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ゲルドー男爵領

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「その領地とは何処かあなたは分かっているのですか?」
私は神獣に聞いてみます。

「我の住む森に一番近い東側の土地に住む者達だ。
人々が住む場所は小さいが我の森の横に大きな鉱山を有しておる」

「森の東側で、鉱山と言えばゲルドー男爵領か」
パドック様が頭に地図を描いたのか呟きました。

しかも、またゲルドー男爵。
あの時、カイルと私が山越えを出来なかったのは、ゲルドー男爵が森の討伐をしたからだった。

私はそれをパドック様に話します。
「森の討伐? おかしいな…ゲルドー男爵領の鉱山の回りにそんな危険な森はないはずなのに…」


「今の話が聞こえたが、それはきっと我の森だ。
あの領主の土地に繋がる我の森の端にあ奴らが侵入してきては森を荒らしていたのだ」


神獣が言うには普段森は力が波も立たない水面の様に溜まっているところがあるらしいが、そこに悪意を持って荒らす者があらわれると、力が悪意あるものに変化し、やがて魔物を生み出すのだと言う。

「我の森の力は水のように透明で無垢なものなのだ。
影響を与えるものが悪意か、清らかな善良なものかでその性質が真逆なものに変化する」

「なんとあの森の魔力とはそのような性質だったのか。
あまりにも膨大で強い力だからこそ無闇に手を出せず結界を張り、見張っていたのだが…
まさか森の端で結界を破りそのような事をしていた者がいたとは…
ゲルドー男爵は何故そんな事をしたのだろう」
パドック様は困惑するばかりです。

「そこの領主を唆したのが魔女なのだ。
昔、あの領地にふらりと現れた女は前領主に取り入り妻に迎えられた。
そして領主を、操り男爵領を意のままにしていたのだ。
そして息子さえも操りとうとう我の森に入って来た。
この情報は我を打とうした時に魔女の過去を読み取ったものだ」

私はその話を聞いて、背中がぞくぞくしてきました。
何か凄いピースが記憶の欠片にはまりそうな予感です。
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