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南の街、イケアに向けて
誘き寄せられた魔獣と馬車の持ち主
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何故だか、お姉さん3人組の私を見る目が怯えているように見えるんです。
本当に何故でしょう?さっきの魔獣よりも怖がられている気がするんだけど。
いや、確かに風魔法は過剰防衛っぽくなってた気がするし、クリスには
「次は目を開けて魔法を使おうな。」
とか言われちゃったけれども!
いざ、お姉さんたちに絡まれなくなると少し寂しく感じちゃうよ。
襲われた馬車の方にはオークが3体も居たそうだ。襲われた馬車の御者さんと中に乗っていた男性は、あちこち怪我をしていたものの、すぐにクリスたちが駆けつる事が出来たので命は奪われずに済んだ。
今は乗り合い馬車の座席にクッションを敷いて、私の持っていた救急グッズを使って、簡単な手当てをして横になっている。クッションがこんなに大活躍するなんてね。
ロイドさんは青褪めているミリアさんの肩をそっと抱き寄せて黙って座っている。ミリアさんの腕の中のサミュエル君は、馬が怯えて暴れていた時も、私が猪(仮)に怯えて風魔法を大声で叫んでいても、ずっとお昼寝タイムで気付かず今も就寝中。きっと将来は大物になるハズ。
何やら謎めいたインテリ風男性さんとメガネ美人さんも、今は静かに座って目を閉じている。
寝ているのかな?
さっきはそっと近付いたら、シュッて首元に短剣を突きつけられそうな雰囲気がある二人だったんですけど!
クリスも顔を顰めたまま前方を凝視している。因みに襲われた馬車は、どうやら魔獣を引き寄せるという魔香の入った袋が馬車の後方に結ばれていたらしい。
その袋は穴を掘って、クリスの火魔法で一気に燃やして土魔法で蓋をして終了。
猪(仮)はそうかなぁとは思っていたけれど、やっぱりボアという魔獣だった。
別の場所に居たのが、魔香の匂いに引き寄せられて突進してきたところ、乗り合い馬車を先に見つけて向かってきたらしい。
何て迷惑な!
とりあえずオークとボアは魔石だけ取り出してやっぱり焼却して土に還したそうだ。
馬車が出発する前、ロイドさんは御者さんと話した後、何やらクリスとヒソヒソと話していた。
その後のクリスの顰めっ面を見るにあまり良い話では無さそうだ。
そうこうする内に無事にイケアに到着した。馬車内はずっと無言で乗っている時間は短く感じた。
怪我した人たちは、インテリ風男性が病院まで付き添う事になったようで、乗り合い馬車の御者さんに頼んでいた。
私たちを含む他の乗客は、宿屋の前で降ろして貰った。お姉さんたちは無言で足早に宿に入って行った。こんな別れ方になったのは残念な気持ちがする。
でも凄く怯えていたようだから、少しでも早く宿に入って落ち着きたかったのかも知れない。
お姉さんたちの後ろ姿に心の中でお別れを言っていると、乗客が居なくなるのを待ち構えていた様に、スッと横から黒い馬車が2台やってきた。
ん?本当に待ち構えてた?
何も言わずに1台はロイドさんたち家族が、そしてもう1台は私たちの目の前に停まり、何故か、メガネ美人に促されて私たち二人は馬車に乗り込んだ。
メガネ美人さんの笑顔に流されて乗ってしまったけれど、
ねぇ、誰か、この状況を説明して?
馬車が走り出してもクリスもメガネ美人さんも無言なのよ、ずっと。クリスは不機嫌そうでなんか黒いオーラがでているっぽいし。
馬車は体感で10分ほど走った後に止まったと思ったら、門を開ける音が響き、馬車がまた動き出した。これ、どこかの貴族の邸に入ったという事?
そうして馬車が完全に止まったら、ドアが開いてメガネ美人さん、クリス、私の順番で降りた。嫌な予感とともに想像した通りの、目の前には立派なお邸が建っていた。
これが宿屋だったら良かったんだけど、どう見ても違うよねぇ?
なのにクリスは躊躇いもせず、メガネ美人さんの案内で邸の方へとズカズカと入っていこうとする。
小心者な私は、キョロキョロしながら二人の後ついていくと、ロイドさんと執事らしき人、そして数人のメイドさんがホールに並んで立っていた。
「すぐに食事の用意をさせるので、まずは荷物を下ろせるように部屋に案内させますね。」
ロイドさんの言葉に、未だ現在進行形で状況が分からない。
並んで歩くクリスの方を物言いたげに見たら、クリスは大きなため息の後にボソリと言った。
「襲われた馬車の持ち主はロイドさんだよ。」
本当に何故でしょう?さっきの魔獣よりも怖がられている気がするんだけど。
いや、確かに風魔法は過剰防衛っぽくなってた気がするし、クリスには
「次は目を開けて魔法を使おうな。」
とか言われちゃったけれども!
いざ、お姉さんたちに絡まれなくなると少し寂しく感じちゃうよ。
襲われた馬車の方にはオークが3体も居たそうだ。襲われた馬車の御者さんと中に乗っていた男性は、あちこち怪我をしていたものの、すぐにクリスたちが駆けつる事が出来たので命は奪われずに済んだ。
今は乗り合い馬車の座席にクッションを敷いて、私の持っていた救急グッズを使って、簡単な手当てをして横になっている。クッションがこんなに大活躍するなんてね。
ロイドさんは青褪めているミリアさんの肩をそっと抱き寄せて黙って座っている。ミリアさんの腕の中のサミュエル君は、馬が怯えて暴れていた時も、私が猪(仮)に怯えて風魔法を大声で叫んでいても、ずっとお昼寝タイムで気付かず今も就寝中。きっと将来は大物になるハズ。
何やら謎めいたインテリ風男性さんとメガネ美人さんも、今は静かに座って目を閉じている。
寝ているのかな?
さっきはそっと近付いたら、シュッて首元に短剣を突きつけられそうな雰囲気がある二人だったんですけど!
クリスも顔を顰めたまま前方を凝視している。因みに襲われた馬車は、どうやら魔獣を引き寄せるという魔香の入った袋が馬車の後方に結ばれていたらしい。
その袋は穴を掘って、クリスの火魔法で一気に燃やして土魔法で蓋をして終了。
猪(仮)はそうかなぁとは思っていたけれど、やっぱりボアという魔獣だった。
別の場所に居たのが、魔香の匂いに引き寄せられて突進してきたところ、乗り合い馬車を先に見つけて向かってきたらしい。
何て迷惑な!
とりあえずオークとボアは魔石だけ取り出してやっぱり焼却して土に還したそうだ。
馬車が出発する前、ロイドさんは御者さんと話した後、何やらクリスとヒソヒソと話していた。
その後のクリスの顰めっ面を見るにあまり良い話では無さそうだ。
そうこうする内に無事にイケアに到着した。馬車内はずっと無言で乗っている時間は短く感じた。
怪我した人たちは、インテリ風男性が病院まで付き添う事になったようで、乗り合い馬車の御者さんに頼んでいた。
私たちを含む他の乗客は、宿屋の前で降ろして貰った。お姉さんたちは無言で足早に宿に入って行った。こんな別れ方になったのは残念な気持ちがする。
でも凄く怯えていたようだから、少しでも早く宿に入って落ち着きたかったのかも知れない。
お姉さんたちの後ろ姿に心の中でお別れを言っていると、乗客が居なくなるのを待ち構えていた様に、スッと横から黒い馬車が2台やってきた。
ん?本当に待ち構えてた?
何も言わずに1台はロイドさんたち家族が、そしてもう1台は私たちの目の前に停まり、何故か、メガネ美人に促されて私たち二人は馬車に乗り込んだ。
メガネ美人さんの笑顔に流されて乗ってしまったけれど、
ねぇ、誰か、この状況を説明して?
馬車が走り出してもクリスもメガネ美人さんも無言なのよ、ずっと。クリスは不機嫌そうでなんか黒いオーラがでているっぽいし。
馬車は体感で10分ほど走った後に止まったと思ったら、門を開ける音が響き、馬車がまた動き出した。これ、どこかの貴族の邸に入ったという事?
そうして馬車が完全に止まったら、ドアが開いてメガネ美人さん、クリス、私の順番で降りた。嫌な予感とともに想像した通りの、目の前には立派なお邸が建っていた。
これが宿屋だったら良かったんだけど、どう見ても違うよねぇ?
なのにクリスは躊躇いもせず、メガネ美人さんの案内で邸の方へとズカズカと入っていこうとする。
小心者な私は、キョロキョロしながら二人の後ついていくと、ロイドさんと執事らしき人、そして数人のメイドさんがホールに並んで立っていた。
「すぐに食事の用意をさせるので、まずは荷物を下ろせるように部屋に案内させますね。」
ロイドさんの言葉に、未だ現在進行形で状況が分からない。
並んで歩くクリスの方を物言いたげに見たら、クリスは大きなため息の後にボソリと言った。
「襲われた馬車の持ち主はロイドさんだよ。」
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