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第1章
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あれから、私は汚れたシャツを着替えに寮に戻った。フィオナをかばってかかったマジックキャンドルの液体が背中に。キリトに飲まされ、飲みきれなかったのが前側の首元に少しかかっていて教室に戻れるような格好ではなかったのである。
あの変態教師覚えていろ。
薬に酔っていたとはいえ、ケシかけたのは私か……。
私のばかばかばか!
自室で自分の頭をポカポカ殴る私。
はたから見たら危ない人だ。
冷静になった私は新しいシャツに着替え始める。
しかし、教室でもなかなかの醜態をさらした私だ。なかなか戻りづらいものである。
『クールで謎めいたシェリアさん』で通していたのになあ。
……ここはツッコむところである。
えーい、過ぎてしまったことは仕方があるまい。
私は気合いを入れるためにパンっと顔を両手で挟むように叩く。
よし、行こう。授業には出なくては。
あれから薬学の授業は終了したらしく、今は昼休憩の時間だ。
フィオナ、まだ教室にいるかな?
私達はいつも一緒に食堂に食べに行っている。教室を覗いてみるが、フィオナの姿を発見した。
「フィオ……」
私がフィオナを呼ぶ声は途中で止まった。
よく見知った人の背中がフィオナのそばにいることに気づいたからだ。
そこには、スウォン会長がいたのだ。
二人は私に気づいていない。
とても楽しそうに談笑していた。
フィオナの笑顔は私が見たこともないくらい可愛らしい乙女のような顔をしていて。
スウォンもいつもの偉そうな仏頂面が嘘のように緩んでいて。
そう、二人の間に入っていけない。そんな訳がないのに私と二人の間には大きな壁が存在する。
邪魔しては悪いのだろう。二人は端から見ても相思相愛。フィオナはスウォン会長ルートを進んでいるのだから、明らかに彼のことを好いている。
スウォンもフィオナの事を好いているだろう。でなければ、昼休憩のこの時間にノコノコと下級生の教室にこない。
幸い、他の生徒もいなくて。私が去れば二人の時間は続くだろう。
おそらくだが、これもスウォンルートのイベントの一つ。
フィオナの隣は私のものだったのに。
黒い感情が胸に巣食う。
最低だ。私は。
友達を男に取られそうになって嫉妬しているのか。
ドンドンと黒い感情が大きくなる。
苦しい。胸がとても。
私はよろめきながらその場を後にした。
ーーー
なんとなく一人でいたくて、空き教室に誰もいないことを確認して中に入った。
「はー……。」
椅子の一つに座り体育座りをする。なんとなく落ち込んだ時の癖。そういえば、前世でも似たような座り方をして悩んでいたような気がする。詳細はわからないから、気のせいかも。
「私、最低だわ。」
友達のそして最愛の妹の恋路なのだ。
素直に頑張れと応援するべきだ。
なのに、素直に喜べない。
フィオナは私のものなのに。
私が守る存在なのに。
……違う!
フィオナはフィオナ。私のものじゃない。
彼女だって自由はある。選択の権利がある。
理性と感情が入り乱れる。
ビシッピシッ
カタガタカタ
「!」
周りから変な音がし始めて驚いて周りを見る。すると、椅子や机花瓶などが不自然に揺れ始めていた。
「な、なんで!?」
私の焦りに反応するかのように揺れがひどくなる。この現象は見たことがある。魔法の力が宿主の感情に反応して漏れ出て周りに影響を与えているのだ。
大きな魔力を持って産まれた幼子がまだ力を抑えきれずに起こしてしまう現象だ。
今まで、私は魔力が漏れ出るようなことは起こしたことがない。
『君の母親がかけた封印も時期にとける……』
そういえば、ゼノがそんなようなことを言っていた。私の闇魔法は抑えられていた?
と、とりあえず。深呼吸だ。深呼吸。
すーーーはーーー
すーーーはーーー
……。
しばらくすると静かになり、物は動かなくなった。
あ、焦ったあああああああ!!
多少物が落ちたくらいで後は被害がなさそうである。私は落ちたものを元の場所に戻していった。
ふと、感じたことがあった。
闇魔法が目覚めつつある中、私は他の属性の魔法は使えるのかと。
最近、魔法の調子が悪かったのは私が情緒不安定ではなく闇魔法が干渉するせいで扱いづらくなっているのでは……。
試しに得意な風魔法を試そう。
「ウインド」
軽く周りに風を吹かせる魔法だ。しかし、何も起こらない。
もう少し意識を集中して更に杖を使ってやってみる。
「ウインド!」
ひゅおっ……
風が吹いた。本調子だった時よりだいぶ威力が落ちているが。
これはまずいな。もう少しで中間試験があるのに。
属性があるから干渉し合うのかもしれない。属性がない魔法を試してみる。
「ディスペア」
十八番の姿隠しの魔法だ。
特に意識しなくても難なく使えた。属性魔法を使用するには集中が必要だが、無属性の簡易な魔法ならなんとかなりそうだ。
手ごわいモンスターなどに遭遇したらアウトだが、テストにそんなものは出ないだろう。
しかし、闇が完全に解放されてしまったら……。
フィオナが光属性の魔法以外が使いづらいように、私も似たようなことになるのかもしれない。
うーん、困った。
何とかしなければならない。
あの変態教師覚えていろ。
薬に酔っていたとはいえ、ケシかけたのは私か……。
私のばかばかばか!
自室で自分の頭をポカポカ殴る私。
はたから見たら危ない人だ。
冷静になった私は新しいシャツに着替え始める。
しかし、教室でもなかなかの醜態をさらした私だ。なかなか戻りづらいものである。
『クールで謎めいたシェリアさん』で通していたのになあ。
……ここはツッコむところである。
えーい、過ぎてしまったことは仕方があるまい。
私は気合いを入れるためにパンっと顔を両手で挟むように叩く。
よし、行こう。授業には出なくては。
あれから薬学の授業は終了したらしく、今は昼休憩の時間だ。
フィオナ、まだ教室にいるかな?
私達はいつも一緒に食堂に食べに行っている。教室を覗いてみるが、フィオナの姿を発見した。
「フィオ……」
私がフィオナを呼ぶ声は途中で止まった。
よく見知った人の背中がフィオナのそばにいることに気づいたからだ。
そこには、スウォン会長がいたのだ。
二人は私に気づいていない。
とても楽しそうに談笑していた。
フィオナの笑顔は私が見たこともないくらい可愛らしい乙女のような顔をしていて。
スウォンもいつもの偉そうな仏頂面が嘘のように緩んでいて。
そう、二人の間に入っていけない。そんな訳がないのに私と二人の間には大きな壁が存在する。
邪魔しては悪いのだろう。二人は端から見ても相思相愛。フィオナはスウォン会長ルートを進んでいるのだから、明らかに彼のことを好いている。
スウォンもフィオナの事を好いているだろう。でなければ、昼休憩のこの時間にノコノコと下級生の教室にこない。
幸い、他の生徒もいなくて。私が去れば二人の時間は続くだろう。
おそらくだが、これもスウォンルートのイベントの一つ。
フィオナの隣は私のものだったのに。
黒い感情が胸に巣食う。
最低だ。私は。
友達を男に取られそうになって嫉妬しているのか。
ドンドンと黒い感情が大きくなる。
苦しい。胸がとても。
私はよろめきながらその場を後にした。
ーーー
なんとなく一人でいたくて、空き教室に誰もいないことを確認して中に入った。
「はー……。」
椅子の一つに座り体育座りをする。なんとなく落ち込んだ時の癖。そういえば、前世でも似たような座り方をして悩んでいたような気がする。詳細はわからないから、気のせいかも。
「私、最低だわ。」
友達のそして最愛の妹の恋路なのだ。
素直に頑張れと応援するべきだ。
なのに、素直に喜べない。
フィオナは私のものなのに。
私が守る存在なのに。
……違う!
フィオナはフィオナ。私のものじゃない。
彼女だって自由はある。選択の権利がある。
理性と感情が入り乱れる。
ビシッピシッ
カタガタカタ
「!」
周りから変な音がし始めて驚いて周りを見る。すると、椅子や机花瓶などが不自然に揺れ始めていた。
「な、なんで!?」
私の焦りに反応するかのように揺れがひどくなる。この現象は見たことがある。魔法の力が宿主の感情に反応して漏れ出て周りに影響を与えているのだ。
大きな魔力を持って産まれた幼子がまだ力を抑えきれずに起こしてしまう現象だ。
今まで、私は魔力が漏れ出るようなことは起こしたことがない。
『君の母親がかけた封印も時期にとける……』
そういえば、ゼノがそんなようなことを言っていた。私の闇魔法は抑えられていた?
と、とりあえず。深呼吸だ。深呼吸。
すーーーはーーー
すーーーはーーー
……。
しばらくすると静かになり、物は動かなくなった。
あ、焦ったあああああああ!!
多少物が落ちたくらいで後は被害がなさそうである。私は落ちたものを元の場所に戻していった。
ふと、感じたことがあった。
闇魔法が目覚めつつある中、私は他の属性の魔法は使えるのかと。
最近、魔法の調子が悪かったのは私が情緒不安定ではなく闇魔法が干渉するせいで扱いづらくなっているのでは……。
試しに得意な風魔法を試そう。
「ウインド」
軽く周りに風を吹かせる魔法だ。しかし、何も起こらない。
もう少し意識を集中して更に杖を使ってやってみる。
「ウインド!」
ひゅおっ……
風が吹いた。本調子だった時よりだいぶ威力が落ちているが。
これはまずいな。もう少しで中間試験があるのに。
属性があるから干渉し合うのかもしれない。属性がない魔法を試してみる。
「ディスペア」
十八番の姿隠しの魔法だ。
特に意識しなくても難なく使えた。属性魔法を使用するには集中が必要だが、無属性の簡易な魔法ならなんとかなりそうだ。
手ごわいモンスターなどに遭遇したらアウトだが、テストにそんなものは出ないだろう。
しかし、闇が完全に解放されてしまったら……。
フィオナが光属性の魔法以外が使いづらいように、私も似たようなことになるのかもしれない。
うーん、困った。
何とかしなければならない。
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