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しおりを挟む「……ダメだ」
小林が、クリスマスに告る、なんて言い出したせいだ。
紫苑は、無性に波留が気になって仕方が無かった。
あいつは、どんな風に来夢に抱かれるんだろう。
あいつは、どんな声を上げるんだろう。
あいつは……あいつは……。
気が付けば、紫苑は足音を忍ばせて階段を上っていた。
階段を上がりきった西側の洋間は、長兄の使っていた空き部屋だ。
紫苑は、そこに潜んだ。
自分の部屋の向こう、東側の洋間から細く明かりが漏れている。
「まだ、寝てないのか?」
耳を澄ませると、話し声が聞こえて来た。
「ね、電気消してよ」
「たまにはいいじゃん。波留のこと、しっかり見ながらヤりたいなぁ」
「もう、変態!」
「嫌なら。今夜はもう、このまま寝ちゃってもいいけど?」
どうやら、来夢は明かりを消さずにエッチしたいと、ごねているようだった。
話しているのなら、気がそれて勘付かれないはず。
紫苑は、そっと隣の和室に忍び込んだ。
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