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南の街、イケアに向けて
未来の従業員をゲットしました?
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外で日向ぼっこしているのか、お婆さんたちは手元を動かしながら椅子に座っている。
クッションと言ったけれど、お婆さんが座っているのはどちらかと言うと座布団に近い感じかな。でもそれでも板張りよりは断然良いよねぇ。
「なぁ、どうしてそんなに親切に色々と教えてくれるんだ?」
不意にトールが言った。私の意図に気づいているようだけれど、ちょっと疑ってもいるのかな。
「う~ん、まだ立ち上げたばかりだけれど私がエトリナ商会の商人だからかな。商人としてここで商売している君たちにちょっとしたアドバイスをしたくなったんだよ。」
「・・・エトリナ商会・・・商人・・・。」
言われた言葉を覚えようとしているのかのように繰り返して呟くトール。偉そうな事言っているけど、まだ立ち上げたばかりで何の実績も無いのはこの際伏せておこう。私が商人て言ったら商人なんだよ。
もうそう出発の時間かな、御者さんが準備に入り始めた。
「もう少しアドバイスすると、本当に馬車の座り心地は悪いの。だからお尻に敷くクッションは需要あると思うよ。
もし需要が結構あるならこの旅に使うだけの安価な物と旅の思い出としても楽しめるように刺繍を施したり、この村だけで作られる図案を考えて刺繍した物を少しお高めの値段で販売するっていうのもアリだと思う。
あのお婆さんたちがせっせと手を動かしているのって、何かに刺繍をしているんじゃない?他にも色々出来ると思うよ。
あ、出来れば外のトイレは男女別でもう一つ用意してくれると嬉しいなぁ。中はこまめ掃除しているのはすごく良いと思う。」
そんな話をしていたら、子どもたちがそれぞれ手にクッションを持って戻ってきた。全部で6つ。
「皆、ありがとう。ちょっとクッションの値段が分からないけど、今回は1つ銅貨3枚で買わせてもらうね。今後の事はトールとよく話して値段を決めてね。」
そう言って銅貨を3枚づつ渡した。ちょっと高めな買い取り価格?と思ったけれど、観光地価格ってよくあるよね。
これが有るのと無いのでは、この後の旅にも大きく影響するんじゃないかと思うと銅貨3枚でも安いんじゃないかしら。
それに材料費や人件費とか考えるともう少し高めでも良いかも知れないけど、今回は中古だから良しとしよう。
子どもたちから受け取ると2つを残してバッグにそっとしまった。
子どもたちは銅貨に浮かれて気づいていなかったけれど、バッグを閉じた瞬間に目を見張っているトールと目があった。気付かれたかな?
「えっと、私は当分の間、国内を旅して周るつもりなんだ。いつかまたこの村に遊びに来るよ。もしかして商売しに来る事もあるかも。また会えるのを楽しみにしているね。」
うん、バッグの事はとりあえずスルーしよう。トールもそこは空気を読んで?
「名前、名前は?」
「え?あぁ、名乗ってなかったねー。私はティアナよ、エトリナ商会のティアナ。商業ギルド経由で手紙くれれば返事書くよー。じゃあね。」
そう言って馬車の方で待っているクリスに向かって歩き出した。
クリス、放置しちゃってたけど、不機嫌なドス黒いオーラが可視化している気がする。
こっわ!でも私のせいじゃないよね?
「ティアナっ!」
急に走り寄って来たトールに腕を取られて後ろを振り向くと、そのままトールの方に引き寄せられた、と思ったらトールの顔が近づいて頬にチュっと唇があたった。
「ティアナ、ありがとなっ。俺、成人したらティアナのところで一緒に働いてやるよ!またなっ。」
ニカっ、と今日イチバンの良い笑顔を見せてそう言ってトールは村に戻って行った。
何故に上から目線?村はいいのかしら?
あっ!もしかして未来の従業員が手に入ったって事?
などと、首を傾げながら考えていたら、頬にサワっと風があたったような感触がした。
「ん?何かした?」
「・・・別に。さっさと馬車に乗るぞ。」
ドス黒いオーラを出したままのクリスが先に馬車に乗って手を差し出してくれた。
クッションと言ったけれど、お婆さんが座っているのはどちらかと言うと座布団に近い感じかな。でもそれでも板張りよりは断然良いよねぇ。
「なぁ、どうしてそんなに親切に色々と教えてくれるんだ?」
不意にトールが言った。私の意図に気づいているようだけれど、ちょっと疑ってもいるのかな。
「う~ん、まだ立ち上げたばかりだけれど私がエトリナ商会の商人だからかな。商人としてここで商売している君たちにちょっとしたアドバイスをしたくなったんだよ。」
「・・・エトリナ商会・・・商人・・・。」
言われた言葉を覚えようとしているのかのように繰り返して呟くトール。偉そうな事言っているけど、まだ立ち上げたばかりで何の実績も無いのはこの際伏せておこう。私が商人て言ったら商人なんだよ。
もうそう出発の時間かな、御者さんが準備に入り始めた。
「もう少しアドバイスすると、本当に馬車の座り心地は悪いの。だからお尻に敷くクッションは需要あると思うよ。
もし需要が結構あるならこの旅に使うだけの安価な物と旅の思い出としても楽しめるように刺繍を施したり、この村だけで作られる図案を考えて刺繍した物を少しお高めの値段で販売するっていうのもアリだと思う。
あのお婆さんたちがせっせと手を動かしているのって、何かに刺繍をしているんじゃない?他にも色々出来ると思うよ。
あ、出来れば外のトイレは男女別でもう一つ用意してくれると嬉しいなぁ。中はこまめ掃除しているのはすごく良いと思う。」
そんな話をしていたら、子どもたちがそれぞれ手にクッションを持って戻ってきた。全部で6つ。
「皆、ありがとう。ちょっとクッションの値段が分からないけど、今回は1つ銅貨3枚で買わせてもらうね。今後の事はトールとよく話して値段を決めてね。」
そう言って銅貨を3枚づつ渡した。ちょっと高めな買い取り価格?と思ったけれど、観光地価格ってよくあるよね。
これが有るのと無いのでは、この後の旅にも大きく影響するんじゃないかと思うと銅貨3枚でも安いんじゃないかしら。
それに材料費や人件費とか考えるともう少し高めでも良いかも知れないけど、今回は中古だから良しとしよう。
子どもたちから受け取ると2つを残してバッグにそっとしまった。
子どもたちは銅貨に浮かれて気づいていなかったけれど、バッグを閉じた瞬間に目を見張っているトールと目があった。気付かれたかな?
「えっと、私は当分の間、国内を旅して周るつもりなんだ。いつかまたこの村に遊びに来るよ。もしかして商売しに来る事もあるかも。また会えるのを楽しみにしているね。」
うん、バッグの事はとりあえずスルーしよう。トールもそこは空気を読んで?
「名前、名前は?」
「え?あぁ、名乗ってなかったねー。私はティアナよ、エトリナ商会のティアナ。商業ギルド経由で手紙くれれば返事書くよー。じゃあね。」
そう言って馬車の方で待っているクリスに向かって歩き出した。
クリス、放置しちゃってたけど、不機嫌なドス黒いオーラが可視化している気がする。
こっわ!でも私のせいじゃないよね?
「ティアナっ!」
急に走り寄って来たトールに腕を取られて後ろを振り向くと、そのままトールの方に引き寄せられた、と思ったらトールの顔が近づいて頬にチュっと唇があたった。
「ティアナ、ありがとなっ。俺、成人したらティアナのところで一緒に働いてやるよ!またなっ。」
ニカっ、と今日イチバンの良い笑顔を見せてそう言ってトールは村に戻って行った。
何故に上から目線?村はいいのかしら?
あっ!もしかして未来の従業員が手に入ったって事?
などと、首を傾げながら考えていたら、頬にサワっと風があたったような感触がした。
「ん?何かした?」
「・・・別に。さっさと馬車に乗るぞ。」
ドス黒いオーラを出したままのクリスが先に馬車に乗って手を差し出してくれた。
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