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第1章
サブストーリー ~彼の思惑~
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魔法実習班の挨拶を済ませ俺は教室へと向かっていた。すると迎えから通りすがりに声をかけられた。
「キリト先生。」
「おや、リィナ先生。どうかされましたか?」
本当はフィオナ達の班の担当だったの先生だ。
「いえ、どうでしたか?魔法実習班。キリト先生が担当の変更をしてから気になっていたんです。」
「問題ありませんよ。急なことを言ってすみませんでした。」
「いえ、そんなこと…。問題ないようなら良かったです。あ、そういえば」
「?」
「最近、水棲モンスターの活動が活発になっているそうです。見つけ次第、討伐してくださいと上層部から知らせが出ていましたよ。」
「ああ、もうそんな時期ですね。わかりました。知らせてくれてありがとう。」
春先になると水棲モンスターは行動が活発になる。彼らにとって春は恋の季節。少々気が荒ぶり人間に危害を加えることもしばしば。
大事になることはあまりないが、学園の敷地内に入ってしまうと生徒が危ないので討伐対象になる。
それよりも…
俺はフィオナと再会できたことにとても驚いていた。
…入学式のあの日、フィオナを廊下で見かけた。一目であの子とわかった。
あの悲惨な事件により、どこかに養子に行ったと聞いてはいたが行方まではわからなかったのだ。
あの事件…ルースフォース家にはぐれ魔導師が現れ一族が全員殺される酷い事件だった。
彼女の生家と俺の家とは昔から親交があった。彼女が幼い頃何度かあったこともある。
彼女の生家…ルースフォース家では中々子供に恵まれず、やっとの事で生まれた1人娘のフィオナを溺愛していた。
俺もあの愛くるしい彼女の姿には癒されたものだ。
「あ、キリトだ~!あそびにきてくれたのね!」
そんなことを言っていつも彼女はルースフォース家を訪ねるたびに俺を満面なる笑顔で迎えてくれた。
「ああ。」
俺はその頃、14歳にして家督を継いだばかりで心身ともに疲れていた。今よりも無愛想で無口で…あまり人から好まれるような人間じゃなかったと思う。
そんな俺にいつも笑顔で迎えてくれるフィオナ。当時の俺にとってはとても癒される存在だった。
「そうだわ。キリト。きょうはご本をよんでくださいな。」
そう言って、彼女は手に持っていた絵本を俺に差し出した。
彼女はよくある王道なストーリーな絵本が好きらしい。小さい女の子が好むような可愛らしいお話だ。囚われのお姫様が王子様に助けられる。よくあるありふれたお話。
きっと、今日もそんな内容だろう。
そう思い本を受け取った。
「…エクスペリアルの魔女?」
珍しい。彼女はいつもとは変わった趣旨の本を持ってきていた。
この本は悪さばかりする魔女が村人に追いやられ塔に閉じ込められる。1人塔に閉じ込められ、孤独になりすっかり落ち込んだ魔女に一羽の話す鳥が現れる。鳥と話すうちに自分の悪事を反省し良い魔女になる。こんな、話だったか。
「そうよ。わたしがいいご本はある?ってきいたらこれをかしてくれたの。」
父親か母親に勧めてもらったのだろうか。
「そうか。フィオナが持ってくるには珍しい本だなと思ったよ。」
「そうかなあ。あの子はいつもこんなご本をよんでいるの。むつかしい本ばかりよんでいるわ。」
一体誰のことを言っているのだろうか?
父親や母親ではなさそうだ。友達だろうか?
「友達かい?」
「うーうん。ちがうわ。わたしのおねーちゃんよ。」
彼女は1人娘なはずだ。そう聞いている。
「こーら。フィオナ、あまりキリト君を困らせてはダメよ。キリト君は家督を継いで大変なんだから。」
先ほどまで俺の両親と話していた彼女の母親が、輪から離れて俺たちの話に割ってはいった。
「ごめんなさいね。キリトくん。この子、兄弟に憧れててたまに変なことを言うようになってしまったの。気にしないでね。」
「ええ、はい。」
よくあるゴッコ遊びの延長みたいだ。ぬいぐるみを弟やら、ペットやらに見立てて遊んでいたのだろう。
「ばいばーい。キリト。おやすみなさい。」
フィオナは母親に抱かれ去っていった。
「さあ、キリト。お前もルッサーレの名を継いだんだから、こちらに来なさい。」
「はい。父上。」
俺もまた貴族たちの社交場へと向かった。
ーーーー
俺は昔の懐かしい思い出をふと思い出した。
絵本を読んでくれとせがむ彼女はもういないのだな…。
どうやら、彼女は俺のことは欠片も覚えていないらしい。
あの悲惨な事故で記憶も薄れているのだろう。
だが、こうして再び会えたのだ。昔の俺が彼女に癒され助けられた分、今度は彼女を見守ろう。
彼女を引き取った家はあまり位は高くなく、加えて人気者の生徒会長に入学式場まで案内されたことで女子生徒から不況をかっているようだ。
表立って注意したら、こういう輩は大抵エスカレートする。今のところ、まだ、そこまでひどい事をされているわけではなさそうだが…。これ以上酷くなるようなら対応を考えなければならない。
そんなフィオナが心配で俺は隠れて彼女の様子を伺うことが多くなった。
だが、決まってそこには先着がいた。
そう、シェリアだ。
入学式の時に初めてシェリアを見かけたが、わざわざ姿を消す魔法までかけてフィオナの様子を伺っていた。
最初は嫌がらせ関連の生徒かとも思ったが、特にそんなそぶりも見出せない。
ただただ、フィオナの様子を伺っているだけだ。
正直、よくわからない。
俺に隠れて何かフィオナに嫌がらせをしている可能性もあるが…。
別にやましい事がないのであれば、堂々と彼女のそばにいればいいはずだ。
なんだかシェリアはきな臭いというか…怪しい。
時折、妖しい目でフィオナを見ている気がする…。
俺はシェリアの動向をよく注意する事にした。
グループ分けも俺の担当になる事もできたし、シェリアが何か仕掛けるようなら阻止しやすいだろう。
もう、大切なものをなくすのは嫌なんだ。
「キリト先生。」
「おや、リィナ先生。どうかされましたか?」
本当はフィオナ達の班の担当だったの先生だ。
「いえ、どうでしたか?魔法実習班。キリト先生が担当の変更をしてから気になっていたんです。」
「問題ありませんよ。急なことを言ってすみませんでした。」
「いえ、そんなこと…。問題ないようなら良かったです。あ、そういえば」
「?」
「最近、水棲モンスターの活動が活発になっているそうです。見つけ次第、討伐してくださいと上層部から知らせが出ていましたよ。」
「ああ、もうそんな時期ですね。わかりました。知らせてくれてありがとう。」
春先になると水棲モンスターは行動が活発になる。彼らにとって春は恋の季節。少々気が荒ぶり人間に危害を加えることもしばしば。
大事になることはあまりないが、学園の敷地内に入ってしまうと生徒が危ないので討伐対象になる。
それよりも…
俺はフィオナと再会できたことにとても驚いていた。
…入学式のあの日、フィオナを廊下で見かけた。一目であの子とわかった。
あの悲惨な事件により、どこかに養子に行ったと聞いてはいたが行方まではわからなかったのだ。
あの事件…ルースフォース家にはぐれ魔導師が現れ一族が全員殺される酷い事件だった。
彼女の生家と俺の家とは昔から親交があった。彼女が幼い頃何度かあったこともある。
彼女の生家…ルースフォース家では中々子供に恵まれず、やっとの事で生まれた1人娘のフィオナを溺愛していた。
俺もあの愛くるしい彼女の姿には癒されたものだ。
「あ、キリトだ~!あそびにきてくれたのね!」
そんなことを言っていつも彼女はルースフォース家を訪ねるたびに俺を満面なる笑顔で迎えてくれた。
「ああ。」
俺はその頃、14歳にして家督を継いだばかりで心身ともに疲れていた。今よりも無愛想で無口で…あまり人から好まれるような人間じゃなかったと思う。
そんな俺にいつも笑顔で迎えてくれるフィオナ。当時の俺にとってはとても癒される存在だった。
「そうだわ。キリト。きょうはご本をよんでくださいな。」
そう言って、彼女は手に持っていた絵本を俺に差し出した。
彼女はよくある王道なストーリーな絵本が好きらしい。小さい女の子が好むような可愛らしいお話だ。囚われのお姫様が王子様に助けられる。よくあるありふれたお話。
きっと、今日もそんな内容だろう。
そう思い本を受け取った。
「…エクスペリアルの魔女?」
珍しい。彼女はいつもとは変わった趣旨の本を持ってきていた。
この本は悪さばかりする魔女が村人に追いやられ塔に閉じ込められる。1人塔に閉じ込められ、孤独になりすっかり落ち込んだ魔女に一羽の話す鳥が現れる。鳥と話すうちに自分の悪事を反省し良い魔女になる。こんな、話だったか。
「そうよ。わたしがいいご本はある?ってきいたらこれをかしてくれたの。」
父親か母親に勧めてもらったのだろうか。
「そうか。フィオナが持ってくるには珍しい本だなと思ったよ。」
「そうかなあ。あの子はいつもこんなご本をよんでいるの。むつかしい本ばかりよんでいるわ。」
一体誰のことを言っているのだろうか?
父親や母親ではなさそうだ。友達だろうか?
「友達かい?」
「うーうん。ちがうわ。わたしのおねーちゃんよ。」
彼女は1人娘なはずだ。そう聞いている。
「こーら。フィオナ、あまりキリト君を困らせてはダメよ。キリト君は家督を継いで大変なんだから。」
先ほどまで俺の両親と話していた彼女の母親が、輪から離れて俺たちの話に割ってはいった。
「ごめんなさいね。キリトくん。この子、兄弟に憧れててたまに変なことを言うようになってしまったの。気にしないでね。」
「ええ、はい。」
よくあるゴッコ遊びの延長みたいだ。ぬいぐるみを弟やら、ペットやらに見立てて遊んでいたのだろう。
「ばいばーい。キリト。おやすみなさい。」
フィオナは母親に抱かれ去っていった。
「さあ、キリト。お前もルッサーレの名を継いだんだから、こちらに来なさい。」
「はい。父上。」
俺もまた貴族たちの社交場へと向かった。
ーーーー
俺は昔の懐かしい思い出をふと思い出した。
絵本を読んでくれとせがむ彼女はもういないのだな…。
どうやら、彼女は俺のことは欠片も覚えていないらしい。
あの悲惨な事故で記憶も薄れているのだろう。
だが、こうして再び会えたのだ。昔の俺が彼女に癒され助けられた分、今度は彼女を見守ろう。
彼女を引き取った家はあまり位は高くなく、加えて人気者の生徒会長に入学式場まで案内されたことで女子生徒から不況をかっているようだ。
表立って注意したら、こういう輩は大抵エスカレートする。今のところ、まだ、そこまでひどい事をされているわけではなさそうだが…。これ以上酷くなるようなら対応を考えなければならない。
そんなフィオナが心配で俺は隠れて彼女の様子を伺うことが多くなった。
だが、決まってそこには先着がいた。
そう、シェリアだ。
入学式の時に初めてシェリアを見かけたが、わざわざ姿を消す魔法までかけてフィオナの様子を伺っていた。
最初は嫌がらせ関連の生徒かとも思ったが、特にそんなそぶりも見出せない。
ただただ、フィオナの様子を伺っているだけだ。
正直、よくわからない。
俺に隠れて何かフィオナに嫌がらせをしている可能性もあるが…。
別にやましい事がないのであれば、堂々と彼女のそばにいればいいはずだ。
なんだかシェリアはきな臭いというか…怪しい。
時折、妖しい目でフィオナを見ている気がする…。
俺はシェリアの動向をよく注意する事にした。
グループ分けも俺の担当になる事もできたし、シェリアが何か仕掛けるようなら阻止しやすいだろう。
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