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南の街、イケアに向けて
世にも怖しい椅子取りゲーム
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おかしいと思ったんだよね。
あんなにクリスに纏わりついていたお姉さん3人組が、クリスを置いてサッサと馬車に乗り込んでいるなんて、と。
馬車に乗り込んだ私が見たものは、御者側の奥の左右の席に向かい合っている冒険者2人、そしてその隣にはイザベラさんとルーナさんが向かい合って座っていた。
あれ、キャサリンさんは?と思ったら後ろから甘ったるい声が聞こえてきた。
「やだっ、私が一番最後ぉ~?あ、クリスさんたち、どうぞ先に座ってぇ。」
途中で乗ってくる人もいるから乗り合い馬車は御者側から詰めて座る暗黙のルールがあるらしい。
・・・凄いなお姉さん3人組!
この布陣にする事で3人の内誰かは必ずクリスの隣に座れる、という事だよね。
これはもしかしなくても冒険者さんたちを巻き込んだ鉄壁の布陣じゃない?
だって冒険者さんたちも必ずお姉さんたちの隣には座れるのだもの、例え相手にされなくても。そりゃ、協力しちゃうよね。
・・・怖っ!ここまでするもんなの?正に肉食系女子じゃん!
と、関心している場合じゃなかったよ。
あれ?そう言えばどうやって聞き出したかは知らないけれど、この休憩時間でクリスの名前をゲットしたみたいだね。
ついつい『クリス』と呼んでしまいそうになってたから、私的にはちょっとホっとしたけれど。
数秒考えた後、クリスはイザベラさんの隣に座った。イザベラさん、勝ち誇った顔してます!
そしてクリスは私を隣に座らせた。キャサリンさんは悔しそうな顔をしながらもクリスの対面に座った。
馬車が動き始める前に、村で手に入れたクッションを座席に敷いてから座り、クリスにも一つ渡した。
馬車が動き始めると同時にクリスはもたれ掛かるように、私の肩に頭を乗せて寝たふりを決め込んだ。
え、コレ、私どうなるの?
さっきまで勝ち誇った顔してたイザベラさんの顔が凄く歪んでるこっちを見ているんですけど。
折角クッションを手に入れて快適馬車の旅!になりそうだったのにぃ~。何、この怖い椅子取りゲームはっ。
私も寝たふりしたいけれどこの場合、頭はどうすればいいの?寝たふりをするには頭がね、馬車の揺れで無理なの、固定されていないと辛いのよ。
クリスの頭が私の肩に乗っているから、クリスの方に頭を向けたいけれど体勢がキツい。
反対側に頭を向けたら何かの拍子に倒れ込みそうだし、姿勢良く前向きつつ寝たふりって難易度高いな、仏像スタイルは。それとも俯けばいい?
でも首に負担がかかるじゃないっ!ズルいっ!クリスったら私に丸投げしてない?
「ティアナさん?だったかしら?ねぇ、本当にクリスさんとはどういう関係なのかしら?」
モダモダしている内にルーナさんが尋問してくる。本当、これ、普通の会話じゃないわよ?雰囲気が取り調べのようなのよ!目が笑ってないしぃ。
「えっと。冒険者になったばかりで私の担当指導者です。」
どう答えようかとぐるぐる悩んだけど、見た目は冒険者なのでそのままで答えた。商会の事を言ってしまうとその後も付き纏われたりすると困るしね。
「はぁ?あなた、冒険者なの?」
えぇ~、何でそんなにバカにした目で見られないといけないのよっ。まだ一度も依頼受けてないし身分証を取る為の登録だったけれども!
「はい、まだ成りたてで薬草採取を目的にしているので冒険者らしくはないと思いますが。」
引き攣り笑顔で答える。ルーナさんの方が年上だけれど大人になるのよっ、私!
「あぁ~成る程ぉ。森でチマチマ草を毟るのってティアナさんに似合いそう~。子どもってよくそこら辺の草を取って喜んでいるわよねぇ。」
対面から尋問に参戦してきたキャサリンさんっ。草毟りが似合うって何っ?喜びたくて毟るんじゃなくて薬草採取ですけど?
「でも、そんな誰にでも出来るような事でクリスさんに指導してもらうって甘え過ぎじゃない?」
イザベラさんもクリス越しに参戦してきた。
もう嫌ぁ~。
甘え過ぎとかそんなんじゃなくて初心者冒険者に指導者ってつくものでしょう?
助けを求める目線で斜め前の冒険者に視線を向けたら
「あ~、うん。他の冒険者だって大丈夫だよ。俺とかどうかな?」
あぁ~、この人ワザとなの?それとも何も考えずにイザベラさんの援護射撃してるの?
しかもあなたの事はどこの誰かも知らないんですけどもっ!
もう強引に会話切り上げて寝たふりしちゃう?やっぱり仏像スタイルしちゃう?
「クリスっ、さんに指導はお願いしていますので!わっ、ぶっ・・・」
「耳元で煩い。少し寝ろっ。」
急にクリスに頭を掴まれて片手で抱き寄せられてしまった。
え、私、クリスの肩口に顔埋めた体勢のまま寝るの?
首カクカクしたままの体勢よりは楽ですけども!
うぅっ、もう私の頭の辺りにクリスの頭の重みがっ。見えなくてもお姉さん3人組の視線が刺さってるぅ。
もう、これ以上ないくらいにブッ刺さっている気がするぅ・・・。
見るのも怖いからこのまま寝よう、そうだ、そうしよう!
あんなにクリスに纏わりついていたお姉さん3人組が、クリスを置いてサッサと馬車に乗り込んでいるなんて、と。
馬車に乗り込んだ私が見たものは、御者側の奥の左右の席に向かい合っている冒険者2人、そしてその隣にはイザベラさんとルーナさんが向かい合って座っていた。
あれ、キャサリンさんは?と思ったら後ろから甘ったるい声が聞こえてきた。
「やだっ、私が一番最後ぉ~?あ、クリスさんたち、どうぞ先に座ってぇ。」
途中で乗ってくる人もいるから乗り合い馬車は御者側から詰めて座る暗黙のルールがあるらしい。
・・・凄いなお姉さん3人組!
この布陣にする事で3人の内誰かは必ずクリスの隣に座れる、という事だよね。
これはもしかしなくても冒険者さんたちを巻き込んだ鉄壁の布陣じゃない?
だって冒険者さんたちも必ずお姉さんたちの隣には座れるのだもの、例え相手にされなくても。そりゃ、協力しちゃうよね。
・・・怖っ!ここまでするもんなの?正に肉食系女子じゃん!
と、関心している場合じゃなかったよ。
あれ?そう言えばどうやって聞き出したかは知らないけれど、この休憩時間でクリスの名前をゲットしたみたいだね。
ついつい『クリス』と呼んでしまいそうになってたから、私的にはちょっとホっとしたけれど。
数秒考えた後、クリスはイザベラさんの隣に座った。イザベラさん、勝ち誇った顔してます!
そしてクリスは私を隣に座らせた。キャサリンさんは悔しそうな顔をしながらもクリスの対面に座った。
馬車が動き始める前に、村で手に入れたクッションを座席に敷いてから座り、クリスにも一つ渡した。
馬車が動き始めると同時にクリスはもたれ掛かるように、私の肩に頭を乗せて寝たふりを決め込んだ。
え、コレ、私どうなるの?
さっきまで勝ち誇った顔してたイザベラさんの顔が凄く歪んでるこっちを見ているんですけど。
折角クッションを手に入れて快適馬車の旅!になりそうだったのにぃ~。何、この怖い椅子取りゲームはっ。
私も寝たふりしたいけれどこの場合、頭はどうすればいいの?寝たふりをするには頭がね、馬車の揺れで無理なの、固定されていないと辛いのよ。
クリスの頭が私の肩に乗っているから、クリスの方に頭を向けたいけれど体勢がキツい。
反対側に頭を向けたら何かの拍子に倒れ込みそうだし、姿勢良く前向きつつ寝たふりって難易度高いな、仏像スタイルは。それとも俯けばいい?
でも首に負担がかかるじゃないっ!ズルいっ!クリスったら私に丸投げしてない?
「ティアナさん?だったかしら?ねぇ、本当にクリスさんとはどういう関係なのかしら?」
モダモダしている内にルーナさんが尋問してくる。本当、これ、普通の会話じゃないわよ?雰囲気が取り調べのようなのよ!目が笑ってないしぃ。
「えっと。冒険者になったばかりで私の担当指導者です。」
どう答えようかとぐるぐる悩んだけど、見た目は冒険者なのでそのままで答えた。商会の事を言ってしまうとその後も付き纏われたりすると困るしね。
「はぁ?あなた、冒険者なの?」
えぇ~、何でそんなにバカにした目で見られないといけないのよっ。まだ一度も依頼受けてないし身分証を取る為の登録だったけれども!
「はい、まだ成りたてで薬草採取を目的にしているので冒険者らしくはないと思いますが。」
引き攣り笑顔で答える。ルーナさんの方が年上だけれど大人になるのよっ、私!
「あぁ~成る程ぉ。森でチマチマ草を毟るのってティアナさんに似合いそう~。子どもってよくそこら辺の草を取って喜んでいるわよねぇ。」
対面から尋問に参戦してきたキャサリンさんっ。草毟りが似合うって何っ?喜びたくて毟るんじゃなくて薬草採取ですけど?
「でも、そんな誰にでも出来るような事でクリスさんに指導してもらうって甘え過ぎじゃない?」
イザベラさんもクリス越しに参戦してきた。
もう嫌ぁ~。
甘え過ぎとかそんなんじゃなくて初心者冒険者に指導者ってつくものでしょう?
助けを求める目線で斜め前の冒険者に視線を向けたら
「あ~、うん。他の冒険者だって大丈夫だよ。俺とかどうかな?」
あぁ~、この人ワザとなの?それとも何も考えずにイザベラさんの援護射撃してるの?
しかもあなたの事はどこの誰かも知らないんですけどもっ!
もう強引に会話切り上げて寝たふりしちゃう?やっぱり仏像スタイルしちゃう?
「クリスっ、さんに指導はお願いしていますので!わっ、ぶっ・・・」
「耳元で煩い。少し寝ろっ。」
急にクリスに頭を掴まれて片手で抱き寄せられてしまった。
え、私、クリスの肩口に顔埋めた体勢のまま寝るの?
首カクカクしたままの体勢よりは楽ですけども!
うぅっ、もう私の頭の辺りにクリスの頭の重みがっ。見えなくてもお姉さん3人組の視線が刺さってるぅ。
もう、これ以上ないくらいにブッ刺さっている気がするぅ・・・。
見るのも怖いからこのまま寝よう、そうだ、そうしよう!
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