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 青年は、邪神の眷属らしい。
 名前は、ハイラと言うらしい。

 「ハイラって、邪神十二将のハイラさんってことでいいですか?」

 「えぇ、おそらくそのハイラで合ってます。我が主」

 ウカノ兄ちゃんが持参していた、対畑泥棒用の特殊な縄でグルグル巻にされたハイラさんが答えてくれた。
 しばりあげる時にやけに鼻息が上がっていたし、今も油断すれば靴を舐めようとしてくるので、もしかしたらそういう趣味の人なのかもしれない。

 「その十二将とはなんなんだ?
 いや、言葉の感じから大体想像は出来るが」

 エリィさんが動じずに俺に聞いてくる。

 「アニキ曰く、邪神に仕えていた十二人の武将らしいです。
 神官だったとも言われているらしいですけど、詳しいことは分かっていないらしいです。
 ただ、名前だけは伝わっていて、その中の一人にたしか【ハイラ】と言う名前の人がいた気がするんです」

 クレイ兄ちゃんがハイラさんを見て、質問した。

 「前の主が邪神ってことでいいのか?
 ヤバい人?」

 「誰がヤバい人ですか、私の名前はハイラです。
 お義兄さん」

 「うわ、なんか凄い嫌な字が当てられた気がする」

 「でも、その質問にはお答えしましょう。
 ええ、そうです。今も昔も邪神と称されるあの方が、私の前の主、マスターでした」

 クレイ兄ちゃんに答えながら、ハイラさんはこの部屋の奥に設置されている邪神像を見た。
 と、そこでフィリップ兄ちゃんがハッとして声を上げる。

 「あ、やべぇ!!
 俺、もう戻るから!! 
 ウカノ兄ちゃん、約束通り手伝ってくれるんだろ?!
 ほら、行くよ!」

 そうだった、そういえばフィリップ兄ちゃんスタンピードの仕事抜けてきてるんだった。

 「おー、そうだったそうだった。
 まあ、目的は果たしたわけだし。
 この人は、うーん、シン道具袋にでも突っ込んでおけ。
 このままだとお前、食われかねないし。
 仕事が終わったら、改めて話を聞けばいいだろ」

 「え、俺も手伝うの?」

 ウカノ兄ちゃんに返したつもりだったが、それに答えたのは、フィリップ兄ちゃんだ。

 「何言ってんだ、エリィさんも手伝ってくれるんだから、お前が手伝わないでどうする」

 エリィさんの表情が、さっきのアレ本気だったのか、と呆れかえっている。
 クレイ兄ちゃんがフィリップ兄ちゃんの言葉に続く。

 「まあ、ウカノ兄ちゃんいれば正直シンやエリィさんはいらないんだけどさ。
 エリィさんは、まあいいとして。
 シン、お前、大人の階段、自分から昇りたいなら別にいいけど、どうする?
 止めはしないぞ」

 言われて、俺はハイラさんを見る。
 ただでさえ真っ赤な目が血走ってるし、興奮しすぎて鼻血まで出ていた。
 極めつけは、

 「新しい主がこのようなショタだなんて、あぁ、私はなんて幸運なんだ!
 半ズボンとか履かせたい」

 などと宣っていた。
 どうしよう、俺、一応成人してるんだけどな。
 つーか、俺がショタならエリィさんはロリになってしまうじゃないか。

 「うん、まだ大人の階段は登らなくていいかな」

 そんなこんなでハイラさんは、道具袋行きになった。
 しかし、行き先が道具袋だと知ってもなお、

 「こんなプレイ、前の主もしてくれなかった!!」

 と、興奮しすぎて気絶一歩手前になっていた。
 十二将って変態のあつまりだったんだろうか?
 スタンピードの手伝いが終わったら、改めてハイラさんに聞いてみよう。
 あ、そうだ、聞くと言えば、今俺がお世話になっている下宿ってペットOKだったっけ?
 あとで大家さんかリアさんに確認しよう。
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