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第2章
サブストーリー ~水面下で~
しおりを挟む「やっぱり私、シェリアに直接会いたい!」
それは、シェリアを除いた僕たち三人で魔法の練習をしていた時のことだった。突然フィオナが魔法を止めいきなり叫んだんだ。
……それまでお互いシェリアについて何も話さなかった。いや話せなかった。どうして良いのか、みんながみんな困っていたんだ。
「それは学園長が考えておくと言っていただろう。」
スウォンも魔法で作っていた水の玉を割り、話に入った。
ああ、これは会話に参加しなくてはいけない感じなのだろうか。僕も自分の魔力で生み出していた炎の馬を消す。
いずれは話さなくてはいけないことだった。その時が来たのだろう。
「無理ではないのか? 君たちの話では学園長は会わせる気はなさそうとの事じゃないか。」
僕が目を覚まして散歩に行っていた時、この二人は学園長と話をしたらしい。
後から、学園長がフィオナの後見人という話も聞いた。フィオナはクレアメンスと学園長が同一人物と知らなかったらしいが。
「学園長を通して無理だとすると、どうやって会いに行けば……。」
フィオナが肩を落として落ち込む。
「変態教師に頼むのはどうだろうか?」
僕はふとシェリアの面倒を見ているというキリトを思い浮かべた。奴なら会わせてくれそうではある。
「いや、無理だ。あいつもあれから様子がおかしい。シェリアについて話そうとしてもなんだかんだとはぐらかす。学園の何処かにある専用の魔法陣でシェリアがいる場所に移動しているらしいが。」
キリトは学園長からの役目を果たしているということか。
だが、専用の魔法陣。これさえ何処にあるのか分かれば、何とかなるかもしれない。
「魔法陣の場所が何処か分かれば……。」
「そこからシェリアの居る場所に行けるかもしれませんね!」
フィオナはそう言って手を叩いて喜んだ。だが相手はキリトだ。そう簡単にことは進むまい。
「魔法陣の場所を探すしかないな。キリトの後をこっそり付けるしかない。」
こうして僕たちの計画は水面下で動き出した。
ーーーーー
「俺の後をつけるなんて十年早いよ? じゃあね、二人とも。」
「くっ、また失敗か。」
「っち。あの教師、俺たちには容赦なく攻撃してくるな。」
僕たちは廊下の柱に奴の魔法で縛り付けられていた。
キリトは手強い。
僕らが慎重に奴をこっそり尾けても気付かれた。そして、僕とスウォンは手痛い反撃を食らってしまった。奴はフィオナやシェリアには甘いが、僕たちに容赦はない。
「仕方ない。僕らではあいつに太刀打ちできないのはわかった。次の作戦だ。」
「一体、どうするつもりなんだ。ルヴィナス。」
「あいつはフィオナやシェリアには甘い。そこを利用しよう。だが、これには他の協力者がいるな。」
僕はスウォンに耳打ちをした。彼は少し驚いた顔をしたがすぐに了承してくれた。この計画には彼が必要だ。正直、僕はあまり奴が得意ではないが仕方がない。
僕もシェリアに会いたいのだ。
「会長にルヴィナス。呼ばれたから来てみたけど、何? 縛られる趣味でもあるの?」
スウォンが生徒会専用の御用達魔法でルイスを呼んだ。副会長のあいつだ。僕とシェリアのき、き、キスを目撃してからかってきた奴だ。
「なわけあるか。」
スウォンが目を吊り上げて否定した。スウォンは結構プライドが高いからこの状態は屈辱的であろう。
「キリト先生にやられたの? ルヴィナスはともかく、スウォンまでやられるなんて珍しいね。」
ルイスはそう言いながら縛られた僕たちに解除魔法をかけた。
「リリース=リセイション」
どうやら彼オリジナルの魔法らしい。ルイスは結界、浄化、契約……そういった細々とした魔法が得意だからな。その中でオリジナルの魔法を編み出したのだろう。
「うむ、助かった。礼を言うルイス。」
「悪いな、ルイス。」
僕たちは拘束を解かれ、体を思い思いに伸ばす。そして、これまであった事のあらましを彼に伝える。
「なにそれ、俺が普通に中間試験してた時にそんな面白い事があったの?」
ルイスは目をキラキラと輝かせる。なんか楽しそうだ。こっちはそれどころではなかったというのに。
「あーあ。俺も君たちと同じ班が良かったよ~。で、俺は何をすればいいのさ?」
話を聞いて断られる可能性も存分にあったが、どうやら快く引き受けてくれるようだ。彼がいればこの作戦は確率がぐっと上がる。よし、頑張るぞ。
それから数日。今度はフィオナに奴の動向を探ってもらうことにした。彼女の尾行はバレるだろう。だが、それで良い。きっと、キリトはフィオナを適当に巻いて魔法陣で移動する。奴はフィオナには魔法を使って縛ったりしないからな。
魔法陣を使って移動すると魔力の波動が生まれる。フィオナにキリトの後を付けてもらい、キリトが魔法陣を使ったらチャンスだ。
そういう魔力の波動に勘が良いルイスに魔法陣の位置を感知してもらう。キリトがよく現れる場所から推察して学園の西側に魔方陣あると考えられる。ルイスにはそこで待機してもらう。
僕とスウォンは別の場所に魔方陣がある事も考慮して他の場所に待機している。だが、ルイスほど感も良くないのであくまで保険だ。
キリトはシェリアの衣食住の世話をしているようなので、食料を補充している。その時を狙う。
ピュウイー
笛の音が僕の耳に届いた。これは僕たちで決めた合図だ。魔法笛の音色。指定した人物の耳にしか音が届かない。隠密作戦などによく利用される魔道具だ。
この音はルイスだ。恐らく成功したのだろう。僕は彼のいる学園西側に急いだ。
「遅かったね、ルヴィナス。」
ルイス達が廊下の片隅で僕を待っていた。
「僕がいた場所は東側で一番遠かったんだから仕方ないだろう。で、ここがそのポイントなのか?」
「そうだよ。ここで魔力の大きな流れを感じた。」
「普通の廊下に見えますね。」
フィオナの言う通りだ。人通りは少ないが、何の変哲もないただの廊下だ。
「こう言う場所があえてポイントに選ばれるんだよ。」
「で、どうする。魔方陣の場所がわかっても、発動させられなければ意味がない。ルイス解読できるのか?」
スウォンがもっともな事を言う。魔方陣の発動には条件が必要なものもある。条件が分からなければどうしようもない。
「やってみるよ。」
ルイスは廊下の床に手をつき、なにやら集中している。
「そんなに難しい構造じゃないみたい。これなら、何とかなりそうだ。」
ルイスがぶつぶつと一人で何かをつぶやいている。すると何の変哲もなかった廊下が光り始めた。どうやら、魔方陣に干渉しているようだ。光の文字が現れる。
「よし、再設定完了。これで俺たちも使えるよ。どうする、今行っちゃう?」
「いや、行くのは変態教師が学園に出てきてからだ。向こうに行って鉢合わせたら面倒だ。」
僕は少しでも早く行きたい気持ちを抑えて、そういった。どういう状態がわからない以上向こうでキリトと鉢合わせるのは避けたい。
「オーケー。でも、この魔方陣の書き換えも長くは持たない。行くなら二、三日中にしてね。」
僕たちはこくりと頷いた。
シェリア。もうすぐで君に会える。
最近の僕は君のことばかり考えている気がする。あの事件で頭を打ったから体の調子がおかしいのだろうか?
僕たちは明日の朝ここで集合することにした。準備を整えなくてはな。
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