子どもが、だ。


大勢のギャラリーが見守る中、レンとアメリアの模擬試合が始まった。



まず、レンはアメリアの構えに驚いた。体術とは言っていたが、レンが今まで見た事も無い構え方をアメリアはしていたのだ。

しかし、それも基本が出来ていないだけの我流の構え方だと考えた。そして相手の非力を思い知らせる為に、さっさと力技で片をつけようと前に踏み出した。

けれどアメリアの腕を掴もうとした瞬間にアメリアは僅かな動作ですっと左に一歩移動したかと思ったら右手の拳を素早くレンの腹に打ち込んできた。



アメリアを舐め切っているだろうレンの動きを冷静に見極めながら、アメリアは腹に一発打ち込んだが、流石S級冒険者は鍛え方が違うようだ。

鍛えられた腹筋にアメリアの一発はさほどダメージを受けなかったらしい。驚いているレンに攻撃の隙を与えないように、続けて二発、三発、そしてキックも繰り出すが有効打にはならない。


「言うだけの事はある、か。けどそれぐらいじゃ俺には勝てねぇぞ。」


余裕綽々のこのS級冒険者が憎らしい。相手は受けるばかりで攻撃をしてこない。

本来、模擬試合とは実力を見る為のものであるから、指導者が張り切って攻撃してくる事はない。けれどアメリアは自分がみくびられているのだ、と解釈した。



レンとしては偉そうな言い方をしたものの、今まで見た事もやり合った事もないアメリアの体術とアメリアに戸惑って攻撃出来ないでいただけだった。


ギャラリーも世間知らずのガキが無謀にもS級冒険者に挑んだのを面白がって見物していただけだった。しかしアメリアの予想外の動きに、今やただ呆気に取られて見ているだけだ。



最初はから、とふざけた事を言うアメリアに怒りを覚えたレンだったが、アメリアの的確に急所を突いてくる動きに『口だけではなかったか。』と納得した。

けれど腕に自信があるからと安易に冒険者になろうとするその気持ちにはやはり腹が立つ。武器があったって簡単に命を失うのが冒険者稼業なのだ。それをキチンと分からせるのも先輩冒険者の役目だとも思っている。


『そろそろ終わりにするか。』レンはそう思って大きく一歩前に踏み込んだ。レンはアメリアの実力見極めたつもりだった。アメリアは強い、けれど同じ年齢の子どもに比べれば、だ。負けるはずの無いレンは、アメリアの実力を認めつつもまだみくびっていたのだ。


アメリアは手を伸ばしてきたレンの右手を掴み、レンの懐に入ったかと思うとくるりとレンに背を向けてそのままレンを投げ飛ばした。レンの勢いをそのまま利用して背負い投げをしたのだ。


投げ飛ばされたレンは一瞬何が起こったのか分からなかった。投げ飛ばされると思った瞬間にアメリアの服を掴んだが、そのまま投げ飛ばされレンの目の前には青空が広がっていた。


固唾を飲んで見ていた冒険者たちも一体、何が起こったのか理解出来なかった。気づけばレンが地面に仰向けになって転がっていたのだ。


辺りはシンと静まりかえっていた。『信じられない、、、、。』だれもがそう思っていた時に急に笑い声が響き渡った。


「はっはっは!どうだっ!私の勝ちだ!チビだ弱っちいだ、と見た目で判断するからこうなるんだ。バーカ、バーカ!」


笑い声の主はアメリアだった。アメリアが仁王立ちで勝利宣言をしている。言っている言葉は残念な程に子どもっぽい言い方だったが。


その声で我に返ったレンはアメリアを見て驚いた。いや、驚いていたのは大勢のギャラリーたちも一緒だった。


仁王立ちしていたアメリアはシャツを着ていなかった。レンが投げ飛ばされる時に咄嗟に掴んだ服はビリリと破れてレンの手の中に切れ端が残っているだけだ。


別にシャツなんか着ていなくたって問題はない。露出の激しい格好を好む冒険者も居るくらいだ。しかしそこは問題じゃない。


レンが驚いたのはアメリアが胸にサラシを巻いていたからだ。


コイツ、女だったのか!?


そう思った矢先に、そのサラシがスルリと落ち始める。激しい動きでどうやら緩んでいたらしい。しかも本人はサラシ姿になっているのに気づいていない。



!!!!!!!


未だ高笑いをしているアメリアよりも慌てたレンは起き上がって、物凄い速さでシャツを脱ぎながら駆け寄ってアメリアに被せた。他の冒険者には見えない様にアメリアを抱き込んでレンは叫んだ。


「お前っ!女だったのか!!」


レンにいきなりシャツをすっぽりと被らされた上に抱き込まれたアメリアは漸く自分がサラシ姿になっていたのだと気がついた。


サラシはアメリアにとって下着代わりだった。公爵家の面々にお金を持っている事がバレ無い様にアメリアは物を買う事を控えていた。服は使用人たちの古着があったが、流石に下着は無かった。


そこで廃棄寸前のベッドシーツを利用した。けれどひもパンは作れてもブラは無理だった。そこで思いついたのがサラシとして利用する事だ。腹帯の様な巻き方で胸に巻くと控えめな胸でも巻き易い。そしてサラシを巻く事で胸も押さられて、より少年に見られるので都合が良かった。


けれど流石にサラシ姿を見られたら女性だとバレてしまったようだ。男と偽って直ぐにバレるとは、、、。


「あっ、バレちゃった、、、。」


アメリアのなんとも緊張感の無い声にレンはただただ脱力した。




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さらっとした後日談を目指したのに、1話で纏まらず2話でも厳しくなったので前・中・後編に変更しました。(なんとか3話で完結出来るように頑張ります。)



















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